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今月(10月1日~10月31日)
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牢の中で目覚めた悪役令嬢は死にたくない~処刑を回避したら、待っていたのは溺愛でした~(コミック)
2巻までは星5!それ以降は…ポカーン?!ネタバレ2025年10月1日このレビューはネタバレを含みます▼ 異世界転生というか異世界の人物との“入れ替わり”物語です。ヒロイン(伯爵令嬢アマリリス:元孤児)は、夢の中と思える状況でいきなり人生の入れ替わりを告げられます。目覚めると「牢獄の中」狼狽えるばかりですが、超絶ポジティブ思考のヒロインは、その環境を有り難いと受け止めます。入れ替わり前は両親の残した借金返済の為、過重労働に耐える日々だった為です。
投獄の理由は、婚約者(第二王子ハーベイ)に横恋慕する未来を見通す少女(シャロン)の殺人未遂容疑です。元々は傲慢で鼻持ちならない態度を貫いていた為、身の回りの世話をすべき人々から総スカンされ、食事は残飯を提供される有り様。しかしヒロインは残飯でも、有り難く頂き、労働なし三食昼寝付きの生活を至福と感じるのでした。
ヒロインはとにかく明るく、率直で、獄中生活を楽しみます。身体が鈍らない様にスクワットをしたり、提供される食事が改善してからは、感謝の手紙を届けたり、周りの印象を塗り変えていきます。特にヒーロー(近衛騎士ユリシーズ:元孤児)はすっかり絆されてしまいます。その周りの人々を魅了していく様がとても素敵。ヒロインの純真さに心洗われます。それに類似の作品にないパターンが、新鮮でもありました。ヒーローがヒロインに惹かれていくラブロマンスが、さあこれからどうなるでしょう?甘いシーンも楽しみです。読者としても期待が盛り上がってしまいます。(2巻まで)
ところが、この矢先、すっかり呆気に取られる展開になります。そもそも異世界物語で、ファンタジー前提なのを充分に理解していましたが、それでも置いて行かれました。主人公ふたりが、わざわざなぜ元孤児なのかもここで分かります。
ポカーンです。うん。分かってますよ~“ご都合主義”は当たり前と、かなり受容出来るつもりでしたが、その許容範囲を超えてくれました。(それでも受容出来る人もいると思いますが)個人的には、ついていけませんでした…。
でも2巻までは、新鮮だし、面白いです。3巻からは突拍子もない展開なので、それがどのくらい突拍子ないのか、逆に楽しめるかもしれません。2巻までは星5です! -
ヒロイン(フィレンティア)の壮大な物語2025年9月25日ヒロイン(フィレンティア)は「転生後→巻き戻り」で、巻き戻りの前世の記憶を頼りに、今世で逆転勝ちを目指しています。(なぜか転生前の記憶はあらすじに無関係)ヒロインは王室と対等と言って過言ではない程の名門(ロンバルディ)の三男の庶子です。
ヒロインは大変有能ですが、父が早世した為、正式な一族と認められず、虐げられます。そして偉大な当主である祖父の死後、愚かな後継者の仕業で、わずか2年で家門が没落するのでした。長い叙事詩である為、登場人物が多く混乱する為、主要メンバーを整理しますと…。(親世代と子世代入り混じるので複雑)
《ロンバルディ家》祖父:ルーラック(当主)
(親世代)長女:シャナネット(夫:ベスティアン・スルス)
(子)長男、次男:ギリウ、メイロン(金髪の双子)
(親世代)長男:ピエーゼ(宿敵)
(子)長女:ララネ 長男:ベレサック(宿敵)
(親世代)次男:ローレンス(宿敵)
(子)長男:アスタリウ(宿敵) 次男:クレニー
(親世代)三男:ギャラハン
(子)長女:フィレンティア(ヒロイン:流民の子)
《王室》
第一王子:アスタナ(外祖父:アンゲナス家)(宿敵)
第二王子:ペレス(庶子:下女の子)
ただ物語は冒頭からヒロインが当主として家門を継ぎ、第二王子が皇太子となると明らかにされています。結末が分かった上で、どの様に事態を攻略していくかがメインストーリーです。
大まかに言って「祖父の信頼をどう勝ち得るか?」「第二王子を窮状から救えるか?」「父ギャラハンの病死を避けられるか?」「叔母シャナネットの離婚問題」など大きな節目をどう超えるのかが見せどころになっています。
前世ではヒロインを始め、名門に生まれたにも関わらず、不幸せな人生を送る人物もいて、理不尽さに胸が痛みます。しかし今世でヒロインはしたたかに戦います。7歳という年齢のハンデを跳ねのけ、戦略的に行動し、腹心となる味方を増やし、人脈や事業展開などで次々と成功を収めていき、自業自得であるべき人物には相応の報いがもたらされます。今世では胸がすく思いができます。
同時進行でヒロインのラブロマンスがどうなるかも気になります。物語の根底に根深い「男尊女卑」があり、ヒロイン達、女性を苦しめます。中だるみなく進みます。衣装も見惚れる程に素敵!見応えのある長編大作です。もっとみる▼ -
隠秘であるはずがあけすけ…背徳な関係?!2025年9月20日面白いです。閨事そのものを描写されるより、生真面目に性行為の解説をされる方が恥ずかしい。登場人物も魅力的な人ばかり。ある意味ぶっ飛んでいて、楽しい作品です。
ヒロイン(未亡人アンネ25歳)は貧乏子爵の四女、16歳の時に訳あって30歳年上の候爵の後妻となりました。夫婦仲は穏やかで親愛の情に満ちたものでしたが、9年後夫は先立ちます。葬儀の場で夫の前妻の長男(エリオット28歳)と次男(オリバー27歳)に初顔合わせ。3人は葬儀を無難に終え、それから先はお互い関わりなく過ごすつもりでしたが…。
状況が一変するのは一年後、アンネが宰相から“王太子への閨指南役”に抜擢されてしまいます。了承を渋るアンネに宰相は現候爵であるエリオットを巻き込んで、了承をやむなくさせるのでした。
ただアンネには特殊な事情がふたつありました。ひとつは「前世の記憶があること」前世はふたりの子供を育てあげ天寿を全うしていました。したがって今世の年齢以上に落ち着きがあり、老成しています。そして今世より進んだ社会であった前世(現代日本)の知識があるのでした。
ふたつ目は今世の貴族の常識「ポラリス神話を用いた比喩をほぼ知らない」ということ。貴族間ではこの“比喩”を多用する為、この知識がないと、会話の正確な意図を汲めないのでした。
このふたつの特殊事情とアンネ自身の性質(自立的、男尊女卑にとらわれない、率直で楽天的など)が相まって、周りの人々(高位貴族や前妻の息子ふたり)を巻き込んで、結果的に翻弄します。それがとても愉快です。絶句させて、冷や汗かかせるなんて、しょっちゅうです。それでいて、最終的には周りの人々にも幸せをもたらすのでした。
前妻のふたりの息子も“いい子”達です。20代後半の成人男性にいい子呼ばわりは失礼ですが、そう評してしまうような“純真さ”があるのでした。ちなみに見目もよく、堅物ですが、優しくて有能なのです。
そしてアンネの前世を活用した閨指南ですが、大真面目な性教育なのですが、今世では、具体的過ぎるぶっ飛んだ内容で、座学で座っている10代半ばの少年達を、立ち上がることをしばらく出来なくさせるのでした。閨指南のテキストは親達にもなぜか普及し、波紋を広げてゆきます。その為、アンネはあらぬ期待や誤解を受けたりして、苦労しますが、前妻の息子ふたりの助けを得て乗り越えて行きます。お勧めです。もっとみる▼ -
悪役令嬢と悪役令息が、出逢って恋に落ちたなら ~名無しの精霊と契約して追い出された令嬢は、今日も令息と競い合っているようです~(コミック)
軽やかな学園物語と軽くない心理描写2025年9月18日ヒロイン(伯爵令嬢ブリジット)は、突然身に覚えのない理由で、第三王子(ジョセフ)から婚約破棄されます。魔法が権威な世界で、ヒロインは火の名門貴族の生まれながら、5歳の時“名無し”が契約精霊と判明し、家族から疎まれて絶縁状態であり、第三王子に捨てられた事実は、さらにヒロインを窮地に追いやるばかり。
それでも自暴自棄にならず、本来、自分のかなえたかった夢(精霊博士)を叶えようと、周囲の嘲笑に耐え、猛勉強に励みます。そんななか図書館でのやりとりを通じてヒーロー(公爵令息ユーリ)と交流がうまれます。このふたり、恋愛面では共にうとく、ヒーローは高飛車だし、ヒロインは卑下しがちで、なかなか進展しません。
ヒロインは、父親から残酷な仕打ちを受け、それがずっと尾を引き続けますが、幼い時から養護してくれた使用人達や新しく縁を結べた友人達もいて、その人達の温情が救いになります。
ヒーローは周りから“冷酷無慈悲”と評されるだけあって、言葉はキツいし、態度は冷たい。しかし表面上の態度とは裏腹に、ヒロインを先入観なしに見てくれるし、困難に見舞われるヒロインを何かと助けてくれます。ヒロインは自分が好かれるとは夢にも考えられないので、自分の恋心に気付くことすら出来ません。相当なジレジレ展開。
元婚約者(第三王子)との確執、義弟との関係、そして実母やトラウマの大部分を占める実父との確執。ヒロインは自分の夢実現の為に学業に励みながらも、次々と振りかかる出来事にも翻弄されます。
基本的に学園物語なので、青春の輝きみたいな場面もあり、軽やかなラブコメかと思いきや、そうばかりではありません。ほっこり出来る人間関係が描かれる一方で、個人のダークサイドというか、暗く醜い部分も描かれています。その暗さがなかなか深いというか…類似の物語でもなかなか見ないレベルだと感じました。個人的には主人公達の恋バナより印象が強かったです(特にある人物)。そうは言っても、ヒロインは良い子だし、ヒーローも無言実行といった感じの男らしい人物なので、ふたりの純愛の進展も楽しみです。もっとみる▼ -
ヒロインが可愛い…好きになってしまう!2025年9月17日一巻完結なのですが、起承転結、きちんとまとまって過不足なしです。ヒロインがとにかく可愛い〜。好き。
ヒーロー(第六軍将軍レオ:28歳)は王命で結婚が決まります。相手はヒロイン(イアルの血筋令嬢リーフェ:19歳)で、零落しているとはいえ高貴な血筋。本来ならとても縁組めない相手です。
