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『優れた環境性能だけでなく走りのパフォーマンスも』 フォルクスワーゲン パサート GTE 2016年モデル 松下宏さんのレビュー・評価
パサート GTEの新車
新車価格: 519〜596 万円 2016年6月7日発売〜2019年8月販売終了
中古車価格: 183〜210 万円 (2物件) パサート GTE 2016年モデルの中古車を見る
自動車(本体) > フォルクスワーゲン > パサート GTE 2016年モデル
プロフィール1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者などを経て自動車評論家として独立。クルマそのものより、クルマとクルマに関係する経済的な話題に詳しい評論家を自負するとともに、安全性の追求についても一家言を持つ。クルマ雑誌各誌…続きを読む
2016年7月28日 00:47 [948407-2]
| 満足度 | 3 |
|---|
| エクステリア | 4 |
|---|---|
| インテリア | 4 |
| エンジン性能 | 5 |
| 走行性能 | 4 |
| 乗り心地 | 4 |
| 燃費 | 4 |
| 価格 | 2 |
※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。
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ゴルフに続きパサートにもプラグインハイブリッド車(PHEV)のパサートGTEが設定された。最近はヨーロッパメーカー各社がPHEVを設定するのが目立つ。これはヨーロッパの環境基準でPHEVが有利に扱われるからだ。
パサートGTEには、フォルクスワーゲングループジャパンが袖ヶ浦フォレストレースウェイをベースに開催したメディア関係者向け試乗会に出席し、用意された広報車両に試乗した。パサートGTEヴァリアントにも試乗していて、別に書いているので、そちらも参照して欲しい。
パサートGTEの基本メカニズムはゴルフGTEと共通である。1.4LのTSIエンジンに電気モーターを組み合わせ、6速DSGで走るというものだ。ゴルフとパサートでは車格と車両重量に違いがあるため、これに対応して、微妙に異なるチューニングがなされている。パサートGTEのほうにより高い性能が与えられているのだ。
1.4リッターの直噴ターボ仕様エンジンは110kWから115kWへとパワーアップが図られ、またエンジンと6速DSGの間に組み込まれる電気モーターは型式も違ってパワーが80kWから85kWへと強化されている。
システムとして発生できる動力性能もパサートGTEがゴルフGTEを上回っていて、その結果としてゴルフGTEより140kgも重いパサートGTEがより俊敏な加速を得ている。0-100km/h加速はパサートGTEのほうがコンマ以下の秒差ながら、わずかに速いとのことだ。
その差にどんな意味があるか分からないが、車種ラインナップのヒエラルキーがあるので、上級車には相応の動力性能が与えられるということなのだろう。
運転席に乗り込み、シートベルトを締めた後でスターターボタンを押してシステムを立ち上げても、室内は静かなままだ。ヨーロッパメーカーのPHEVはたいていがEV走行を基本にしていて、リチウムイオン電池の残量があるうちは電気で走ることを優先している。パサートGTEでも立ち上がりはEモードから始まり、最初はエンジンがかからないのだ。穏やかなアクセルワークで走れば、50kmほどの距離をエンジンを使わず電気モーターだけで走れる。
PHEVのEV走行での航続距離は、メーカーや車種によって異なっていて、20km台の走行距離しかないクルマもあれば、30km台から40km台のクルマもあるのだが、フォルクスワーゲンの50kmという数字は比較的長めの設定である。どうせなら電気で走れる距離は長いほど良い。
電池の残量が少なくなったり、あるいは電気の残量がある段階でも強めのアクセルワークをすると、エンジンが始動してハイブリッドモードに切り替わる。エンジンがかかっても騒音やショックなどはほとんど感じられないから、静かで滑らかな走りが継続される。
フォルクスワーゲンとして初採用となったデジタル式のメーターパネルは、走行モードによってタコメーターが表示される。それを見ていないとエンジンの始動と停止が分からないくらいである。
ハイブリッドモードにはバッテリーへの充電を優先させるチャージモードも含まれていて、郊外の自然環境の中など、出かけた先で環境に配慮したEV走行をしたいときなど、チャージモードを使って電池の残量を確保した状態にしておくと良い。
