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Image by: FASHIONSNAP, Backstage:Kara Chung

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デザイナーHachiが手掛ける「バルムング(BALMUNG)」が、「Rakuten Fashion Week TOKYO 2025 S/S」で2025年春夏コレクションをショー形式で発表した。
2006年に設立し、2010年からファッションブランドとしての活動をスタートした同ブランドは、「都市と循環、都市と探求」や「GREY」などをキーワードに、現代のストリートの延長線上に現実と非現実の入り混ざる"架空の都市"をイメージさせるクリエイションを継続して展開。服作りのみならず、テレンス・コーや鈴木操をはじめとしたアーティストとのコラボレーションや空間展示などの活動も精力的に行ってきた。
そんなHachiが今季のコレクションテーマとして提示したのは、「movement / circle」。カルチャーにおける運動や流行、同時代の人々が共通して持つ価値観、時計や機械などを意味する「ムーブメント」と、や輪、人の集合体を意味する「サークル」という、一つの言葉に多様な意味が紐づく2つのキーワードをコレクションの軸に据えた。また、インターネット上では存在を知っているものの実際には知らない人や、「自分にとっては現実ではないが誰かにとっては現実」であるようなものごとが寄せ集まると、自然に「街」や「都市」になる、というHachiの考えが今回のコレクションやショーの構成に反映されているという。
会場となったIMAGE STUDIO 109 YOTSUYAには、「都市」や「街」に見立てた工事現場の足場のような2階建ての形構造のセットが登場。計29人のモデルが階段を登り降りしながら上下の形のランウェイをぐるりと闊歩する中、時折モデルが2階から下に飛び降りるというランウェイショーの常識を覆すような演出が観客を驚かせた。従来は少人数のモデルによるインスタレーション形式での発表を主として行ってきたバルムングにとって、王道的なランウェイショー形式でのコレクション発表は、今回が初挑戦となった。
コレクションでは、「さまざまなタイプの人が集まると都市になる」というHachiのアイデアを表現すべく、バルムングを象徴するグレーや淡く白っぽいカラーと併せて、これまでブランドとしてはあまり用いてこなかった柄物の生地やカラフルな色味をふんだんに採用。ファーストルックでも印象的だったグラフィックは、デザイナーの長年の友人でもあるアーティストの村田実莉が手掛け、犬やイルカ、クラゲなどの動物や、“禁断の果実”として宗教的なイメージも持ち合わせるリンゴ、コンピューターといったモチーフを、SF感のあるテイストで表現した。そのほか、迷彩やボーダー、ドットなどの柄や、アルミホイルのようなシルバー、ネオンイエローやネオンブルーといったアクセントカラーをコレクション全体に多用しルックを彩った。
シルエットとしては、ブランドのアイコンである「ハイネックビッグパーカー」に通ずるようなオーバーサイズのアウターにショートパンツとニーハイソックスを合わせたスタイルや、Y2Kを思わせる、ウエストが大胆に見えるクロップド丈のトップスとルーズなワイドボトムスを組み合わせたルックが多数登場。ボトムスのベルトループやキャップのサイドからじゃらじゃらとぶら下がる花や動物のぬいぐるみと相まって、K-POPアイドルに熱狂するZ世代の若者のリアルな今のムードやカルチャーの影響を色濃く感じさせる一方で、「ギャル」や「オタク」を彷彿とさせるルックも散見された。
全体を通して現代の若者のリアリティを反映したスタイリングでありながらも、宇宙人やヴァーチャル世界のキャラクターのような非人間的で不穏なヘアメイクによって、バルムングがこれまで提示し続けてきた“現実と非現実が入り混ざる”さまは今季も健在。さらに、今回は通常のファッションモデルに加え、Hachiがインターネット上で見つけ声を掛けたという“興味深い”人や、2000年代から存在する日本のインターネット音楽レーベル「マルチネ・レコーズ(Maltine Records)」を手掛けるtomadに依頼しキャスティングを行った人々などを、業界の内外から独自に起用。その雑多で個性や背景の異なるモデルたちがコレクションを纏い同じ空間に集うことで、“さまざまなタイプの人が集まると都市になる”というHachiのアイデアに自然な説得力をもたらしていた。
最終更新日:
















































































































































































ABOUT THE BRAND
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「バルムング(BALMUNG)」は2006年にHachiが設立し、2010年からファッションブランドとしての活動をスタート。服作りだけではなく、空間展示などの活動も精力的に行う。立体構造的なデザインが特徴で、ブランドを代表するアイテムは「ハイネックビッグパーカ」。2018年度Tokyo新人デザイナーファッション大賞プロ部門 東京都知事賞を受賞。

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1985年福岡生まれ。高校時代に電子制御工学を学び、バンタンデザイン研究所を卒業後、セレクトショップに勤務しディレクションやバイイングを経験。2006年に「バルムング(BALMUNG)」を設立し、2010年にファッションブランドとしての活動をスタートした。男性服でも女性服でもないニュートラルで性差を感じさせない"服"。平面性から造形するフォルムで新しい人間像を描いている。過去にはレディー・ガガ(LADY GAGA)やテレンス・コー(Terence Koh)、セルゲイ・ポルーニン(Sergei Pulunin)へ衣装提供をしたこともある。

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