ネスカフェ ドルチェ グスト ネオ カフェ MD9782-MB [ミッドナイトブラック] レビュー・評価

デザイン性が高いコンパクトなボディに高機能を搭載。	専用ポッドを入れるだけで光学式識別システムが読み取り種類を判別する。	今回試したルンゴ、ドリップスタイルコーヒー、アメリカーノのカプセル。
ボタンを押すだけで簡単に抽出できる	1Lサイズの水タンクは左側から右側に押し出す仕組み。	クレマが豊かなドリップスタイルコーヒーが淹れられた。

1台で3つの異なるコーヒー抽出方法に対応したカプセル式コーヒーメーカー。光学式識別システムが専用の紙製コーヒーポッドを認識し、抽出パラメーターを自動的に変更する「スマート抽出」機能を搭載しており、プロのバリスタが淹れるような本格的な味わいを実現する。

カカクコムから製品を借りて試した。

本機の最大の特徴は、専用ポッドを入れるだけで3種類の抽出方法を自動で判別する「スマート抽出」機能を搭載すること。ポッド上面のフィルムに描かれた模様を光学式識別システムが読み取り、最適な抽出パラメーターを自動設定する仕組みだ。

高圧エスプレッソ抽出では、最大15気圧のモジュラー高圧抽出システムにより、濃密なクレマが楽しめるイタリアンスタイルのエスプレッソが淹れられる。ドリップスタイル抽出は圧力を抑えることで、香り豊かなドリップコーヒーを丁寧に作り出せる。アメリカーノスタイル抽出では、エスプレッソに澄んだお湯を加える本格的な手法を再現する。

今回、ルンゴ、ドリップスタイルコーヒー、アメリカーノのそれぞれを試した。エスプレッソ方式のルンゴはしっかりとしたコクがあり、かなり好み。朝起きて最初にきゅっと飲むのに最適だった。

ドリップスタイルコーヒーは、スタンダードなドリップコーヒー。普段使いに最適で家族からの評判も良かった。アメリカーノは標準でかなり薄めに感じた。夜間飲みたい時に良いかもしれない。

さらにWi-FiとBluetooth機能によるスマホ連携に対応。専用アプリと連携すれば、抽出温度と湯量のカスタマイズが可能。ルンゴの湯量を増やしたり、逆にアメリカーノの湯量を減らして濃くしたりできる。設定を保存しておけば、次回も同じ条件で淹れられる。

専用の紙製コーヒーポッドは、紙と生分解性のセルロースフィルムを採用しており、家庭用のコンポスト容器内で生分解できるようになっている。

使い勝手の面では、ポッドを装着すると電源がオンになり、お湯の加熱がスタート。前面ボタンを押すと抽出が始まる。使用済みポッドは、自動的に排出され、最大9個までマシン内ボックスに溜められる仕組み。ドリップトレイは高さ調節が可能で、給水タンクは1Lの容量があり、取り外して給水や掃除が簡単にできる。ただし、斜めに入れるデザインなので立てかけることができない点に注意したい。

本体サイズは幅約15.4cm×奥行き約34.2cm×高さ約30.1cmとコンパクトで、狭いキッチンにも設置しやすい。数多くのカプセル式コーヒーメーカーの中でも選択肢の一つとして考えられる製品だ。

外パッケージ。正面はやや小さく、写真では見えないが、奥行はほぼ半分。	カプセルと紙ポッド。厚みが全然違う。	エスプレッソでいうタッピングした状態で紙ポッドに詰められるので、厚み差が出る。
ネオ、本体。小型で丸っこく、なんだか可愛い。	アメリカーノ抽出時。白湯を注いで、量を増し、味を整える。	アプリ設定画面。抽出温度、抽出量を変えることができる。

ネスレは、ネスカフェを美味しく淹れられる「バリスタ」とカフェで飲めるコーヒーを意識した「ドルチェ グスト」と言う２つのカプセルコーヒーマシンを持つ。
ドルチェ グストは2005年に欧州で、2007年に日本での販売が始まった。20年近い歴史を持つ。この長い歴史の中、コーヒーの種類も増え、いろいろなデザインのマシンが出された。が、変わらなかったものがある。それはカプセルの形状だ。

が、2025年9月に「ドルチェ グスト ネオ」（以下ネオ）は、今までのアルミとプラスチックのカプセルとは異なる、「紙製コーヒーポッド」（以下紙ポッド）が採用された。
この新しいコーヒーシステムをメーカーから貸出してもらい、いろいろテストすることができたのでレビューする。

嗜好品でもあるコーヒーは、世界人口の増加により需要が高まり、価格高騰するだろうし、品質維持を考慮したアルミとプラスチックで作られているカプセルは環境に悪いなどの問題を持つ。