「イアルの血筋」とは過去に断絶した王朝の末裔であり、貴族にとって憧れである由緒正しい血統。ただヒロインの噂は「醜女でまともな会話も交わせない娘」らしくヒーローとしても気がかりだが、王命に従う以外の選択肢は許されていない。ベールをかぶり素顔を見ることもなく迎えた花嫁。ヒーローは多少、身構えて初夜を迎えます…。
ヒロイン、少しあけすけなくらいに率直。イアルの血筋を呪いと言い、4歳年上だという兄のアドバイスも明かし、ヒーローを困らせます。でも華奢で可愛いヒロインの事を気に入ります。
生家では「イアルの誇り」を守る為に、厳格に抑制されて育ったヒロインは、婚家でのびのびと暮らし始めます。ヒーローが帰宅すると嬉しげに話しかけてきます。くるくると変わる表情、とめどないおしゃべり、ヒロインのおかげで静かだった屋敷が、華やぎ、明るいムードに変わります。ヒロインは何でもない日常であっても、新鮮な視点や小さな感動を見いだす才能があり、それを帰宅する度に「あのね、レオさま」と可愛らしい様子で一生懸命に伝えてくるのでした。
ヒロインは可愛いだけでなく、厳しい教育を受け、品格と教養を備えており、性格的には芯の強さがあり、忠実で潔さもあります。ヒーローはすっかりメロメロに惚れてしまうのでした。もちろんヒーロー自身も実直で誠実な人柄、素敵です。
この後、絶対的な危機が訪れ、ふたりはどうするのか?ハラハラさせられます。本作、使用人や夫の友人、妻の兄などの脇役も魅力的。物語に深みを与えています。読了感も爽やか。オススメです。もっとみる▼ -
ヴェールの聖女 ~醜いと誤解された聖女、イケメン護衛騎士に溺愛される~(コミック)
後々、甘々になり…悶えさせられます!2025年9月14日生真面目なヒロインと、職務に忠実なヒーロー。ふたりともちょっとお固い感じがして、これは恋愛要素より、聖女としての役割り重視のお話しかと思いきや、なんの、なんの原作では後々、甘々でした。
ヒロイン(茅野祐奈)は突然異世界に転送されてしまう。そこで保護してくれた神父にさしあたり必要な知識を説明されます。「34年毎に聖女が現れる」「聖女はウトナまで聖典を取りに行く」「元の世界には戻れない」そして祐奈は「過去の聖女達とあまりに違う為問題になる、顔を隠した方が良い」とヴェールを渡されます。ヒロインは人格者そうな神父の忠告を真摯に受け止めます。
王都から迎えの騎士(ショー)は初対面から邪険な態度、居丈高。実はヒロインは2人目の聖女で歓迎されていませんでした。騎士の思い込みが強く、誤解され、騎士に性的な誘いかけをした等、ヒロインの評価は地に落ちます。大隊に警護される1人目の聖女(アリス)と違い冷遇され、騎士2人、侍女1人の随行。しかしこれがヒロインの幸運の出会い、護衛騎士のひとりがヒーロー(騎士ラング准将)なのでした。
ヒロインは1人目の聖女とは別のルートを進み、道中の街で課題解決を行い、報酬として“聖具の加護”を授けてもらいながら進みます。この道中の街々と現地の人々が個性的。課題解決にどう挑むかなど、ストーリーとしての面白さがしっかりあります。そしてお固いふたりのラブストーリー。初見では甘くなりそうもなく期待薄でしたが…純愛なのですが、かつ強く肉感的でもないのですが、原作では甘々が続き、ニマニマさせられました。結構な甘々でした。
主人公ふたりは常識人で貞操観念も固い、だけど恋愛面では“天然”ぶりを発揮します。ヒーローは素の調子で「口説き文句」の様なセリフをさらっと言ってのけますし、純粋な護衛なのか、嫉妬混じりなのかモヤモヤさせられる行動。ヒロインは事情があって自己評価が低く、恋愛にも疎い。ヒーローの事を護衛騎士として信頼しきっている為、隙だらけ&酔って甘えたりしますが、自分の性的魅力に無自覚。ヒーローにとっては、ご褒美?もしくは拷問?自制心を試され続けます。それが脇で見ている者にとっては“萌”なのでした。焦らされます。
原作はまだまだ未完で長編になりそうです。冒険譚&ラブストーリー、ダブルで楽しめます。もっとみる▼ -
“胸糞”展開の見本市?!断罪…幸福とは?ネタバレ2025年9月11日このレビューはネタバレを含みます▼ ヒロイン(伯爵令嬢セシリア)は、没落寸前の候爵家嫡男ラルフと結婚。しかし夫の幼馴染みという女性(アンジェラ)が側にいて、妻の様に振る舞うのでした。
アンジェラは夫の母親の友人の娘、彼女が6歳の時に両親を失い、それ以来候爵家に引き取られ妹同然に育てられており、屋敷の使用人達も彼女を大事に扱う。
夫も非常識でおバカ丸出しですが、幼馴染み女性が、我儘放題で周囲がそれを許容している為、まさに『独壇場』逆にここまでくると、いっそ清々しいくらいです。
・結婚式に花嫁同然の白いドレスで参列。
・挙式中、誓いのキス寸前で卒倒し新郎の介護を受ける。
・体調不良を理由に新郎を自室で付き添わせ初夜を阻む。
・初夜の翌朝の朝食を、新婦を外し新郎とふたりで取る。
・その後も体調不良で新郎を引き留め夫婦の営みを阻む。
・ヒロイン出資で壁紙とカーテンを変えるにあたり、義母の約束があったからと、自分の趣味でオーダーする。
・ヒロイン夫婦間に生まれる子供の名をつけて良いと夫の言質をとる。そればかりか子供に「アンジェラ・ママ」と呼ばせて可愛がると言う。
あ〜さようですか。ツッコミどころ満載ですが、あえて我慢。最初、様子見で静観していたヒロインも、許容範囲を越え、離婚を申し出て裁判となります。後半は裁判劇です。
↓↓↓ご注意、以下、原作思いっきりネタバレ↓↓↓
・夫は裁判に負け。莫大な慰謝料と返済金を負う。屋敷、領地を売り払っても不足し、両親と共に炭鉱奴隷に身を落とさなくてはならない。
・ヒロインから支払金の大幅減額の申し出があるが、その条件は「ラルフとアンジェラの結婚」である。
・ラルフとアンジェラは結婚。両親と執事と5人で下町で暮らし始める。
・アンジェラは浪費癖が抜けず不平ばかり。複数の「男友達」がいる。ある日、書き置きをして家出。
・ヒロインは従兄弟アイザックと結婚。
断罪が苛烈。ヒロインに精神的苦痛を与えましたが慰謝料が高額過ぎ。元夫はヒロインへの贖罪の意味も込め、アンジェラを大事にしていました。アンジェラ以外は下町で職を得て、貧しくとも家族で支え合う穏やかな生活をしています。それは不本意なものでしょうが…幸福とは?考えさせられました。元夫は惨めで苦しい中、真摯な生き方。こうなるとヒロインの幸福の方が薄っぺらく見えます。奥深さを感じました。脱落せず最後まで読んでもらいたい作品です。 -
邪悪な母親に正義の鉄髄を!2025年9月11日ヒロイン(レティシャ)は“神聖帝国の聖女”の娘でありながら、母親である聖女から虐げられて育ちます。その理由はヒロインを生んでから、神聖力が下がってきている為。
娘への憎しみはつのり、自分達に恨みのあるゼノス公国の公王(ディトリアン)へ嫁がせます。しかも結婚祝いとして「半年以内にディトリアンを殺さなければ、生きたまま引き裂かれる呪い」を娘にかけます。ディトリアンとヒロインは徐々に思いが深まりますが、ティドリアンは死んでしまいます。嘆き悲しむヒロインは夫を救いたいと祈り続け、結果、巻き戻りに成功します。2度目の人生、今度こそ愛する夫を守りたいと懸命に行動するのでした。
【聖女である母親】相当に酷い。まさに冷酷無比。それも為政者として大義の為に冷徹な判断…などでなく、単に自己中心的な感情を満足させる為。人命を軽んじ、簡単に奪う。しかも残酷な仕打ちで。その上、自分の手の内の者でさえ、用済みと思えば簡単に切り捨てる。非情。無情。醜い人間性。筆舌に尽くしがたい。
【公王ディトリアン】まず公国は聖女の帝国に30年間虐げられてきた。先王と兄(第一王子ユリオス)を帝国の為に失った。兄は殺されて遺体になってからも、冒とくされた。ヒロインの事は聖女の情報操作で悪女と認識しており、そのような者との結婚は屈辱の極み。しかし国力の差を考え、己の心を殺し、ヒロインを妻として受け入れる。次々とやって来る耐え難い状況に耐え、国民の安寧を第一に考える人徳者。
【公王兄ユリオス】登場期間は短いが、強く印象を残す人。為政者として充分な器であり、優しく温かい人柄。好青年だった。
【ヒロイン】前述の理由で、ずっと虐げられている。母親の悪意にさらされ続け苦しい中でも、夫を救う為に奮闘する。2度目の人生では、1度目の人生になかった出来事が増えてくる。人柄は優しく健気。
物語は割と序盤から真の聖女がヒロインではないかと匂わされていますが、まだまだ母親の力が絶大で命の危険にさらされ続けます。ただ母親は悪行の限りを尽くしているので、苛烈な断罪を受け、相応な代償を払うところが見てみたい。この先、スカッと溜飲が下がるシーンを期待します。もっとみる▼ -
主人公の正義感と熱血さが救いネタバレ2025年9月10日このレビューはネタバレを含みます▼ 個人的には苦手分野のスプラッターホラー。それなのに読んでしまったのは“捜査”とあるから、何か救いがあるのかと思いまして…。
主人公は五代一哲という熱血刑事。犯人への過剰暴力が問題となり異動させられる。異動先は「捜査第五課」超能力により過去に戻り、連続殺人犯の行動を未然に防ぎ、被害者を救済するという。(かなり荒唐無稽だけど、そこは漫画だから)過去への戻り方は、五代刑事とその事件の被害者の精神が入れ替わるという方法。しかも五代刑事が失敗した場合、もう戻れないという命がけな手段。肝心の超能力の使い手は上司の飛高警視正。この人物も物腰は柔らかいものの怪しさ満点で曲者っぽい。
しかし正義感に燃える五代刑事は過去の事件に身体を張って飛び込んで行きます。五代刑事自身は体格のいい、訓練された身体能力なのですが、転移してしまうと転移先の人物なりの体力しかない。そこがまた縛り条件になり、物語に幅を与えるのでした。以下、五代刑事の転移先。
【村上ハルカ】17歳。1995年の「兵庫・乳房切除連続殺人事件」の被害者。
【日野翔太】9歳。2009年の埼玉「彩門病院連続ベクロニウム中毒死事件」の被害者。
