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新型ホンダ「シビック」試乗 見た目も走りも居住性もヨシ。これを自動車界の十徳ナイフと呼びたい
掲載 carview! 文:伊達軍曹/写真:ホンダ技研工業 138
「爽快シビック」というキーワードはどうかと思ったが
9月3日に発売された新型ホンダ「シビック」に試乗した。結論から申し上げると、それは「自動車界の十徳ナイフ(アーミーナイフ)」とでも呼ぶべき、全方位的に高い能力を発揮できる素晴らしい乗り物であった。
「爽快シビック」というグランドコンセプトのワード選択は、まるで老人向け雑誌のタイトルのようで正直どうかと思う。だが確かにこの車は「爽快」だ。
具体的には、運転席からの視界がきわめて良好で、室内空間は広く開放的で、低重心な骨格が利いているのか、操縦感覚はきわめて軽快かつ上質であるため、ドライバーは確かに「うむ、爽快なり!」と感じてしまうのである。
日本市場に投入された新型シビックのボディタイプは5ドアハッチバックのみ。全幅は先代同様の1800mmだが、全長を30mm延ばして全高を20mm低めたことでワイド&ローな姿勢が強調され、そのフォルムは端的に言ってカッコいい。そしてAピラーの付け根位置を先代より50mm後退させ、さらには低く水平なボンネットを採用したことで、前方視界がやたらと良好なのだ。
グレードは標準の「LX」と上級の「EX」という2種類があるが、搭載エンジンは1種類のみ。最高出力182ps/6000rpmと最大トルク24.5kgm/1700~4500rpmを発生する1.5Lの直4ターボエンジンだ。そこに組み合わされるトランスミッションは6MTとCVT。まずはEXの6MTに乗った。
上級グレードであるEXに採用されるプライムスムースとウルトラスエードのコンビシートは見た目もしゃれていて、スポーツ性を誇示する「赤いステッチ」も適量であるため、この種の意匠にありがちな「こっぱずかしさ」は感じない。着座位置は、外から想像するよりもずいぶん低い。
よく見ると凝っているのだが、パッと見はシンプルに見えるインテリア各部――つまり優秀なデザイナーが優秀な仕事をした結果に感心しながら1.5Lターボエンジンに火を入れ、6MTを1速に入れて走り出す。
……走り出して5mでとは言わないが、ドライバーは15mか20mほども走れば、ホンダの技術者が繰り返し言っていた「爽快」というキーワードに対して「なるほど確かに!」とつぶやくことになるだろう。
骨太で筋肉質なのだが、無駄な贅肉がほとんどないために体重はさほど重くない一流のアスリートが、アップのためのジョグを開始した――というのが、新型ホンダ シビックを20mほど走らせた段階で、筆者の脳裏に浮かんだ光景である。
県道に出て、きわめてシフトストロークが短い6MTをコクコクと楽しく、リズミカルに、そして必要に応じて変速させながら進む新型シビックは、「ファミリーカー」としての乗り味と「パーソナルカー」としての味わいが見事に両立しているといった印象。
つまり、1700rpmで最大のトルクが発生するエンジンを低回転に保ったまま走ろうとすれば「乗り心地が良くてまあまあトルクフルなファミリーカー」であり、そこから1速落として走ろうとすればスポーツカー……とまでは言わないが、気持ちの良い(ホンダ風に言うならば爽快な)スポーティカーへと即座に変身する――ということだ。
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