J-POPの“再定義”、大きな世界で鳴るべき音楽の誕生 シーンの新星・redrawが「Karma」で描き切った人間の姿

redraw、J-POPの“再定義”と新曲「Karma」

 「地球の反対側からJ-POPを再定義する」――ソングライティングはもちろんMVやデザインのディレクションまでを行うクリエイター・droと、歌い手として活動してきた過去を持つシンガー・Ruiによるユニット、redrawは、そんなコンセプトを掲げて活動している。「地球の反対側」というのは文字通りの意味で、彼らはdroが暮らすアメリカとRuiがいる日本をインターネットでつなぎながら、言語や時差の壁も超えて楽曲制作を続けてきたのだ。最初の楽曲である「二人のミント」を発表してからおよそ2年、生み出されてきた曲はジャンルも手触りもさまざま。しかし、DIYをベースにしながら、プロフェッショナルのミュージシャンやミキシングエンジニアとともに作り上げられたサウンドは、どれもより大きなスケールで鳴り響くことを望んでいるように思える。

 その最初のきっかけとなるのが、ドラマ『マイ・フィクション』(ABCテレビ/テレビ朝日系)のオープニング曲として書き下ろされた「Karma」だ。ロックにオーケストラを掛け合わせたスケールの大きなサウンドがドラマを彩る時、より多くの人がこのユニットの存在に気づき、彼らを取り巻く景色は変わるはず。期待したい。(小川智宏)

驚異的な制作スピード――エッセイや小説から音楽を作り上げるdroの手法

――2024年7月に「二人のミント」をリリースしてから2年が経ちますが、ここまでの活動を振り返っていかがですか?

Rui:あっという間だったなという感じがします。「二人のミント」から始まって、曲によって違う世界観とかテーマ、ジャンルの曲を、自分たちのコンセプトとかそういうのは特に考えずにやってきたといいますか。聴いてくださる方も海外の方が多いんです。それこそdroさんとこの前話していたんですけど、コメント欄にいろんな言語のコメントがあって、そこは我々の魅力なのかなと思っていたりはしますね。

dro:日本以外にも私たちの音楽が届けられるのは確かに大変光栄だと思います。私たちの曲を聴いていろんな国からDMがくるのがいちばん幸せなので、もっと頑張らなきゃと思っています。

――ここまで結構なペースで曲を作って出してきていますよね。

Rui:droさんの曲を作るスピードが半端ではなくて。この2年間で10曲出しましたけど、ストックは何百曲とあるんです。そのなかでdroさんが私に対してもどれがいいか選ばせてくれたり、droさん自身に「こういうのをやってみたい」っていうのがあったらやってみたり、そういう感じでやってきています。

dro:曲がいつでもできるというわけではないんですけど、面白いストーリーや何かを見つけて、「曲で作ったら面白そうだな」と思ったら、3ページから30ページくらいの簡単なエッセイとか小説を作ってそのまま曲を作るという感じで。だから、曲を作る時間はあんまり長くはないんです。大体のイメージとか音がもう小説のなかにあるので、作るとなったら3時間とか4時間とかでできます。

――逆にストーリーを作るほうに時間をかけているんですね。

dro:そうですね。

――ふたりはそれぞれの活動をするなかでXを通じて出会ってredrawを結成したそうですけど、具体的にはどういう経緯があったんですか?

Rui:それまで私は趣味程度の歌い手という感じで、YouTubeでボカロだったりのカバーを投稿していたんですけど、それをボーカリストを探していたdroさんが見つけてくれて、私の歌を聴いて声をかけてくれたんです。XのDMですごく熱烈な文章を送っていただいて、その文章に私は感激したんです。「こんなに聴いてくれる人がいるんだ!」って。それで、ここまで自分の歌をわかってくれる人と一緒にやったら面白そうだなっていうのもあって、連絡を返したんです。だけど、1年くらい連絡を放置してしまって。落ち着いた頃にまだ間に合うかなってダメ元で連絡をしたら「ぜひ」と言っていただいて、それでredrawが始まって、「二人のミント」のリリースまで進んでいきました。