【高杉裕也】24歳。2011年の「練馬区連続殺人事件」の犯人の高校時代の教師。
【清川麻紗】18歳。大学生。2004年の「祝波島41人殺し」の被害者。
【星名聖良】6歳。1996年の「大田区一家殺人事件」の被害者。
とりあえず5名の転移先人物を挙げてみました。なんとなく雰囲気が伝わるでしょうか?五代刑事が転移してから救える命がある一方で、救いきれない犠牲者も容赦なく出ます。冤罪も明らかになったり、陰鬱さが拭えません。それに過去に亡くなった人物が生き残ることで(それも数十人)未来にどんな影響が出るか謎のまま。
実は五代刑事自身も妹ひとりを残して、それ以外の家族が犠牲となった「杉並区一家4人肉塊殺人事件」の遺族でもあります。どの事件も陰湿で凄惨な内容ですが、五代刑事の熱量でぐいぐいと導かれます。事件の裏にもまだ謎が残り、巨悪の気配。先が楽しみです。 -
聖女様の逆ハーレムからあぶれた騎士様に熱烈に求愛されている件
ふたりはスムーズに結婚出来るのか?!2025年9月9日ヒロイン(ラシェル)は妹に婚約者を奪われ、そればかりか家督も妹に継がせると言われ、今まで勤めで稼いだ金銭を家族に渡していた献身まで評価されない。そこでひとりでやけ酒をあおるために酒場にいたが、偶然居合わせたイケメン(アルフレッド)と意気投合。
イケメンにも事情があり、彼は2日前に凱旋した勇者パーティの騎士様でした。彼のなげきは、憧れ好意を抱いていた聖女様が、自分以外のパーティ全員と関係があった事。貞操観念の強い騎士様は「はじめての相手と結婚する。」と決めており、経験がないのでした。ヒロインと愚痴の慰め合いとなり、深酒し、翌朝、気が付いたら事後の状態。ヒロインは責任を取って騎士様との結婚を了承するのでした。
ヒロイン、いい子には違いありませんが、騎士様を魅了するには役不足な感があり、ちょっと説得力に欠けます。しかし騎士様のはじめての相手だった事実に揺らぎなく、騎士様と結婚する流れとなります。
騎士様、キラッキラのイケメン。まさに輝く美貌。武勇に優れ、地位も名誉も財力もある、超優良物件です。しかも貞操義務をよく守る誠実さ。ヒロインには甘々ですが、ヒロインを虐げた妹や家族には明らかに辛辣。メリハリ効いています。
個人的には魅力的な人物を射止めたなら、それなりの理由がないとモヤモヤします。このヒロインは凡庸で、酒場で意気投合してワンナイトしただけなので。これから先、納得出来るだけの魅力を発揮してくれる事を期待しますが、どうでしょう?でも男性の場合、自分に課した規則を頑なに守り実行する人もいますので、ヒロインがその対象になった時点で、それ以外の要素は重視されなかったのかもしれません。
ヒロインが了承し、騎士様が決意した時点で、結婚までスムーズに進むはずですが、実はすんなり進みません。聖女様が絡んだ事案が出てきます。
この先、どうなるか?波乱含みな展開。先が楽しみです。もっとみる▼ -
真面目な問題提起をしてくれる作品2025年9月8日ショッキングな題名に、被害者の児童にどんな実態があったのか気になり読んでみました。「“性被害”= 無理やりな性行為」だと残酷過ぎると心配しましたが、そこまでに至る事前の事案だった様で、ほっとしました。
むしろ最悪の事態までこなかった事で「そんなことくらい。」と過小評価になる危うさをはらんでいます。
被害者児童は学校へ行けないくらいのショックを受けています。加害者児童は家庭環境に問題があり、性行為がどんなものか知っており、他に人目のない場所で性的な接触を行っており悪質です。これを「スカートめくり」と同列にとらえてはいけません。加害者児童には自分の行為が“犯罪”である事を理解させ、今後一切行わない、許されない事だと自覚させる必要があります。これが周りの大人の責務です。(そもそも「スカートめくり」だったら許されるのかと言えば許されませんが。)
昨今ではインターネットを介して溢れる性的な情報、しかもそれが正しいとも限らなく。SNSの利用による拡散など、昔にはなかった条件がからみ、より問題を難しくしています。
幼いうちから「プライベートゾーン」(水着や下着で隠れる部分と口)を守る必要を教えたり、もしそれが侵害された場合の行動を教えたりするだけでも、犯罪にあう危険性を下げるかもしれません。
社会全体が子供を手厚く守るべきですが、必ずしもそうではありません。せめて自分達に何が出来るのか?考えさせられるきっかけを与えてくれます。もっとみる▼ -
自立自律のヒロイン。王子を助ける側?!2025年9月8日ヒロイン(令嬢テリル)は候爵家次男(ジェモン)と恋仲であったが、ジェモンは自分が爵位後継者として地盤を固める為、公爵令嬢との婚約を決め、ヒロインを捨ててしまう。
ジェモンには義兄がいた。養子として引き取られた候爵家長男(セシオ)は歩く事ができず車椅子生活で、話せないため筆談だった。養子として引き取られるには理由があったが、候爵夫妻の実子はジェモンであった為、後継者はジェモンとしたい思惑があり、冷遇される日々を暮らしていた。義弟の恋人であるヒロインとは接触があり、必ずしも大事にされていないヒロインに同情的だった。
ヒロインは捨てられた日に帰宅すると、また大変な騒動。20年ぶりに、死んだと聞かされていた実父が強引に迎えに来ていたのでした。ただその実父は国中でもトップクラスの実力者であり、ヒロインは一夜にしてリーハン公爵家の後継者として、権力を手に入れます。
ヒロインは自分を裏切ったジェモンとその両親に、一矢報いたい。その為、義兄セシオと契約婚約を結ぶのでした。そしてこの義兄セシオは秘密が多く、何やら魂胆もあるようで、一筋縄ではいかない人物なのでした。
元婚約者に一泡吹かせるだけでは済まない、同時進行で政敵との熾烈な権力争い。陰謀や暗殺に立ち向かいながら、セシオと協力しながら、彼の野望を叶えるべく立ち振る舞うスケールの大きな話しになっています。単なる恋愛のいざこざ話しで収まっていません。
ストーリーのメインはこの権力争いに負けずに、セシオの野望をどう叶えるかという事と、協力しながら親密さが深まってしまうふたりの関係性がどんなふうに変化していくかが見どころです。
読者としては、このふたりが魅力的な人物かどうかが、物語に引き込まれるか否かの分かれ目になりそうです。
【ヒロイン】リーハン公爵家の権力を得る前から、芯が通った女性です。自分が納得出来る結果にたどり着けるまで、状況を切り開く気概があります。清廉なばかりでなく、ちょっとダークさがあるのが、むしろ良い。どんな道筋をたどるのか先が気になります。
【義兄セシオ】秘密、隠し事の多い人。長年の不遇の日々でも、目的の為に自分の秘密を隠し通すといった常人ならばやり通せない苦労に耐える精神力の持ち主。それでいて繊細さも併せ持つ複雑さのある人。
ふたりの魂胆と関係、どちらも成り行きが気になって、読むのをやめられません。もっとみる▼ -
お金が大好きな平民の私は卑屈貴族と契約結婚して愛し愛されます コミック版
不憫なヒーロー。幸せになって!2025年9月7日美醜逆転ものです。世界を救った“勇者”に似た容姿が最も美しく、逆に世界を滅ぼさんとした“魔王”に似た容姿が最も醜いとされています。魔王に似た容姿を肯定する事は、魔王肯定と受け取られ迫害の対象になり得てタブーです。「生まれ持った容姿がたまたま“魔王”に似ていただけで、本人は悪くない」という理屈は通用せず「悪いから“魔王”に似ているのだ」という常識で、当事者には救いのない設定になっております。
ヒーロー(辺境伯ディルミック)は国中の令嬢から婚姻を拒まれ、やむなく平民を娶ろうとしますが、3人に逃げられます。ヒロイン(隣国の平民ロディナ)は満を持した4人目、最初から金銭による婚姻であり、お互いに「跡継ぎを生む女性をお金で買った」認識を共有しています。
【ヒロイン】前世の記憶があり、前世は金銭的苦労をした為、お金に執着があります。そして美醜の感覚も前世の基準な為、ヒーローがイケメンにしか見えません。その2点以外は、至って普通の人。ただその普通の感覚がヒーローにとって救いとなります。
ヒロインは妻として夫に親愛の情を示します。最優先事項の閨事は拒みませんし、食事を共にしたり、長く暮らすために言葉の習得に励み、貴族である夫に恥をかかせまいと礼儀作法を努力して学んだり。ヒロインとしては取り立てる程でもない数々がヒーローには温かく心に染みるのでした。普通に振る舞うだけで、イケメンの心を魅了出来るとはチートです。
【ヒーロー】高い身分で恵まれている筈にも関わらず、容姿の為に辛酸を舐めています。貴族の義務として、何としても跡継ぎを得なくてはなりませんが、対象となる女性達から心無い仕打ち。しかも悪意の意地悪というよりも、取り繕おうとしたけど出来ない程の生理的嫌悪感が隠しきれないっ!という…より深く心傷付ける有り様。不憫です。
思い返せば物心ついた後は、食事を誰かと取ることもなく、人とのスキンシップもなかったと気が付くヒーローです。だからこそ普通に振る舞うヒロインの態度が心に染みてしまうのでした。
ヒーロー自身は、辺境伯の職責を立派に果たし、穏やかで優しい人柄。幸せを求める事に諦めが先に立ち、ヒロインに癒されても、積極的な行動に出ません。ヒロインの方も淡々とした性格で、積極的な態度はなし。信頼は深まりつつあるのは分かりますが、甘い雰囲気が足りなくてジリジリします。甘々を見たいです。もっとみる▼ -
後悔するならご勝手に~あなたの選んだ聖女様とどうぞお幸せに~【単行本版】
幸せをつかめるのは誰?ネタバレ2025年9月7日このレビューはネタバレを含みます▼ ヒロイン(侯爵令嬢デイジー)は、病から救ってくれた聖女(子爵令嬢ルーラ)を“真実の愛の相手”だと言う王子(第一王子フレディ)から婚約破棄されてしまう。
厳しく、5年にも及ぶ王妃教育を受け、王子の職務の肩代りと社交の補佐を行い、内助を尽して支え続けた功績は、まるで評価されず一方的に切り捨てられるヒロイン。不憫。
その上、信じられない事に実父から「正妃が駄目なら側妃になれ。」と命令されてしまう。娘の心情など一顧だにしない冷酷父。そんな矢先、ヒロインは原因不明の昏睡状態に陥ってしまう。
