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『400万円を切る「ほぼEV」は、PHEVの現実解になるか』 BYD SEALION 6 2025年モデル 高山正寛さんのレビュー・評価
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プロフィールプロフェッショナルレビューを担当させていただきます高山正寛(たかやませいかん)です。リクルートで自動車専門誌(カーセンサー、カーセンサーEDGE)の創刊直後から20年以上に新車試乗とカーAV記事を担当しフリーランスへ。途中5年間エンターテ…続きを読む
2026年7月31日 19:03 [2030884-1]
| 満足度 | 4 |
|---|
| エクステリア | 4 |
|---|---|
| インテリア | 4 |
| エンジン性能 | 3 |
| 走行性能 | 4 |
| 乗り心地 | 4 |
| 燃費 | 4 |
| 価格 | 5 |
※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。
BYDと聞けば、まずEVメーカーを思い浮かべる人が多いでしょう。そのBYDが2025年12月1日、日本へ初めて投入したPHEVが、ミドルサイズSUVの「SEALION 6」です。今回試乗したのは前輪駆動のFFモデル。398万2000円という価格は、このサイズのPHEVとしてかなり戦略的です。ただし、安さだけで評価すると、このクルマの本質を見誤ります。
エクステリアは、同社が提案する「海洋シリーズ」に共通するモチーフを採り入れながらも、全体としてはオーソドックスなSUVにまとめられています。ひと目でBYDと分かるほどの強い個性はありませんが、それは見方を変えれば、輸入車であることを過度に意識せず選びやすいということでもあります。新鮮さより、幅広い層に受け入れられることを優先したデザインです。
核となるのは、BYDが「スーパーハイブリッド」と呼ぶ技術「DM-i(デュアル・モード・インテリジェンス)」です。基本はモーターで走り、エンジンは主に発電を担当。効率のよい高速巡航時などには、エンジンが駆動にも加わります。つまり、エンジン車にモーターを足したというより、EVに長距離走行用のエンジンを組み合わせたと捉えるほうが分かりやすいシステムです。
満充電からのEV走行換算距離はWLTCモードで約100km。自宅で充電でき、普段の移動がこの範囲に収まるなら、日常の大部分をガソリンなしで走れます。一方、遠出では給油によって走り続けられるため、充電場所や待ち時間への不安も小さくなります。この「平日はEV、休日はハイブリッド」という使い分けこそ、SEALION 6最大の価値です。
走り出しは、まさにEV的です。発進は静かで、アクセル操作に対する反応も滑らか。約1.9トンの車重を意識させないだけの力があり、市街地から高速道路への合流まで、通常の使い方で不足を感じる場面はほとんどありません。速さを競うクルマではありませんが、FFには必要十分な性能があります。
ただし、アクセルを深く踏み込むと印象は変わります。エンジン回転が先に高まり、少し遅れて速度が追いつく感覚があり、加速のダイレクトさは薄れます。エンジン音もEV走行時の静けさに慣れた後だけに、やや目立ちます。穏やかに走る限り上質ですが、強い加速を繰り返す場面では、システムの洗練度にもう一歩を求めたくなります。
乗り心地は柔らかく、路面の荒れを優しくいなす快適志向です。街中や一般道では、この穏やかさが大きな長所になります。反面、高速域では操舵に対する反応がやや緩く、レーンチェンジや大きなカーブでボディーの動きが収まるまで少し時間がかかります。高速道路を頻繁に使う人は、短い街中試乗だけで決めず、速度の高いバイパスなどでも確認したいところです。
室内は価格以上に見栄えがよく、大型ディスプレイを中心に、前席のシートヒーター/ベンチレーション、パノラミックサンルーフ、プレミアムオーディオ、15Wのワイヤレス充電(それも2台分)などを標準装備。後席も広く、荷室は可倒した状態で床面がほぼフラットで、家族での旅行や大きめの荷物にも十分対応できます。オプションを積み上げなくても装備がそろう点、つまりワンプライスの価格設定は、購入時の分かりやすさを含めて大きな魅力です。
一方で、機能の多くを画面へ集約したUI(操作系)には改善の余地があります。回生ブレーキやシート空調の設定が深めの階層にあり、走行中に直感的に扱いにくい場面があります。回生の強弱も差が小さく、ワンペダル感覚を期待すると物足りません。また全幅は1.9m近いため、自宅駐車場や日常的に使う立体駐車場との相性は必ず確認すべきです。運転支援も装備内容だけで判断せず、車線中央維持の自然さなどを試乗で確かめることを勧めます。
ただ、ここで知っておきたいのが世界の自動車のトレンドになりつつある「OTA(Over-The-Air)」、通信回線を使いソフトウエアをアップデート出来る機能です。「SEALION 6」には試乗時ではまだ一度もアップデートされていませんが、他のBYD車はこれにより、ADASの効き具合や機能の改善も数多くされています。“絶対”はありませんが、UIなども含め、いずれ使いやすく進化していくことは期待していいでしょう。
充電についても使い方が重要です。普通充電に加えて急速充電にも対応しますが、これまでもPHEVを2台所有してきた身としては長距離移動中に何度も急速充電するより、出発前に自宅などで満充電にし、電気を使い切った後はハイブリッドとして走るほうが合理的と感じました。実際、充電回数を増やしても費用面の恩恵が小さく、待ち時間だけが増えたケースもあります。
PHEVは、ガソリン燃費だけを切り取って優劣を判断しにくい乗り物です。自宅充電の有無、出発時の電池残量、走行距離によって経済性が大きく変わることは理解しておく必要があります。
SEALION 6のFFは、スポーティーな走りやブランドの個性を強く求める人のためのSUVではありません。自宅充電が可能で、普段はEVの静かさと経済性を楽しみたい。しかし遠出では充電に縛られたくない。そんな現実的なユーザーに合う一台です。逆に自宅で充電できない人や、高速走行時の引き締まった操縦性を最優先する人は、価格だけで飛びつかず、他車と乗り比べたほうがよいでしょう。
細部の操作性や高速走行時の落ち着きには課題を残しますが、広い室内、充実装備、PHEVとしての使いやすさを400万円以内にまとめた商品力は無視できません。
「安いから選ぶBYD」ではなく、「EVのある生活を無理なく始めるために選ぶPHEV」。それがFFモデルの最も納得しやすい評価です。
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参考になった17人
「SEALION 6 2025年モデル」の新着レビュー
| レビュータイトル | 満足度 | 投稿日時 |
|---|---|---|
| 2026年9月27日 08:58 | ||
| 2026年8月10日 20:14 | ||
| 2026年8月4日 12:10 | ||
| 2026年7月31日 19:03 | ||
| 2026年7月27日 21:37 | ||
| 2026年6月30日 15:52 | ||
| 2026年5月9日 18:28 | ||
| 2026年4月30日 20:33 | ||
| 2026年4月22日 17:26 | ||
| 2026年4月18日 15:20 |
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高山正寛 さん
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