パサートGTEの燃費を良くしたいなら、積極的にコースティング状態に持ち込むことだ。クルージング中などにアクセルペダルから足を離すと、駆動系が切り離されてコーティング(惰性走行)の状態に入る。ハイブリッド走行をしていたなら、エンジンが停止するから燃費が良くなるのだ。
高速道路の下り坂などでは特に使いやすい機能だし、一般道でも前方の信号が黄色になったら早めにアクセルペダルから足を離すと良い。これを上手に使うのがパサートGTEの走り方のコツだ。
ほかの走り方もある。カーブの手前などではパドルを使ってマニュアルモードでシフトダウンして減速し、エネルギーの回生を強めて電池の充電を増やすようにする。そうした上で、カーブの立ち上がるときにアクセルを踏み込んで貯めた電気を使ってPHEVならではの加速を楽しむのだ。このようにいろいろな走り方ができるのがパサートGTEの良い点だ。
白眉となるのはGTEモードだ。センターコンソールのシフトレバーの横に設けられたGTEスイッチを押すと、スポーティな走りのGTEモードに切り替わる。エンジンとモーターの性能をいっぱいに使って走るほか、エンジンのレスポンスが良くなり、6速DSGの変速スケジュールが俊敏なものになり、サスペンションの減衰力が硬めになる。全体にスポーティな志向に切り変わり、走りのフィールが一変する。
パサートGTEはガソリン車に対して電池やモーターの搭載によって260kgもの重量増があるのに、GTEモードでの走りはその重さを全く感じさせない力強いものになる。圧倒的な走りのパフォーマンスが得られるのだ。パサートというクルマの性格を考えたら、それにに似つかわしくないような走りである。
GTEモードばかりを使って走っていたら、燃費は相当に悪いものになるだろうから、そうそうGTEモードを使うわけにはいかないが、時にはそうした走りを楽しむことが可能なクルマであることが大切なのだ。
PHEVには共通の課題がある。ひとつは自宅に充電設備を設ける必要があるため、事実上、戸建て住宅に住む人でないと買えないことだ。もうひとつは高価なリチウムイオン電池を使うことによるコストアップだ。パサートGTEの価格は519万9000円もする。ガソリン車のパサートTSIハイラインに比べると100万円以上も高い価格設定である。充実した装備を備えるアドバンスになるとさらに60万円も高くなる。100万円以上の価格差はガソリン代と電気代の差で取り戻せるようなものではない。
圧倒的な走りのパフォーマンスを持つ環境性能車という存在に魅力を感じる人が選ぶクルマということになる。
- レビュー対象車
- 試乗
参考になった11人(再レビュー後:11人)
2016年7月28日 00:40 [948407-1]
| 満足度 | 3 |
|---|
| エクステリア | 4 |
|---|---|
| インテリア | 4 |
| エンジン性能 | 5 |
| 走行性能 | 4 |
| 乗り心地 | 4 |
| 燃費 | 4 |
| 価格 | 2 |
※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。
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パサートのPHEVはセダンだけでなく、ワゴンボディのパサートGTEヴァリアントの設定もある。パサートGTEヴァリアントには、フォルクスワーゲングループジャパンが袖ヶ浦フォレストレースウェイをベースに開催したメディア関係者向け試乗会に出席し、用意された広報車両に試乗した。なお、セダンのパサートGTEにも試乗していて、別に書いているので、そちらも参照して欲しい。
パサートはゴルフから採用が始まったMQBと呼ぶ独自の開発手法に基づいてクルマ作りが進められ、EVやPHEVなどもラインナップすることを前提にした基本プラットホームを採用する。そのためパサートGTEヴァリアントはリチウムイオン電池をシート床下にうまく収納できている。
これによってラゲッジスペースに悪影響を与えることなく、PHEVを成立させている。これが良いところだ。写真を見ても分かるように、ガソリン車と変わらないラゲッジスペースによって、ステーションワゴンらしい使い勝手を実現している。
セダンと同様、外観デザインは標準車とほとんど変わらない。フロントグリルにブルーのアクセントラインが採用され、バンパーにコの字型のLEDランプが組み込まれていることなどがわずかな相違点だ。フロントグリルとテールゲートに装着されたGTEエンブレムを見ないとPHEVであることが分からないかも知れない。
