本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、アクセンチュア 代表取締役社長の濱岡大氏と、Staffbase Japan カントリーマネージャーの赤平百合氏の「明言」を紹介する。
「AI時代に人間がやるべきなのは新しいことへのチャレンジだ」
(アクセンチュア 代表取締役社長の濱岡大氏)

アクセンチュア 代表取締役社長の濱岡大氏
アクセンチュアの代表取締役社長に12月1日付で就任した濱岡大氏は、同社が先頃開いた社長就任会見で、上記のように述べた。人間がこれまでやってきた仕事をこれからはAIが代替していくのではないかとの見方がある中で、「人間がやるべきなのは新しいことへのチャレンジ」とのメッセージに共感したので、明言として取り上げた。
記者会見は、これまで10年間社長を務め、同日付で代表取締役会長に就いた江川昌史氏も登壇した。会見内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは濱岡氏の発言から筆者が印象強く感じたものをピックアップして紹介する。
まず、冒頭の明言に取り上げた内容については、次のような話の流れから出てきたものだ。
「企業の経営を取り巻く環境はこれからさらに変化の激しいものとなっていくだろう。特にAIをはじめとしたテクノロジーの進化はこれまでにも増して加速し、それが経営を取り巻く環境の変化のスピードもさらに加速させていくだろう。そういう時代に向けて、企業はどう立ち向かっていけばよいのか。それは取りも直さず、新しいことにチャレンジし続けることではないか」
さらに、こう続けた。
「企業の業務において、定型的なものについてはAIがこれから人間に代わって処理していくことになるだろう。では、人間は非定型のものだけに従事するのか。そうではなく、人間には将来を見据えてもっとやるべきことがある。それはこれまでになかった新しい物事にチャレンジすることだ。しかもそれを継続するのが非常に重要だ。それによって、変革を成し遂げることができる。企業は今後、さまざまな変革に向けたプロジェクトをどんどん立ち上げて推進していくようになるだろう」
そして、こう結んだ。
「その際に最も重要なのは、変革の中身を明確にすることだ。すなわち、何を目的として、それをいつまでに成し遂げるか。プロジェクトとはそういうものだが、そうした目的と時間のゴールを明確にして、必ずその目的となる成果や価値を生み出すという強い姿勢で臨むことが肝要だ。当社はそうした企業の皆さまに対してさまざまな変革をご支援する『変革のプラットフォーマー』としてお役に立てるように尽力していきたい」(図1)

(図1)アクセンチュアが目指す「変革のプラットフォーマー」の概要(出典:アクセンチュアの説明資料)
以上が、冒頭の明言に至る話の流れだが、「新しいことへチャレンジ」するのがこれからの人間のやるべきことという濱岡氏のメッセージは、単に「役目」についてだけでなく、AI時代における「人間の生き方」そのものだと筆者は受け止めた。
さらに、同氏の話でもう1つピンと来たのは、「必ずその目的となる成果や価値を生み出すという強い姿勢で臨む」という決意だ。つまり、「目的を達成してこそなんぼ」という当たり前のことを徹底させると。筆者は「AI時代こそ、完全な成果主義を貫け」とのメッセージと受け止めた。そこには、「その厳しさをもって挑むことこそが人間の成せる業」との同氏の信念があるのではないかというのが、筆者の見立てだ。
江川氏は後任の社長に濱岡氏を任命したことについて、「これからのAI時代にふさわしい人間を後任にしたいと考えて選んだ」と語った。その真意は単にAIを熟知しているというだけでなく、これまで記してきた濱岡氏の考え方にあるのだろう。ただ、それも同氏だけでなく、同社の社員全員にも浸透させていくことが重要だ。その先頭に立つ同氏の経営手腕に注目していきたい。(写真1)

(写真1)左から、12月1日付で代表取締役会長に就いた江川昌史氏と、濱岡氏

