Cisco Systemsは米国時間3月23日、1月に登場して急速に普及したオープンソースのエージェント型AIフレームワーク「OpenClaw」にちなんだ名称の「DefenseClaw」を発表した。GitHubで3月27日から公開される予定だ。
AIソフトウェア責任者のDJ Sampath氏はブログで、DefenseClawをエージェント型セキュリティに欠けていた「運用レイヤー」であると説明した。同氏は、このツールが監視を担うことで「クロー(エージェント)の統制を維持できる」と述べ、5分足らずで統制された環境を構築できるとその有用性を強調した。
カリフォルニア州サンフランシスコで開催中の「RSA Conference」で発表されたDefenseClawは、エージェント型AIの実用化が進まない現状を打破することを目的としている。同社が主要な企業顧客を対象に実施した最近の調査によると、企業向けエージェント型AIのうち、テスト段階から本番環境へと移行したのはわずか5%にとどまっている。
Sampath氏は、OpenClawがあらゆるタスクをこなす執事のような存在として、技術者の間で急速に普及している点を指摘した。OpenAIがOpenClawの開発者であるPeter Steinberger氏を採用したほか、NVIDIAも独自のエージェント型フレームワーク「NemoClaw」を提供するなど、動きが活発化している。
同氏の主張は、OpenClawやNVIDIAのオープンソース製品であるNemoClaw、その他のプロジェクトを通じたエージェントの利用が、統制されないまま草の根的に拡大しているというものだ。ブログの根底には、エージェントが普及し切ってしまう前に、セキュリティを考慮すべきだという同氏のメッセージが込められている。
DefenseClawは、さまざまなツールと連携して動作するように設計されている。Sampath氏は、NVIDIAのカンファレンス「GTC」で発表されたコードサンドボックスソフトウェア「OpenShell」や、Cisco Systemsの各種スキャンツールとの連携を重視している。同氏は「誰がブロックリストを管理するのか。午前2時に問題が発生した際、誰がアラートを確認するのか。それこそがDefenseClawの役割だ」と述べた。
DefenseClawの機能は主に3つある。1つは、実行前に全てのコードをスキャンする機能だ。エージェント環境に導入される前のスキル、ツール、プラグインに加え、エージェント自身が生成した全てのコードをスキャンする。このスキャンは、同社のオープンソースツール「Skill-Scanner」など複数の個別のツールで構成されている。
2つ目は、実行時にエージェントに出入りする全てのメッセージをスキャンし、脅威を検知する機能になる。3つ目は、脅威が検知されたメールサーバーのアカウントなどの「スキル」を自動的にブロックし、サンドボックスからそれらの権限を削除する。ここでのサンドボックスには、NVIDIAのOpenShellなどが想定される。Sampath氏は、こうした自動的な防御策が「単なる推奨事項ではなく、強固な壁として機能する」と強調した。
同氏は、コマンドラインからDefenseClawを使用して、OpenClawのインストール操作をスキャンする例を示した。「defenseclaw skill install community/jira-triage」というリクエストに対し、DefenseClawはまずスキャンを実行し、ブロックリストおよび許可リストを照合してマニフェストを生成する。これを通過して初めてインストールが実行される仕組みであり、これを回避することはできないという。
Sampath氏はまた、同社があらゆるエージェントの監視に「Splunk」を活用していることも明かした。「全てのエージェントは誕生した瞬間から可視化の対象となる」とし、エージェントがオンラインになると同時に、全てのデータが構造化されたイベントとしてSplunkにストリーミングされる。
合わせて同社は、Splunkを自動化されたセキュリティ監視センター(SOC)のように機能させるための複数の拡張機能も発表した。例えば、近くアルファ版としてリリース予定の「Guided Response Agent」は、SOCチームが検知した仮説から実運用に移行するまでのプロセスを、正確かつ数分で完了できるよう支援する。ユーザーがプロンプトで特定のURLの評判などを問い合わせると、チェックが必要な項目をエージェントが絞り込む。
DefenseClawは、同社が発表したエージェント型AI向けのセキュリティツール群の一部に過ぎない。他には、AIエージェントの身元確認とアクセス制御を強化し、個々のエージェントにゼロトラストの手順を適用する「Cisco Secure Access」の機能拡張も発表された。
同社は、単なるコードスキャンにとどまらず、現実世界の脅威をシミュレートするレッドチーミングツールの導入も進めている。新製品の「Cisco AI Defense: Explorer Edition」は、エージェント型ワークフローを支えるモデルやアプリケーションに対して多角的な敵対的テストを実施する。AIモデルそのものを調査し、プロンプトインジェクションやジェイルブレイク(脱獄)、その他の不適切な出力に対する耐性を検証する。
加えて、開発中のコードにポリシー適用機能を組み込むことができるエージェントランタイム用SDKの提供も開始した。

提供:onurdongel/iStock / Getty Images Plus via Getty Images
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。