【ヒロイン】ただひたすらに自己犠牲の人。特に婚約者である第一王子と実父に対して。ただそれは一方的なものであり、第一王子と実父には真心が少しも伝わっていません。彼らにするとヒロインの献身は当然のものであり、わざわざ感謝するようなものではない。もう搾取されているに近い状態。昏睡状態になったことでヒロインは自分の置かれた状態にやっと気付く事が出来ました。そして搾取される様な献身をやめる決意が出来ます。
心優しいヒロインには心酔して味方になってくれる人達もいて、その人達との幸せが見出せそうです。報われる瞬間が待ち遠しい。
【聖女】『礼儀を弁えない優位に立ちたい令嬢』と噂されている子爵令嬢。身分の低さを理由に蔑まれた事が遺恨となり、自分より高位の令嬢の婚約者を魅了して、それをわざわざお相手令嬢にマウントを取るのが快感となる。
第一王子をヒロインから奪えた事を至福と思う。こう聞くとただ単に下卑た人物としか思えませんが、見直す出来事がやってきます。治癒の力は本物。
【第一王子】とにかく残念な人物。王太子として必要な素養を満たさず、婚約者であるヒロインに肩代りさせていた。その自分の状況把握も出来ずにヒロインを捨てる。旗色が悪くなり、今度は聖女を捨て、ヒロインに戻る発言。節操がない。無知で愚か、救いようがない。
【真のヒーロー】ヒロインの事を内心慕っていた。婚約破棄で自身にもチャンスがある筈なのに、立場をわきまえてそうはしない。それどころかヒロイン自身の幸せを案じ、リスクを冒して秘策を授けます。聡明で誠実な愛情深い人。
因果応報。この言葉通りの結末を迎えそうです。おバカな第一王子にも頑張り次第で幸せが訪れる余地があります。あとは本人次第。 -
捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです@COMIC
大河ドラマの様な長編原作のコミカライズ2025年8月31日ヒロイン(侯爵令嬢メルフィーナ)は夫(公爵アレクシス)から結婚式直後に「君を愛するつもりはない。」と言い放たれます。しかしヒロインはひるみません。自分がゲームの中に転生したと自覚し、前世の記憶もあるからです。聖女が登場する前に断罪を避け、生活基盤を整える魂胆。夫から僻地の開発中で貧しい領地を割譲してもらいます。そして翌日には領地へと出発してしまうのでした。
ヒロイン、怒っています。生家では愛を注がれずに育ち、政略結婚で夫から愛されなくても、子供を数人持ち、子供との愛ある家庭を築きたい望みを、早々に打ち砕かれたからです。
しかし切り替えも早い。前世の記憶で近い内に飢饉が起こる事を知っていたヒロインは、主食のジャガイモの代替作物としてトウモロコシを主導して栽培させます。やがて飢饉が訪れ、他の地域が食料不足にあえぐ中、ヒロインの領地は飢えずに済むのでした。
余剰分を夫に売るのですが、たいそうなお値段。怨恨含みの値段設定です。ヒロインはもうすっかり割り切れているので、夫に対しては完全にビジネスパートナーとして接します。
ヒロインは前世の知恵を活かし、領地経営に励みます。それは農地改革であったり、農奴の身分解放であったり、特産品の開発や市街開発など、現代感覚に基づいた画期的なもので、奇跡的な成果を上げ続けます。
この領地経営の成功ぶりが作品の醍醐味。「どうぶつの森」をプレイするような達成感があります。日々の食事に事欠く貧しい農村が、毎日満腹になれるまで豊かになり、ゆとりと生き甲斐を得て、生き生きと暮らすようになります。それらをもたらすヒロインのチートぶりも爽快です。
登場人物も多く、ヒロインに引き寄せられるように縁ができ、癒され、また旅立って行きます。大勢の脇役も成長していく様も描かれ、作品の奥深さがあります。
ヒロインは慈愛の人ですが、領地が発展するにつれ、優しさだけでは治められない事態に見舞われます。冷酷と思えた夫も取引相手としては、公平で誠実だと気付き印象が変わっていきます。根深い「北部問題」の真相に迫ったり、とにかく大河ドラマのようなスケールの大きさがあります。まだまだ原作は続き、ヒロインの人生が描かれます。考証もしっかりされているようで、読み応えあります。結末まで本当に楽しみです。もっとみる▼ -
凄い緊迫感…実写映画化して欲しい!2025年8月30日最初から一貫して凄い緊迫感!息もつかせぬ怒涛の展開!確かに“主人公補正“や”ご都合主義”がないとは言いませんが、それを凌駕する面白さ!日本にこんな面白い作品を生み出せる力があると知って嬉しくなりました。
【防人このえ(さきもりこのえ)】防大卒で自衛隊任官前にクルーズ船富岳で怪獣に遭遇。最初の怪獣からずっと対峙することになる。
【大和令和(やまとよしかず)】2等海佐。怪獣の気配(声)を聴き取り、怪獣の位置や接近を察知する特殊能力がある。
【オロチ】最初の怪獣。物音で獲物を察知。一度傷付けた獲物に対する執着を見せる。クルーズ船富岳の襲撃がメインストーリーの始まり。
【ヒルコ】次の怪獣。高知市に上陸。オロチと同じく人を捕食する。強力な超音波攻撃を繰り出す。
【ホムスビ】これまでと違い鉄を食料とする。人は直接的に襲わないが、電磁波などに引き寄せられる為、スマホや電線、車両などに反応、それを使う人々が巻き込まれ犠牲になる。インフラは餌。共存は不可能。
【ヌエ】まだ連載中で本領発揮はこれから。電磁波攻撃できる上、飛行可能。人を捕食する可能性もある。無双。人類のアルマゲドンになるかも?
●リアルな作画。船舶から戦車、自衛隊の装備まで実写のような作画です。素晴らしい!没入感あります。
●実社会反映。行政の縦割りの弊害。未曾有の危機すら政局にする政治家。迫りくる怪獣を前に動画配信をやめない一般人。領海問題。現実でもありそうな問題がリアル。
●熱い人間ドラマ。命を賭して市民を守る自衛隊員や警察官。それに協力する一般市民。個々人の家族愛。あまり人間の醜い部分は描写されず、弱者を切り捨てない、頭の下がるような立派な人物が多く描かれます。
●スリル満点。最初の怪獣オロチは、物音で獲物を探知します。死の危険にさらされながら悲鳴を上げずにいられるか?など手に汗を握る緊張感を、一貫して味合えます。
●怖すぎる怪獣。全体的に「シン・ゴジラ」を彷彿とさせられますが、ゴジラより怖いのは、人を捕食する点です。超音波など「遠距離攻撃」が可能です。繁殖し、強靭な身体は兵器も効きにくく、適応能力の高さ、学習したような防御をしたり、人間社会を追い詰めてきます。
読むのを止められない面白さでした。人類を破滅から救えるか?怪獣自衛隊の活躍を期待します。もっとみる▼ -
孤高のヒロイン…幸せを願う2025年8月29日ヒロイン(伯爵令嬢オパール)は、16歳の時、暴行未遂の被害者になり、被害者であるにも関わらず社交界の醜聞となり辛酸を舐めます。19歳の時、斜陽の公爵家と政略結婚。夫(公爵ヒューバード)は世間の評判を鵜呑みし、冷淡な態度。そればかりか妻の立場にあたる部分を幼馴染みの女性(ステラ)に許し、ヒロインを苦しめます。ヒロインはこの逆境をどう乗り越えるのか?という物語です。
【公爵ヒューバード】26歳。立派な成人男子でありながら、世間知らずで、未熟過ぎる。浅慮。思いやりにも欠ける。いいとこなしな人物です。ただし地位が高く、彼の破滅は使用人や領民を巻き添えにするのが厄介。
【幼馴染みステラ】論外。話にならないレベル。短慮で利己的。世話になっている公爵家に正妻が来たのに、わきまえません。それどころかヒロインに全権を掌握されてからも、自分の置かれた立場を理解出来ません。感情的でヒステリック。一貫して無知で愚かです。
【ヒロイン】16歳の被害から、ずっと辛酸を舐めます。しかし、自分を奮い立たせ、胸を張り、自分の出来る事を尽くします。レビューでは可愛げがないと一部で不評でしたが、素晴らしく孤高の人だと思います。
●さっさと公爵家を見限る事も出来ましたが、犠牲になる領民を思い、踏みとどまり泥水をすする様な努力をします。為政者として立派です。
●不当に蔑む態度を見せた使用人、横領を働いた管理人、何より屈辱を与えられた幼馴染みとその母親など、苛烈な断罪を与えたければそうできるにも関わらず、そうしません。適切な罰は与えるものの、再活用します。幼馴染みとその母親に至っては無罪放免。所詮、何も持たない弱者で、取るに足りない相手と判断した為でしょう。度量の大きさを感じます。
●未熟で愚かに見える夫を、意に反して支え続けます。詐欺すれすれの行為で、公爵領を自分名義に変えて時間稼ぎをし、その間に自身の父親に夫を鍛えてもらいます。3年経ち、やっと成果が見え始めた矢先に、夫は誰も手を出さない難しい事業に、相談なく不正な手続きで出資。またもやピンチが訪れますが、歯を食いしばり支援を続け4年。事業が成功し始め、果実がこれからという時に離婚。無欲で潔い。よほど嫌だったのでしょう。未練が微塵もありません。
大物の政治家、事業家であるかの様なヒロイン。可愛げはないですが、報われて幸せになって欲しいです。もっとみる▼ -
人生いろいろ…登場人物すべてに幸あれネタバレ2025年8月29日このレビューはネタバレを含みます▼ 最終回まで読了、いろいろ考えさせられて名作でした。レビューでは、真山君がいいと言う意見が多く、旦那派は少数な感じでしたが、個人的には旦那に落ち着いたのがリアルだと思いました。
【真山君】23歳でコミュ障っぽく描かれていますが、そうではなさそうです。きっかけの問題?先輩や同期から、きちんと評価されており、思いやりもある。主人公に真剣に恋をして、主人公を真正面から受け止める決意と誠実さが男らしい。このあたりは年齢ではなくて、人柄とか人格が物を言うと思います。年齢だけ重ねても、きっぱり覚悟を決めて行動できるかは別物です。
主人公は真山君に走っても、幸せになれた予感。レスで悩んでいたなんて嘘みたい…情熱的に愛されて、子供も授かれて、年下の貞操な夫と幸せな家庭。そういうのが予感できる資質が真山君にあるので、読者にフラストレーションを与えてしまったと思われます。まだ若い。次の良縁を掴んで欲しい!
