『ジムニーという固有の乗り物』 スズキ ジムニーシエラ 2002年モデル おハムさんのレビュー・評価

【エクステリア】
ランドベンチャーは単色なので２トーンのベースグレードを選択。
納車まで実物を見る機会がありませんでしたが、思っていた以上に立派です。

【インテリア】
こちらはカタログで見ていたのでほぼ想像通り。
ただメーターパネル内の３種のデジタル数字が接近しており読み取りづらい。
時計・オド・トリップが並んでいますが、できれば時計は外に出して欲しい。

【エンジン性能】
速いとは思っていなかったので、こんなもんです。
もうちょっと全域にトルクが欲しい。
ギヤ比、高め。

【走行性能】
真っすぐ走りません（後述）。

【乗り心地】
想像通り舗装路では悪いです。

【燃費】
長距離で13キロ、日常ユースで11キロ。
これもほぼ想定通り（いい意味で裏切って欲しかった）

【価格】
ろくに売れもしないのに良心的価格。
軽で金型代を償却してくれて助かります。

【総評】
かつてランクルに乗っておりました。
悪名高い排ガス規制で手放さざるを得なくなり、その後は２輪で過ごしてきましたが、寄る年波に勝てず４輪を買い足しました。
他に比較する車は無く、販売店にも競合相手無し、と足元を見られ値引きもシブかった（笑）。
立ちゴケせず風雨に強いバイクと思い、家族も乗りませんのでシングルシーター同様です。
30年前の類似の車から、どのように変わったかも興味の対象でした。
結果。
いい意味で「変わっていないじゃん。」
（もっとも現行モデルもフルチェンジしたのは相当前なんですよね）

一番印象的なのは、相変わらず直進安定性が低いこと。
常にステアリングを修正し続けなければ真っすぐにさえ走りません。
うまく表現できないんですが、ニュートラルでの遊びが大きいイメージ。
で、H4にシフトするとこの挙動がきれいに解消し、矢のように直進します（今度は曲がれませんが笑）。
ランクルも同様でしたが、この類（パートタイムOFF４駆）の車は常時４駆で走るのが本来の性能を発揮するんでしょう。
騒音だの振動だの燃費だの、とフロントへの駆動を止められて足かせ（前輪かせ？）されているので可哀そうという気にもなります。
シチュエーションを変え、山岳地帯の未舗装林道などへ乗り込めば、車体の大きさを含め、これ以上の車はこの世に存在しないでしょう。
オフロードに入ると普段に感じる欠点が消えうせます（燃費以外）。
今は環境への配慮も必要で、このようなシチュエーションも少なくなりましたね。

以下はまとめ（私の私見です）。
○短所
・コイルのくせして回転半径が大きめ
・減速、停止時に屋根の水滴がきりなくフロントガラスに垂れ続け
・エンジンのかかりが悪い（クランキングが長い）
・車載工具が貧弱（今はこんなもの？）
・1300のくせにパワー不足（軽の倍の排気量だけど…）
○改善して欲しい箇所
・運転席のシートがあと5センチバックすると助かる（身長180）
・間欠ワイパーを可変速にして欲しい
・後席（荷室）に電源ソケット希望（opで可）
・ステアリングをチルトに
・ドアに引手が欲しい（アームレストの溝は使いづらい）
・デフロックのオプションを
・後席の窓がランクルのようにヒンジで開くようにして欲しい（固定はイヤ）
・一応オフ４駆なんだから、ウレタンバンパーは止めてくれない？？？
○長所
・寒冷地仕様は無いが寒さ対策はほぼ標準（シートヒーターには驚き）
・軽自動車のイメージで乗ると思いのほか車内が広く感じる（感じるだけで実際は狭いはずだけど…）
・ゲート式のシフトは使いやすい
・13Ｂディーゼルからの乗り換えでタコの6500回転の目盛りに興奮！（表示だけネ(^^;
・乗ればわかる視界の広さ（ガラスの曲率が少ないのも吉）
・軽同様のコンパクトボディ（ドアを開けて着座したまま後輪の泥を手で落とせます）

今は滅亡寸前の古典的なオフ４駆です。
30年前のランクルからの進化はABSが付いたことくらい。
決してファミリーカーで使おうなどと思わないように。
夫婦、親子、恋人同士の和を壊します（笑）。
豪雪地帯で雪が降り始めると、どこからともなくジムニーが湧いて出てくる、という表現には笑いました。
普通の尺度で測るのではなく「ジムニー」という固有の乗り物と思ったほうが賢明と思います。
でも、やはりシエラは乗用車ですね。
王道は軽だと思います。
スパルタンな幌車が懐かしいです。

欲しい方はぜひ手に入れてください。
決して期待を裏切りません。
迷っている方は、普通に乗用車のフルタイム４駆をお選びください（後悔しそう）。
表現が適切で無いかもですが、健全な大人のオモチャだと思います。
再来年あたりと噂されるフルモデルチェンジではどうなるんですかね〜。