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レビュー
今月(10月1日~10月31日)
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シーモア島


投稿レビュー
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耽美世界ネタバレ2025年8月19日このレビューはネタバレを含みます▼ 漱太郎のあまりの悪行が気持ち悪くて序盤で離脱しそうになりましたが、でもこの悪魔にどんな鉄槌が下されるのか見極めてやりたくなりました。確かに鉄槌は下されたけれど私の望むものではなかった。夢生のひたむきな恋心を何十年もの間弄んだ挙句、最大限の絶望と嫉妬を与えた結果が生んだ壮絶なラストでした。「きみを最後の最後まで守る」と心に誓った夢生が最後に守ったものは自分の心だったという皮肉。「罪の意識を持たないですむ才能」なんてのうのうと言ってのける漱太郎にはきっとわからないままなんだろうことが悔しくてモヤモヤしたし、自分の犯した過ちを少しでも悔い改めて欲しかったけど、でも清々しいくらい気持ち悪いラストだからこそ"ジェントルマン"なんだと思った。
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女性向け官能小説2025年7月16日5編とも特殊な性癖の持ち主ばかりで私には合わなかったです。道徳的に許されないエロスをテーマにしたものもありました。どの作品も仄暗く背徳感のある内容ですが、木原音瀨さんの「Lotus」が特に印象に残りました。この作品の主人公も強烈な癖の持ち主ですが、交わりなど一切ないのに体温や感触、匂いだけでここまで性を感じさせる筆力は凄かった。ようやく自由になった老女が放った最後の一言。とても印象深いです。女性向けの官能小説ですが、表紙絵のわりには全体的に内容はあっさり目でした。もっとみる▼
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お互いを守るお守りネタバレ2025年7月8日このレビューはネタバレを含みます▼ 二人の関係性に名前をつけるとしたらなんだろうと不粋なことを考えながら読んでいましたが、作中の「互いが互いのお守り」という言葉にとてもしっくりきました。「光のとこにいてね」という果遠の言葉は、魔法のような時には呪いのような言葉でもあったけど、結珠の幸せを精一杯願う祈りのようなものでした。7歳の時、15歳の時、その光は弱くて小さくてすぐにも消えてしまいそうで、運命に抗うことのできない少女たちの心そのものに感じました。次に訪れる「光のとこ」は今度こそ明るい光であって欲しいと思いながら読んでいましたが、次の光もまた残酷なものでした。結局今度も結珠は「光のとこ」に縫い止められたまま生きていくしかないのかなと絶望的なラストを予想してしまいましたが、でも違いました。今までみたいに従順に運命を受け入れるだけの結珠じゃなくてよかった。「光のとこ」を飛び出して、本物の圧倒的な光の中へと駆け出していくラストは圧巻でした。
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選ぶ覚悟、失う覚悟ネタバレ2024年11月18日このレビューはネタバレを含みます▼ 冒頭からいきなりのやるせなさに長いこと読めずにいた作品です。どう足掻いたところでこれが結果なんだと重たい気持ちで読み始めたのですが、プロローグで読んだ結末と完読後の結末とでは感じるものがあまりにも違いました。暁海は世間的には普通でない許されない選択をしたけれど『ここは私が選んだ場所』ならそれでいいのだと思えるラストでした。本作の登場人物たちは皆揺るぎない強さを持っているけれど、瞳子さんにしても北原先生にしても世間的には許されない部類の人たちで、それでもこんなに凛と生きられるのは選ぶ覚悟と失う覚悟を持っているからなのだと思いました。羨ましい強さだけど私にはできそうにもありません。正解を選んで生きてきた私は瞳子さんや北原先生のような人を色眼鏡で見てきたし、これからもそれは変わらないと思う。作中の「誰に罵られようが誰に恨まれようが」という考えにも共感はできません。でも「正しさだけで全てが決められたらどれほど楽だろう」という一文を読んでハッと気づかされました。私は正解を選んできたわけじゃなくただ楽な方を選んできただけなのだなと。正解な生き方でもそうじゃない生き方でも自分の信じたように生き、最後に『自分の選んだ場所』に辿り着ければそれでいいのだと思えました。
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ラスト一行まで切ない…ネタバレ2024年8月15日このレビューはネタバレを含みます▼ 辛い苦しい切ないというレビューが多すぎて読むのを長いことためらっていた一冊です。『美しいこと』を読んだ限りでは確かに辛いという言葉しかありません。なんて苦しい恋なんだろうという感想しかないです。これまで数多のBLを読んできましたが、そのどれとも違いました。絆されてとか流されてとかのご都合主義的な甘さは一切なくストレートの男のあまりにも容赦ない拒絶だった。「こんな気持ちから早く助けて」と泣く松岡の心の叫びにも全く気づかない鈍感な寛末をズルいと思いました。ふんわりと余韻の残る美しいラストでしたが、でも現実はこんな美しいままで終われるはずはない。寛末はこの先自分の気持ちに一体どうやって折り合いをつけるつもりなのだろう。二人の心の真実を情け容赦なく暴いてほしいです。ここで終わってしまってはファンタジーです。シーモアさん、どうか続編の配信をよろしくお願いします。
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絶対騙される!ネタバレ2024年7月14日このレビューはネタバレを含みます▼ 叙述トリックで検索すると必ず挙げられる一冊で前から気になっていました。叙述トリックと分かって読んでいるのにすっかり騙されてしまいました。「先入観」に見事騙されてしまった。途中なんとなく不自然な箇所はいくつもあったはずなのに。改めて読み返しながら「なるほどここか」と納得しつつ答え合わせをする作業もまた楽しかった。本書で一番不気味だったのはシリアルキラーの本当の人格や殺人の動機などがさっぱり見えてこなかったことです。皮肉屋な「医師」とのやり取りは軽妙で面白かったけど、どこからが狂気でどこまでが怪物なのか。結局本人の内面にはたどり着けないまま終わってしまっているので、そこがなんとも言えず不気味でした。そして最後のシリアルキラーの一言。あまりのホラーなエンドにゾッとしました。シリアルキラーが今後どうなっていくのかぜひ読みたいところですが、作者様はもう亡くなられているのですね。残念です。
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もうひとつの戦争2024年4月23日太平洋戦争の知識はあっても独ソ戦についてはほとんど知らなかったので大変興味深く読み終えました。失った人命も相当数でいかに残虐な戦争だったのかがわかりました。その残虐で凄惨な戦争の最前線で戦い抜いた女性狙撃手の視点から捉えた本作は、戦争を語る上であまり触れられることのない女性たちへの性暴力と虐殺に焦点を当てた作品で、本作のテーマでもありました。「集団で女性に乱暴することで仲間意識を高め結束力を強くする」と公言する男性兵士たちも故郷へ帰ればよき夫で優しい父親なのかもしれない。ごく普通の平凡な人間を簡単に悪魔に変えてしまう戦争の悲惨さ無情さに胸が痛くなりました。80年経った今それと同じことがウクライナで繰り返されています。一日も早い終結を祈らずにはいられません。もっとみる▼
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全てを覆す"衝撃の一行"2024年3月15日映像化不可能と云われるこの有名な作品がついに実写映像化されるのに先駆けて読んでみることにしました。通信手段のない孤島で次々と起こる連続殺人。犯人の動機や人物像の描写など少し薄いなと感じる部分はあるものの、お互いを疑い探り合い疑心暗鬼になっていく過程は苦しいながらも一番面白い部分でもありました。途中まではこの作品の一体どこが映像化不可能なんだろうと思いながら読んでいましたが、終盤の"衝撃の一行"に鳥肌が立ちました。全てがひっくり返るほどの破壊力でした。これは確かに映像化は難しいと思います。小説だからこそ成り立つ犯人像だと思うのですが、これを一体どうやって映像化するのかとても楽しみです。もっとみる▼