【旦那】幼少期のトラウマは理解できますが、やはり問題あり。妻が真剣に悩んでいるのに、向き合わな過ぎです。レス5年は酷い。話し合いがない期間が長過ぎです。そのうえ元彼女にひよるとは、みっともなさ過ぎです。
しかし妻を思う気持ちはあり、激務をこなすのも、最終的には妻の為。不器用過ぎる。もっと早い段階で、きちんと話し合いを重ねていれば、主人公が苦しまなかったのに。主人公の親の介護を援助する姿勢は高評価。
【主人公】ちょっと頭で考え過ぎなのが短所。行動が先に来た方が解決することだって多いのです。夫婦仲で悩んで仕事を再開したのは正解。閉塞感を打開しました。
親の介護の援助を夫から受けていたのが、心理的にも経済的にも制約になります。それがなかったら真山君に走った可能性は上がっていた気がします。
最終的に夫を選んだのは、やっぱり夫との月日と絆の重みだと思えます。ただ年若い真山君との別れ方は良くない。嫌われて未練を残させない配慮かもしれませんが、夫を選んだと理知的に伝えれば、潔く理解するだけの度量が真山君にはあったでしょう。無駄に傷付けただけでした。
【元彼女】この人が一番リアル。シングルマザーで職場も温かみがない上に激務。誰かにすがりたくなって、心の暗部をさらしました。しかし生徒を見捨てず、一番大事な事は子供との幸せと気付き、立ち直ります。応援したい。
いろんな点で感情を揺さぶられます。 -
辺境伯が幸せを噛みしめるシーンを早く!2025年8月23日悪役令嬢と聖女様の構図なのですが、少しひねられた作品です。ヒロイン(公爵令嬢エマニュエル)は派閥争いで負け、誤った世論にも抗いきれず、「女神のいとし子」を選んだ王太子から婚約破棄されます。しかし内情を正しく理解している関係者達は、いがみ合いません。ヒロイン、王太子、女神のいとし子は仲良しなままです。
世論を収める為にヒロインは国一番の醜男(辺境伯ルース)に嫁ぐことになります。この辺境伯は色素が薄い、銀色の髪と瞳。色素が薄いというのは魔力が弱い事でもあり、この世界では忌避される条件になっています。
対してヒロインは髪も瞳も黒く、魔力も強い、最も美しいとされる条件を備えています。辺境伯は自分の容姿が皆に避けられる事に慣れきっており、ヒロインとの婚姻も、時間をかけた末に逃げ切られると予測しており、順調に進む婚姻話を信じきれません。
ヒロインは転生者なので眉目秀麗な辺境伯にデレデレなのですが、ちっとも伝わらなくて、そのすれ違いが可笑しい。
辺境伯は色素が薄いだけで、キラッキラの貴公子、魔力の弱さを補ってあまりある剣技、勇敢で努力家、家柄に財力、かなりな高条件なのですが、色素の薄さはすべての長所を打ち消す強烈なマイナス威力。世間からの不当な評価を幼少期から浴びていた為、ヒロインの好意を素直に受け入れません。読者もモヤモヤさせられます。頑なになり過ぎで、ヒロイン挫けないか心配になってしまいます。早く素直に受け入れて、甘々シーンにして下さい…途中で何度も思ってしまいました。
読者としても挫けかけた時に、事件が起こります。それがきっかけで、辺境伯が自分の頑なさを顧みてくれるようになります。
辺境伯、本当に素敵なのですが、正しく評価されなくて不憫。スタイルもとても良いし、腕っぷしも強く、それでいて性格は潔い。外面も内面も素晴らしい。
小説版では、ヒロインのアプローチも、辺境伯の心理描写も、行儀正しい…というかちょっと控え目。もっと苦しい葛藤や、逆に絶頂の喜びなど、恋の醍醐味を掘り下げて貰いたかった…コミック版に期待したいです。もっとみる▼ -
主人公の女性が心配2025年8月9日レビューが低くて、物議を醸し出しそうな題名の本作、逆に内容を見てみたくなりました。題名の14Pは11〜13話に出てきました。
島の男性陣の行動は、主人公以外の女性とも過去にあった事がセリフで匂わされており、常習性が伺われます。マスターが首謀メンバーで、旅行者の女性で貞操観念の薄そうなターゲットを見つけたら、あたりをつけて、快楽の対象にする。ただ女性の反応を冷静に観察している様子があり、嫌がる素振りがあれば、それ以上はしない…あくまで合意が前提の印象です。
主人公の場合、快楽を恍惚として受け入れ、しかも繰り返し通うところから、完全に合意と受け取られているようです。温泉も一度はやんわり行かないように忠告されていますが、聞き入れずに、車で送迎をねだります。
男性陣の方は、島の閉鎖的な人間関係で、かつ快楽目的のグループなので、事前に連絡済みで集合し、行為に興じたと思われます。主人公の事は、人並外れた『ゆるい女』として情報共有されていたと考えるのが自然です。主人公が顔を引きつらせて本気で拒絶していたら、無理じいはしていなさそうです。犯罪になる事は避けている冷静さがマスターにはありそうです。そうはいっても犯罪すれすれですけど。
主人公はマスターとのこれまでの行為を了解していますが、大勢との行為まで想定していなかったでしょう。温泉に入ってオシマイのつもりでいたと思います。しかし想定外とは言え、安易に流されて受け入れ過ぎる。彼女の行動は『まとも』には到底見えません。内心、精神的に病んでいる?…自傷行為に見えてしまいます。
ただ描写はあくまで安易であっけらかんとしており、マスターに後日、普通に会いに行き、逃げ出す素振りもないので、やっぱり受容しているのかなと…。一般的な感覚からすると理解が難しい。本当に奔放なのか、本当は病んでいるのか、判断つきません。
ただ合意の上でも、主人公にとってリスクが高いことは確かです。性に奔放で女性が得をする事はあまりありませんから。痛々しく見えてしまい、主人公が自分を大事にするようになるのを願います。もっとみる▼ -
この恋が現実ならば…考察してみました!2025年8月8日この恋が現実ならば…ズバリ、成就しない可能性が高いでしょう。女性は「いずれは男が真摯になって、自分だけを選んでくれる」と願いたいでしょうが、現実だと叶うのは難しいでしょう。
【理由】男の態度が不誠実で、女性を大事にしていないからです。
【その一】佐成タイプの男でも、真剣な恋の相手ならば、最初から誠実な態度を示す筈です。でも一香の場合は違います。
【その二】一香の気持ちを知った時、誠実さを示す機会はありました。応える気があれば、身辺整理をする筈です。応える気がないなら、その旨を伝え、一香と距離を置くべきです。それが自分に、真心を寄せてくれた女性への、せめてもの思いやり、そして男らしさというものです。でも佐成はそのどちらでもありません。
【仮につきあったとしても】佐成タイプの男は、態度を変えないでしょう。思わせぶりな、煮え切らない態度を続け、女性が消耗するでしょう。惰性で結婚出来たとしても、貞操観念の希薄な夫に、悩む可能性が高いでしょう。
【本気の恋の相手なら】翻弄して悲しませたりしないでしょう。苦しみを取り除き、守り、幸せにしたいと行動する事でしょう。
【女性はどうすべきか】純愛を望むなら、一目散に逃げるべし。遊びを楽しみたいなら、どうぞお好きに。
【その一】他に誠実な相手を探しましょう。一香は見た目が派手で誤解されやすくても魅力的なので、きちんと理解してくれる人が現れるでしょう。
【その二】恋愛以上に熱中出来るものを探しましょう。佐成タイプの男以上に心動く相手がみつからないなら、一旦恋愛から離れましょう。勉学なり就活なり、自分を磨けるものに注力すれば、真の良縁を得た時、大きな助けになるでしょう。
【一香の本心は?】純愛を望んでいるのでしょうが、行動が合致していません。本気で純愛を望むなら、ふさわしい相手が現れているみたいですが、曖昧です。佐成が真摯になるかもと期待するのは、悪手です。
【でもこれは漫画なので】佐成が一香に真剣に恋するように変化するかもしれません。あるいは一香がもっといい相手を見つけて去っていき、佐成が失ってから後悔するパターンも考えられます。
【青春のきらめき】まだ二十歳そこそこの若いふたり。恋に傷ついても、次の恋に生かせるでしょう。それこそ今しかない『青春のきらめき』を謳歌して欲しいです。どの様な結末を迎えるか楽しみです。もっとみる▼ -
第6話と第7話で救われた…個人的な感想2025年8月6日ヒロイン(村娘フリージア)が、なぜかヒーロー(でいいのか?)(勇者アーヴィン)に見初められて、猛烈な求愛を受けます。しかしヒロインは、世界中から切望されるヒーローを好きになれません。
存在が怖すぎるし、話しを聞いてくれないし、望んでいないものを押し付けられる…それに第一…ヒーローの目がモンスターと同じ。それなのに外堀が強引に埋まって行き、追い詰められて、夜逃げします。ヒロインの夢は一流料理人。元々修行旅行をしたかった為、前倒しで実行するつもりでもありました。しかし旅先でいきなりヒーローに追いつかれてしまいます。
序盤、まず超絶ハイスペックのヒーローがなぜヒロインに魅了されているのか、まったく分かりません。ヒロインも気の毒なんですが、割と浅慮でおバカっぽく見える。この物語、どこに着地したいのでしょう?迷走の予感でした。
それにヒーロー、問題あり過ぎ。ヒロインが自分のものにならないなら、この世界ごと消し去ってもいいんだよ。とスケールの大き過ぎる脅しを度々。しかも本気。ヒロインの寝所に無断で忍び込む。恋の妄想に興奮して息を荒くする…変態!怖い、怖すぎる。ドン引きするしかない。
しかし第6話、7話でヒーローが魅了された経緯とヒロインの持ち味が分かります。ヒーローは数多の命を犠牲にして世界を救いますが、その後の世界は代償に見合うものではありませんでした。深い絶望に沈んだヒーローは、自らの命を絶つ行動をします。
通常の手段では死ねないヒーローは餓死を試みます。森の中で、もじゃもじゃ姿の男を見つけたヒロインは、手料理を振る舞い、ヒーローを助けます。そして魔王が倒された後の世界の方がいいと輝く笑顔で答えます。彼女に心を救われたヒーローは、瞬く間に恋に落ちるのでした。
この場面で、ヒーローの深い絶望とヒロインの無垢な魅力が理解出来ました。そしてヒーローの言葉が脅しではなく、素で本気だという事も。
ヒーローは、ヒロインの素材の味を舌で確かめたいという修行旅行に同行し、飛竜の肉を入手してあげるとか特別な補佐の方が、射止められると思いますが、財力で店を持たせてあげられるとか、的外れなアピールになっています。
この先どうなるのでしょう?ヒロインが業の深いヒーローを見捨てられなくなるのでしょうか?一押し二金三男、3条件すべて満たすヒーローに押し切られてしまうのか?楽しみです。もっとみる▼ -
序盤はつらいがそれには理由がある2025年8月6日謎が謎を呼ぶミステリー仕立てになっています。でもラブストーリーなのです。一度読んだだけでは「???」な状態ですが、謎の真相を知りたくて、先を読みたくなります。主な登場人物は…
【アデリエーヌ・ファーレ】現世のヒロイン。人族。第三王子の番候補。
【アデリエーヌ・リュシー】前世(250年前)のヒロイン。人族。第三王子の番。アッシュという名の許婚がいた。
【サラ姫】500年前の第一王子の番。人族。
【第一王子】前世ヒロインをかばう態度。竜族。
【第三王子】前世ヒロインに冷徹な態度。竜族。
【レヴィ】狩人。現世ヒロインと少なからずの経緯がある。ある人物と意識を共有。人族。
【ゼファニエル】騎士団副団長。ある人物に一時的に身体を乗っ取られる瞬間がある。現世ヒロインに求愛。人族。
250年前、前世ヒロインは孤独な生活に苦しんでいました。番として呼び寄せられたのに、相手の第三王子が冷徹だから。「名を呼ばれない」「微笑みかけられない」「触れて貰えない」第三王子から拒絶されているとしか思えない。周りの大部分の竜族からも敬遠される。辛い苦しい軟禁生活の末に毒で命を落とします。
現世ヒロインは「番候補の招待状」に触れた瞬間に前世の記憶が蘇り、何とか番認定を回避しようと行動しますが…。
「どうして第三王子はああまで冷徹なのか?」「ヒロインとサラ姫は関連あるのか?」「ヒロインの死の真相は?」大きめの謎だけでも、複数あります。セリフのひとつが真相を指し示す意味が込められていたり。
「時系列の前後」「意識の一時的な入れ替わり」「記憶を混濁させる呪い」「利害関係者の思惑」などが複雑に入り混じる為、謎は深まるばかりですが、理由や背景があります。原作ではそれらが明かされて、伏線がきれいに回収されます。なるほどね〜と思えます。
絶対権力者の横暴と執着。それに翻弄される人々。巻き込まれる面々は、運命を狂わされ、そればかりか命を失う事も。その一方で貫かれる深い愛情が描かれます。500年にも渡る確執、重厚です。
個人的には、前世ヒロインの許婚アッシュが好きです。懐の深さと忍耐、男気を感じます。魅力的な登場人物が多いので、それぞれが幸せになって欲しいと願ってしまいます。もっとみる▼ -
夫婦のことは夫婦にしか分からない?!2025年8月5日レビュー(いいね数順)を見る限り、非常に評判の悪い夫(伯爵令息スワンガン中佐:25歳→33歳)…確かに、序盤から散々な所業。
①結婚式前日に出征。花嫁(ヒロイン)を置き去り。
②そのまま八年間放置。
③帰還後、初顔合わせで身勝手な初夜。
④一ヶ月以内に妊娠するか否かで、離婚をかけて賭け。(しかも賭けを申し入れた理由は意趣返し)
この夫、根底に根深い男尊女卑が染み付いており、女性の尊厳に対して、思い巡らすという発想が皆無です。しかも、その事に対して微塵も自覚なく、問題として気付くことすら期待できなさそう。
対してヒロイン(子爵令嬢バイレッタ:16歳→24歳)は剣の達人であり、慧眼&博識、美貌、人脈、胆力があり、義父が怠惰で放置した領地経営を代行し、自ら事業を行う経営者でもある…精神的にも経済的にも自立した女性。
そんなヒロインが、なぜか離婚を申し入れている夫の道徳的に問題のある賭けを安易に受け入れ、手荒く扱われて破瓜しているのか?しかも、その行為中、すがるような素振りまで見せています。
んん?どういう事?非難ごうごうなこの成り行きを、あえて肯定的に考えてみますと…ヒロインは自助自立を既に達成した女性。しかも24歳という女盛り。深夜、寝室へやって来た初見の夫は、見目麗しく、たくましい。ヒロインは恋愛事に疎く、自覚が遅れたが、夫は好みのど真ん中。顔と閨事が良ければ、それ以外は期待しないと無意識に瞬時に判断してしまっていた…と考えれば、その後のヒロインの行動の整合性も合うのでは?