内装は上級グレードのアドバンスに12.3インチのTFT液晶によるフルデジタルのメーターパネルが採用される。Eモードやハイブリッドモード、GTEモードなど、走行モードによってタコメーターの部分の表示が変わるほか、パネルの中央にカーナビの画面を呼び出すこともできる。それ以外の部分ではガソリン車との違いはわずかである。
パサートGTEヴァリアントの基本メカニズムはゴルフGTEと共通である。1.4LのTSIエンジンに電気モーターを組み合わせ、6速DSGのトランスミッションで走るというものだ。ただ、単純にゴルフのシステムを移植しただけではなく、パサートGTE専用のチューニングがなされていて、動力性能はゴルフGTEを上回っている。上級車であるパサートには、ゴルフを上回る仕様が与えられているわけだ。当然ながら、システムとして発生できる動力性能もパサートGTEヴァリアントがゴルフGTEを上回っている。
走行モードは、電気モーターだけで走るEモードが基本だ。電池の残量があるうちは電気だけで走ってガソリンを消費しないような設定になっている。なので、運転席に乗り込んでシステムを立ち上げても、室内は静かなままだ。穏やかなアクセルワークで走れば、50kmほどの距離をエンジンを使わず電気モーターだけで走れる。毎日の通勤だけなら、ほとんどガソリンを使わないのではないか。
長距離を走るときなどは、実際にはEモードよりもハイブリッドモードのほうを多く使うかも知れない。電池の残量が少なくなるか、強めにアクセルペダルを踏み込むかすると、エンジンが始動してハイブリッドモードに切り替わる。エンジンがかかっても騒音やショックなどはほとんど感じられないから、静かで滑らかな走りが継続される。
ハイブリッドモードやGTEモードでは、走行条件に応じてメーターパネルにタコメーターが表示されるが、走行中にエンジンが稼働しているか停止しているかは、タコメーターの表示を見ていないと分からないくらいだ。
ハイブリッドモードにはバッテリーへの充電を優先させるチャージモードも含まれていて、郊外の自然環境の中に出かけるときなど、出かけた先で環境に配慮したEV走行をしたいなら、郊外に至るるでの間にチャージモードを使って電池を残した状態にしておくと良い。
パサートGTEヴァリアントの特徴はGTEモードだ。センターコンソールに設けられたGTEスイッチを押すと、スポーティな走りのGTEモードに切り替わる。エンジンとモーターの性能をフルに引き出して走るほか、エンジンのレスポンス、6速DSGの変速スケジュール、サスペンションの減衰力などがいずれもスポーツ志向に切り換えられ、走りのフィールが一変するのだ。
パサートGTEヴァリアントは車両重量が重い。電池やモーターの搭載によってガソリン車に対して260kgも重くなっているのだ。でもGTEモードでの走りはその重量増を全く感じさせない力強いものだ。圧倒的な走りのパフォーマンスであり、パサートヴァリアントというクルマの性格を考えたら、それにに似つかわしくないような走りである。
たいくつなハイブリッド車ではなく、スポーティな走りのパフォーマンスも備えた環境性能車であることがパサートGTEヴァリアントの特徴で、ヴァリアントではさらにステーションワゴンとしての使い勝手が加わる。
パサートGTEヴァリアントは、フォルクスワーゲンのフラッグシップモデルとも言うべき存在であり、充実した安全装備を備えるのも大きな特徴である。歩行者検知機能付きのプリクラッシュブレーキ、全車速追従式のアダプティブ・クルーズコントロール、レーンキープアシスト、レーンチェンジアシスト、渋滞とき追従支援システム、リヤトラフィックアラートなど、最新の仕様が満載されている。
これらの予防安全装備だけでなく、衝突安全に対応したボディや装備、さらに二次衝突を防止するポストコリジョンブレーキシステムに至るまで、さまざまな装備や仕様が標準だ。
そのためもあってパサートGTEヴァリアントの価格はかなり高めだ。標準車でも539万9000円、上級グレードのアドパンスは599万9000円である。標準車はハイラインに比べるとざっと100万円ほど高いから、燃費と電費の差で取り戻せる金額ではない。
Eモード、ハイブリッドモード、GTEモードという3種類の走りを持ち、環境性能とパフォーマンスを合わせ持つクルマに魅力を感じるユーザーが選ぶクルマである。
- レビュー対象車
- 試乗
参考になった0人
「パサート GTE 2016年モデル」の新着レビュー
| レビュータイトル | 満足度 | 投稿日時 |
|---|---|---|
| 2016年7月28日 00:47 | ||
| 2016年7月19日 15:09 |
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