dro:私は趣味的に曲を作っていたんですけど、ボーカルが私だけでは足りないなと思ったんです。性格的にもひとりだけだったら、活動のペースが遅くなってしまうと思って。だからいいボーカリストがほしいなと思っていろいろな人に連絡したんですけど、120人、130人くらい声をかけたなかで唯一返事をくれた人がRuiさんだったんです。でも、先ほどのとおり1年ぐらい連絡が途切れて、その間に「音楽をやめようかな」と思った時もあったんですけど、私も大学を卒業する前にちゃんとやりたいと思ったし、Ruiさんにとっても最後のトライになると思って、今になります。

余韻感をコントロールできる唯一の歌い手・Rui

――droさんはどういうボーカリストを探していたんですか?

dro:いろんなジャンルがカバーできて、レンジが広くて、その人の色が強い人を探していました。RuiさんにDMを送った時に言ったのは、「ちょっと恋に落ちた少年みたいな感じがして、それがきれいだなと思って連絡したんです」ということで。あの曲なんだっけ? Kanariaさんの曲で――。

Rui:ああ、「酔いどれ知らず」?

dro:そうそう。「酔いどれ知らず」の曲のカバーをいちばん最初に聴いた時に、音域が広いし、高い音も低い音も全部余韻感がある。なんかこう、息が入った感じがすごく鮮やかで。その歌い方に、唯一この余韻感をコントロールできる人だなあと思って。

Rui:そこからお話しをするなかで、インストだけのデモを何曲かいただいて。その曲を聴いた時に本当に自分のストライクだったというのもあるし、いろんなジャンルができるのに、その全部にその人の色があって、クオリティも高くて、droさんとだったらなんでもできるんじゃないか、って。そういう期待というかワクワクを感じたんです。さっきdroさんが「最後のトライ」と言っていましたけど、お返事を返してなかったあいだ、私は社会人をやっていて、音楽もほぼ諦めていたんです。「もう見る専で生きていこうかな」と思っていたところで、最後にもう一回、ラストチャンスでやってみようかな、って。

――その時、droさんがアメリカにいるというのも知っていたんですか?

Rui:知ってました。今はアメリカに住んでいると教えてくれていたので。それも面白そうだなって思いましたね。

――droさんはなぜ音楽をやりたいと思っていたんですか?

dro:子どもの時からボーカロイドの曲が好きだったし、RADWIMPSだったり、ONE OK ROCKがすごく好きだったんです。憧れもありました。今のJ-POPのシーンのなかでも、DTM系の人が多いじゃないですか、Vaundyさんとか、なとりさんとか。自分の音楽をこんなに自分だけで作ることができるんだと思って、音楽を始めました。

――Ruiさんはシンガーとしてはどういう人に憧れていたんですか?

Rui:もともと私はJ-POPというよりアメリカの音楽が好きなタイプだったんですけど、いちばん最初に歌に出合ったのはaikoさんでした。お母さんが家でずっと流していて、それに合わせて真似して歌うっていうのをずっとやっていたのが歌の始まりで。そこから歌にはずっと興味はあったんですけど、“本当に歌が上手い人”というのを追求した時にアメリカのシンガーたちがすごく魅力的に感じたんです。中学生ぐらいの時にアメリカの音楽をすごい聴くようになって、One Directionから入ってアリアナ・グランデさん、マライア・キャリーさん……本当に歌が上手い、ポップな人たちを聴いていました。そのなかでもアリアナ・グランデさんがいちばん好きで、高校生ながらすごく高いチケットを買って来日ライブに行ったんです。でも、私、すごく背が小さいから見えなくて(笑)。いちばん大好きなアーティストをなかなか見ることができなくて本当に悔しくて、「どうしたら近くに行けるんだろう?」と思った時に、「自分もシンガーになってアリアナと友達になればいいんだ」って思ったんです。そこから本格的に歌を始めました。

二人のミント / redraw : OFFICIAL ANIMATED MV

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