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『プラグインハイブリッドの良さはあるが価格は高すぎる』 アウディ A3 スポーツバック e-tron 2015年モデル 松下宏さんのレビュー・評価
A3 スポーツバック e-tronの新車
新車価格: 564 万円 2015年11月12日発売〜2018年6月販売終了

自動車(本体) > アウディ > A3 スポーツバック e-tron 2015年モデル > ベースグレード
プロフィール1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者などを経て自動車評論家として独立。クルマそのものより、クルマとクルマに関係する経済的な話題に詳しい評論家を自負するとともに、安全性の追求についても一家言を持つ。クルマ雑誌各誌…続きを読む
2016年5月12日 17:54 [929918-1]
満足度 | 3 |
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エクステリア | 3 |
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インテリア | 3 |
エンジン性能 | 4 |
走行性能 | 4 |
乗り心地 | 3 |
燃費 | 5 |
価格 | 1 |
※プロフェッショナルレビューは「投票平均」(「満足度」含む)および「カテゴリ平均」の集計には含まれません。
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アウディA3スポーツバックe-tron(A3eトロン)は、ゴルフGTEと姉妹車を成すプラグインハイブリッド(PHEV)車だ。共通のプラットホームを使うほか、1.4LのTFSI(直噴ターボ)仕様エンジンと電気モーターを組み合わせて搭載し、6速Sトロニック(DSG)を採用するなど、基本メカニズムはすべて共通である。
A3eトロンはプレミアムブランドのアウディ製のクルマであることから、内装を中心に上級の仕様が用意されている。といってもコンパクトクラスのクルマであるだけに、質感の違いはそれほど大きなものではない。
A3eトロンのパッケージングはA3と変わらない。MQBの基本プラットホームがハイブリッドやPHEVやEVを作ることを前提に開発されているからだ。リチウムイオン電池を後席のシート下に搭載し、燃料タンクをラゲッジスペーススペース下に配置することで、居住性や積載性に影響を与えることなく、標準のガソリン車と変わらないパッケージングを実現した。
外観デザインの見た目もA3とほとんど同じだ。eトロンのエンブレムや専用のラジエターグリルグリルなどが採用されているものの、ひと目でPHEVと分かる感じではない。室内もハイブリッド用の専用メーターが採用される程度である。ゴルフGTEが専用の仕様によって標準車と明確に差別化しているのに比べると、違いはかなり抑制的な印象だ。
搭載される直列4気筒1.4LのTFSIエンジンは、110ps/250N・mの動力性能を発生する。これに80kW/330N・mを発生する電気モーターが6速Sトロニックに内蔵される形で組み合わされる。システム出力は単純な足し算ではなく150kW/350N・mにとどまるが、それでも十分すぎる実力である。
駆動用のバッテリーは8.7kWhのリチウムイオン電池を搭載し、外部からの充電によって電気モーターだけで最大で53.1kmの走行を可能としている。実質的には6掛けの30kmくらいを電気だけで走れると考えたら良い。またヨーロッパ車のプラグインハイブリッドらしく、最高では130km/hまでをモーターだけで走れるという。都市間移動でアウトバーンを走るときにもEV走行が可能というわけだが、この車速で走ったらEVモードでの航続距離はグンと少なくなるだろう。
充電は家庭での200Vの普通充電が基本で、3時間で満充電できる。電源が100Vだと9時間で満充電になる。チャデモの急速充電には対応していない。自宅で充電して走るのが基本だ。
走行モードはモーターだけで走行するEVモードのほか、3種類のハイブリッドモードがある。ハイブリッドオートは一般的なハイブリッド走行でエンジンとモーターを状況に応じてうまく使い分けて走る。ハイブリッドホールドは充電量を維持するためにエンジンを始動させた状態で走り、ハイブリッドチャージになると積極的にエンジンを回してバッテリーに充電しながら走る。モードの選択はインパネ上のボタンを押すだけだ。
電池に十分な電気が残っている状態で市街地などを走っていると、基本的にEVモードでの走行になる。急なアクセル操作など、いじわるテスト的な使い方をしないと、エンジンは始動しない。モーターだけでも走りは相当に元気が良いものだし、瞬時に最大トルクを発生するモーターの特性から、発進加速に優れているのも良い点だ。
走行中にEVモードからハイブリッドモードに切り替わってエンジンがかかるときも、とてもスムーズで注意していないと始動したのが分からないくらいである。エンジンとモーターの仕事の受け渡しをとても上手にやっているのがA3eトロンなのだ。
エンジンがかかっているときにはそれなりにエンジン音も聞こえるが、EVモードのみならず全体としてとても静かな走りを実現している。最も大きく聞こえるのはロードノイズだが、これはエンジン音など、ほかの音が静かであるためだ。
A3eトロンの価格は564万円と相当に高い。試乗車にはSラインパッケージなど、いろいろなオプションが装着されていて、車両価格は639万円になっていた。現状ではリチウムイオン電池が高い上にモーターも必要なので、PHEVはなかなか安くならない。A3のガソリン車の価格は1.4TFSIが328万円だから236万円も高いのだ。
A3eトロンは、日常的な通勤などに使っている分には安い電気を充電するだけで高いガソリンをほとんど使わなくてもすむ。なので、買った後の維持費は相当に安上がりになるだろう。でも、200万円を超えるような価格差はガソリン代と電気代の差では永遠に取り戻すことができない。
また姉妹車のゴルフGTEの価格は499万円で、これに対して65万円高の設定である。プレミアムブランドとはいえ、何とも大きめの価格差であるように思う。
- レビュー対象車
- 試乗
参考になった12人
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レビュータイトル | 満足度 | 投稿日時 |
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2016年12月29日 10:25 |
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