またカプセル１つ１つは、それなりのサイズなのであるが、１２個１箱の大きさは決して小さいとは言えない。メーカーはそれを逆手にとって、カプセルをオブジェのように見せる、魅せる展示保管などを提案してるが、大きいことには変わらない。正直、半端サイズであり、置きにくくて仕方がない。サイズ（体積）に対し、軽いカプセルの輸送効率はとても悪い。保管時の倉庫代もかさむ。輸送費は、コストの中でも上位を占める大きな問題だ。

また喫茶店からカフェが増えるに従い、コーヒーの楽しみ方も、淹れ方も変わってきた。日本はドリップ式の喫茶店が多かったが、それはお客が同じ時間に一斉に来ることがないのが前提。しかしカフェではそうはいかない。会社、学校に行く時、いわゆる通勤時間にお客がどっと押し寄せる。店内で飲んで行かない、テイクアウトも増えた。

実は同じことは、２０世紀初頭のミラノ万博でも起きた。万博のカフェに長蛇の列ができたのだ。その時、実用化されたのが、エスプレッソ方式。圧力を掛け、短時間でコーヒー抽出を行う。

ドリップでは抽出されないところまで圧力をかけ押し出す分、エスプレッソは非常に濃い。砂糖をたっぷり入れて飲むと丁度いい。イタリアでは、皆、そうして飲んでいる。溶け切らない砂糖がカップの底に層をなすくらいが美味しい。
日米のようにドリップ式がスタンダードなところでは、どうするのか。お湯で割るのだ。アメリカーノと呼ばれる方法だ。

昔、サントリーがV.S.O.P.と言うブランデーを発売した時、CMで「ブランデー、水で割ったらアメリカン」と言うキャッチコピーを使っており、日本の喫茶店で出されるアメリカン・コーヒーの薄い味もあり、お湯で割るのが、アメリカンと思われている人も多いかも知れない。

が、一言加えると、本来のアメリカン・コーヒーは薄いコーヒーのことではない。浅い焙煎の豆をたっぷり使って入れたコーヒーのことだ。浅い焙煎のコーヒーなので、色は濃くない。カップの底は透けて見える程度だ。が、たっぷりした豆による酸味と苦味のバランスが取れている。５０年代はアメリカ最強時代。黒いダイヤモンドと呼ばれるコーヒーも、ガンガン消費した時代。薄めるなんてことはしない。

さてそれはさておき、ネオは、エスプレッソマシンをベースにしているが、ドリップ、エスプレッソ双方の抽出が可能。エスプレッソでは、エスプレッソ・ルンゴ、そしてエスプレッソのお湯割りのアメリカーノを楽しむことができる。
が、それはマシンで設定するのではなく、「ネスカフェ ドルチェ グスト ネオ ドリップスタイル アロマ ブレンド」（以下ドリップ）「ネスカフェ ドルチェ グスト ネオ アメリカーノ ライト ブレンド」（以下アメリカーノ）「ネスカフェ ドルチェ グスト ネオ ルンゴ」（以下ルンゴ）と言うドリップ用、アメリカーノ用、ルンゴ用のカプセルが必要だ。

ポッド１２個で９５４円。７９．５円／杯。１杯の価格は今までとは変わらないが、１つのカプセルで３種楽しめるわけではない。

実際、紙ポッドの重さはドリップ６.５g、アメリカーノ５.１g、ルンゴ５.３gであり、カプセルの様に中に仕切りを付けていないため、厚みも異なる。ここら辺は、コーヒー抽出の理論通りであり、中に仕切りを設け、全て同じ大きさにしてあるカプセルとは一線を画す。

一回り小さくなったパッケージは正面サイズより、差は奥行に出るようにしてある。
このため店頭での棚問題が発生させずに入れ替えることも可能だ。

また、このレギュラー３種以外にも、スターバックスのラインナップも用意されており、今からはネオを育てていく意志が伝わってくる。

味は、個人の嗜好になるが、レギュラーの中では、ドリップが好きだ。アメリカーノは飲みやす過ぎていけないし、ルンゴはエスプレッソなのだが、北イタリア系であり、あっさりめ。今時、南イタリアのドロっとするほどのコクがあるエスプレッソを求めるのは、グローバル的にはないのかも知れないが、嗜好品は多様性を求めるもの。ここは考慮して欲しい。

今までは、本体で抽出量などの調整ができたが、全てアプリで行うようになっている。正直、家のキッチンでもスマホとなると少々面倒臭いように感じた。

本体は、紙ポッドのサイズに合わせ小型になった。またタンクは右側よりはめ込む方式を採用。本体、右側を大きく開けておく必要がある。

また環境にも配慮。本体には再生樹脂が使われ、紙ポッドはホームコンポスト（堆肥化）可能だ。ただし、カプセルほど中の品質を維持することはできない。が、それは生活の中にコーヒーが入り込めば入り込むほど問題ではなくなってくるだろう。

