スズキ スイフトスポーツ 2011年モデルレビュー・評価

17インチのアルミホイールを標準装備	サイドシルとルーフエンドにスポイラーを装着	ステアリングとシフトブーツの赤いステッチが目立つ
サポート性と快適性を両立した前席	後席中央にも3点式ベルトとヘッドレストを用意	パワー・トルクともにアップした1.6Lエンジン

新型スイフトスポーツはモノグレードで、5速から6速にバージョンアップしたMTと、旧型の4速ATに代えて投入されたCVTがあります。今回はMTの広報車を借りました。

ベースとなったスイフトが、キープコンセプトのモデルチェンジだったので、エクステリアから受ける印象は旧型とさほど変わりません。逆に言えば、旧型オーナーがガッカリすることはないでしょう。ただしインテリアは以前とは雰囲気がかなり異なります。

赤いステッチを入れた本革巻きステアリングやスポーツシートで、それらしい演出を施しているのですが、クオリティが大幅に向上した造形に合わせて、大人っぽい仕立てが施されており、スポーツモデルでありながら落ち着いているという、ヨーロッパのライバルを彷彿とさせる空間になっていました。

スポーツシートも旧型より落ち着いたデザインで、スポーツドライビングに対応できるサポート性能を持ちながら、座り心地も満足できました。後席や荷室のスペースはベースのスイフトと同等で、クラス相応の実用性を備えています。

エンジンは旧型と同じ1.6Lですが、可変吸気システムの追加などにより、最高出力は136ps、最大トルクは16.3kgmと、1.1ps／1.2kgmのアップをものにしています。1050kgの車両重量は旧型とほぼ同じなので、加速は俊敏そのもの。それ以上にうれしいのは、回転を上げるほど勢いづく吹け上がりと、心地よいサウンドです。

シフトフィールは確実で、ストロークは短く、6速になったことで各段のつながりも良くなりました。回して楽しいこのエンジンを味わい尽くすなら、やっぱりMTを選ぶべきだと思いました。

乗り心地は低速ではやや固さを感じるものの、50km／hも出せば気にならなくなります。街中を流していても分かるほどボディ剛性が高く、サスペンションはしっとりストロークし、路面からのショックを吸収してくれることが分かるのです。この点もヨーロッパのスポーツモデルを思わせます。

ステアリングの感触がカチッとしていて、ノーズの動きがクイックなところも好感が持てます。しっかりしたボディとよく動くサスペンションのおかげで、グリップは前後ともに高度で安定しており、唐突に滑ることはありませんでした。おまけにステアリングやシートを通してその状況がしっかり伝わってきます。3890×1695×1510mmというコンパクトな車体も山道では味方になります。

ただ走りの楽しさを追求しただけでなく、大人が満足できる質の高い走りを目指したことが、さまざまな部分から伝わってきました。これで価格は168万円というのはバーゲンプライスです。いいクルマを安く作るスズキの技術にあらためて驚かされました。