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谷根千とは、東京の谷中と根津、千駄木の頭文字を組み合わせた地域の総称である。都心にありながら下町情緒やノスタルジックな雰囲気が色濃く残っており、観光や散策の名所として人気を集めている。近年では古くからの街並みを活かしたリノベーションの動きも活発になり、新旧の価値が交差する街として魅力を発信し続けている。
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この潮流は「ジュンヤ ワタナベ マン(JUNYA WATANABE MAN)」のパタンナーとして経験を積んだ上田碧が手がける「ユース オブ ザ ウォーター(YOUTH OF THE WATER)」のモノづくりの姿勢と重なる。古くは軍服として着用されていたミリタリーアイテムや名作ヴィンテージを範に取り、ブランド独自の素材やモダンなデザインで現代に合う服を提案するこのブランドは、谷根千の街は共鳴する。歴史あるものに敬意を表しながら新たな価値を提示する「ユース オブ ザ ウォーター」の服を纏い、谷根千を巡る。
創業150年の老舗花屋と都会的なワークジャケット

かつて茶屋町として繁盛した谷中霊園付近で4代続き、地域に根ざした街の花屋として知られている花重。登録有形文化財として認定されている建物をリノベーションし姿を変えた花屋は、かつての風情を今に感じさせる。


100年ほど前のアメリカで、鉄道作業員が着用していた作業着としてのルーツを持つヒッコリー。汚れが目立たないようと考案された縦縞は、一目でわかるアイコニックさから今ではアメカジスタイルの定番になっている。「ユース オブ ザ ウォーター」はこのヒッコリー柄に注目し、ブランドオリジナルで生地を開発。一般的には白と紺の配色のみで表現されることが多いなか、糸を染色してから生地へと仕上げる先染めの手法を採用し、さらに織り方まで指定することで、色変えでは表現できない奥行きのあるテキスタイルを作り上げた。クラシカルな柄とヒッコリーの凹凸感を表現しながら、どこか上品な表情を纏ったワークジャケットは気負わず着こなせ、スラックスを合わせた都会的なスタイリングにも違和感なくマッチする。
下町の銭湯とクリーンなデニムパンツ


地元民の憩いの場として親しまれてきた朝日湯。創業90年以上経つ昔ながらの銭湯では日替わりの薬湯やサウナを楽しめる。隣にはレトロな外観に惹かれるコインランドリーを併設しており、汗を流している間に洗濯を済ませるのが常連の過ごし方。


デニムパンツの王道として知られる「リーバイス(Levi’s®)」の501。合わせやすいストレートシルエットやミニマルなデザインなど、トレンドに左右されない普遍的な価値を持つ一本は、ワードローブを形成するうえで欠かせないアイテムの一つだ。ヴィンテージから現行まで選び始めるとキリがないが、新たな選択肢としてサンプリングにも注目したい。名作をブランド流に再解釈した一本は、1933年の501をモチーフにしたパターンや大量生産されていた当時のデニムパンツに見かけられたディテールを細かに踏襲したこだわりの仕様が魅力。本格的なディテールを取り入れながら、素材にはシルクのような光沢と柔らかい肌触りが特徴のスーピマコットンを採用することで、粗野な印象を払拭しクリーンに仕上げた。上質なニットにもハマり、シンプルなスタイリングながら洗練された印象を与えてくれる。
喧騒から離れたカフェとデニムジャケット


パセレは静かな住宅街にあるカフェ。緑豊かな小道を抜けるとこじんまりとしたお店が突如として姿を現す。オーナーが厳選した什器に囲まれた店内では、チュロスを食べながら喧騒から離れたゆったりした時間を堪能できる。程よく塩気の効いたチュロスはセットのホットチョコとともに食べるのがおすすめ。

