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なぜ日本に導入ナシ!? 北米で販売されているWRXのMTに乗ったら、やっぱり走りが楽しすぎた
掲載 carview! 文:工藤 貴宏 57
日本未導入のWRX MTモデルに北米で試乗
「隣の芝生は青く見える」なんていう言葉があるけれど、隣にはあるのに自分の環境にないものは素直にうらやましいと思うことがある。それは、ボクだけではないだろう。
というわけで、スバル「WRX」のMTモデルである。現在、日本仕様スバルWRX(S4)のトランスミッションはCVTしかない。しかし、海外向けにはMTも用意されている。なんともうらやましいではないか。
日本向けにMTを展開しない事情はいろいろあるのだろうけれど、MT好きとしてはやっぱり、触れて試乗してみたい。そこで、北米仕様のWRXを試乗するためにロサンゼルスへ向かったというわけだ。

コンベンショナルな四駆システム
パッと見たところ、北米仕様だからといって日本仕様と大きな違いはない。細かい部分を見ても日本向けだと全車標準装備のリヤワイパーを備えないことと、トランクのエンブレムが異なる程度である。日本向けの最新モデルに用意された大型スポイラーは現時点ではまだ設定がないようだ。
気になるエンジンはもちろん水平対向で、排気量2.4Lターボの「FA24型」。というわけで鋭い人ならお気づきだろう。かつて日本のMTモデルはEJ20エンジンを積む「WRX STI」だったのに対して、海外向けのMTモデルは実質的に「WRX S4」なのだ。エンジン最高出力は「271HP」と記載され、これは約275㎰となり日本のCVTモデルと同様である。
もうひとつメカニズムのキーとなるAWDシステムは、かつて日本仕様のWRX STIが組み合わせていた「DCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)方式AWD」ではなく、日本向けのCVTモデルが搭載する「VTD-AWD」でもなく、「ビスカスLSD付センターデフ方式AWD」。
日本向けでは先代フォレスターのMTモデルなどに積んでいた、電子制御を持たないコンベンショナルなシステムだ。通常時のトルク配分はフロント50:リヤ50とし、前後のトラクション状況に応じてビスカスLSDがトルクを分配する仕掛けになっている。
インテリアは、なんといってもマニュアルミッションなのだが、あわせてパーキングブレーキもサイドレバー式になっているのが注目ポイント。CVT車に比べるとセンターコンソールそのものが別設計になっていて、ドリンクホルダーの配置などは従来モデルに似たレイアウトでなんだか懐かしい。

”無駄”を楽しむ
やっぱりMTは楽しい。
走り始めて何より感じたのは、それに尽きる。FA24ターボは回すと元気がよくなるEJ型エンジンと違って低回転域のトルクが太く、扱いやすくCVTとのマッチングもいい。だからマニュアルで高回転を使うのが気持ちいい……というタイプではない。
しかし自分の手でエンジン回転をコントロールする歓びはやはり大きくて、リズムを取りながらワインディングロードを走ってみると「楽しいね」と素直に思う。DCCDのような特別なギミックがあるわけではないけれど、「やっぱりMTがあるといい」と思わずにはいられないのだ。
実のところ、昨今はDCTに対してだけでなくCVTやATに対してもMTは燃費が良くないだけでなく加速も遅いのが一般的だ。だからわざわざ左手(左ハンドル車は右手)と左足を余分に使ってマニュアルのギヤチェンジを行う行為は“無駄”以外の何事でもない。
だけど、その無駄を楽しむ行為と、難しいことをスマートに行えた時の快感を味わうことがMTを操る歓びだし、やっぱりMTのほうがクルマとの一体感が高まる。それを楽しむことがMTに乗るということなのだと実感する。
そんなことを考えながらワインディングロードを楽しんでいると、ふと音も心地いいことに気が付いた。北米仕様の排気音は日本仕様よりもボリュームが大きく(日本よりも騒音基準が緩い)、ボクサーサウンドもよく響く。これも好印象だ。

日本未導入のワケ
ところで、どうして日本のWRXにはMTがないのか?
ふたつの理由が考えられる。ひとつは「アイサイト」で、日本では新型車に衝突被害軽減ブレーキの搭載が義務付けられているからだ。トヨタやホンダなどすでにMTと衝突被害軽減ブレーキを組み合わせているメーカーもあるが、スバルは「アイサイトとMTの組み合わせは理想とする制御が実現できていない」としてこれまでMTとの組み合わせがなかった。だから日本ではMTを展開できなかったのだ。
とはいえ、これはスバルで開発が進み、最新の「BRZ」ではついにMT+アイサイトの組み合わせが実現。WRXも北米仕様は2024モデルから標準採用というニュースが舞い込んできたので、ハードルを乗り越えたといっていい。
>>【MTも安全】BRZのMT車がアイサイト標準装備に! 新グレード・STIスポーツも登場
もうひとつは、イメージの問題。日本で「WRXのMT」といえば、だれもが「WRX STI」のバリバリのメカニズムと走りをイメージするだろう。しかし実際にはS4をMT化したモデルであり、高回転がパワフルなエンジンでもなければ、凝ったAWDシステムでもない。
サスペンションのチューニングもSTIほどハードではなく、走りはサーキットでのタイムアタックが得意なほどキレッキレというよりは、幾分かソフトでコンフォート性を持ちつつ峠道を心行くまで楽しむのに最適という味付けになっている。
そんなメカニズムやキャラクターを「これまでWRX STIのMTに乗っていた人がしっかり受け止められるか」という心配があるようだ。そのギャップが、日本での販売を難しくしているのも否定できないだろう。また、メーカー全体の平均燃費向上が求められるなかで、燃費の優れないMTを追加することがスバルの企業別平均燃費を下げてしまう心配もあるようだ。
とはいえ、これだけ楽しく走れるのだから、こういうWRXのMTも悪くないな。日本にもあればいいのに……というのが試乗を終えた正直な気持ちだ。やっぱり、隣の芝生は青く見えるらしい。ボディカラーもしっかり青いが。
写真:工藤貴宏、SUBARUこの記事に出てきたクルマ マイカー登録
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みんなのコメント
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2023/10/20 12:19今や日本人の収入では一般市民や若い人には買えないレベルだからね。日本人は軽自動車やコンパクトな車しか手が出ない。
日本で売ってもメーカーは儲からない。-
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2023/10/20 12:27単純に売れない日本より未だそれを許容しかつ売れる海外の方が商売なんで売ってるし何もスバルだけでは無い日本には無いスポーツグレードのMT車が海外モデルには有るのが今の現状ATだったらの日本には雰囲気重視で間に合うからエアロだけそれ風で充分な認識と、売れない所に用意しておく企業の余力も無いんだろう。良くない無駄って部類に入るだろうから。
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