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『スズキらしい実用目線で仕立てた、初の量産BEVの現実解』 スズキ e ビターラ 2026年モデル 高山正寛さんのレビュー・評価
e ビターラ 2026年モデル
30
e ビターラの新車
新車価格: 399〜492 万円 2026年1月16日発売
e ビターラの中古車
中古車価格: ― 円
自動車(本体) > スズキ > e ビターラ 2026年モデル > Z
プロフィールプロフェッショナルレビューを担当させていただきます高山正寛(たかやませいかん)です。リクルートで自動車専門誌(カーセンサー、カーセンサーEDGE)の創刊直後から20年以上に新車試乗とカーAV記事を担当しフリーランスへ。途中5年間エンターテ…続きを読む
2026年6月16日 21:22 [2025401-1]
| 満足度 | 4 |
|---|
| エクステリア | 4 |
|---|---|
| インテリア | 5 |
| エンジン性能 | 4 |
| 走行性能 | 4 |
| 乗り心地 | 3 |
| 燃費 | 5 |
| 価格 | 4 |
※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。
スズキ初の量産バッテリーEVとして登場した「eビターラ」は、単に“スズキが作ったEV”というだけのクルマではありません。
今回試乗したのは、61kWhバッテリーを搭載する上級グレードの「Z」です。駆動方式は2WDと4WDの両方を確認しました。49kWhバッテリーを搭載する最廉価の「X」は今回は試乗していないため、走りの評価対象から外します。
まず感じたのは、eビターラが“EVらしさ”を過度に演出していないことです。アクセルを踏んだ瞬間に鋭く飛び出す味付けではなく、発進から加速までの動きは穏やかで扱いやすいものです。EVに慣れている人には、もう少し瞬発的なレスポンスが欲しい場面もあるかもしれません。一方で初めてEVに乗るユーザーや、内燃機関車やハイブリッド車から自然に乗り換えたいユーザーには、この過敏すぎない制御が安心感につながります。
Zの2WDは、前輪駆動らしい軽やかさが魅力です。車両重量は1790kgと決して軽くありませんが、走り出せばその重さを強く意識させません。ステアリングを切ったときの反応も自然で、街中ではボディサイズ以上に扱いやすさを感じます。1800mmという全幅は、狭い道や駐車場で気になるかと思いましたが、視界や車両感覚がつかみやすく、最小回転半径の小ささも効いています。日本の道路環境でも持て余す印象は抑えられています。
乗り味は全体にしっかりとした味付けです。床下にバッテリーを抱えるBEV専用プラットフォームを採用していることもあり、コーナリング時でも車体は不安定に動きにくく、腰の据わった姿勢を保ってくれます。2WDはその中でも比較的軽快で、日常の移動を中心に考えるなら、この自然な動きは好印象です。航続距離(カタログ値で520km)にも余裕があり、週末の遠出まで視野に入れやすい仕様です。
一方、Zの4WDに乗り換えると、同じeビターラでもキャラクターはかなり変わります。前後にモーターを持つ電動4WD「ALLGRIP-e」によって、発進時や加速時の安心感が一段増します。特に車線変更を伴う加速やコーナリングからの立ち上がりでは、後輪側がクルマをしっかり押し出すような感覚があり、2WDより濃い安定感があります。雪道や悪路だけでなく、舗装路での走りの質感を高める装備としても価値があります。
もちろん、4WDだからといってスポーツモデルのように振る舞うわけではありません。むしろ印象としては、速さより安心感を重視した味付けです。路面に対して車体がより密着しているように感じられ、長距離を走る際の疲労感も抑えられそうです。ジムニーやエスクードに代表されるスズキのSUVらしさを、EV時代に置き換えたものと見ることもできます。
静粛性については、EVとして十分に納得できるレベルです。エンジン音がない分、タイヤノイズや風切り音が目立ちやすいのがBEVの難しさですが、eビターラはそのあたりをうまく抑えています。高速域でも車内は落ち着いており、コンパクトSUVという車格を考えれば快適性は高いと言えます。シートのサポート感も適度で、ブラウン系の加飾を使ったインテリアも、これまでのスズキ車とは違う上質感を出しています。
ただし、気になる点もあります。ひとつは回生ブレーキの操作です。eビターラには「イージードライブペダル」が用意されていますが、走行中にパドルシフトなどで細かく回生量を変えるタイプではありません。あらかじめ設定した減速度を呼び出す方式なので、長い下り坂や流れの速い道で、状況に応じて回生を使い分けたい人には物足りなく感じるでしょう。EVとして後発であることを考えると、もう一歩踏み込んでほしかった部分です。
アクセル操作に対する反応にも、慎重すぎる印象があります。ゆっくり踏み込む範囲では扱いやすいのですが、強めに踏み込んだときには、加速が始まるまでにわずかなタイムラグを感じる場面があります。安全方向に振った制御と考えれば理解できますが、EVならではの一体感やダイレクト感を期待すると、やや惜しいところです。今後の熟成でさらに魅力が増すはずです。
乗り心地についても、基本的には落ち着いていますが、路面の継ぎ目やうねりでは足まわりが少しバタつく場面があります。特に低速域で荒れた路面を通過したときには、もう少ししなやかさが欲しいと感じることがありました。欧州を主戦場とするグローバルモデルらしく、高速域では安定感が高まる一方で、日本の細かな補修路面への対応には、まだ熟成の余地が残されているように思います。
それでも、eビターラの全体評価は前向きです。スズキ初の量産BEVとして見たとき、奇抜さより実用性を重視し、サイズ、航続距離、価格、走りの安心感を高次元でバランスよくまとめているからです。Zの2WDは、日常使いと航続距離を重視する人にとって扱いやすい存在です。一方のZ 4WDは、雪道や山間部だけでなく、普段の走りにも安定感や余裕を求める人に向いています。
またBEVと言えば、航続距離に加え、バッテリーの劣化も気になる部分ですが、これに関しては開発陣から手応えを感じる話を聞けました。
搭載するバッテリーはBYD社製の「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」です。温度変化に強く、急速充電を繰り返しても劣化が少ないのが特徴です。スズキ側はこのバッテリーの搭載に関し、BYDはもちろん、欧州で販売される実質的な姉妹車「トヨタ・アーバンクルーザー」、つまりトヨタも含めた三社で協議を行い、品質を含めた性能を磨いてきたとのこと。BEVのネガを解消して市場に投入する姿勢は、スズキへの信頼感向上にも寄与すると思います。
eビターラは、EVに強いこだわりを持つ人だけに向けたクルマではありません。むしろ、これまでEVに少し距離を置いていたユーザーに対して、「これなら現実的に使えるかもしれない」と思わせるところに価値があります。スズキらしい合理性と、グローバルBEVの新しさ。その両方を備えたeビターラは、日本市場でも存在感を発揮しそうです。
- レビュー対象車
- 試乗
参考になった17人
「e ビターラ 2026年モデル」の新着レビュー
| レビュータイトル | 満足度 | 投稿日時 |
|---|---|---|
| 2026年10月19日 07:14 | ||
| 2026年9月29日 18:43 | ||
| 2026年7月4日 22:05 | ||
| 2026年6月16日 21:22 | ||
| 2026年2月23日 22:18 |
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