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息詰まる心理戦ネタバレ2023年5月3日このレビューはネタバレを含みます▼ 籠城中の有岡城で起こる数々の不可解な出来事。祟りだ冥罰だと混迷する中、村重が囚人官兵衛の知恵を借りて解決するというくだりは面白く、この牢越しの二人のやりとりは興味深かった。謎をひとつ解決するたび孤立していく村重。正直謎解き細部よりも、追い詰められ焦り次第に統率力を失っていく村重と、村重の孤独を操り戦さを仕掛ける官兵衛の真の企みの方が恐ろしかった。でも本当に恐ろしかったのは怪事件の裏に潜む動機です。「退かば地獄」と人心を駆り立て進むことしか許されない戦国の世。極楽や冥罰に救いを求める乱世ならではの残酷で悲しい動機に胸が詰まりました。普段時代小説を読まない私には少々難しい内容でしたが、乱世にあって武門を重んじる武士の生き様は理解し難いながらも史実を踏まえたストーリーは面白く、とても興味深く読み終えました。
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ありがち設定ながら読み応えあり!ネタバレ2023年3月23日このレビューはネタバレを含みます▼ 長年片想いをしている親友との叶わなかった恋の結末や親友としてずっとそばにいるための苦悩が丁寧に描かれており冒頭からしんみりとしてしまいました。親友の弟の中に彼の面影を探しながらも少しづつ弟へと傾いていく様子にとても共感できました。初読みの作家さんですが、繊細な心理描写や美しい情景描写など言葉選びがとてもきれいな作家さんだと思います。野球ボール、腕時計の電池、チョコレートなど作中に登場する小物たちがとてもいいスパイスとしてお話を引き立てており、特にテーピングの描写が素晴らしかった。恵那の中学生時代のエピソードには憤りを感じますが、彼のお母さんの気持ちも少しわかるように思います。弟くんのお母さんが立派過ぎていやでも比べてしまいますが、多種多様な価値観が求められる今の時代、親としてもっと柔軟に捉えていかなければいけないのかなと、私ならどう言えるだろうと思いながら読み終えました。
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最期に見つけたものネタバレ2023年3月14日このレビューはネタバレを含みます▼ 世界が滅びるまでの1ヶ月間を四人の登場人物たちがどう生きたのかを描いた作品で、終焉の時を迎える直前で完結となっているのでとてもしんみりとした読後感でした。毎日に生きづらさを感じていた彼らが、世界が滅びる間際になってようやく自分の居場所を見つけささやかな幸せを手に入れる、最期の最期に見つけた「ユートピア」は切なくてとても温かい世界でした。たとえ世界が滅亡してしまってもいつかどこかで新しい生命が誕生するのでしょう。銀のスプーンを持った赤ちゃんの表紙はそんな未来を連想させてくれます。可愛らしい表紙だなと思っていましたが、読み終えてみれば幸せとは何か、家族とは、未来や希望そして生命とは。たくさんのメッセージが込められているように思いました。
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罪の連鎖ネタバレ2023年2月18日このレビューはネタバレを含みます▼ 独白形式で構成されているのは「告白」と同じですが、こちらの方は少しだけ救いのあるラストになっていました。四人の少女たちに課せられた呪いの言葉が彼女たちのその後の人生を大きく狂わせていく。でももし被害者少女の死を悼み弔う気持ちがあれば呪縛に囚われることはなかったのではないかと思います。一番大切なことにもっと早く気づいていれば忌まわしい償いの連鎖はおこらなかったのではないかと思います。償えと迫った母親の気持ちも少しわかるような気がしました。でも本当に償わなければならなかったのは母親の方。あまりの皮肉さに鳥肌が立ちました。本当の悪人は誰なのだろう、「贖罪」とは誰のための贖罪なのだろう、彼女たちの15年は一体なんだったのだろうといろいろ考えずにはいられませんでした。最後は当然犯人の独白で終わると思っていたのですが、違いました。結局犯人の素顔ははっきりとはわからないままで、事件を起こすまでと真実を知ったあとの、相当苦しんだであろう犯人の苦悩にも触れたかったです。
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別に性格悪くないネタバレ2023年1月30日このレビューはネタバレを含みます▼ 同じ凡人として千裕の気持ちよくわかります。何をやっても敵わないと思っていた相手からのまさかの好意。そりゃあ調子にも乗りますよね。でも自分の非を素直に認めきちんと謝罪する、これはなかなか出来ることではないと思います。性格が悪いどころかすごく好感が持てました。一方、恋愛を狩りに例える向井の恋愛観にはどん引きましたが、別にSっけ攻めではなかったです。クールな外見とは裏腹に心の中では常にウジウジ悩んでいろいろ拗らせてる。そんな向井と、のんびり構えているようで案外男前な千裕はとてもバランスの取れた2人だと思いました。結局2人ともすごくいい人たちで普通に好感を持ってしまいました。せっかくの性格の悪い受けとSっけ攻めという美味しい設定をもっと堪能したかったです。
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6つの家族の物語2023年1月10日本屋大賞3位受賞の作品で前から気になっていました。6編から成る短編集ですが、どれも家族をテーマに描かれており読後ずーんと心に残るものばかりでした。「式日」の中に"一軒一軒の窓の明かりは自分のものじゃない明かりほど美しく見える"という一文がありますが、共感です。家庭という小さな世界に必ず存在する歪み。6作品の家族にも決して外からは見えない秘密や歪みがたくさんあって、その"歪さ"を愛し受け入れながら生きる彼らにどこか物悲しさを感じました。淡々としたイメージのお話ばかりですが、各話が次の作品へとうっすら重なり合う部分があり、それを探しながら読むのも楽しかったです。一人ひとりの小さな世界が知らない間に知らない誰かの世界と重なり繋がっていく、だから「ワールズ」なのかなと思いました。もっとみる▼
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滂沱の涙ネタバレ2022年12月8日このレビューはネタバレを含みます▼ タイトル通り壮大な恋のお話でしたが、表紙絵のふわふわと可愛らしい雰囲気とはまるで真逆なストーリーでした。文明開花の華やかな音色を無邪気に楽しむ紅や小鬼たちが可愛いければ可愛いほど、悲しい結末を予想せずにはいられませんでした。鬼の理の中で生きるしかない運命を覆すことができるのか、どう切り開いていくのかが最大の読みどころで、二人が再び出会うために交わした約束があまりに哀しくて切なかった。涙なしには読めませんでした。有馬と再び出会えたことでまた泣き虫に戻ってしまった紅が愛しいです。安心して泣ける場所を見つけられて本当によかった。どうしても紅たちに肩入れしてしまいますが、紅が怒りの感情のまま無理やり終わらせてしまった事実を全てきれいに忘れてしまうのは、少し違うと思いました。人には人の道理があるように鬼にも鬼の道理があるのは当然で、お館さまの仕打ちは仕方のない事だったのかもしれません。運命に従ったはずのお館さまの情念が凄まじかった。残酷な描写もありましたが、今まで読んだ綾ちはる作品の中でも一番好きなお話しです。
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テーマは「愛」ネタバレ2022年11月18日このレビューはネタバレを含みます▼ 上巻は現代版トキワ荘に集う若者たちのそれぞれの日常や夢、人となりなどが事細かく描かれており、あまりにもつかみどころのない内容に正直退屈でした。加えて登場人物たちの誰にも共感できず、特に環の勝ち気さが鼻につき読むのに苦戦しました。がらりと印象が変わったのは下巻の途中からで、彼らそれぞれの個性を上巻でしっかり把握しておかなければ下巻の面白さはわからないと思います。下巻でようやくストーリーが動き出すわけですが、あれほどいけ好かないと思っていた環の強さや優しさに何度も泣きました。そしてコーキの深い想いにも。彼らはお互いを救いそして救われたけれど、でもそれを口にすることはこの先も決してないのでしょう。同じ優しさを持っているのだと思います。最後まで読むとあの時のあのセリフあの描写は全て伏線だったのかと気付かされます。伏線探しをするのが楽しくて、何度も前に戻って読み直してようやく上巻の面白さに気付きました。
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人生は何度だってリスタートできるネタバレ2022年10月3日このレビューはネタバレを含みます▼ 王子とチャラ男の軽めのBLかと思い読み始めたのですが…。読むにつれ、志磨を支配しているもの、悪夢の正体、過去の疵が明らかにされてゆき、あまりの理不尽さに読むのを中断してしまう程キツかったです。子供を素材といい子育てを人材育成だと言い放つ父親と面子と保身ばかりの母親。雁字搦めにされながらも前に進みたいとがんばる志磨の姿に共感しました。一人ではできなかったことが、二人だから乗り越えて行けたのだと思います。決着をつけたからといって過去の疵は消えてくれないけれど、二人で新しい家族を未来を作っていって欲しいです。明るい未来を彷彿とさせる再生ストーリー部分は面白かったのですが、その他の部分にモヤモヤが残りました。強引に始まったかに思えた二人の関係も十季の過去を知れば納得ですが、志磨を罰することを妄想して何年も逆恨みした挙句、出会ってからの犯罪ギリギリの行動と変態まがいのプレイの数々は受け入れられませんでした。手に入れるためなら手段を選ばない怖い人に感じました。
