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© Cartier
カルティエが、初のアニメーション作品「LA PANTHÈRE DE CARTIER」を制作した。テーマはメゾンの象徴「パンテール」。アジア最大級の「カルティエ 銀座 4丁目ブティック」がグランドオープンする前日の9月18日に、一般公開する。
漫画家の浦沢直樹がクリエイティブパートナーを務め、エンディング曲は音楽家・江﨑文武が作曲を担い、ミュージシャン・坂本美雨が作詞を担当。歌唱は、アニメーションの声優も務める俳優の高畑充希。そして渡辺謙や山口智子、清原果耶といった日本を代表する俳優陣が声で出演する。
ジャンルを超えて集結した才能が交錯し、Free Spirit(自由な精神)、Individuality(個性)、Beauty(普遍的な美しさ)というカルティエの精神を宿した、唯一無二の作品となっている。
作品は、9月18日21時にLINE VOOMで放映予定。LINE VOOMおよびスペシャルサイトには、カルティエ公式LINEアカウントからアクセスすることができる。
カルティエのパンテールと、生みの親ジャンヌ・トゥーサン
王室御用達ジュエラー「カルティエ(Cartier)」のエンブレム、「パンテール」。美しくしなやかで、ミステリアスな豹(ひょう)の姿を生き生きと映し出した、唯一無二のコレクションだ。
メゾンの象徴である「パンテール」はどのようにして生まれたのか? 愛され続けるシグネチャーとしての礎を築いた立役者で、メゾン初の女性クリエイティブディレクターとなったジャンヌ・トゥーサンの躍動とともに、名品が生まれたヒストリーを振り返る。

ジャンヌ・トゥーサン(1962年)Cecil Beaton Archive © Condé Nast

パンテール ブローチ(1949年)Vincent Wulveryck, Collection Cartier © Cartier
力強さと優雅さを内包するパンテール
「パンテール」は、フランス語で「豹」を意味する。カルティエが手掛ける「パンテール」は、サヴォアフェールと豊かな感性によって、彫刻作品のごとく精巧に具現化。ハイジュエリーの世界に爪痕を残してきた。
リングやネックレス、ブレスレットといった数多くのジュエリーを彩る気高いこのネコ科の動物は、野生味がありながら官能的。今にも飛び出してきそうな立体的なシルエットに目を奪われる。まさに「カルティエ」のエンブレムと言える存在だ。
「パンテール」の誕生は1914年。パヴェ ダイヤモンドにオニキスの斑点を散りばめた、アールデコ調のブレスレット ウォッチのパターンとして登場し、歴史の幕を開けた。

ブレスレット ウォッチ(1914年)N. Welsh, Collection Cartier © Cartier
ちょうどその頃、カルティエ創業者の孫にあたる3代目ルイ・カルティエは、一人の女性と運命的な出会いを果たす。"豹の毛皮のコートをパリで初めて優雅にまとった女性"を自認し、豹の飾りのシガーケースを愛用する社交界のミューズ。ルイが「ラ パンテール(パンテールのような女性)」という愛称を付けた、ジャンヌ・トゥーサンだ。

ルイ・カルティエからジャンヌ・トゥーサンに贈られたシガーケース(1917年)Archives Cartier Paris © Cartier

ジャンヌ・トゥーサンがカルティエに注文した化粧ケース(1919年)Archives Cartier © Cartier
時代の先駆者、ジャンヌ・トゥーサン
ジャンヌは圧倒的な個性と、クリエイティブなセンスを持ち合わせていた。そして彼女の常識にとらわれない自由なマインドは、ファッションにも現れている。シルクのゆったりとしたチャイニーズパンツ、タタール民族のブーツなど、オリエンタルな要素を取り入れた上質で独創的なスタイルに身を包んでいたという。熱気に満ちた1920年代のパリで、ジャンヌの存在は一目置かれていた。

ジャンヌ・トゥーサン(1923年)Baron Adolph de Meyer © Cartier
ルイは、先見の明を持った彼女の能力を見抜き、メゾンに招いた。女性が働くことすら珍しかった当時では、異例の大抜擢といえる。
ジャンヌは、ハンドバッグのデザインに始まり、数々のアクセサリーを手掛けた後、ハイジュエリーのデザインを専任。1933年からは、カルティエの中核を担うスタジオのクリエイティブディレクターとして情熱を注いだ。

ジャンヌ・トゥーサン(1967年)Henry Clarke, Vogue © Condé Nast

デッサンを描くジャンヌ・トゥーサン(1937年)© Ministère de la Culture - Médiathèque de l'architecture et du patrimoine, Dist. RMN-Grand Palais / François Kollar
歴史に残る名品 未来を切り拓く女性のシンボルに
「パンテール」初期のブレスレット ウォッチに見られたような平面的でジオメトリックなデザインから、ジャンヌが「パンテール」を生命力あふれる立体的なハイジュエリーへと昇華させたのは1948年のこと。ウィンザー公爵夫人のために製作したブローチだった。

パンテール ブローチ(1948年)Documentation Cartier Paris © Cartier
116カラットを超える鮮烈なエメラルド・カボション(表面がドーム状で底面が平らなカット)の上に優雅に君臨する「パンテール」の姿が、圧倒的な迫力を放つ。このセンセーショナルなジュエリーは、その後もウィンザー公爵夫人はもちろんのこと、メキシコの女優マリア・フェリックスや、社交家のデイジー・フェローズなど、など数多くのセレブリティを魅了していく。
ジャンヌ・トゥーサンが手掛けたハイジュエリー






ヒンドゥー ネックレス(1936年)Nils Herrmann, Collection Cartier © Cartier
「パンテール」のブローチを大成功させたジャンヌは、以来、動物や異国の文化、自然界のストーンなどからインスピレーションを得て、数々の作品を発表。ボリューム感あふれるイエローゴールドのクリエイションも、彼女が好んだテイストのひとつだった。豊かな発想力と才覚を発揮して一歩一歩「パンテール」に近づいていった彼女は、圧倒的なオーラをまとい、「トゥーサン テイスト」と呼ばれたスタイルを惜しみなく披露。当時の上位顧客たちの注目を集めることとなった。
象徴的な「パンテール」ハイジュエリー&ウォッチ



「パンテール ドゥ カルティエ」リング © Yona Hillat © Cartier
大胆な発想と確かな意志を持つジャンヌのエスプリを宿した「パンテール」は、移り変わりの激しい時代の空気をまといながら、自分らしさを求める女性たちのシンボルとして支持を得ていった。そして現代を生きる女性たちのライフスタイルにもしなやかに寄り添いながら、今なお進化を続けている。
■カルティエ 銀座4丁目ブティック
所在地:東京都中央区銀座4丁目2-11
営業時間:11:00〜19:00
2025年9月19日(金)オープン

© Cartier
お問い合わせ先
カルティエ カスタマー サービスセンター 0120-1847-00
最終更新日:
text: Chikako Ichinoi | edit: Chiemi Kominato, management: Mizuki Okuhata (FASHIONSNAP)
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