メルセデス・ベンツ Sクラス クーペ 2014年モデルレビュー・評価

メルセデス・ベンツは従来はCLクラスと呼んでいた高級クーペをフルモデルチェンジし、改めてSクラスクーペと呼ぶようになった。この名前が復活するのは18年振りだ。

Sクラスクーペにはメルセデス・ベンツ日本が幕張ニューオータニをベースに開催した試乗会に出席し、用意された広報車両に試乗した。試乗したのは最上級グレードとなるS65AMGクーペで、正にメルセデス・ベンツの高級ラグジュアリークーペを体現したモデルだ。

外観デザインはフロントグリルの大きなスリーポインテッドスターがメルセデス・ベンツであることを強く主張する。ヘッドライトにはスワロフスキーのクリスタルが使われるほか、フロント回りの雰囲気はラグジュアリーというよりもスポーティな迫力を感じさせる。全体的には大柄なボディが伸び伸びとしたクーペデザインにつながった印象だ。

運転席に乗り込むと、いかにも豪華なインテリアに包まれる。上質な本革シートや木目パネル、さらには大型の液晶画面など、見るからにラグジュアリーかつ高級感のある仕様が用意されている。手に触れる部分にはソフトパッドが使われ、大きなサイズのシートが乗員包み込んでくれる。

搭載エンジンはV型12気筒6000ccエンジンにツインターボを装着した仕様で、463kW/1000N・mの圧倒的な動力性能を発生する。当然ながらこの性能をフルに引き出すようなシーンには日本の道路交通環境の中にはないが、低速域での走りにも余裕十分実力が感じられる。

エンジンを始動させると軽く空吹かしが入り、さあ運転するぞという気分にさせる。走り出すと低回転域から十分なトルクを発生するほか、スムーズそのものといった感じの吹き上がりに合わせ、豪快なパワーが盛り上がっていく感じは、ほかの車種ではなかなか得られないものだ。

パドル操作するなどして積極的に7Gトロニックのギアをチェンジをすると、減速時にはブリッピングが入って回転数を合わせてくれる。またアイドリングストップ機構も備えられ、再始動時の振動や騒音も良く抑えられている。

特筆すべきは乗り心地だ。連続可変ダンパーとエアサスペンションを電子制御することで、フラットかつ快適な乗り心地を実現する。さらに路面の凹凸に合わせてボディの動きを抑えるマジックボディコントロールやコーナーに合わせてボディを傾けにダイナミックカーブ機能などによって、高い安定性と快適な乗り心地が両立されている。

またコーナーでドライビングダイナミックシートが横Gに合わせてサイドサポートを盛り上げ、安定した姿勢での運転を支えてくれる。

試乗車の価格は3120万円で、試乗車にはオプションのハイエンドオーディオが装着されて約3180万円の仕様になっていた。普通の人にはとても手が届かないクルマだが、素晴らしいラグジュアリークーペであることも事実である。