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もっと前に出会っていれば…ネタバレ2022年9月10日このレビューはネタバレを含みます▼ お互い心惹かれあいながらも、そしてお互いそれを知りながらも決して言葉にすることのない想い。同じ痛みを持っているのにそれを共有することもなく、それぞれが一人でじっとその痛みに耐えている、そんな印象の二人でした。世間体や常識、相手の気持ちや周りの人たちの気持ちに優先順位をつけ、結果全ての人たちを傷つけ一人で逃げてしまった新開を不誠実だと思う気持ちはありますが、そんなズルい大人が、立て掛けられた紺色の傘を見て子供のように泣くシーンがとても心に刺さりました。そして文人が河原でキーストラップを見つけて号泣するシーンも。作中には多くの小物たちが使われていました。紺色の傘、キーストラップ、キャラメル、万年筆。それらの小物たちが抑え込んだままの二人の感情を上手に引っ張り出してくれました。二人が答えを出すためには長い年月が必要だったし、まだ越えなければならないものもあるようですが、今度こそ幸せを掴み取ってほしいです。とても切なくてもどかしかったけど、数ある凪良作品の中でも一番好きな作品となりました。
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人間不信になりそうネタバレ2022年8月16日このレビューはネタバレを含みます▼ 事件が解決してスッキリなはずなのに、どんよりとした読後感が残っています。みんな真実を語っているのに、その人の見方感じ方によって歪んでくる事実。作中の「自分の記憶で作られる過去と他人の記憶で作られる過去。正しいのはどちらなのでしょう」と語る一文がとても印象深いです。自分勝手な思い込みや無自覚な悪意による不確かな情報を誰もが事実と思い込み糾弾する、誰しもに起こりうる出来事なだけに怖かったです。ミステリーというよりは、面白おかしく書かれる無責任な書き込みによる犯人探しに焦点を当てた作品でした。映画も観ましたが、映画の後味は幾分スッキリです。原作には無かった、ろうそくの炎で気持ちを伝え合うシーンがとてもよかった。これだけは紛れもない真実なのだなと最後に救われました。
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ご主人さまと謎解きを【シーモア限定特典付き】(イラスト付き)
ほのぼのミステリー2022年8月5日謎解き自体はあっさりと解決してしまうのですが、その謎解き方法がまさかの設定で面白かったです。大変な事件に巻き込まれながらも暗さ重さはなく、BLとライトミステリーが上手く絡んだバランスのいい作品でした。これ程の事件の後ではさぞかし生きにくいと思うのですが、あまりに綺麗に終息してしまった事に多少の疑問は残るものの、それでも最後まで楽しく読ませてしまうのは主人公たちの魅力に他ならないと思います。スパダリ攻めも渋くてカッコよかったですが、受けがとにかく素直で可愛かった。逆境にもめげず明るく前向きに生きる逞しさに好感が持てました。もっとみる▼ -
三千六百五十日の抱擁【イラストあり・電子限定ショートストーリーつき】
ゆっくりしっとりネタバレ2022年7月27日このレビューはネタバレを含みます▼ 諦めることも思い切ることも出来ずに10年。細い糸に縋りながら、静かに恋心を育んでいく切ない想いが詰まった作品でした。王道の両片思いモノながら、ゆっくりと変化していく10年の軌跡が丁寧に描かれていて、恋愛部分だけでも十分楽しめるお話だったと思います。後半の大きな事件は2人の距離をぐっと縮めはしましたが、穏やかな清流に浸っていたところ、いきなり濁流に飲み込まれてしまった感じでなんか釈然としません。2人が繋いできた静かな長い年月を壊さない程度の小さな出来事でも良かったのではないかと思います。 -
共感も反感もネタバレ2022年7月11日このレビューはネタバレを含みます▼ さすがイヤミスの女王。重い気持ちのまま読み終え、その後3日ほど引き摺ってしまいました。ある事件に関わった人たちの独白形式で話は進むのですが、彼らの身勝手な告白に嫌悪しつつも、でも実際同じ立場に立たされたら私はどうするだろう。女性教師は見事復讐を成し遂げたけれど、これが正解とは思えないです。あれ程少年Aの倫理観を責めておきながら結局は自分も同じ事をしてしまう。彼女はその後の人生をどう生きていくのだろう。生きていけるのだろうかと考えずにはいられませんでした。作中には「倫理」というワードが何度も出てきます。憎しみや絶望は倫理をもあっけなく消し去ってしまう、そんな人間の心理を描いた作品です。重い余韻を残したままの衝撃のラストでした。
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初恋に堕ちる【イラストあり・電子限定ショートストーリーつき】
それは優しさじゃないネタバレ2022年7月1日このレビューはネタバレを含みます▼ 受けの心情に最後まで納得できませんでした。大切な女の子の初恋を叶えさせてあげたい、夢を見させてあげたいと綺麗事を並べておきながら裏では取引。彼女の純粋な恋心をダシに男2人が距離を詰めていく話といえばそれまでですが、彼女が可哀想すぎました。彼女がどこまで気づいていたのかはわかりませんが、自分の初恋が免罪符にされた事に気づいてしまったのだとしたら残酷すぎます。彼女が元気に再出発するラストならよかったのですが、こんなに重い話だとは思いませんでした。攻めもまた可哀想でした。攻めはただ受けが好きだっただけなのに。最後の受け視点でようやく受けの心情が明かされたものの、心を壊し連絡を絶った攻めを探し出し告白する受けの無神経さ。偽善的で傲慢な受けに振り回され傷つけられた2人が気の毒でした。「優しい受け」という表現がよく出てきましたが、これは優しさではないと思います。心惹かれる美しい情景描写も随所にあり想像が膨らみましたが、それとは対照的なドロドロとした非常に重いストーリーでした。 -
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過去と向き合えば未来はきっと変わる2022年6月4日「過去は変えられなくとも心ひとつで人はどんな辛い現実も乗り越えていける」実際はとても難しい事だけど、本当にその通りだなと思いながら読み終えました。私自身後悔ばかりの人生で、過去に戻ってやり直したいと思う事もしばしばですが、今日の自分が明日の自分を作り未来へ繋がっていくのだなと、過去は変えられなくても未来は変える事ができるのだなと改めて考えさせられました。この物語の登場人物たちも結局現実は変えられなかったけど、会いたかった人、伝えたかった言葉と向き合う事で違う生き方を見つける事ができました。4回は泣けなかったけど、ホロリとする、とても温かいお話ばかりでした。映画も観ましたが、映画の方がわかりやすいと思いました。本作では表面的だった人物像が魅力的に表現されていて共感できたし、謎のまま完結してしまったワンピースの女性の過去にも触れていて、ちゃんと納得できました。本作を読んだだけでは物足りなかったと思います。もっとみる▼
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タイトルの意味が辛い2022年5月15日前半は防犯探偵と美人弁護士が協力して密室トリックを暴いていく内容で、あらゆる仮説を立てては一つずつ潰していく地道な捜査はやや冗長気味で、これは謎解きではないなと思いました。俄然面白くなったのは後半犯人視点になってからですが、彼の境遇には同情しかなく思わず肩入れしてしまいました。せめて自分のこれからを諦めずにしっかりと生きて欲しいと願わずにはいられませんでした。硝子のハンマーは彼の心そのものであり、タイトルの意味が辛かったです。密室を使った巧妙なトリックはお見事でしたが、トリック自体は難解すぎて正直理解できませんでした。そもそも殺人まで犯す必要があったのか、動機が少し弱いように思います。まだ1作目のみの購読ですが防犯探偵シリーズとして続編も出ているようで、今作ではどこか噛み合っていない2人でしたが、今後名コンビになるのでしょうか。続編も追ってみたいと思います。もっとみる▼
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LOVEが足りない2022年1月25日タイトルや表紙絵から軽い恋愛ものを想像していたのですが、少し違いました。厳しい警察学校で切磋琢磨しながらも共に成長していく青春物語ですが、その根底には痛ましい事件の陰が常に付き纏っていました。同じ痛みを共有しながらも相容れない二人にもどかしくなりましたが、何度もぶつかり合う中で少しづつ打ち解け合い、抱え続けた自責の念から解放されていく様子は感慨深かったです。恋愛面よりも訓練の様子や事件性に比重を置いた作品で少し物足りなさもありましたが、くっ付いてからの攻めの液状化が楽しめました。四角四面で堅物過ぎる攻めの今後が少々心配ではありますが、きっと受けが側で支えてくれると思います。とてもバランスのとれた二人だと思いました。もっとみる▼