あんな男に貴女はもったいない。他にもっといい男がいるよと、端から言われても、いいの、だってタイプなんだものと、その男を選ぶパターンかと。
むしろR18で描いて貰って、色男(夫)の手練手管が分かって、それじゃ仕方なかったよね、ハマっちゃったんだね…と納得させられた方が軋轢なかったのでは。実際、異国の騎士の方が人物的にもずっと素敵と思いますけど、色男(夫)を選ぶのですね。
ヒロインには有力で裕福な叔父が後ろ盾でついており、夫にすがりつかなくてはならない要素はありません。本気で嫌なら断固拒絶出来るのです。それをしないのは、やっぱりお気に入りということでしょう。ヒロインの自覚の程度は別にして。
原作小説は長編。ヒロインが気に入った男を選んで幸せなら、それでよしです。もっとみる▼ -
授か離婚~一刻も早く身籠って、私から解放してさしあげます!【合冊版】
朴念仁の夫…思ったより深い物語2025年8月3日ヒロイン(フェデリカ)は孤児で平民、そして「色無し」と社会的ハンデをいくつも背負っています。中でも「色無し」はゼーガ神殿の教義により「精霊の加護が無い=色無し」として虐げられる存在。
それでも挫けず治療院で治癒魔法士として実直に働く日々。ある日、王命で婚姻を命じられます。貴重な治癒魔法の血を途絶えさせない為だと聞かされます。夫となる騎士(伯爵三男アルマンド)は、顔合せもないままに、参列者もなく、お互い制服で挙式。ヒロインは「さっさと子を授かって離婚してあげなくては騎士様もお可哀想」と誤信したまま婚姻生活に進みます。
ヒロイン、憐れです。理不尽な差別にさらされ続け、諦める事が身に付き過ぎています。特に破瓜の話しは本当に非人道的、さらっと語られますが、胸の潰れるような出来事。しかしこれが納得出来てしまう様な社会的背景があり続けます。そして子供を授かるだけの婚姻という誤信も解けることがありません。
ここは夫が頑張らねばならぬところですが…優しいものの、朴念仁、いつも言葉が足りなくて、行き違いが解けるまでにいたりません。ヒロインは経歴を考えると、やむ得ない部分があるので、夫のコミュニケーション不足に、少しイライラさせられます。
それでもヒロインに対する思いは真剣で深いものがあり、時間の経過と共に改善していきます。それにとてもいいのは新婚新居の使用人達。良識があり、主人に諫言を述べられる真の忠誠心があります。そして気配りと思いやりに溢れていて、未熟な若い夫婦を助けます。
14巻で出産を終え、15巻から第二章に入った感じです。わりと気軽に読み始めましたが、差別、偏見、女性の社会的地位、格差社会など重いテーマがずっと根底にあり、実社会についても考えさせられます。
ヒロインは芯が強く、問題に立ち向かう賢さがあります。夫の方も家庭環境に軋轢あったりで、順調なばかりでない。そんなふたりが、まわりの人達の力も借りて、どう成長していくのか?そして厚みのある背景が魅力の作品です。もっとみる▼ -
隠されたヒロインの一面…切ないです2025年8月1日ヒロイン(白魔道士セシル)は、魔獣討伐に参加出来ない落ちこぼれ魔道士。王宮パーティーでヒーロー(公爵:聖騎士隊長オズワルド)に解毒薬をぶっかけたところから物語が始まります。
ヒーローは、魔獣による負傷を負い邪気に悩まされていましたが、秘匿の為、白魔道士の治療を受けておらず、有効な手段がありませんでした。そんな時、ヒロインの解毒薬が最も有効だったのです。
ヒーローは強引にヒロインを連れ去り、本格的な治療の為、ヒロインを側に置きたいと、白魔術最高権威であるヒロインの師匠に申し入れ許可されます。その後、治療の為のふたりきりの生活が始まります。
ヒロイン…よくしゃべる。立て板に水、ペラペラ、ペラペラ、めちゃくちゃしゃべります。それに取り繕いません。そして色気もありません。ヒーローが無防備過ぎるヒロインを、警告の為に押し倒しますが「は〜やれやれ」と言ったり。社交界で浮名を流すヒーローですが、ペースを乱されるばかり。スマートな貴公子ぶりをまったく発揮出来ず、口の減らないヒロインと言い合うのでした。
ヒロインのことを趣味じゃないと言い切ったのはヒーローの方ですが、時間が経つにつれヒロインから異性と意識されない事を不満に思います。ヒロインもある事情から恋愛感情を回避せざるを得ません。しかし惹かれていくのを自覚します。そんなおりヒーローが改めて「対象外だ」と言うのを聞き、自戒を強めます。失恋したかのような痛みを伴って。
外的要因に迫られ、内心は揺れ動きながらも、最終手段の施術を決意するヒロイン。ヒーローに師匠から授けられた薬を盛ります。それは媚薬と記憶封じの効果があり、ヒーローの邪気をすべて引き受ける為に破瓜するのでした。自分は愛されないと承知した上で。
あくまで治療、施術だと自ら割り切ろうとするヒロイン。不覚にも愛した男の為に身体と心を代償にします。しかもその事実を男に明かしません。見返りを求める事を潔しとしないのでした。まだ年若い女性にしては重すぎる負担。ここはヒーローに洞察力と男らしさを発揮して貰いたい。黙ってひとりで背負い込むヒロインを救って欲しい。ヒーローの発奮を期待してしまうのでした。もっとみる▼ -
酔っ払い令嬢が英雄と知らず求婚した結果 ~最強の神獣騎士から溺愛がはじまりました!?~【単話版】
イケメン2人の恋の鞘当て×鈍いヒロイン2025年7月31日とっても良かった!三角関係でヒロインを取り合うストーリーなのですが、原作の結末は爽やかでした。
仕事以外はポンコツなヒロイン(子爵令嬢ヴィエラ:王宮魔法使い)は『父が急病。すぐに婿を見つけ帰郷せよ。婿は誰でもいい』と実家から火急の知らせを受け、夜会に参加しますが、普段仕事中毒と噂が流れる程の仕事漬け、相手など簡単に見つかる筈もありません。
やけ酒を煽るために訪れた東屋で出会ったヒーロー(公爵三男ルカーシュ:神獣騎士)と意気投合し、契約結婚を合意します。それを知って冷静でいられなかったのは、ヒロインが仕事漬けになる原因、後輩男子(侯爵嫡男クレメント:結界課班長)でした。
ヒーロー文句ナシのイケメン。家柄、能力、容姿、人柄、そして救国の英雄である…全て揃っています。男らしい魅力に溢れ、初心なヒロインを気遣いながらも、ここぞというところは強引。完璧です。
後輩男子もヒーロー程の派手さはなくても、かなりの優良物件。ヒロインに後輩男子からは嫌われていると誤認される態度をとっていますが、これには事情があったりします。ヒロインを学生時代から思い続け、数年かけて外堀を埋め、いよいよという矢先にヒロインをさらわれる。後輩男子の方が当て馬設定なのですが、横槍を入れられたのはどっちなのか判定し難い背景です。
そしてヒロイン。自分の女性的魅力に気付いていない。無知の魅力。魔法使いとしては、国でも片手に入るくらいの実力。女性としてはイケメンふたりからの取り合いになり、仕事も彼女にしか出来ない有用性で熱望される。公私ともにモテモテ状態なのですが、いかんせん鈍い。
恋愛模様と同時に職務に励まざるを得ない状況。中だるみなくストーリー展開します。恋愛模様は、ポンコツヒロインをよそにイケメンふたりが、バチバチ火花を散らします。周りは空気の冷え冷えぶりに肝を冷やしますが、ヒロインだけ解釈間違ってますけど…な状態。可笑しいけど、これぞ恋愛物語の醍醐味な場面が繰り返しあります。
イケメンふたり、どちらも魅力的。ひとりは恋心を諦めねばなりませんが、その際も潔く爽やか。成り行きが自然で無理を感じません。絵も美しく、面白く、素敵な作品です。もっとみる▼ -
余命一年の悪役令嬢、残生≪アフターライフ≫は逆ハーレムを満喫しますわ!【単話】
憐れ過ぎるヒロインはむくわれるのか?2025年7月30日ヒロイン(公爵令嬢エルフリーナ)は余命1年と宣告されます。その原因は、婚約者である王太子の求めに応じて、不死軍団を実現する為、治癒魔法を酷使し、自身の生命維持すら出来なくなったから。
母国に勝利をもたらしましたが、余命1年と知った王太子から婚約破棄される羽目に。何のねぎらいもなく「可愛げがない」と捨て台詞まで浴びせられます。もともと生真面目で貴族の義務に忠実なヒロインですが、恋もせず、愛も知らず、処女のままひとりで死ぬのは嫌だと、放蕩な弟の意見に従い行動します。
それは別荘に逆ハーレムを築くというもの。相手はやむを得ず恋人役として奴隷を買います。それぞれタイプの違う4人の男性達と、愛は無理でも、快楽は得られる計画です。
元敵国の捕虜「大佐」、異国の異教徒「王子」、文官っぽい「閣下」、ワンコ系の「ミケ」。そもそもお硬い貞淑観念のヒロインには、性格的にも合わない行動ですが、切羽詰まった事情の為、無理を通します。
ヒロインは自分の抱えた事情を恋人達に説明しません。そのせいもあって男性陣からの内心の評価は、良くありません。富にものを言わせた、傲慢で好色な、わがまま令嬢といったところです。事情を知る読者としては切ない。かりそめの関係でも、大切にされて、疑似恋愛であっても生きている喜びを知ってもらいたい。
