『期待以上の走りが味わえるFスポーツ』 レクサス RX 2009年モデル 森口将之さんのレビュー・評価

写真はRX270バージョンL	ホイールはFスポーツが19、それ以外は18インチ	ステアリングはウッドとレザーのコンビ
バージョンLはセミアニリン本革シート	荷室のフロアは最近のSUVではやや高め	2.7L4気筒でも加速に不満はない

4月にマイナーチェンジを受けたレクサスのSUV、RXのうち、2年前に追加されていた4気筒エンジン2WDのエントリーモデルRX270のバージョンLと、V6エンジンのRX350に新たに追加されたFスポーツ4WDに、静岡県御殿場市で行われた試乗会で乗りました。

エクステリアデザインは、レクサスの新しい顔、スピンドルグリルの導入によって、キリッと引き締まりました。天地の長いSUVのフロントマスクに緊張感を与えるのに絶妙な造形で、このRXのためにデザインされたグリルではないかと思うほど似合っています。多くの人が、間延び感があった旧型のそれより好感を持つのではないでしょうか。

インテリアデザインは、ナビのインターフェイスやコントローラーのアップデートが特徴です。フロアやシートは、最新の欧州製ライバルと比べると高めという印象です。前席はサイズが大きく包み込まれるような座り心地で、スライドとリクライニングが可能な後席を含めて、レクサスらしいおもてなし感が得られました。

パワートレインはRX270、RX350ともに従来どおりです。RX270は一般的な4気筒エンジンという感触だったものの、RX350のV6は伸びやかな吹け上がりや心地よいサウンドが印象的で、欧州のプレミアムブランドに負けていないと思います。ただGSのガソリン車もそうですが、ハイブリッド仕様以外にもアイドリングストップを入れ、環境・燃費性能の引き上げを望みたいとも思いました。

乗り心地はFスポーツに好感を持ちました。固めながら段差をうまくいなし、姿勢がフラットに抑えられるので、無駄な揺れがなく快適に感じるのです。このフィーリングはISやGSなど他の車種のFスポーツと似ていて、スポーツブランドとしての統一性も感じることができました。

しかもコーナーではステアリング操作に対してボディが自然に反応し、山道を楽しめるクルマに仕上がっています。こちらも他のFスポーツと同一線上にあるという印象を受けました。一方のRX270にはFスポーツの設定はありませんが、こちらは軽いエンジンを積むおかげで、軽快な身のこなしが堪能できました。

RXシリーズそのものは、欧州のプレミアムブランドが送り出すSUVの多くがスポーツ性を高めている中ではラグジュアリー志向という方向性ですが、今回乗ったFスポーツや4気筒モデルであれば、走りを楽しむドライバーでも満足できるのではないでしょうか。