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後味最悪、でも読みたい2021年11月28日三冠を達成したミステリー短編集という事で気になっていた作品です。語り口は静かで昭和の風情がありますが、どのお話も仄暗い薄気味悪さがあり後味は最悪です。一話読むごとに気持ちが引きずられ、読了するのに時間がかかってしまいました。真実など知らない方がよかったと思わせる「夜警」「満願」 ホラーな結末にゾッとした「柘榴」「関守」 静かに裁きを待つ野望のサラリーマン「万灯」など印象的なお話ばかりで、暗く不気味な結末に彼らのその後を想像せずにはいられませんでした。イヤミスとはこういう作品の事を言うんでしょうか。ドラマ化もされているようなのでそちらも是非観てみたいです。もっとみる▼
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自己完結やめろネタバレ2021年9月22日このレビューはネタバレを含みます▼ あらすじから攻めの執着愛の気配をビシビシ感じ、思わず手に取りました。10年前の恋をきちんと終わらせるために、1ヶ月限定で付き合うという意味不明な提案が攻め視点のお話だったのならまだ理解できたと思います。ですが受け視点ではその提案を受け入れる理由がわからないし、けじめをつけるためとか全部終わらせるためという理由付けも少し強引かなと思いました。そんな提案を寄越す攻めの本心など読者はお見通しでも受けには伝わらず、散々悩んで勝手に自己完結する自己中な思考回路についていけませんでした。話し合えばいいのにと思います。でも学生時代のエピソードはほろ苦いものがありました。まだ20歳そこそこでは相手を慮れるほど大人でもないですよね。2人の未熟さが招いた別れだったからこそ、今度こそゆっくりと恋を育んでいって欲しいものです。
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叙述トリック2021年9月17日叙述トリックとは知らず額面通りに受け止め読み進めた結果、最後に明かされる真相にただただびっくりです。タイトルの通りですね。まともな登場人物が一人もいなくて読むのに苦心しましたが、それも伏線でした。途中で何度も感じた違和感の正体も読了してみればなるほどですが、設定に無理やり感やでき過ぎ感を感じました。精神異常者の妄想で全てを片付けてしまうならどんな設定も有りになってしまうし、少し安直かなと思います。でも叙述トリックとして読むならすごく面白かった。騙された感ががすごかったです。終始陰鬱とした緊張感をはらんだお話でしたが、事件の真相が分かりホッとしたのも束の間、最後がまた怖かった。もっとみる▼
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理想の結末なのにしんどい2021年7月26日ファンタジーというよりはSF色の強いお話でしたが、未来に警鐘を鳴らす内容でもありました。精緻化したアンドロイドに人間が使われる未来が本当に来るのかもしれないし、永遠の命を得られるようになるのかもしれない。絵空事ではないようにも思います。永遠に生き続けるということは大切な人たちの死を何度も見続けるということで、それはとても残酷なことです。歳を取り死んでいくのは悲しくて辛いことだと思っていましたが、大切な人たちと同じ時を生きて死ねるのは幸せなことなんだと改めて気付かされました。ショートケーキの「苺」は2人の幸せの形そのものなのでしょう。タイトルには、その幸せを壊さないで欲しい、どうかそっとしておいて欲しいという願いが込められているように思います。もっとみる▼
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珠玉の人間ドラマ2021年7月12日映画を先に観ていたので、いずれ離れ離れになる二人を思うと切なかったです。このまま小豆島で幸せに暮らせればいいのに、なんて思ってしまいました。何年罪を償おうと犯してしまった過去は消えるはずもなく、希和子や薫、実母の心に大きな傷を残したままのラストはやるせないです。どうしても希和子に肩入れしてしまいますが、きっと希和子は薫の面影を探しながらも日々の中にささやかな幸せを見つけ、案外図太く生きられる女性ではないかと思います。でも救いようのない実の両親は「こんなはずではなかった」場所から踏み出すことはできるのだろうか。実母には共感する部分も反発する部分もあったけど、新しく授かった命の中にかけがえのない幸せを見つけて欲しいです。もっとみる▼
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萌えず…ネタバレ2021年6月15日このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みでコンシェルジュの紳士な佇まいがツボすぎて購入したのですが…。仕事とプライベート、2つの顔の使い分けが魅力のキャラなんでしょうが、素に全く魅力を感じませんでした。まさか「あれまあ」で好きになったわけじゃないとは思いますが、いい大人なのだから少しは慎んで欲しかったです。受けのバイト先まで押しかけて致してしまう節操の無さ。後始末どうするつもりですか?軽快なやり取りは面白いけど萌えないですし、2人の間に全く色気を感じませんでした。萌え度で言えば、受けの親友が絡んだ王道的展開の方が面白かったです。玉砕覚悟で挑んだ親友の告白はキュンと心に響いて、彼の方が本気度は上なのではないかと思いました。私的には親友の方に魅力を感じました。
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答えは自分の中にある2021年6月5日ビオトープというタイトルから、綺麗に整えられた空間の中で安住する人たちの話かと思ったのですが、違いました。神さまの与える試練を人はどう受け止め、どう立ち向かっていくのかを試されるようなお話でした。主人公の女性も過酷な試練に苦しみながらも常に心は自由で、最後まで自分の愛を貫き通しました。もしかしてその愛は「異常」なのかもしれないし、世間が望む「普通」には程遠いのかもしれません。主人公カプがようやくたどり着いた答えが果たして正解なのか、そもそも正解などあるのかわからないままですが、誰にも理解してもらえない生き方を選んだ彼女の覚悟をとても綺麗だと思いました。彼女の心の中にビオトープはあったのだと思います。もっとみる▼
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温かいラストネタバレ2021年5月17日このレビューはネタバレを含みます▼ 最初から2人の間には不思議な引力があるので安心して読めますが、彼らを取り巻く背景はやはり痛かったです。中学時代のイジメ描写はしんどかったし、絶対服従の裏社会はエグかった。逃亡劇はさらに痛々しかったけど一番面白い部分でもありました。守られる側から守る側ヘ、求められる側から求める側ヘ、全てが覆っていく緊迫感に一気に引き込まれました。甘ったれで泣き虫の路彦のままだったら好きにはなれませんでしたが、山田の力になりたい守りたいという強い思いが彼を大きく成長させたのですね。長い時間がかかったけれど、山田が自分の本当の気持ちを認めるラストは圧巻でした。擬似家族なんかじゃなく、大切な温かい居場所を見つける事ができて本当によかった。路彦の「おかえり」に泣きました。
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温泉事件簿新垣編切望!2021年5月3日難しい事は何も考えず、さらっと気軽に楽しめました。切迫したシーンもちょいちょいありましたが、コメディ色が強烈でテンポよく解決してしまいました。二ノ宮が失ったのは童貞ではなく処女なのではという疑問は残りますが、無事卒業できて何よりです。後半の攻め視点のお話はわちゃわちゃうるさい感じではありましたが、2人のアホなやり取りが面白かったです。爆発寸前の世取と新垣が気の毒すぎました。温泉事件簿を新垣視点で読みたいです。もっとみる▼
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献身愛ネタバレ2021年2月13日このレビューはネタバレを含みます▼ 炎がトラウマの消防士ってどうなんだろう、火事場でボーっとされては怖くて任せられないんだけどって正直思いましたが、このトラウマと向き合い克服していく過程も読みどころのひとつでした。忌むべき力を最後の最後で最大限に発揮し人命を守れた事で、自分自身もジェイクから守られていた事に気付くクライマックスはイラストも含め胸熱でした。封印されていた記憶が戻るたび、そこには必ずジェイクの存在があり、全身全霊を捧げてくれていた事に気付けて本当によかった。イサムを見守り寄り添い続けてきたジェイクが健気で強くて魅力的でした。読後、ジェイクの印象が強烈すぎてイサムの人物像がおぼろげです。主人公がジェイクの魅力の陰に隠れてしまった感はありますが、BLとミステリーが上手く絡んだ読み応えのある一冊でした。