恋人役の4人は、ある意味くせ者揃い、それぞれ訳ありそうです。ヒロインとの情事もありますが、それが愛あるものになってもらいたい。不憫なヒロインが、悲しい結末を迎えないで済むように願ってしまいます。もっとみる▼ -
元戦闘用奴隷ですが、助けてくれた竜人は番だそうです。【分冊版】
ヒーローの…禁欲生活はいつまで続く?2025年7月30日戦闘用奴隷として育てられ、発育不良で、言葉もたどたどしいヒロイン(八番:ユイ:人間)が奴隷主に逆らって、隷属の首輪に首をねじ切られる瞬間、ヒーロー(セレスト:竜人)に救われるところから、物語が始まります。
ヒロインは竜人であるヒーローの『番』でした。しかしヒロインは12歳、ヒーローは成人男子(280歳)という関係上、保護者として接する以上の事はタブーなのでした。
それまで凄惨な生活を送っていたヒロインですが、共に助けられた姉貴分の同じく奴隷だった(十七番:ディシー)と、穏やかで、満ち足りた生活を送れるようになります(ひとり例外を除いて)。その描写は、健全で、児童文学をみている様です。
しかもどうしても避けられない“寿命問題”…人間は100年、竜人は1,500〜2,000年という途方もない差があり、やがては死別の苦しみが確実に訪れると分かっています。それでもふたりは共に居る事を選ぶのでした。
ヒーローは理知的な紳士なのですが、竜人としての本能があります。その辺りの描写は、さらっとしていますが、内心はいかばかりかと。作品内で人間の成人年齢は16歳なんですが、身体が細いヒロインが18歳になるまで、番うのは待つヒーローです。毎晩添い寝をして、性的な接触はご法度。聞いているだけで苦しそうです。
原作では竜人が番うと訪れる『蜜月期』があり、その間はずっと愛され続けるので、体力がいるそうで。まだまだ未成年のヒロインですが、成長して番う日を迎えたら、大変な事になりそうです。
ヒロイン自身も控え目で優しく、実直な性格で好感持てますが、修行僧より激しい禁欲生活(修行僧は愛しい女性と添い寝したりしない)に耐えるヒーローを、つい応援したくなるのでした。
ついにその日が訪れたら、描写はどうなるのでしょうか?今は児童文学のような清廉さですが。さらっとした描写なのでしょうか?でも6年もジリジリ待たされたのに?まだ先になりそうですが、勝手に気を揉む自分が可笑しいです。先が楽しみです。もっとみる▼ -
「君を愛することはない」と言った氷の魔術師様の片思い相手が、変装した私だった(コミック)
テンポよく、痛快!面白い!2025年7月30日個人的にとても好きなパターンです。能力高いヒロインが、仕事熱心なゆえに、斜め上の勘違い。かみ合わなさが、可笑しくてたまらないという…ラブコメディ。
ヒロイン(伯爵令嬢フィーネ)は家督を継いだ叔父夫婦から、虐げられる生活。しかしまだ何の幸運を得ていない時点で、既に一筋縄ではいきません。自立心が強い、メンタルタフネスです。
彼女の幸運は《黎明の賢者》と呼ばれた魔法使いの幽霊に師事できた事。金目当てで嫁がされるクロイツフェルト公爵家との政略結婚も、実は裏で手を回していたヒロイン自身の差し金でした。
こんなふうにいちいち裏事情があります。「評判の悪い薄幸令嬢が政略結婚先で、資質の良さを見初められて、ヒーローから溺愛される」だけではないのが、ひと味違うところ。むしろこの裏事情の方が本筋で、溺愛の甘々はもっともっと先になりそうです。
ヒロインのチート能力は、半端なく高いレベルで、味方に出来る確証がないならば、国家を脅かす存在として危険視される程。しかしこの能力の価値認識も、世慣れないヒロインは、勘違い全開。いろいろやらかしてくれます。
お相手のヒーロー(公爵令息シオン)は、将来を嘱望された、史上最年少で《五賢人》の一人となり《氷の魔術師》と呼ばれる人でした。彼の方も孤独な育成歴であった為、素直に自分を表現できません。出会った当初、ヒロインに冷たい言動をしますが、一筋縄ではないヒロインも一向に意に介しません。あ〜可笑しい。
ヒロイン単独で目標達成の為、突き進んだり。ヒロインにとって最優先な存在は、実はヒーローではなかったりします。それでも徐々に関係は進展していきますが、裏事情の展開の方がダイナミックでスピード感溢れます。恋愛は初心でじれじれ、みずみずしい。
不器用だけど、正義感強く、男前なヒロイン、女性としての喜びを知り、幸せになって行くのが楽しみです。もっとみる▼ -
死に戻りの幸薄令嬢、今世では最恐ラスボスお義兄様に溺愛されてます
ヒロインと義兄の仲はどうなるのか?2025年7月26日ヒロイン(公爵令嬢オルタンシア)と義兄(公爵嫡男ジェラール)との物語。ヒロインは妃候補者の暗殺未遂犯として斬首刑に処されます。その瞬間に死に戻り、庶子として公爵家に引き取られた幼い日まで戻りました。時間を巻き戻したのは女神で、ヒロインの死後、狂気に憑かれ、魔神と融合し、世界に災いをもたらした義兄を闇落ちから救って欲しいと依頼されます。スケールの大き過ぎる話しを丸投げされて、困惑するヒロインですが、まずは義兄を味方につける努力から始めます。
一度死に戻った事で魂に聖女の加護を得たり、精霊の力も得たりで、一度目よりずっとチート能力を手に入れます。過去に逃げていた場面で逃げずに努力し、父親と義兄の愛情を勝ち取って行くヒロイン。家族への思いが深まっていきます。
原作のweb小説は現在も継続中。第一段階の話しは完結しています。いつも思っていたのは、「ヒロインと義兄の仲はどうなるのか?」という事です。
ヒロインは義兄に異性の魅力を感じているみたいだし、義兄の方も表面の取り付きにくさと裏腹に、行動は惚れている女に対する態度そのものです。ヒロインの思いも、義兄の思いも兄妹愛の範囲を超えているように見えます。しかし兄妹であれば、ふたりの仲を進展させる訳にもいかず…。相思相愛にも思えるふたりですが、血のつながりがグレーな状態で互いの思いをどう成就させるのか?疑問でした。
原作では第二段階のお話しが始まり、事情があってまったく別設定になっており、なかなか切ない展開になってきています。血のつながり問題も解消するのか?と匂わされていますが、どうなる事でしょう?原作もコミックも、まだまだ先の長い大作になりそうです。とても楽しみです。もっとみる▼ -
幸せを掴んで欲しい!2025年7月24日ヒロイン(伯爵令嬢長女アマンダ)は平凡な容姿、実妹(次女アデライン)は非凡な美しさ、実母から差別的な養育を受けて育ちます。当然のように、周りも姉妹を比べて評価し、心無い言葉。
ヒロインはわずか10歳で実母から「我が伯爵家は、妹のアデラインが婿をとって継ぎます。なんの取り柄もない貴方は働きに出て、育てられた恩を少しでも返しなさい」と言われ、粛々と将来の自立に向かって準備を進めます。
まだ入学したばかりなのに、ひと学年上の試験対策本までも作成、図書館で売るなどし、資金を貯めます。そんなヒロインに声を掛け、図書館勉強仲間になるのが、キラキラした貴公子(公爵嫡男フレディ)、ヒロインは最初、貴公子が妹目当てかと思いますが、そうでもなさそうで、3人で仲良く過ごし、貴公子が卒業してからも、何かと誘いが来て3人で出掛ける仲でした。
姉妹の目的は毒親からの独立。寮付きの就職を得る為に、勉強に励み、ふたりで励まし合い、助け合います。実妹は姉の長所の理解者で心酔しており、その妹からの愛がヒロインの心を支えます。そのふたりを見守る貴公子。いよいよ実妹が卒業を迎え、姉妹は長年準備して来た計画の実行に着手するのでした。
ヒロイン、常に心の平穏を保っていますが、本音では悲しくない筈がありません。実妹も、姉を引き合いに讃えられるのが辛く、傷付いています。
キラキラ貴公子も本心を吐露しませんが、妹目当てでないのは明らかです。ヒロインは随分と人柄の良い、面倒見のいい先輩と思っている描写ですが、自分が恋に落ちない様に、最初から自制していても不思議はありません。傷付くのは最小限にしたいと用心しているかもしれません。そんなふうに記載はありませんが、乙女心あるあるではないでしょうか。
ヒロインは逆境に、悲嘆にくれることなく、出来る努力をする賢明な人。優しさもありますが、ただ踏み付けられて一方的に泣き寝入りに終わらせない強さもある人。だから不平も漏らさず黙って努力する姿に、力を貸してくれ、支えてくれる人達がいます。見ていない様で、見ていてくれる他人の温かさが、この作品の魅力です。
まだ10代の姉妹が、逆境を乗り越えて、自分の道を進もうとします。幸せを掴んで欲しいと願ってしまいます。もっとみる▼ -
断罪、上等!やってもらいましょう!2025年7月24日ぶっとんでいて痛快です。主人公ふたりに、ちょっと腹黒い面があって、それがいい!
