ミライースはダイハツのミラをベースとした乗用セダンタイプの5ドア専用ボディを持つエコカー。

■ 「第三のエコカー」
ミライースはハイブリッドや電気自動車ではないが立派なエコカーであるとして「第三のエコカー」とキャッチフレーズをつけた。
これはビールや発泡酒ではない「第三のビール」が流行したことへのパロディにもなっている。
これに前後して発表・発売されたマツダの「スカイアクティブ」、日産の「エンジン進化型エコカー Pure Drive」も同様のコンセプトである。

■ コンセプトカー「イース」
元々イースの名前は2009年、ダイハツが第41回東京モーターショーに出展した「イース」に由来する。 コンセプトカー「イース」は、ベースのミラより全長を30cm短縮した3ドアボディと、丸みを帯びた特徴的な愛らしいスタイルと屋根を塗り分けたツートンカラーで市販のイースとはかなり外観上の趣が異なる。
しかし従来のKF型をベースとして改良し、ハイブリッドシステムを搭載しないことを、1リッターあたり30km/jの燃費を実現すること等、市販のイースと内部的な共通点は多い。

■ ハイブリッドでない理由
ダイハツがミライースでハイブリッドを避けた理由として、ハイブリッドのコントローラーや電池、モーター等を追加で搭載することによる重量増が
元々軽量である軽自動車ではハイブリッドシステムによる燃費向上の効果を相殺できないとしたためである。
なお、軽自動車にハイブリッドはそれまで存在しないわけではなかった。
スズキからは「ツイン」のハイブリッドモデルが2003年から、同じダイハツからハイゼットカーゴハイブリッドが軽商用車初のハイブリッドとして2005年から販売されていた。
しかしいずれも軽自動車としては価格が高すぎたことと、燃費改善効果が薄かったことから2013年現在販売は終了している。
ちなみにハイゼットカーゴハイブリッドの場合、ベース車と較べて120 x 10,000 yen程車両価格が高く、重量は140kg程増加していた。
これを燃料費節約分で元を取ろうとすれば一般的な法人ユーザーで20年かかるとされる。ハイゼットカーゴハイブリッドの生産は2010年に終了した。
このほか2003年にスバルが「プレオハイブリッド」を市販予定と発表し実用耐久試験まで行ったが市販には至らなかった。

■ 名前の由来
「イース」とはダイハツの新しい環境性能向上技術の総称、「Energy Saving Technology」通称「イーステクノロジー」から。
また「eco&smart」という意味も込められている。この「eco」は「ecology」「economy」どちらも指すとされている。
実際ミライースは燃費性能に優れているのみならず、初代発売時で

■ 初代ミライース LA300S/LA310S型
2011年、ミライースが新発売。FF車の型式がLA300S、4WD車がLA310Sである。
エンジンは従来からのKF型で、可変バルブタイミング機構を付加しKF-VEとなっている。
当初よりコンセプトカー「イース」で目標としていた30.0km/l（JC08モード）を達成した。

■ スズキとの燃費競争
ダイハツはこのミライースの発売を皮切りとし、スズキと激しい燃費競争を繰り広げている。
ダイハツのミライースとスズキのアルトエコ、ダイハツのムーヴとスズキのワゴンR、ダイハツのタントとスズキのパレットおよびスペーシアのそれぞれ同クラス軽自動車の間で抜きつ抜かれつの、より省燃費のモデルを競って発売している。

2011年9月20日、ミライースがJC08モードで30.0km/lで発売。
そのわずが二か月後の2011年11月24日、アルトエコが30.2km/lを達成した新グレードとして「平成27年度燃費基準+20%達成」となった。
ミライースの燃費を僅かに上回っただけであったが、この時の「ハロー、リッター30.2」というCMはセンセーショナルなものだった。アルトエコは新開発のR06A型エンジンを採用し、9km/h以下でエンジンを自動停止する機構を取り入れていた。
このエンジンの変更のためエンジンルーム周りの骨格も一新する等力の入ったものであった。その他、後部の燈火類をLED化、燃料ポンプを省電力化、車高を15mm低くし、フロントバンパーの形状変更、アライメントの見直しやタイヤの変更による走行抵抗の低減等「塵も積もれば山となる」の見本のような小さな努力の積み重ねも見られる。
このアルトエコの燃料タンク容量は20Lにまで減らされており、燃料の重量まで削るという凝りようで一部には「やりすぎ」の声もあった。
さらに2013年2月20日、スズキはワゴンRで導入した新技術「エネチャージ」と「エコクール」をアルトエコにも取り入れ車体もさらに20kg軽量化しJC08モード燃費を33.0km/lに改善。

2013年8月19日、ミライースはマイナーチェンジしこれに反撃。アルトエコ登場からわずか半年後のことである。
EGR（排気ガス再循環装置）に冷却経路を設ける「クールドi-EGR」を採用しエンジンの熱効率を改善、その他にエンジンだけでも点火タイミングの最適化、タイミングチェーンの低フリクション化等変更は多岐に渡る。
駆動系ではCVT制御を見直して駆動ロスを減らした。
空気抵抗低減にも力を入れ、フロントバンパーには「エアロコーナー」という形状を採用し、タイヤに流れる空気を整流するディフレクターを追加。FF車では車高も下げてフロアアンダーカバーも採用。4WD車ではリアデフギアを改良した。停車前にアイドリングストップをするタイミングも11km/h以下に早めた。
これによりミライースはJC08モード燃費でFF車は33.4km/l、4WD車は30.4km/lに向上した。

2012年中の燃費性能競争は概ねスズキが優勢であったが、しかし販売台数ではミライースが14.5万台、アルトエコが2.1万台と大差をつけてダイハツの勝利であった。
これはアルトエコは発売当初FFのみであり4WDが用意されなかったこと、ミライースの価格は79.5 x 10,000 yenからに対してアルトエコは89.5 x 10,000 yenからと価格戦略で負けていたこと、
それにミライースが専用ボディを用意したのに対してアルトエコがアルトのいちバリエーションに過ぎなかったことが原因として挙げられる。

■ OEM供給
ミライースは基本的に同じ車が別のメーカーからも発売されている。
これはダイハツが製造し他社ブランドで販売する「OEM供給」という仕組みによるものだ。
2012年5月10日にトヨタからピクシス エポックとして、2012年12月21日からはスバル・プレオプラスとしても販売されている。

■ 中古車として
ミライースは持って生まれた燃費性能とCM戦略も手伝って大ヒットした。
このため中古車としての玉数も多く、手頃にきれいな車も見つけやすい。
またハイブリッド等と違い、多少古くなっても信頼性に不安がないというメリットもある。
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