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軽い気持ちで読む作品ではないネタバレ2021年2月5日このレビューはネタバレを含みます▼ 大切な人がいない日常に慣れてしまう自分が、変わってしまう自分が嫌だと苦しむ春希の姿にとても共感できました。現実と向き合わず盲目的に過去を生き続ける春希の方こそが死者なんじゃないかと思うほどでしたが、最後にようやく人間らしさを見せてくれました。死の淵へと沈んでいく康を抱きしめて一緒に生きたいと必死に足掻く春希のイラストは圧巻でした。そして他の乗客たちにも悲しい現実があり、それぞれのドラマがありました。みんなが幸せになれたわけではないけれど、彼らの最後の選択もわかるような気がします。逝く人遺される人、生きること死ぬこと、重いテーマですが深く考えさせられる作品でした。
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出会うべくして出会った二人2021年1月23日冒頭から人が亡くなるという衝撃的な始まりのわりには終始ほんわかした優しいお話でした。あらすじからなんとなく展開は予測できるものの、お互いが運命の相手だと気付けない2人がもどかしくて、でもそのジレジレが一番楽しい部分でもありました。20歳近くも年上のくせにヘタレな攻めと健気だけど男前な受けという組み合わせも面白かったです。過去に囚われ続ける攻めの苦しみは相当深いはずなのに、その苦悩が分かりづらく彼の気持ちに寄り添えなかったのが残念ですが、そんな攻めの頑なな心を解きほぐしていった受けのひたむきさこそがこの作品最大の読みどころだと思います。もっとみる▼
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これぞアオハルネタバレ2020年10月25日このレビューはネタバレを含みます▼ 等身大の男子高校生たちの日常や恋愛模様を描いた爽やかな作品で、終始ほのぼのとした気持ちで読み終えました。割と早い段階で誤解は解けますが、そこからがゆっくり少しずつ、手探りで愛情を育んでいく様子が新鮮でした。あらすじからもっとピリピリハラハラした関係を想像していたので、純粋で可愛らしいDKたちの恋に久々に心が浄化されました。ひとり静かに恋の萌芽を育てるトヨ視点は切ないシーンも多く印象的ですが、事故の真相を簡単な種明かしで済ませるのではなく、伊吹視点でトヨまでたどり着いていたら個人的にはもっと盛り上がったかなと思います。
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爽やかDKたちの青春ラブミステリー2020年10月11日タイトルや表紙絵から受けるダークなイメージとは違い、演劇に情熱をかける男子高校生たちの爽やか青春ものです。受けはピュアで可愛いし、脇を固める 友人たちも個性溢れる濃いキャラばかりで、お互い励まし競い合いながら成長していく男の子たちが眩しかったです。が、途中から天使の仮面の都市伝説が思わぬ形で絡んできてどんどんミステリーな展開に。演劇とミステリー、どちらも面白い設定で飽きさせませんが、攻めの秘密やラスボスまでを一冊で纏めるには少し窮屈かなと感じました。ここまで詰め込まなくても十分楽しめる内容だったし、一つひとつをもっとじっくり堪能したかったです。もっとみる▼
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happy endとは言えないけれどネタバレ2020年9月21日このレビューはネタバレを含みます▼ 高校時代、複雑に絡んだ2人の関係はあまりに理不尽で切なかったです。自分だけの犬を手に入れて初めて覚えた欲望や執着を汚いと感じる真智の心情は苦しかったけれど、のちに語られる玖島視点では、そんな真智を透けそうなくらい綺麗だと感じてくれていた事にホッとしました。再会後も面白かったけど、高校生編によりドラマを感じました。途中何度も涙腺が緩みましたが、29歳の真智が残した手紙で一気に決壊しました。そして手紙を胸に抱えて泣く玖島のイラストにまた泣けました。幸せになる代わりに2人が喪ったものはあまりに大きくて、この結末をhappy endと捉えるかどうかは人それぞれかと思います。希望の見える幸せなラストですが、私的にはしんみりとした切なさが残りました。
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小悪魔じゃなくて子ネズミネタバレ2020年9月3日このレビューはネタバレを含みます▼ あらすじから切ない片思いモノを想像しましたが全然違いました。主人公の素顔は超ネガティブだし、ジメジメした方向に行ってもおかしくないのですが、この素のキャラが健気で一生懸命でとてもいじらしかったです。何かと相談を持ちかけられる親友には同情しかありませんが、親友は本当にいい仕事していました。個人的には無神経な攻めよりも、受けの弱さやダメさを理解してちゃんとカバーしてあげられる親友の方に魅力を感じました。強烈なインパクトを残して終わった彼のその後がすごく気になります。
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十年愛2020年7月26日ページ数のほとんどを誤解やすれ違いに費やしているけれど、THE王道な展開で最後まで安心して読めました。激ニブな2人がどう誤解を解いていくのか想像しながら読むのが楽しかったです。終始穏やかで優しいストーリーの中にもほろ苦さがあり、とても読みやすい作品だと思います。もっとみる▼
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激甘すぎて胸焼けしそうネタバレ2020年7月18日このレビューはネタバレを含みます▼ 「罪の意識」とあらすじに書いてあったので、幸せになる事への罪悪感に苦しむ的なお話かと思ったのですが、それ程重い内容ではなかったです。罪悪感をも乗り越えさせる程に諒一を強く想う気持ちが自然と無理なく翠の心を解していく過程はしんみりしたものがありました。恋人というよりはお母さんと手のかかる息子という感じで、世話されひたすら甘やかされるというかなり糖度高めなお話でした。二十歳を過ぎた成人男性がなんだかなぁと思いますが、安心して泣ける場所があるというのは羨ましい限りです。イラストも含めてキャラ2人共に魅力を感じませんでした。
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ほのぼの系ホラー2020年6月18日途中ぞっとする場面が何度かあるものの、藤森のユルユルキャラと江利なら絶対守ってくれるという安心感からそこまで怖くはなかったです。爽やかイケメンの江利が時々見せる臆病さに彼の辛い過去が想像できますが、痛々しかったという霊感少年時代の孤独がもう少しわかれば現在の江利の人となりにもっと近づけたように思います。もっとみる▼
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復讐譚というよりは胸キュン恋愛譚ネタバレ2020年5月25日このレビューはネタバレを含みます▼ 復讐モノかと思い購入したのですが、復讐自体は終盤一気に片付いてしまった感で、最初から恋愛メインのつもりで読んだ方がより面白いかと思います。2人の認識のズレは可愛かったですが、パトロンがすごくいい味出してました。もう少し緋宮にねちっこく絡んでくれたらとも思いましたが、2人の関係を冷静に客観視する面白い役どころでした。
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失敗は成功の母だなー。ネタバレ2020年5月1日このレビューはネタバレを含みます▼ 理想世界ではあるけれど、この幸せは自分の努力によるものではない、大狼の笑顔は自分に向けられたものではないと現実の厳しい世界へと戻っていく主人公。本当に真面目で不器用ですが、ぬくぬくと安穏な毎日を送っていた私としては身につまされる思いで読み終えました。私も若い頃はなりたい自分があったし、やりたい事もいろいろあったなーと。結局何もせずここまできてしまい、今の自分を見つめ直す契機になったように思います。軽いファンタジーものかと思い手に取ったのですが、理想の自分にはなれずとも、今の自分を形作ったのは紛れもない今までの自分なんだなとしみじみ考えてしまいました。少し残念なのはBLというよりはお仕事や自身を顧みる部分が多かったように思います。せっかくの大狼の告白シーンもいきなり過ぎて強引過ぎて違和感がありました。
