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Image by: ANREALAGE ©Koji Hirano
パリ・ファッションウィーク2日目、「アンリアレイジ(ANREALAGE)」が2026年春夏コレクションを発表した。テーマは「♡」。ゲストに届いたインビテーションは立体的な赤いハート型のオブジェで、スイッチを入れると鼓動を始める仕掛け。ショーが始まる前から、テーマはすでに息づいていた。
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ヘラルボニーと初のパリコレ共演
デザイナー森永邦彦がテーマに掲げた「♡」は、言葉にすると「生命の可視化」。服そのものを命ある存在のように変容させる試みだ。その核心にあったのが、障がいと芸術を結ぶクリエイティブカンパニー「ヘラルボニー(HERALBONY)」とのコラボレーション。契約作家18名によるアートが服へと転写され、ランウェイに登場した。パリコレ公式の場でヘラルボニーの作品が披露されるのは初めてで、健常と障がいという境界を超える表現として、注目を集めた。

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森永はすべての作家と直接対面し、制作の現場を訪ねたという。「彼らの日常の所作、時間の積み重ねにこそ、生命のリアリティが宿っていた」と語る彼が感じたのは「命の結晶」としてのアートだ。そして、ヘラルボニーが掲げる「違いは欠落ではなく可能性」という理念を、自らのクリエイションに重ね合わせ、ファッションへと転換した。
心臓のリズムを体現する服
ランウェイを彩ったのは、彼らの作品をドレスに昇華したルック。フリルやラッフルはまるで心臓が脈打つように揺れ、ヘムラインは有機的なリズムを描く。さらに、チェック柄やブレザーなどを組み合わせたプレッピースタイルも登場し、クラシカルな要素と有機的なシルエットが融合した。

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鼓動を打つドレスとバッグが登場
ショー中盤に登場したユカイ工学(Yukai Engineering)と開発したぬいぐるみバッグは、セラピーロボット「クーボ(Qoobo)」の仕組みを応用し、撫でると尻尾がふわりと動く。その後に続いた、同技術を用いたドレスは、ソフトチューブロボットを仕込み、身体に寄り添ったり離れたりと、まるで呼吸するように変化する。森永が「服自体が自発的に動き出す表現を目指した」と語るように、服に命を宿す試みだ。

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ランウェイ全体がひとつの生命体に
会場を包んだ音楽は、前シーズンに続き、元ダフト・パンクのトーマ・バンガルテルが制作したオリジナルサウンドトラック。冒頭から、心臓の鼓動のような低音が鳴り響き、服の揺らぎとシンクロする。音と衣服が一体となり、まるでランウェイ自体がひとつの生命体として躍動するようだった。






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「生命を可視化する」という新たなファッションの表現
パリコレ参加23回目。森永はこれまでもファッションの境界を軽やかに超えてきた。今回のヘラルボニーの作家たちが紡いだ純粋な表現は、アンリアレイジを通じて新たな息吹を吹き込み、ファッションとアート、そして福祉を融合させ、「生命を可視化する」という新しい可能性を示す。これは、ファッションが果たすべき役割のひとつを、あたたかく、そして力強く提示するものとなった。


森永邦彦
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最終更新日:
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