トヨタ カローラ クロスレビュー・評価

先日、大人４人で遠出をして運転もしたのでインプレッションを記します。

結論から云うと居住性や使い勝手、操縦安定性からするとベストセラーカローラである万人向けなカジュアルカーであると思う。

車はZグレードのE-Fourだったが平坦な道では後輪からの力を感じるが、後輪モーターの出力が7.2psのため雪道では停止後の発進に不安を感じる。
エンジンも一世代前なので登坂路では力不足が否めない。マイナーチェンジに期待かな？

また、静粛性や段差の継ぎ目の突き上げは値段相当の作りでしたね。

しかし、室内は大人４人が移動できる空間、荷室は満足でき、後席のセンターアームレストも水平位置で保持されて肘掛けとしても使える。
燃費も20km/l強と大衆車としては合格点です。
ただ、ラゲッジアンダーの収納が無いのは残念ポイントでした。

ハリアーより取り回しがよく、ヤリス クロスやC-HRより広さを求めるなら買いかな。

【エクステリア】
国内仕様向けにブラッシュアップされたフェイスは
キュッとした鼻にガバッと開いた口で
いかにもトヨタ顔と言う感じのフォルム。

サイドビューのシルエット自体は良いが
グリル周りの銀？のリムが少し大味で安っぽい感じと
リアの一昔前のデザイン感がするのが残念。

ライズのような洗練されたデザインではなく
RAV4のような力強いギア感もなく
角張ったフェンダーと比較的起こしたCピラーのせいか
CXシリーズやハリアーのような都会的な表情にも疎く
少しまとまりのない中途半端なスタイルという印象。

オフローダーSUVにしたかったのか
都市型SUVにしたかったのか...

【インテリア】
トヨタ車の内装が基本的に残念なのはご愛嬌ですが、
ヴェゼル対抗でコストカットを目指した結果なのか、
またはそもそも東南アジア諸国向けで重要視されていなかったのか、
質感は同価格帯の他社SUVと比較すると明らかに1-2グレードほどダウンする印象に。

急にシートがスポーティなのも
カローラクロスのキャラクターがブレて個人的には印象マイナスかなと感じます。

サテンメッキで過食されたドアハンドルと吹き出し口が
直線的なデザインでRAV4っぽい力強さを演出しているのに対し、
流線的なシフトノブ周りやダッシュボードに施された繊細なステッチが
どうしようもないほど喧嘩していて
エクステリア同様デザインのまとまりの悪さを感じます。

パノラマルーフは透過面が大きく非常に明るいのが印象です。
おそらくこれがカローラクロスの一番のスペシャリティだと思うのですが
カタログを見る限りなにか特別良いガラスが使われているわけではないのがもったいない。
走行時は特別日差しが強かったわけではないけれどもしかするとこれは...？


【エンジン性能・走行性能・乗り心地】
非常に静かで街乗りの日常使いにはとてもいいです。
スプリット式のハイブリッドシステムだからか
ヴェゼルのような普段静粛なのにエンジンが騒ぎ出すと気になるというギャップが存在せず
安定しているというのがとても印象的です。
ただまあトヨタのHVはみんなこうなので特別感はないです。

カローラスポーツでさえ大概パワー不足なのに
それよりも重く風洞も悪そうなボディに同じパワートレインなので
当たり前といえば当たり前ですがパワー不足は感じます。

キャディバッグを4つ積めるというのもセールスにしているディーラーもいますが
キャディバッグ4つ積んでおっさん4つ積んで
果たしてゴルフ場までの道のりを快適に走破できるのかというと疑問です。


【燃費】
燃費についてはさすがのTHSと言わざるを得ないもので
このボディサイズのSUVをWLTC26？で動かすのは
他社では絶対に不可能なレベルです。

これは個人的な印象でしかないですが、
THSは他のシリーズ式パラレル式のHVシステムよりも
WLTCモードの値と実燃費の値が乖離しにくい印象があります。
そのため実燃費ではカタログスペック以上に
他車にアドバンテージを得られるのではないでしょうか？

ただ排気量がちょっぴり大きいので維持費というスケールで見ると
その燃費がキックスやヴェゼルより維持費を安くできるかというと
年間走行距離によるので購入の際は検討する必要がありそうです。


【価格】
コストカットを重ねた結果随所にケチり感は感じてしまいますが
そのへんを気にしない、あるいはみないようにすれば
大変なコスパの車となっています。

見積もりも出していただきましたが特別交渉せず値引きも13提示され、
交渉やDOP次第では15-30も行けそうな雰囲気です。

プジョー2008、VWT-cross、ヴェゼル、CX-30、キッｋ...？、など
同価格帯の競合となりうる車が決してコスパがいいわけではない市場に
ただでさえコスパがよく値引きもいいカローラクロスのインパクトは大きいと思います。


【総評】
パワー不足以外は目を瞑れるギリギリのコストカットで
高いコスパを実現したいい車です。

最も強力な競合となりうるであろうヴェゼルに対して
後出しジャンケンのアドバンテージを最大限に発揮し、
ヴェゼルシバきに特化した販売戦略は
さすがラインナップの豊富なトヨタならではという印象です。

ただそのせいかどこを切り取ってみても
プレミアムな一面のない車となってしまっていて
プジョー2008、VWT-cross、ヴェゼル、CX-30など
いずれのオーナーも持っているであろう
「自分にとって最高な車を手に入れたぞ！」という
所有欲が満たせない（満たせないだろう）というところが
個人的には残念です。

安い車ならコスパがいいだけでニッコリですが
300万を超えてくるとなると「自分のお気に入り」になるために

例えばパノラマルーフをヴェゼルのように高機能ガラスにするだとか
デザインをRAV4的に寄せてオフローダー的な力強さを出していくとか
（このクラスのオフロード系SUVは実質空白地帯）
誰にも負けないわかりやすい個性が一つ欲しいところです。