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ほんとにこれでいいのかなネタバレ2020年4月21日このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙絵やタイトルからコメディかなと思い購入したのですが、後半はかなり重い展開に。二代目を好きになったことの意味や難しさをどう乗り越えて行くのかが一番の見せ場だったのに、『姐さん』として生きる覚悟を固めた泰知を潔いとは思えなかったです。女手一つで育てたお母さんがかわいそうでした。裏社会の住人にならなくてもなにか他の選択肢はなかったんだろうか。前半が面白かっただけに後半ガッカリです。
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いろいろ地雷ネタバレ2020年4月17日このレビューはネタバレを含みます▼ 昼ドラさながらの愛憎劇でもうドロドロでした。あんな扱いを受けながらそれを許せる受けの気持ちに全く添えなかったし、「今思えば中学の頃から好きだった」というくだりも取ってつけたようでした。散々傷付けあった2人がようやく自分の気持ちを吐露するシーンはグッときますが、ことの真相を梓から聞くのではなく2人で見つけていって欲しかったと思います。二転三転する主従関係や攻めの愛情表現が下手すぎてイライラするところが一番面白い部分ではありますが、最後はやっぱり攻めに囲われて終わるのかと、そこが残念でした。
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男の花道 Don’t Worry Mamaシリーズ【イラスト入り】
思いっきり笑いたい時に2020年4月11日表紙絵のカッコいい彼がまさかのオネェで、ギャップ萌えです。健気すぎて切ない場面はあるものの、微妙にズレてる乙女思考や追い詰められた時の謎な行動の数々に笑えました。そしてイラストが爆笑でした。オタクなホワイトアスパラだと思っていた松尾が案外男前で、こちらもいい味だしてました。当人たちは大真面目に悩んでますが、その誤解やらすれ違いやらを楽しむ作品です。もっとみる▼いいね
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エロすぎ!ネタバレ2020年4月4日このレビューはネタバレを含みます▼ 男子高校生たちの甘酸っぱい恋愛模様をほのぼのとした気持ちで読み始めたのですが、途中から怒涛の展開に。オカルト色の濃い作品でした。傷付け合い疑心暗鬼になり壊れていく様は不気味で、この先どう仲直りして3Pへと持っていくのか謎でした。攻め2人の執着も怖い程でしたが、「望んでいたもの」を手に入れた瑛太自身が一番怖かったです。ちょっと歪んだままの三角関係で終わっているところがまた良かったです。
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はんなりしっとりネタバレ2020年3月20日このレビューはネタバレを含みます▼ 千秋の境遇に同情はするものの、あまりに腹黒すぎて計算高すぎて1巻はまるでいたいけな子ウサギをいたぶる狡猾ギツネという構図でしたが、2巻を読み終え印象が変わりました。侑央を想う気持ちだけは本物で、ずる賢さは優しさや強さの裏返しなのだと感じました。特に上京するバス中から侑央を見送るシーンは感極まりました。2巻の「ユキウサギ」を先に読んでから1巻を読んだ方がより千秋の気持ちに寄り添えるような気がします。京町家の落ち着いた佇まいや着物や小物遣いの繊細な描写、そして2人の話す京言葉が相まって終始しっとりと色気のあるお話でした。
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先生がちょっと…ネタバレ2020年2月25日このレビューはネタバレを含みます▼ 記憶喪失ネタ大好きなので飛び付きましたが、記憶喪失になる前に挫折しそうでした。ゆっくり愛を育む過程が面白いんでしょうが、先生の人柄や口調に最後まで馴染めず、愛の言葉もささやき過ぎると薄っぺらくなるんだなと思いました。お話自体は切なくて素敵なストーリー展開でしたが、切なさを作り込みすぎてる感が否めなかったです。詩的で綺麗なセリフ回しも煩わしく感じました。相手が能登先生じゃなかったら全然違った感想だったと思います。
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やっぱり痛いネタバレ2020年2月20日このレビューはネタバレを含みます▼ 本作は痛くないとのレビューが多かったので手に取ってみましたが、大宮が追い詰められていくくだりはやはり痛かったです。容赦なく大宮を追い詰める千博の狂気は強烈で、壊れていく大宮の弱さや残酷さにゾッとしました。一番苦しい部分が一番面白かったです。そんな優柔不断なダメ人間を好きになってしまったがために眞人は大急ぎで大人に成らざるを得なかったんでしょうね。立ち位置逆転という感じですが、とてもバランスの取れている2人だと思いました。決してスマートとは言えない登場人物たちがとてもリアルに魅力的に描かれている作品だと思います。
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好きな子につい意地悪しちゃう系ネタバレ2019年12月19日このレビューはネタバレを含みます▼ 強引で余裕たっぷりなイケメンに翻弄され、反発しながらも好きになっていくというまさに王道中の王道で、腐女子の願望が全て詰め込まれた作品でした。このまま流されてのthe endならヤだなと思いましたが、最後の逆プロポーズが男前でした。立場逆転で、今後の関係性が垣間見えるラストがよかったです。攻め視点がもう少しあれば尚よかったです。話自体は普通かなという印象ですが、イラストが素敵で眼福でした。
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ジブリっぽいネタバレ2019年12月9日このレビューはネタバレを含みます▼ イズミと貴洋が同一人物だというのはうすうす分かるものの、なぜ貴洋の方が半年も早く猫の王国に居るのか、なぜ大人の姿なのかいろいろと疑問が一杯で一気に読んでしまいました。やがて明かされる真実に納得すると同時に何ともやるせない気持ちになりました。遺された家族の気持ちや貴洋のそれからの人生を思うとやり切れないですが、設定のわりには重い内容ではなかったです。由良を守るため最短で騎士となった貴洋からは深い愛を感じるものの、生前の貴洋が自分の気持ちを受け入れられない苦しさとか由良を傷つけてしまった後悔とかの描写がもっとあれば貴洋に少しは感情移入できたように思います。過去の彼の行いは到底許せないし、せめて言い訳くらい聞きたかった。最後までどこか遠い人のままでした。ふわっと優しいファンタジーですが、優しさと切なさと苦さの入り混じった不思議な世界観でした。
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まるで映画のような余韻2019年11月22日表紙絵やタイトルから受けるイメージと内容が全然違いました。純愛でした。ネタバレなしで読んだ方が面白いかと思います。重過ぎるテーマに気持ちが沈んでいきそうになりましたが、作り込まれた設定と謎な展開にページを繰る手が止まりませんでした。そして終盤明かされる真実に心打たれました。一度読んだだけでは細やかな描写を拾いきれなかったような気がします。二度三度と繰り返し読む事で更に深みの出る作品のように思いました。もっとみる▼
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緑野を幸せにしてあげて下さい2019年11月18日ガッツリお仕事系かなと思ったのですが、恋愛部分の比重が大きかったです。高木は前作にも登場しているようなのでそちらも読んでみたくなりました。寡黙で自己犠牲の強い緑野の生き方にこのまま悲劇的な展開へと流れてしまうのかと思いましたが、緑野を守るためエリートの仮面を脱ぎ捨てて闘う高木の男っぷりがよかったです。熱血漢で潔くて、まさにギャップ萌えでした。全ての業を背負い込み幸せになることに罪悪感すら持っている緑野と、誰よりも緑野自身に幸せになって欲しいと願う高木。自分のためには生きられない緑野にとって高木の笑顔こそが真の幸せなのであり、高木にはどうか緑野を幸せにしてあげて下さいとお願いしたい気持ちです。もっとみる▼
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最後??ってなるネタバレ2019年11月11日このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙絵に惹かれて購入しました。港町の風情溢れる街並み、石段から臨む海。風光明媚な景色が目に浮かびました。高校生の話す方言も新鮮で可愛かったです。ユキを過保護に甘やかし嫉妬心を隠しもしない高校生の恋愛模様は微笑ましく、特に独占欲剥き出しのイラストは眼福でした。途中までは晃平のわかりやすい執着ぶりを楽しんでいたのですが、終盤??となりました。あれ程の執着を見せておきながら自覚なしだったとは…。子供の頃から大好きでという流れを期待していたので、全然物足りないです。そして残念なのは誤字。多少の誤字脱字には言及しないのですが、2人の気持ちがようやくひとつになろうというあの重大なシーンで「水虫」はないと思います。吹きました。
