2025年2月15日、私のデビュー作『イマ遍路 ホテルに泊まるイマドキの四国八十八ヶ所歩き遍路』がAmazon Kindleで出版されました!
いったいどうすればAmazon Kindleで本を出版できるようになるのでしょうか。一介の巡礼ヤーに過ぎないズブの素人の私が、AmazonKindleで電子書籍を出版する至るまでの道のりをレビューします!
素人がAmazonKindleで電子書籍を出版する方法
みなさんは自分の本を出版してみたい、と思ったことはありますか?
私も小説家になりたいという夢を持ってはいますが、賞レースに応募してみてもなかなかいい結果は得られず、残念ながら今のところはただの夢で終わっています。
しかし、出版社をとおして本を出さなくても、今は電子書籍で本を出版することができるのです。それがAmazon Kindle ダイレクト・パブリッシング以下(KDP)という方法です。
この方法なら、ものの1日で出版することが可能です。ただし、KDPの審査に通らなければなりません。最大72時間とされており、私の場合はまる2日で審査に合格しました。それが、次の書籍です。
Kindleにて購読していただくことが可能です。
それでは、いかにすればKDPにて電子書籍を出版することができるのか、書いていきたいと思います。
KDPへの申請準備
では、順番に解説しましょう。
①原稿を用意する
まずは出版原稿を用意しなければいけません。
原稿のファイルは、MicrosoftのWordで作成できます。
私の場合、とりあえずプロトタイプということで上記の本を出版しました。どんな程度ならば審査に通るのか、どんな内容ならば売れるのか、試してみたかったのです。
実は上記の本の内容は、私のブログ「西国お遍路“行雲流水”」内の記事「1日目(2021.7.21) 1番~7番札所 「住吉農協前」バス停~「東原」バス停」の焼き直しです。
焼き直しとはいうものの、言葉足らずだったところを補ったり、前書きと後書きを大幅に加えたりしました。前後関係など、かなり読みやすくなったのではないかと思います。
KDP出版に関する他の方のブログを拝見していると、1万から2万字くらいの本がよく売れると書いてありました。そこでそれを参考にして、1日目だけの記事で試しに作ってみました。1日目の記事を加筆修正した結果、合計して16,312文字となっています。Kindle本では、78ページになりました。
私の場合、ブログに載せていた写真もほぼすべて掲載しました。何とその数53枚! 写真を多く入れると、データが重くなってしまい、不評になるかもしれません。ダウンロードに時間がかかりますからね。これは反省事項です。
みなさんは原稿を用意するのが苦になる方ですか。1万字から2万字というと、原稿用紙でいえば25枚から50枚ですね。私は大学の卒業論文が原稿用紙50枚以内という制限があったので、むしろ50枚というと少なく感じます。
何しろ、私のブログは1万字超えの記事は結構普通で、2万字を超える記事もしばしばです。長ければいいということではありませんが、出版原稿を用意するのがとにもかくにも出発点です。
もちろん、誤字・脱字は事前にきちんとチェックしておかないといけません。そもそも言葉の使い方が間違っているということもあり得ます。KDP出版に関する他の方のブログを拝見していると、何と誤字・脱字のチェックを外注している方もいらっしゃいます。まあ本が売れればいいですが、そうでないならば下手をすれば赤字です。
ここでは、すべて自分でやる前提で記事を書いていきます。
②目次を作成する
目次の作成は、Wordでできます。
Wordを開き、上に表示されているタブに、「ファイル」「ホーム」「挿入」「描画」とつづいたあと、「参考資料」というのがあると思います。それを開けば、目次を簡単に作成することができます。
ただ、縦書きにしたせいかWordがよくないのか、思ったような目次にはなりませんでした。ちょっと目次は残念な形になっています。
なお、KDPのページにも目次作成方法が掲載されています。次回はこちらの方法も試してみようと思いますが、参考までにリンクを載せておきます。
kdp.amazon.co.jp(2025.2.24閲覧)
③Kindle Previewer 3で表示をチェックする
私の場合、ブログは横書きで書いていました。一方、電子書籍は縦書きで出版しようと思っていました。そうすると、出版の際に設定を変更しなければいけません。
しかし、ここで大きな問題が起こってきます。アルファベットや、数字の表記がおかしくなってしまうのです。
そこで私は、数字に関してはアラビア数字を漢数字に直し、アルファベットは一部を除いて全角に替えました。そうすると、縦書きになった際にきちんと見えるようになりました。
このようなことをチェックできるのが、Kindle Previewer 3です。実際に電子書籍になった場合、どのように見えるのかがこのソフトで分かります。
ダウンロードは、下記のサイトからできます。
kdp.amazon.co.jp(2025.2.24閲覧)
表示されるまでに少し時間がかかりますが、不細工な本にならないようにするためには、これを使って何度かチェックする必要があります。
④表紙を作成する
原稿をアップしたあと、表紙をアップロードする必要が出てきます。表紙のファイル様式は、TIFFかJPEGでなければなりません。また、ファイルの大きさは50M未満とされています。
寸法に関しては、細かく規定されているので、KDPのページの記載を引用します*1。
表紙画像の推奨寸法は 高さ 2,560 ピクセル、幅 1,600 ピクセル。特に高解像度の端末で画像の品質を最高にするには、画像の高さを 2,500 ピクセル以上にすること。
