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『欧州向けのままで日本向けの仕様になっていない点が問題』 スズキ バレーノ 2016年モデル 松下宏さんのレビュー・評価
バレーノの新車
新車価格: 141〜176 万円 2016年3月9日発売〜2020年6月販売終了
中古車価格: 45〜119 万円 (14物件) バレーノ 2016年モデルの中古車を見る
自動車(本体) > スズキ > バレーノ 2016年モデル
プロフィール1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者などを経て自動車評論家として独立。クルマそのものより、クルマとクルマに関係する経済的な話題に詳しい評論家を自負するとともに、安全性の追求についても一家言を持つ。クルマ雑誌各誌…続きを読む
2016年7月17日 05:10 [945789-1]
| 満足度 | 2 |
|---|
| エクステリア | 3 |
|---|---|
| インテリア | 3 |
| エンジン性能 | 4 |
| 走行性能 | 3 |
| 乗り心地 | 3 |
| 燃費 | 3 |
| 価格 | 4 |
※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。
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|---|---|---|
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スズキのバレーノはインド製の輸入車だ。日本の自動車メーカーとして初めてインドからクルマを輸入したことで話題になった。
タイ製のマーチやミラージュが見るからに安っぽいクルマで評価が低かったため、タイと同様に自動車の新興国であるインド製の乗用車に対しては懸念を抱いている人もいると思う。
でもバレーノは、取り敢えず見た目の品質などには問題がないようだ。ボディパネルの合わせ目や内装のシボなど、日本製のクルマと変わらないような印象である。日本と変わらない生産設備を使って作られたというだけに、なかなかの仕上がりである。
ただし、クルマは長く使う商品なので、見た目の品質だけでなく耐久品質が問題になる。インドの地元サプライヤーから供給された部品の耐久品質については、すぐに判断できることではない。時間をかけた評価を待つしかない。
バレーノは全長が4mを切るコンパクトなクルマだが、クルマはちょっと大きく見える。これは全幅が1745mmもあるためで、日本では3ナンバー車として登録される。この独特のパッケージングは、日本の常識とは異なる世界基準(欧州基準)で開発されたからだ。全幅は広いものの最小回転半径は4.9mに抑えられているので、使い勝手は特に悪くない。
搭載エンジンは2機種。直列3気筒1.0Lターボが6速ATとの組み合わせで上級グレードのXTに搭載され、自然吸気の直列4気筒1.2Lが副変速機付きのCVTと組み合わせでベースグレードのXGに搭載されている。
ブースタージェットと呼ぶ1.0Lターボは82kW/160N・mの動力性能を発生する。現行アルト以降のスズキ車は軽量化が徹底されていて、バレーノの車両重量も1000kgを切っている。その軽量ボディに自然吸気エンジンでいえば1.6L並みのトルクを発生するエンジンを搭載しているのだから、走りに関しては不満はないというよりも十分に良く走るクルマである。6速ATの変速フィールも上々である。
ただ、3気筒エンジンに特有の振動が残っていて、アイドリング中などに3気筒であることを感じさせられるシーンがあった。今どきの3気筒エンジンは3気筒らしさを感じさせないのが普通だから、振動によって3気筒であることがはっきりと分かる点に関しては物足りなさが残った。
4気筒1.2Lのエンジンはデュアルジェットと呼ぶインジェクターを2つ設けたタイプの自然吸気エンジンで、ターボではないため動力性能は67kW/118N・mにとどまるが、ターボ車ではないXGはXTに対してさらに40kgも軽くなるから、こちらも普通に良く走る。副変速機付きCVTによる滑らかな走りも魅力だ。ダイレクト感に欠けるきらいはあるものの、日本のコンパクトカーではCVTが常識になっている。
装備に関しては、全車にアダプティブ・クルーズコントロールとレーダーブレーキサポート?が標準装備されるのが特徴。コンパクトクラスでは例外的ともいえる設定だ。特にXGに関しては140万円そこそこの価格でこの2種類の装備が備わるのだから、買い得感は十分である。
このようにクルマとしての魅力はまずまず十分といえるのだが、バレーノにはいろいろな問題がある。それは日本市場にしっかり目を向けて作られたクルマではないことに由来する。バレーノは基本的には欧州向けに作られたクルマであり、右ハンドル車であることを除けば、丸々欧州向けのクルマが輸入されている。
たとえば、1.0Lの直噴ターボ仕様エンジンは、ハイオクガソリン仕様である。今どき、燃料代が高くつくハイオク仕様などはほとんど日本で受け入れられなくなっている。欧州のオクタン価95用のエンジンをそのまま日本に輸入したためにハイオクにせざるを得ないのだ。
エンジン制御のロムを書き換えるだけでは済まない面もあるのかも知れないが、この程度の日本対応はして欲しいものだ。さらにいえば、1.2Lエンジンも含めてアイドリングストップ機構が付いていない。そのためにXTはエコカー減税に適合していないし、XGもアイドリングストップ機構を装着すればエコカー減税の適合レベルが上がるはずだ。
スズキ車にはISGを使って静かでスムーズな再起動が可能なアイドリングストップ機構の採用例があるのだから、これを採用したら良かったのにと思う。バレーノXTでは燃費を向上させてエコカー減税に適合させるほかに、停車中の不快な振動を消すことにもつながる。
あるいは、アダプティブ・クルーズコントロールとレーダーブレーキサポート?の設定にも文句がある。アダプティブ・クルーズコントロールはまあ良いのだが、ミリ波レーダー方式のシステムであるため、これを利用した先進緊急ブレーキが人間を見分けないレーダーブレーキサポート?になっているのが問題だ。
スズキは車種によってはデュアルカメラブレーキサポートというカメラ方式の先進緊急ブレーキを採用していて、これは人間を見分けて手前でブレーキをかけることができる。日本では高齢の歩行者や自転車の死亡例が多いので、これを減らすにはカメラ方式の先進緊急ブレーキが必要である。バレーノは欧州向けの仕様を優先させたために人間を見分けない先進緊急ブレーキしか付いていないのだ。
バレーノはインド製のクルマであることに問題は見当たらなかったが、欧州向けの仕様をそのまま日本で販売しようとした日本軽視による問題点がいろいろとあった。
こうした傾向はスズキに限ったことではなく、多くの日系自動車メーカーが、世界を見て日本を見ない傾向を強めているのが実情だ。だからこそ、日本専用の軽自動車を作るスズキには、もっと日本市場に重きを置いたクルマ作りを徹底してほしいと思う。
- レビュー対象車
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参考になった40人
「バレーノ 2016年モデル」の新着レビュー
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4
高山正寛 さん
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