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試し読みでウルウル2019年11月5日人外モノは苦手で避けてきたジャンルですが、試し読みでウルウルしてしまいました。青の寂しさに涙し、優しさに涙しました。想像以上に切ないお話でしたが、心温まるほのぼのとしたシーンもたくさんありました。途中まではBLとは思えないファンタジーな世界観で、この先どうBLに近づけていくんだろうという事も含めて楽しめました。魔物の青をあえて可愛くない設定にしたのも良かったです。終盤全てが上手く纏まり過ぎな感はありますが、心に染み入る素敵なお話でした。もっとみる▼
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前半ガマンネタバレ2019年10月21日このレビューはネタバレを含みます▼ 前半は攻めの言葉に一喜一憂し、散々振り回されてる受けが可愛そうで、そんな受けの反応を密かに楽しんでいる攻めにイラつきました。受けへの愛は読者には十分伝わっているものの、受けの真剣な気持ちを弄んでるようにしか思えず、結構キツかったです。後半、受けに対する意地悪な言葉が全部自分に跳ね返ってくるザマァな展開にスカッとしましたが、わたし的には逆に受けに振り回され、ヨレヨレになる攻めの姿がもっと見たかったです。スパダリなのにいろいろと残念すぎる攻めですが、そんな攻めを受け入れた受けはきっと一枚も二枚も上手なんでしょうね。
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30年愛2019年10月12日2作品どちらも読み応えがあり面白かったですが、2つ目の「聖夜」の方が印象的です。30年、変わらぬ愛で寄り添う2人は羨ましいですが、でもその愛情は周りの人達には酷なような気もします。一緒に居るのに一緒じゃないと感じる寂しさはやり切れないです。他に心を残したまま一緒に居られても、それはひとりで居るよりもずっと寂しい事だと思います。彼らを取り巻く人達の人生観ががっつり伝わってきて、そちらの方に感情移入してしまいました。随分遠回りしてしまった2人ですが、30年かけて見つけた答えが彼らの真実であり、長い歳月をかけたからこそ成し得た幸せなラストは圧巻でした。もっとみる▼
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激情型執着愛ネタバレ2019年9月11日このレビューはネタバレを含みます▼ 顔が好みというだけでこれ程の執着。やはり「血」によるものなのでしょうか。途中痛い描写もありますが、受けもやられてばかりではなくきっちりお礼参りする強さもあるので重くはなかったです。愛されてるのをいいことに攻めに対しては最後まで横柄で、前半は受けに後半は攻めに同情してしまいました。ここまで温度差のあるBLも珍しいです。攻めは猪突猛進なのに受けは最後まで女性とのあれこれを諦めてなくて、いつの日か修羅場になってもおかしくないと思います。絆されというよりは根負けという感じですが、受けに好かれたいが為にひたすら頑張った攻めに☆5です。
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焦れったいったらない2019年9月7日微妙な表紙絵に購入も躊躇しましたが、柔らかな描写と繊細な文体に惹き込まれました。表紙絵だけで判断しなくて良かったです。三角関係とまではいきませんが、3人の男の子たちの距離感が危うくてもどかしくて、友情と愛情の狭間で苦しむそれぞれの葛藤がお話の大部分を占めており、中核となっています。誰かが一歩を踏み出してしまったら3人の関係がくずおれてしまうような緊張感が常にあり、微妙な均衡を保ったままの友情はかなりもどかしかったです。杉原さんの作品は焦れったいものが多いですが、今作は特にジリジリしました。終盤まで友情を引っ張る展開にジリジリもMAXとなりましたが、このジリジリこそが読みどころだと思います。もっとみる▼
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ジリジリイライラ…でも切ないネタバレ2019年8月29日このレビューはネタバレを含みます▼ 王道の両片想いモノかなと思い読み始めたのですが、そんな甘い話ではなかったです。親友であり続けるという事は、好きな人が他の人のものになるのを一番近くで見ていなくてはならないという事なんですね。親友という絆にこだわり続けた直也の気持ちは苦しいばかりだったし、親友という言葉で自分も直也をも縛り続けた英慈は残酷だと思います。直也への想いは随所に溢れているのに結婚へ踏みきろうとする英慈に憤りを覚え、中途半端な言葉や態度に腹が立ちました。「男同士に未来はない」という英慈と「2人の間に祝福される未来なんて思い描いたことはない」という直也とでは温度差があるように思いますが、終盤の英慈視点を読んで少しだけ溜飲が下がりました。
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ボーダー=境界線ネタバレ2019年8月24日このレビューはネタバレを含みます▼ 2つの話から構成されていました。どちらの話もノンケの主人公がマイノリティな恋愛に葛藤しながらも落ちていくというものですが、後編の佐々木編の方が濃かったです。前編ではゲイ嫌いで無神経な友人枠で登場した佐々木でしたが、後編を読むにつれゲイに偏見を持つ理由にも納得できました。自分の中の真実に目を背け続けた果ての叫びには、胸が締め付けられるようでした。作中には「ホモキモい」という言葉が何度も出てきます。普通か普通じゃないかの境界線を決めるのは自分であり、他人に線引きされるものではないというセリフに共感できました。葛藤の末、その境界線を飛び越えて行った渡部と、境界線の上をゆらゆらとたゆたいながら呑まれて行った佐々木。happy endでしたが境界線のその先にも新たに越えなければならないものはあり、重い課題を残すラストでした。
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愛しのバカップルネタバレ2019年8月17日このレビューはネタバレを含みます▼ 気軽に笑えるコミカルなものを探していてこちらの作品に行き着きました。ネガティブ思考でウジウジ考えちゃう受けなのに、夜はご乱行というそのギャップがエロ可愛かったです。そんな受けにハマり、最初は真っ当な人だったのにいかにもな変態へと脱皮を遂げていく攻めが面白かった。特に受けのナマ足を隠し撮りしているイラストには笑えました。ただのオヤジでした。心の声とおバカな妄想がアホすぎる憎めないバカップルです。そして身近に居たら迷惑でしかない騎一先輩の存在感がすごかった。あんな神アンケートを思いつく彼は天才ですね。このアンケートは攻めの心に深く影響し、最後まで物語を引き立ててくれました。まだ1巻のみの購読ですが、2巻は騎一先輩のマタニティライフ(?)のようで購入を躊躇してます。
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未来からの時渡りネタバレ2019年8月13日このレビューはネタバレを含みます▼ 良介のあまりの無責任さに最初の数ページで挫折しそうになりましたが、トキオの夢を応援し手助けをし、そして事故からトキオを守ろうと奔走するとてもいい子でした。奇抜なストーリー展開なのに穏やかな世界観なのは良介の柔らかな雰囲気に依るものでしょうが、彼にももう少しガツガツしたところがあってもよかったかなと思います。自分のやりたい事に攻め込んでいく描写が欲しかったです。時空を超えた良介とトキオのやり取りでは、過去から送られてくるメッセージの中にトキオの想いがいっぱい詰まっていました。とても切ないシーンでした。良介にとっては5ヶ月でもトキオにとっては12年。圧巻であるはずの再会シーンがあまり劇的でないのは残念でしたが、50年後の未来に想いを馳せる幸せなラストでした。
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テキトー先生2019年8月10日生徒×先生という設定ながら先生のゆるーいキャラのせいかタブー感は全くなく、終始happyなお話でした。いい加減に見えて実は真面目な先生が魅力的で好感が持てました。脇を固める他の先生方や生徒たちも皆んな個性的で、特に玉砕していった女性陣には次こそは幸せになって欲しいです。手練れすぎる高校生に若干抵抗はありましたが、意外な一面が最後に明かされてびっくりです。お互いの見た目や言動への誤解から素直に気持ちを伝えられない2人の混戦模様が読みどころでした。5年後10年後の2人の未来を信じ切れない先生の気持ちには共感できます。なので、成人し大人になった攻めとのラブラブな続編を読んで私も安心したいです。もっとみる▼