最小寸法は 高さ 1,000 ピクセル、幅 625 ピクセル。表紙画像の高さと幅が 10,000 ピクセルを超えないこと。
注: この画像が Web サイトに表示されるときには、さらに圧縮されます。画質の劣化を避けるために、アップロードする画像の圧縮率は最小限に留めてください。
私の『イマ遍路』の表紙の寸法は、高さ2,493ピクセル、幅1,402ピクセルです。やや細長くなってしまいました。
サイズは634KBですので、ちょっと画質が悪くなっています。
この表紙をどう作るかということも問題で、KDP出版に関する他の方のブログを拝見していると、これも外注している方が多くいらっしゃいました。もちろん外注することでクオリティの高い表紙を作ることができますが、売れるかどうか分からない段階でお金をかけるのはどうも……。この姿勢がよくないのかもしれませんが、まあとにかく私はお金をかけない方法を使いました。
多くの方がCanvaというソフトを使用しておられるようですが、私はPowerPointを使いました。
PowerPointってあのMicrosoftのプレゼン用のソフトの?と思われたと思いますが、実は私、動画もPowerPointで作ることがあるのです。
このブログで写真を載せる際、人の顔を隠す場合にも一度PowerPointに写真を貼りつけ、そのスライド自体を次のスライドに画像として貼りつけて、画像として保存しているのです。Excelで作った表も、JPEGにする際にPowerPointに貼りつけてから、画像として保存しています。
実はPowerPointは応用範囲が広い万能ツールなんですよね。PowerPointを極めればいろんなことができますので、ぜひみなさんもお試しください。
今回は、PowerPointの上のタブで「デザイン」というところを開き、そこから「スライドのサイズ」というところをクリックして、縦長のスライドを用意します。デフォルトのサイズは横4:縦3か、横16:縦9なので、横長になっています。求められているサイズは縦長なので、縦長のスライドを使ってデータを作成します。
作り終わったスライドを、次のスライドに貼りつけます。次のスライドに貼りつけたものは、右クリックすると「画像として保存する」というコマンドを選べるようになります。
その際、縦と横のサイズを微妙に何回か調整して、縦2,560、横1,600のサイズより小さくなるようにしました。何回か保存してやり直しています。我ながら、簡単にできたと思います。
まあ作成されたデザインのいい悪いは、やっぱりあります。こだわりたい方は、外注されるのもありかもしれません。
KDPの審査について
原稿と表紙をアップロードし、必要な情報を入力すれば出版準備は整いました。自分の作成した本棚のところ、該当する本のところに「レビュー中」という文字が出ていれば審査が始まったということです。72時間以内に審査するということですが、場合によっては長くなることもあるようです。私の『イマ遍路』は、ほぼまる2日で審査が終わりました。
審査に落ちることはあるのか
さて、私の場合はすんなりと審査にとおりました。
実は申請したあと、審査に落ちるのではないかとかなり不安になる要素がありました。KDP出版に関する他の方のブログを拝見していると、ブログ記事をそのまま出版しようとしたところ、審査に落ちてしまった!という記事があったためです。
実際、私の『イマ遍路』もブログ記事の焼き直しという側面が強く、となれば審査に落ちてしまう可能性がかなり高まってしまうことになります。ということから、「レビュー中」の2日間はかなり不安な状態でした。落ちたら原稿から作り直すのか、これは大変だぞと覚悟していたくらいです。
ところが幸か不幸か私のブログがマイナーだったからなのか、無事に審査を通過することができました! 表記が「出版準備中」に変わり、しばらくすると「販売中」になりました。
これにより、私のデビュー作『イマ遍路 ホテルに泊まるイマドキの四国八十八ヶ所歩き遍路』がAmazon Kindleで販売されるようになったわけです。
ただ、審査に通過できた本当の理由は分かりません。もしかすると前書きがかなり多くなっていたことから、ブログの記事と違うと判断したのかもしれません。
あるいは、同じだと判断したとしても、著作権者が同じ鷹山南坊であると判断したのかもしれません。
とにかく、真相は薮の中です。
KDPの審査で注意すべきこと
KDPでは、出版審査に関するガイドラインが定められています。
kdp.amazon.co.jp(2025.2.24閲覧)
まあ、あたりまえのことばかりですよね。本を売って人さまからお金をいただこうというわけですから、甘い汁だけ吸う、なんてことは許されません。
内容にも責任を持たなければなりませんし、当然他の方の著作権を侵害してはいけません。また、誹謗中傷やわいせつなものといった不快なコンテンツを世界的大企業たるAmazonが容認するはずがありません。
内容には、とにかく十分責任を持ってください。
私の場合は、私自身の体験であるという唯一無二性、それから私自身が撮影した写真を使っているなど、著作権侵害の恐れはまったくありませんでした。また、不快なコンテンツはもちろんまったく含まれていません。
ということで、何の問題もなく審査を通過したのでしょう。
まとめ
実は私は寡聞にして、Amazon Kindleで自分の本を電子書籍として出版できるということを知りませんでした。それを知ったのが2月10日の朝、電車で読んでいた本によってです。
読んでいた本というのがこれです。