『最高にファンなゴキゲンスポーツカー』 アルファロメオ 4C 2014年モデル 外川 信太郎さんのレビュー・評価

小さなスーパーカーの趣の佇まい。	全長3990mm、全高1185mmと極めて低いエクステリア。	スポーツカーらしい丸形のテールランプを採用している。
235/40R18タイヤを履く。ブレーキはブレンボ製。	1.7L直列4気筒 DOHC 16バルブ インタークーラー付ターボ	官能的なサウンドを奏でるエキゾーストエンド。

今年で105年目を迎えるアルファ ロメオ。本来はレーシングカー・メーカーであり高級スポーツカー・メーカーでした。

昨今では、魅力的なクルマをラインナップに揃えますが、4Cは往年の同社を彷彿とさせるクルマで、徹底した設計プロジェクトのもと製造されたピュアスポーツカーです。
メーカーの広報車両を借用し、短時間ではありますが、試乗してきました。

カーボン・モノコックとアルミ製サブフレームからなる骨格の中央にマウントされるエンジンは、“1750”という歴史的なコードネームで呼ばれる1742ccの直列4気筒 直噴ターボを搭載しています。このエンジンは、もともと同社に存在していましたが、アルミブロックなど素材の変更でエンジンそのものを22キロの軽量化。なんと車体重量は本国使用では895kg、アクセサリーがてんこ盛りの日本仕様でも1000kg少々と超軽量化を実現しています。

エンジンを始動させると、1.7Lとは思えない咆哮で、まさにその音は身震いをするほど官能的。6速のデュアルクラッチ・トランスミッションである“アルファTCT”を1速にシフトしてアクセルを踏むと、背中から弾かれたように強烈なダッシュ。私の体感では、その加速はポルシェ911を凌ぐほど。最高出力240ps/最大トルク35.７kgｍにすぎないパワーですが、軽量化の恩恵で、数百馬力のクルマのようなパワーを味わえます。

コーナーでは泣きたくなるほど。ドライバーとクルマの運動神経が直結され、思った通りのラインでタイトベントを駆け抜ける。まさに、路面に張り付いたままのオンザレールで、クルマの限界が公道では見えてこないほどです。
コーナーから立ち上がる際のエキゾーストノートもイタリアンスーパーカーのそれ。気が付けば、ドライバーは無言になり、ドライヴィングに専念している。


実にスパイシーでセクシーな4C。0-100km/h加速は、4.5秒と同社最速。それでいて、省燃費性にも優れるスーパースポーツカー。

最近一週間ほど乗っていた「86」と比べてしまいますが、この4Cと比べるとあくまでスポーティカーであり、スポーツカーとしては、詰めが甘い箇所が目立ちます。

日本の自動車メーカーも4Cのような快楽マシーンを造って欲しいものです。