住友ゴム工業(DUNLOP)と富士通は6月3日、タイヤの性能をAIで高精度かつ短時間で予測する技術のAIサロゲートモデルを共同開発し、実証実験において成果を確認したことを発表した。
ものづくり現場において、製品や構造物の挙動をシミュレーションし、性能や安全性を評価するCAE(Computer Aided Engineering)解析は、製品の高性能化・複雑化に伴い、多大な解析時間を費やしている。中でもタイヤの設計は、CAE解析の一つであるFEM(有限要素法)解析を用いるが、解析の要素数を増やすと精度は向上するものの計算時間や開発コストが増加するため、精度と計算負荷のバランスを取ることが求められる。加えて、解析には専門知識が必要であり、熟練した技術者の確保も課題となっていた。
こうした課題を解決するため、DUNLOPのタイヤ設計のノウハウや設計データと、富士通のAI技術を活用し、グラフニューラルネットワークのアルゴリズムをベースとしたAIサロゲートモデルを共同開発。タイヤの構造解析に関する実証実験では、タイヤの路面接地時における接地形状や接地圧分布など、変形挙動や接地特性を評価対象とした。

実証実験のイメージ
その結果、従来のFEM解析では約45分を要していた解析を約5分での近似解析を実現したほか、FEM解析と比較してタイヤと路面の接地形状を平均87.7%の高い精度で予測した。この開発によって、少ないプロセスかつ短時間でタイヤの構造や材料の使用を決定できるようになり、意思決定の迅速化や性能向上のみならず、コストの最適化も期待される。

FEM解析による精度と計算時間の関係
両社は、同AIサロゲートモデルについて、2026年12月までに「FUJITSU-MONAKA」検証機での実証を開始し、推論速度・電力効率の最適化に取り組む。また、タイヤの構造解析の適用範囲を拡大するとともに、専門知識がなくても設計者が直接利用できる設計開発支援ツールとしての開発を進め、DUNLOPで2027年4月の実運用開始を目指すとしている。

