アルピーヌの新車情報・自動車カタログ

ベースグレードからGTに乗り換えたので再レビュー、と言ってもデザインとシート以外は正直ほとんど変わりません。トルク差が小さいからか体感的には据え置きで、上位モデルというよりは仕様違いという印象です。 とにかく軽い、ステアリングも軽い、サイズも小さめで動かしやすい。ということでちょい乗りでもバンバン使っています。気軽さと高性能という相反する要素を兼ね備えるのがこの車の最大の長所ですね。 走りも見た目もエンジンのポポポポという音も個性的で好き。最初は気になったターボのヒュイーンって音も最近は楽しくなってきました。回転半径5.8mはそのへんのSUVよりワイドでＵターンは大変ですが、その分ペダルのオフセット(内側寄り)はケイマンよりマシです。 最初から手を出すにはマイナーな車かもしれないけど、いろんな車を経験した後だとこの個性がユニークでとても面白く感じます。実際、ポルシェからA110に乗り換える人が結構いるそうで、私もその1人。 燃費がリッター10くらいとケイマンより若干悪くて満タンから400kmそこそこしか走れないのと、エンジン停止後に結構長い時間ファンが回り続けるのは多少気になります。冷却はあんまり余裕なさそうですが今のところトラブルはありません。 それと足の動きは及第点なんだけど段差の突き上げが気になる。というか軽い車にありがちな上下にも軽く動いてしまうのが、ステアリングの軽さもあって安っぽく感じます。内圧下げてもあまり変わらず。価格を考えてもここは可変サスが欲しかったな。 当初ダメだと思った下向き固定のエアコン送風口は、その前に二つ折りの鞄を置いてセルフ調整できました。でも今度はブレーキ鳴きがキツイという別の問題が発生。リアに熱が入って鳴き出すとずっと鳴きます。ちょい踏みが原因かもしれないけど過去に経験がないレベルでうるさい。 とはいえネガティブな点はそれくらいです。毎回グローブボックスまで手を伸ばしてカードキーを差して始動するのにも慣れたし、半値以下のルノー車とモニターやエアコンが一緒なのも慣れたら気になりません。 横滑り防止機能の切り替えスイッチがあるのに使えなくなっていたり、ローンチがMT発進だけなのはなんで？と思うけど別に支障はないです。ワイヤレス(Wi-Fi)でCarPlay使えるようになったのは私的には便利で助かってます。 それと車自体の問題ではありませんが、販売網の未熟さは隠れたリスクかもしれません。ディーラーに配車する前のチェックが一部甘かったり、内圧を使い分けたことがない、ボディパネルのチリ合わせができない、相場がわからずリセールが不安定、といったものは実際にありました。 この辺は長い実績があり体制も整っているメーカー系の方が上。ポルシェディーラーは買うのも直すのも高いけど中身が伴っていて車の扱いも丁寧です。大衆車を売ってきたお店と、高性能なスポーツカーを専売してきたお店では対応に差があって当然でしょう。 ただ、このA110はケイマンと比較検討されるスペックの車ですから、ディーラーやそれをサポートするメーカーにも相応の意識が必要になる。正直まだ発展途上です。そういう意味でもいろんな車、いろんなディーラーを経験した人向けの車かもしれません。 そんな経験をしつつも担当者がとても誠実な方なので私は全く不満ありません。むしろテストドライブ的に不具合や細かい使用感などを共有したりしてお互い楽しんでいます。自分が望んだ普段乗りとスポーツ走行の一台二役が実現して大満足です。

試乗レビュー まずはハンドリング、非常に良い。同時期にロータスエキシージSにも試乗したがこちらA110Sのほうが上。ついでに言えばポルシェケイマンよりもこちらが「はるかに」上。車重と重心とサスペンションの優位性を如実に感じる。ただし（MR全体に言える事かも知れないが）基本設計上の前後重量バランスが後ろ寄り（43:57）なのでリアの落ち着きは薄い。 ブレーキに関してはかなり良いんだけどABS制御の緻密さはポルシェに負ける。 あと、インテリアの質感は1,000万の車なのにチープ。メーター上部のカーボン柄の日よけはグラグラ動くしセンターコンソールも丸ごと動く。 エンジンに関しては1.8Lのターボとは思えないようなしっかりしたパワー。ブーストいくらかかっているのか？と思うほどで耐久性が心配になる。同時にもう少しだけ大きいターボエンジン（2.0Lもしくは2.2L）を新設計したら余裕やさらなるパワーが期待できるのにと残念な印象。メガーヌのエンジンを流用したかったのだろうがそこでコストをケチった代償は大きい。

【エクステリア】 ケイマンにも負けないほどスタイリッシュなフレンチ製クーペ。 初代アルピーヌを踏襲したデザインも素晴らしい。 プレスラインなどの造形もよく、テールライトとボディの相性もばっちり。 【インテリア】 今回試乗したSはフルバケット仕様で、リクライニング機構はなしで前後スライドのみ。 MRスポーツカー故に室内の収納は大変少なく、トランクもミニマム。 しかしながら天井もアルカンターラであったり、各所にマット系のカーボンやステッチなどが施されており高級感もしっかり備わっています。 ボタン式のギアは戸惑う事も多いですが、スーパーカー然としていて雰囲気も抜群。 テレビなどはなく、ディスプレイも走ることに特化した内容になってはいるがA110のキャラクターを考えるとそれで良いと思ってしまう。 【エンジン性能】 1.8リッターとは思えないほど加速性能も高く、ターボラグも感じにくい。 音が聞こえるように拘った造りがしてあるのもあるが、エンジン音も本格的。 【走行性能】 とにかく俊敏。特にコーナリング性能はポルシェも凌駕する可能性がある。 ブレーキの効きはドイツ車に比べると弱めではあるものの、軽量なボディが如何なる速度でもボディを曲げてくれるのでスリリングながらも楽しさも満載。 【乗り心地】 フルバケットで硬めの足なので、快適とは言い難く路面の情報もダイレクトに拾いやすいが意外と姿勢は保ちやすく自然と体には馴染んでくると思います。 【燃費】 試乗なので無評価ですが、この楽しさでWLTC12.8km/Lなら全然アリだと思う。 【価格】 安くはないが、見えないところにも相当金はかかっていると思うので不適切な価格であるとも思わない。 【総評】 扱いやすいサイズでワインディングも高速も、普段の街乗りも刺激的に楽しくなるスポーツカーだと思いました。 部分的にはポルシェを凌駕しているところもある気がします。 見た目のカッコ良さもあってオーナーさんはきっと満足される一台だと思います。 ディーラーの方曰くポルシェキラーだそうですが、それも納得です。