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タイトルに惹かれてネタバレ2019年8月10日このレビューはネタバレを含みます▼ オネェ受け大丈夫かなと思いましたが、王子キャラとオネェキャラをちゃんと使い分けているので問題なかったです。タイトル通りオネェ受けのどうにもならない切ない恋路を綴った作品ですが、オネェのキャラが魅力的すぎて感情移入してしまいました。だからこそ健気で高潔な受けの泣き崩れる姿がもっと見たかった。家でひとり泣き崩れて欲しかったです。先のレビュアーさんも書かれてますが、せっかくの素晴らしいタイトルが生かされていないように思いました。攻めに於いては「受けの愛を受け入れるか」ではなくて「自分の感情を受け入れられるか」に重きを置いているので、セクシャリティの壁に苦しむ2人の姿がもう少し見たかったです。
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執着を超えた狂気ネタバレ2019年8月4日このレビューはネタバレを含みます▼ 誰にも言えない歪んだ執着で関係をスタートさせてしまった2人の十数年にも渡る愛憎劇で、精神的に結構キツイものがありました。犬である自分に存在意義を見出し、犬でなくなったのなら自分は一体誰だという思考は複雑で、2人の関係性は最後まで病的でした。これはかなり読む人を選ぶ作品だと思います。一稀への想いは純粋なのに下克上を思わせる容赦ない追い詰め方と「貴方に忘れられるくらいなら憎まれる事で深く刻まれたい」という一稀への情念が凄まじかった。全てを奪い全てを捧げる猛の激しい愛し方は狂気そのものでした。自分のためには生きられない猛にとって一稀の犬である事が最高の幸せなのであり、2人で掴み取ったかけがえのない愛の形なのだと思います。
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静謐な世界2019年7月22日冷たい水の底に2人で沈み込んでいくかのような前半は苦しいばかりですが、沢田の努力と忍耐を強いられる後半はさらに苦しかった。真逆の2人がそれぞれに欠けているものに惹かれ合いながらも共に成長していくお話で、2人きりの静かな場所から広い世界へと踏み出す描写が印象的です。SSの椎名がすごく可愛かった。2人のすれ違いも沢田の葛藤も我慢も全てがこのSSのためにあったんだなぁと思えました。もっとみる▼
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爆絶可愛い2019年7月17日三役の攻めそれぞれに心惹かれグルグル悩む受けと、三役をこなさなくてはならなくなった攻めとのまるでコントのような会話がとても面白かった。受けの天然過ぎる思考はツッコミなしでは読めない程で、攻めにはお疲れ様と労いたい気持ちです。三役がバレた時の受けのポジティブ発言が微笑ましく、何事もあんな風に捉える事が出来たらさぞかし楽しい人生だろうなと思えます。感覚的なズレやら会話や行動のズレやら、とにかく最後までズレまくる2人を楽しむ作品だと思います。もっとみる▼
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表紙絵にそそられネタバレ2019年7月11日このレビューはネタバレを含みます▼ 余りの慎みの無さに1巻では遠藤の良さが全くわかりませんでした。「先ずは1発」では恥じらいがなさ過ぎて正直2巻の購入も迷いましたが、1巻の表紙では視線すら合わせていなかった遠藤が2巻で見せる切ない表情に興味をそそられ、彼の心情の変化を追ってみたくなりました。自分ですら気づいていなかった心の傷や大切な人を失う事の怖さ、そしてタイトルの意味など2巻はかなり重めの内容でしたが、遠藤の破天荒な性格もあり暗くはなりませんでした。桜を見に行く約束が彼にできる精一杯の愛情表現で、いつか自然に気持ちを伝えられる日が来ればいいのにと思いました。
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攻めの良さがわからないネタバレ2019年6月23日このレビューはネタバレを含みます▼ 中盤まで何の動きも見せない攻めにややイライラしました。意図が全く読めず、受けと共に悶々とし振り回され、疲れてしまいました。攻めに対して抱いていた執着の正体を暴かれた事もそのあとの行為も全てが痛々しすぎて惨めで、好みの展開ではなかったです。受けを傷つけたくないから逃がしてやったというよりも、傷つき苦しむ受けの姿を見たくないから逃げ出したというのが本音のように思えます。受けが全てを受け止められる大人の男になった頃再び現れモノにするという小狡さが好きじゃないです。ようやく気持ちが通じ合ってからも「道を踏み外させた」と憂えてばかりで、それでなくとも前途多難なマイノリティの恋愛で、片方がそんな弱気でこの先大丈夫かなと思います。受けはきちんと攻めと向き合いこれからの覚悟も決めたというのに。攻めにこれだけ厳しく当たってしまうのは最初の行為が酷すぎた上に受けに気持ちを自覚させておいてまた逃げるというあまりの身勝手さに辟易したからで、どこがいいんだか全くわかりませんでしたが、受けのがんばりがあったので☆は2つです。
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リスタートネタバレ2019年6月16日このレビューはネタバレを含みます▼ 10年前、お互い強烈に惹かれ合いながらも別れざるを得なかった出来事が切なくて、まだ若い2人ではどうする事も出来ない重い現実がやるせなかったです。お互いまだ大人になり切れないアンバランスな歪みや危うさで、愛しているのに憎んでしまう受けの気持ちに共感できました。なので再会後、受けが攻めの気持ちを受け入れられない理由にも納得できたし、「出会うのが早すぎたのかも」と言った攻めの言葉にも重みを感じました。大人なイイ男になったはずの後半の攻め視点では前半の切なさは吹っ飛び、崩れていく攻めに親近感を覚えました。何の障害も事件もなく、ごく普通の日常の中ですれ違いながらも気持ちを確かめ合うまでのお話で、切ない回想と攻めの実態がなければ退屈だなで終わっていたかもしれません。
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受け酷くない?!ネタバレ2019年6月9日このレビューはネタバレを含みます▼ 甘え下手な優等生攻めと体育会系な男前受け。真逆だけどとても魅力的な2人が絆を深めていく様子は心温まりました。が、中盤以降の受けの行動がいろいろと腑に落ちないです。突然好きだと自覚した自分にびっくりってこっちがびっくりだし、何より近い将来戻れる予感があるのに告白するなんて…。告白なんてするから攻めはかわいそうに14年も待ち続ける事になったのだし、14年も待たせるとわかってて何で告白なんてできるかな。14年は長い、私ならしません。相思相愛ならともかく、まだ自分の気持ちすら自覚できていない、いたいけな少年を押し倒して致すとは。俺を忘れるなという呪縛に思えて急激に冷めてしまいました。"待て"をされた健気なワンコ攻めが身勝手な主人をひたすら待つという逆バージョン視点で読んでみたくなりました。作品のコンセプトを完全無視した身も蓋もないレビューですみません。
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未読です買います2019年6月5日以前から気になっていた作品です。仄暗い世界観に引き込まれました。過去編のようですが、この先八代の歩く未来を見てみたくなりました。もっとみる▼
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百戦錬磨の年下攻めネタバレ2019年6月3日このレビューはネタバレを含みます▼ 超絶テクからの放置プレイとか…。年下攻めに翻弄され過ぎで冷めてしまいました。百戦錬磨の年下がグイグイ来るのが萌えどころなんでしょうが、余りに策士すぎてちょっと…。もう少し対等な関係が好みです。血縁とか義崇の前途とかゲイ×バイの恋愛観の違いとかにページ数割いてたわりには着地点が曖昧だし、何より慎一が義崇に惹かれていく描写がないのが残念でした。長すぎるHシーンを削ってでも慎一の心情に触れて欲しかった。義崇の回想編は病的で面白かったです。10歳で慎一に人生を捧げた義崇の妄執が怖かった。
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涙の初恋エピソード 笑2019年5月25日タイトルやあらすじ、表紙絵から内容はある程度予測できますが、この手の話にしてはさわやかな読後感です。真逆に見える兄弟それぞれの人物像が魅力的で素敵でした。この2人の確執がなかなかに複雑で面白く、その部分だけで1冊出来そうに思います。個人的には恋愛部分よりも兄弟の関係性の方が面白く感じました。終盤、きれいにまとまり過ぎな印象はありますが、皆んなが幸せになれるラストが良かったです。もっとみる▼
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