大日本印刷(DNP)は、独自に開発した「DNPドキュメント構造化AIサービス」と自律型AIデータベース「Oracle Autonomous AI Database」を組みあわせたサービスの提供を3月23日から開始した。
DNPが提供するドキュメント構造化AIサービスは、企業が保有する技術文書や製品情報、マニュアルなどの非構造化データを生成AIが理解、活用しやすい“AIリーダブル”なデータに変換するサービス。
技術文書や製品情報、マニュアルなどは、人間にとって見やすく、分かりやすいことを考えて画像や表などさまざまな表現を活用して作成されている。しかし、機械にとって必ずしも理解しやすいものかどうかは別の問題だ。
生成AIの精度は急速に向上しているが、その精度は人間に追い付かない部分もある。精度を上げるために、非構造化データを生成AIが読みやすいように構造化データとして変換するというアプローチを取っているのが、ドキュメント構造化AIサービスだ。このアプローチで大規模言語モデル(LLM)による検索拡張生成(RAG)の検索精度を向上させることができるという。

DNP 常務取締役 金沢貴人氏
3月23日に開かれた記者会見でDNPの常務取締役である金沢貴人氏は、ドキュメント構造化AIサービスについて、同社の「構造化技術で生成AIが読めないデータを使えるデータに変える」ものと表現。その精度について「誤回答(ハルシネーション)を約90%に削減できる」と主張した。
ドキュメント構造化AIサービスは、ユーザー企業から対象となるデータをもらい、変換した後でユーザー企業に戻すことが基本となっている。中には、機微情報を含んでいることから外部には出したくないユーザー企業も存在する。その場合は、オンプレミスでDNPがデータ化することもあるとしている。
同サービスでは、LLMが読みやすいようにデータを整形するだけではない。ユーザー企業からの要望に応じてメタ情報を付与することもできる。例えば、技術文書に掲載されている部品の構成図について、その部品の名前や大きさといった情報をメタ情報として付与。こうすることで、LLMは、部品の大きさなども検索できるようになる。
金沢氏は、同社のドキュメント構造化AIサービスについて「20~30年前から企業の技術文書などを預かり、メタ情報を付与してCD-ROMに保存して提供していた。技術文書などの2次利用、3次利用として活用されている」と解説した。
技術文書や製品情報、マニュアルなどの「静的情報」をLLMが読めるようになったとしても、「現場の意思決定は完結しない」と金沢氏は解説。財務や資産、製品情報、在庫情報などリアルタイムに変化する「動的情報」が不足しているためだという。
例えば、製造現場で稼働している、ある装置に故障が発生。現場の担当者は取扱説明書にそって対応することになるが、交換部品の在庫を確認するとともに交換費用を算出することが求められる。取扱説明書と部品在庫情報をまとめて検索することで現場の意思決定を速めることできる。
DNP ABセンター AI事業開発ユニット 事業推進部 第2グループ リーダーの亀田康介氏は「現場の担当者は生成AIの回答を見た後で複数の基幹システムを立ち上げ、手作業で在庫や状況をクロスチェックする手間が発生している」と説明した。
技術文書や製品情報、マニュアル、取扱説明書などには「過去の知見が掲載されているが、現場のリアルタイムな業務データを把握できない。財務や資産、製品情報、在庫情報などの業務データだけでは、過去の知見や対応方法が分からない。情報が分断されていることで、検索に時間がかかり、意思決定が遅れることになる」(亀田氏)
今回発表したサービスは、ドキュメント構造化AIサービスで整備された社内文書を現場で活用できるようにするため、日本オラクルのクラウド基盤「Oracle Cloud Infractructure(OCI)」で提供されるAutonomous AI Databaseを活用する。
技術文書や製品情報、マニュアル、取扱説明書などの社内文書を、探したい言葉の意味に近いものを探すベクトル検索機能である「Oracle AI Vector Search」で参照、在庫や設備などのリアルタイムの業務データは条件を指定して正確に探すSQLクエリで取得する。必要な社内文書と最新の業務データが同時に提示されることになる。
例えば、「エラーAへの対応方法は? 部品はある?」と問い合わせると「過去には部品Bを交換することでエラーは解決しています。現在部品Bは倉庫Cに3個あります」といった具合に過去の保全記録の該当箇所と在庫の情報があわせて提示される。
活用イメージ(出典:DNP)
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