モチーフを踏襲しながらどのようにアップデートを施すかという点にブランドの手腕が問われる。そのまま作るのではなく如何にしてブランドらしいエッセンスを加え、新しいものとして見せるかが重要だ。こちらは「リーバイス」が誇る名作の一つである「506xx」から着想を得た一着。背面のシンチバックや片ポケのディテール、パターンまで踏襲しながら、大胆にもプルオーバーへと変更することで全く新しいものへと姿を変えた。デニムジャケット特有のマニッシュで力強い印象とは異なり、緩く開いた首元やゆとりあるシルエットなど中性的で抜け感のある仕上がりが目を惹く。モチーフを真に理解したブランドによって作り上げられた一枚は、単なるサンプリングという域に留まらず、ルーツに対するリスペクトと新しいものを生み出す強いクリエイティビティを感じさせる。
見晴らしの良い坂道とドレスシャツ


東京23区に富士見坂と名付けられた坂は20箇所以上あるという。谷中にある富士見坂は、その名の通り富士山が見られる場所として江戸時代から続く観光名所の一つ。今では富士山は見られないが、まっすぐ伸びる坂道は今でも気持ちがいい。レトロモダンな雰囲気の煉瓦造りの壁も雰囲気満載。

「ユース オブ ザ ウォーター」が25AWのテーマとして着目したのは“NASAのアポロ計画における研究チーム”。1960年代にアイスランドで実施したトレーニングの風景や、3カ月間の滞在期間中に記した日記をもとに制作されたコレクションは、かつての生活やスタイルをそのまま映し出している。当時彼らが着用していたタキシードから着想を得てデザインされたシャツは、さりげなくアクセントを効かせるステッチワークとシーンに応じて付け替え可能なデタッチャブル仕様の襟元が特徴だ。ドレスシャツのデザインを踏襲しながら、あえてその対極にあるシャンブレー素材で仕立てることで、ワークシャツの無骨な雰囲気を醸し出た一枚は、ホワイトのボトムスと合わせてもキザにならずさらりと着こなせる。
街を見守るシンボルとチェックジャケット

暮らしのシンボルとして谷中の街にそびえ立つヒマラヤ杉。美しい日本の歴史的風土100選にも選ばれた樹齢90年の大木は、街とともに成長した時の流れを感じさせ、その歴史の深さに自然と背筋が伸びる。


このジャケットもアポロ研究員たちの生活から着想を得た一着。アイスランドの地で遭難した際に発見されやすいようにと、目立つ服を身につけていた研究員の中でバッファローチェックのジャケットを羽織った人物を発見し、デザインソースとして引用した。インクジェットプリントで表現された象徴的な柄は、着込むたびに徐々に薄れていき、生地本来の風合いへと変容を遂げ、時間の経過とともに経年変化を楽しめる。格子の大きさでガラリと印象が変わるが、ブランドが採用したのはあえて大きめのもの。可愛らしくなりがちな大ぶりのチェック柄もシンプルなデザインで仕上げることで大人っぽい印象に落とし込んだ。バッファローチェックというと一般的には黒と赤の配色が多いが、落ち着いたトーンのブラックとオフホワイトの組み合わせは小綺麗で新鮮に映る。
賑わう商店街とタックパンツ


谷中銀座商店街に訪れたなら食べ歩きを楽しみたい。数多くあるお店の中でも一際繁盛していたのが肉のサトー。豊富なメニューの中でも一番の人気はメンチカツ。素材と昔ながらの製法にこだわり、懐かしさを感じる味わいが魅力だ。観光客だけではなく地元民にも愛されている商店街の顔。

インディゴ染めされた杢糸で織りあげた生地を使った、軽やかな表情が特徴的なワンタックパンツ。腰元にゆとりを持たせる深いタックと裾にかけて緩やかにテーパードする端正なシルエットでスラックスのような雰囲気を纏いながら、アクセントとして取り入れられたホワイトのステッチワークと短めに設計されたくるぶし丈で足元を軽快に見せてくれる。ブルーグレーのような繊細な色味を活かした、ナチュラルなトーンのスタイリングで着こなしたい。
photography: Hikaru Nagumo styling, text and edit: Ryoji Miyazaki hair & makeup: Hina Nagamoto model: Kanata Mori direction: Hideya Yokoi
最終更新日:
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