連載小説・特員ナムI、その4話
ぐふー。
背中の痛みで、とうとう整形外科に行きました・・。
骨折箇所をかばいながら無理をしたため、反対側の
背中の筋肉が堅くなり、腫れているようです。
超音波治療を開始。パソコンが一番いけないんだそうですが・・。
さて、特務用務員シリーズ、最終話です。
Iは苦悶した。
「人を一人殺めてしまった・・。もう、元へは戻れない。
いや、もう、文部科学省を離れて、ここで、のんびり暮らそう。
東京では生きていけない・・。」
Iは、局長に辞表を提出し、特務用務員を辞めた。
もし、特務用務員の存在を他人に漏らせば、「スタッフ」が
お前を消しに来るだろう、と脅されたが、そんなことは百も承知だった。
胸の44マグナムが無くなると、急に不安になった。
Iは、天職だと思えた用務員の採用試験を受けたが、どこも
自治体合併の余波で人員削減の折、採用を行っていなかった。
理想の用務員を夢見ていたIは落ち込んだ。毎夜、養老の瀧で
飲んだくれ、金を使い果たし、内臓を壊した。
失意のうちにIは茨城に行き、心機一転、農家になった。
有機農法で理想の米を生産する為に頑張った。
稲穂が実り、明日収穫という日にイナゴの大群に襲われ、全滅した。
多額の借金を抱えたIは、逃げるように東北の温泉場に流れた。
風俗店の呼び込みをやったが、堅い性格が災いして上手くいかなかった。
追手を逃れ温泉場を点々とし、とうとう下北半島先端の大間に辿りついた。
そこで、漁師の見習いからはじめ、一隻の小型漁船を手に入れて、
津軽海峡の近海マグロ一本釣りに賭けた。一攫千金で借金の返済をするために。
が、海峡物のマグロは手強く、素人に釣りあげられるものではない。
借金取りに見つかり追い詰められたIは、周囲が止めるのも聞かず、
嵐に荒れ狂う津軽の海に、一人で船を出した。
大間の港に、Iは二度と帰って来ることはなかった・・・。
30年後、日本は息を吹き返し、再び高度経済成長を遂げた。
その影で、経済を支える労働者を育成する為に、昔、中学校を救った
特務用務員と呼ばれた男の活躍があったことを
もはや、誰も知る人など、いない・・・。
完。
なんでこんな悲惨な話になっちゃったの・・?
これが私の人生?
では、また。
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