驚くところはほとんどないが、持続可能な未来のため、ネスレが出した１つの解答と言える。

コンテナとトレイはカンタンに外せ、まる洗いできるので衛生的	大きくとられた給水タンクの開口部。余った水を捨てるときも便利	試飲した3種類は、はっきりとした違いが楽しめた

2025年11月、メーカーより貸与

【デザイン】
良い
操作は電源と抽出の2ボタンのみで、見ためもすっきりした仕上がり。
抽出トレイは高低2段の取り付けが可能、エスプレッソカップでもはねずに注げる配慮がうれしい。


【使いやすさ】
非常に良い
ウォームアップ時間は体感的に30秒ほど、時間のない朝でもストレスなく利用できる。
給水タンクの開口部は大きくとられ、給/排水ともラクにおこなえた。


【機能性】
良い
ポッドに合わせて湯量や抽出方法が自動調節され、それぞれの特徴が引き出されていた印象。
今回は3種類のポッドを試飲、はっきりした違いが味わえた。


【保温性】
無評価
抽出のみ、保温機能はないので無評価とした。


【手入れのしやすさ】
非常に良い
日々のメンテナンスは、使用済みのポッドが排出されるポッドコンテナと抽出トレイを洗う程度。
おそらくは除石灰だろう、ときどき湯垢洗浄が必要と記されているが、ボイラー式なら標準的な作業工数と感じた。


【サイズ】
良い
給水タンクの脱着を考慮しても目安30cm角のスペースがあれば設置可能。
公称値・約3.5kgと軽量なので、開梱もレイアウト変更も苦にならないだろう。


【総評】
ポッド式なのでコーヒーかすが発生しないのもうれしいところ。
自宅はもちろんオフィスにも欲しい一台である。

横からのフォルム	水タンクは向かって左から右へスライドさせて取り外す。設置時は右側にスペースが必要	紙製でホームコンポストにも対応した専用のコーヒーポッドを採用
ポッドは上からセットする	使用済みのポッドはコンテナに排出される	背面のフォルム。丸みがあってかわいらしい

ネスレの「ネスカフェ ドルチェ グスト」の新モデル。カカクコム経由で実機をお借りして試用した。

発売以来累計出荷台数400万台を突破（同社調べ、2024年12月末時点）しているカプセル（ポッド）式コーヒーメーカー「ネスカフェ ドルチェ グスト オリジナル」。新モデルは、従来モデルの特徴を継承しながら、新たな機能を搭載している。

本体サイズ（約）は、幅15.4×奥行34.2×高さ30.1センチ。給水タンクの容量は1000 ml。定格消費電力1460W。

その1つが独自の"スマート抽出"機能。1台でドリップ、アメリカーノ（エスプレッソで抽出したコーヒーにお湯を足す方法）、高圧エスプレッソの3つの異なるコーヒーの抽出方法に対応しているのが特長だ。コーヒーポッドの自動認識機能も搭載しており、カプセルをセットすると、自動で最適な抽出方法を設定してくれるので、手軽に本格的なコーヒーが楽しめる。

専用のコーヒーポッドは紙製。カプセル／ポッド式コーヒーメーカーとしては、日本で初めてホームコンポスト（堆肥化）に対応しており、土に還すことができ、ゴミを増やさない。

専用コーヒーポッドは、「ドリップスタイル アロマブレンド」「アメリカーノ ライトブレンド」「ルンゴ 」が各954円。「スターバックス ハウス ブレンド」「スターバックス ブレックファースト ブレンド」「スターバックス アイス アメリカーノ」「スターバックス エスプレッソ ロースト」が各1,272円。いずれも12個入りで、1杯あたりはそれぞれ79.5円、106円となる。

抽出時のお湯の温度が75〜85 ℃と低めで温く感じたが、ブルートゥースでスマホアプリと連携ができ、コーヒーの抽出温度や量を好みに合わせてカスタマイズできる。個人的には全体的にお湯が温いと感じたので設定温度をアップして、湯量も自分好みにカスタマイズした。カスタマイズした設定は保存ができ、次回以降の標準設定にしておけるのでその後は毎回自分好みで楽しめる。

以前、「ネスカフェ ドルチェ グスト オリジナル」も試したが、それに比べると確かにコーヒーの味わいは格上。ただ、現状はカプセルの種類が限られているので、ネオ用のカプセルが今後増えてくれるともっと楽しめそうだ。