ヒロイン(子爵令嬢セルマ)はもともと不遇な生立ち。実母と幼くして死別し、再婚した父は家を傾けてから死去。残された義母はヒロインが18歳になったら好色な金持ちの老人に売りつけてやろうという魂胆。それを回避する為に婚活し、身分の釣り合う相手を学生生活中に得ようとします。
そして背水の陣で得た婚約者(伯爵令息ジョナス)は、別の女性(伯爵令嬢ドロシー)に籠絡されて、お決まりの卒業パーティーで婚約破棄のシーンとなります。
しかしこの先は異色。ヒロインは自分の婚約者に絡みつく横取り令嬢に、自分の罪状を盛って、その通りだと証言させます。もう自暴自棄なヒロインは、自分の罪を加重させて『滅却刑』になる算段。本来ならとても心痛むシーンになりそうですが、悲壮感はなし。むしろ荒唐無稽で笑える。ヒロインはワインを5杯一気飲みしてからの行動でもあり、酔いが回るにつれヒートアップの一方。勢いに飲まれた横取り令嬢は、誘導されるままに自白の肯定をするのでした。
恵まれないヒロインを救うのは、意外な人物で、彼のおかげで、全て狙っていた以上の結果になります。圧巻で痛快!そして笑える!主人公ふたりが、ちょっとダークで、強かなのが、とても良かったです。もっとみる▼ -
王子様の訳あり会計士 なりすまし令嬢は処刑回避のため満退職したい! 【連載版】
結末までずっと面白い!2025年7月24日最初から軽快で、先が気になりweb小説を結末まで読みました。ずっと一貫して面白い作品です。後半はストーリーのスケールもUPしていき最後までグイグイ引かれました。
ヒロイン(コレット)はヒーロー(王子ラディス)の私財管理の専属会計士として雇われます。ヒロインはある事情から仕事を引き受けたくありませんでしたが、王子の方にも事情があり雇いたいのは女性会計士でした。
10年前、王子は王妃になる者と共に触ると現れる「王の徴(しるし)」を顕在させていましたが、その時、手をつないでいのは、あろうことか“少年”で、その後は行方不明のその人物を探し続けていました。相手が少年であった事が非常にまずく、以後、男色疑惑をささやかれ続けていました。そしてその少年こそが男装したヒロインだったのです。家族を巻き込んで断罪される事を恐れたヒロインは、事実を伏せたまま無事退職出来るまで、やり過ごそうとしますが…。
ヒロインは会計士として優秀で、相談された事業へのアドバイスができる程の見識の持ち主。かつ非常に仕事熱心。恋愛事には疎い方で、ベクトルが仕事に振り切れています。自立したキャリアウーマンが、仕事に集中するが故に鈍いパターン好きです。天然ボケで鈍いパターンよりずっと好きです。
ヒロインは平民にも関わらず物怖じしない性格、王子に歓心を買いたい気持ちが微塵も無く、仕事熱心な為に、ちょっと図々しいくらい。王子には無礼と捉えられても仕方がない程度なのですが、王子は許容し、むしろずっと目を掛けます。途中で目的の少年がヒロインであると露呈しますが、それはまだ通過点。
ヒロインと王子の掛け合いは、軽快で面白い、どちらかと言えば王子の方が下手です。ヒロインが少年だと知る前から惹かれており、ヒロインの血の繋がらない義弟と恋の鞘当てにもなります。
もともと好意的でしたが、時間が経つにつれ、王子の気持ちはさらに真剣になり、ヒロインへの態度も婚約者に対するものに等しくなって行きます。ヒロインは自立心が強く、おとなしく従ったりしませんが、王子はそんなヒロインが可愛い、手を焼きますがそれがいい、為政者として資質充分で有能な王子を、惚れさせるのでした。自分の手元に囲いたいのに、奔放なヒロインは一筋縄ではいきません。王子が仕方なく渋々ヒロインの好きにさせるのが、惚れた弱みを見せる様で甘々なのでした。もっとみる▼ -
なかなか痛快です…いいぞニコル!2025年7月21日ヒロイン(伯爵令嬢ニコル)は婚約者(侯爵令息ケイオス)に蔑ろにされて久しい。ケイオスは幼馴染み王女キャロラインに心酔し、学園では生徒会に所属し会長であるキャロラインを支え、将来は騎士となって王女を守ると公言。
婚約者であるニコルに対して、ぞんざいの極み。カップル参加が常識のイベントで王女に侍るものだから、ニコルはひとりで壁の花。手紙の返事はこない。お茶会はすっぽかされる。去年、行商を見に行った時は、王女の話しばかり。挙句の果てに「わざわざ来てやったのにそれぐらいで怒るな。本当はキャロライン様のために剣の修行をしたかったのに」ですと?!同じく去年の花祭り、ニコルは花束を貰い、内心ひと安心したところ浴びせられた言葉は「キャロライン様にも同じ花を渡したがよくお似合いだった。お前にも似合うだろう」…ニコルには、自分の恋心が跡形もなく壊れる音が聞こえた事でしょう。
もう完全に振り切れたニコルは、単独行動で自分の気持ち通りに振る舞います。すると逆に婚約者ケイオスが構って来るようになります。ある意味、共犯の王女も事態の深刻さに気付き、ケイオスに挽回の努力を命じます。
うーん。納得出来ない。ケイオスの態度は、心が離れ、もう別れる相手にする仕打ちに等しい。王女も四六時中、側に侍るケイオスを見れば、その婚約者がどうなのかは普通は分かる筈。ふたりともそんなつもりは無かった、配慮が足りなかった、これからは気を付けると言いますが、時、既に遅し。
ニコルの気持ちは苦しみや悲しみを通り過ぎて、“凪”の境地。まだ女性の自立に不寛容な社会なので、白い結婚だけしてもらえたら、都合がいいけど…なんて考えています。
ニコルは、お気に入りの隣国の小説を原書で読みたい為に隣国の言葉を学び、そして隣国では女性の社会進出も進んでいる事を知ります。そう!もうケイオスなんぞに見切りをつけて、隣国で経済的自立を目指すといい!自分のやりたい事をやり、自分らしさを大事に過ごすうちに良縁にだって恵まれる!
原作では、ニコルを繋ぎ止めたいケイオスが、まわりをチョロチョロするのを受容しながら、精神的、経済的自立を得たいなら、そう踏み出せるスタートラインにいるところで結末を迎えています。その先はどう転ぶかニコル次第なのが愉快です。ケイオスなんて袖にして、もっといい男とパワーカップルになって〜と願います。逃がした魚は大きいのです。もっとみる▼ -
楽しく面白い、元気が貰えます!2025年7月20日ヒロイン(フェリア)はもちろん、脇を固める人物も、個性があって魅力的、素敵な作品です。騎士隊長ビンズ、担当騎士ゾット、侍女ケイト。きつい女官長。味方も敵もキャラが立って、物語を盛り上げます。脇役もいい味だしている作品は、ほぼ間違いなくアタリです。
ヒロインはお姫様らしくない。精神的に自立して、辺境で魔物に対峙していた実力者。飾らなく優しいので、他のお姫様警護の騎士達も癒しの場としてやって来るようになるのが、可笑しい。美味しい食事、症状に合わせた薬草茶、鈍った身体の鍛錬、ふかふかの枯れ雑草ベッドで仮眠…あなた達、くつろぎ過ぎでしょう?ツッコミを入れたくなりますが、これもヒロインの人柄ゆえです。
肝心のヒーロー(マクロン)との出会いは、あまりの質素さにヒロインをお付きの侍女と勘違いして始まります。ヒーローは最低限の義理だけ果たすつもりでしたが、他と違いとてもくつろげる雰囲気に包まれて、夕食後に眠りこけ、翌朝も素朴な朝食をふるまわれます。そこでやっと侍女ではなく、31番目の妃であると気付きます。何も言わずただ疲れきった自分を労ってくれたヒロインの心遣いがしみるヒーローです。すっかり好きになってしまいます。
もともと女官長からは冷遇され、王マクロンの夜のお渡りがあったと認知されているので、他の妃達から嫌がらせを受けるようになります。それに負けずにさばいていくヒロイン。しかも相手を過剰に追い詰めたりしない配慮までして。単純な意地悪をしていた15番目の妃(ミミリー)などは父親共々、窮地を救われます。夜会では他国の王族と堂々と渡り合い、11番目の妃の父公爵に器の大きさを感じ取らせます。
ヒロインは領主の妹で貴族ではありません。それでも一国を担う器がある稀有な存在。歴史の豊臣秀吉の正室ねねを思い出しました。平民から関白の妻にまで身分差を駆け上がったにも関わらず、役目に遜色なかった女性です。
ヒロインもヒーローも、為政者である事を第一とし、甘々なだけではいられません。それでも、怯まず、笑顔で突き進むヒロインに、本当に元気を貰えました。もっとみる▼ -
契約婚した相手が鬼宰相でしたが、この度宰相室専任補佐官に任命された地味文官(変装中)は私です。
夫に正体を隠し仰せている…のか?!2025年7月19日テンポよく面白い!働く自立した女性が主人公な作品が好きなので、とても楽しく読めています。ヒロイン(クリスティーヌ)は世の恋愛至上主義に賛同出来ず、ふらふらと不誠実で悪びれない婚約者に婚約破棄を申し入れ一泡吹かせる為に、協力してくれるパートナーを探します。
それに同意してくれた見目麗しいそこそこ地位のありそうな男性と合意し、偽装結婚を約束しますが、この男性『鬼の宰相パトリック』と呼ばれる宰相閣下でした。しかしお互い貞操義務を守りさえすれば、後は自由という契約結婚に旨みを覚えているふたりは、既婚者というステータスを保ちつつ、各々仕事に邁進します。
特にヒロインは、まだ世間の風当たりが強い職業婦人となり、思う存分働きます。この事実は夫にも明かしていない為、母方の旧姓を使い、変装もしているし、隠し仰せているつもりです。
粉骨砕身働くヒロインは出世し、屋敷で顔を会わすことなく3年たった夫の宰相室専任補佐官に任命されますが、ヒロインは別人だと認識されていると信じています。その為、夫が他人である筈の自分に打ち解けた態度を見せるのが、モヤモヤします。それにコミュニケーションが親密さを増すにつれ、トキメキながらも、これは妻以外との浮気じゃないの?とさらに悩みます。
宰相閣下は10歳程も年上だし、切れ者、ヒロインより何枚も上手なのですが、懸命なヒロインに、絆されて、惚れています。妻と甘い時間を持ちたい、欲望を澄ました様子でストレートにぶつけてくるのでした。
最初は夫婦で過労死しそうな様子ですが、やがて甘々になります。夫に魅了されて、恥ずかしそうなヒロインが幸せに包まれるラブストーリーでした。もっとみる▼ -
捨てられ聖女は契約結婚を満喫中。後悔してる?だから何? 分冊版
王道の逆転劇2025年7月19日原作も読みましたが、テンポよく進み、面白いです。ヒロイン(前筆頭聖女ミシェル)は王太子アルフォンスから、婚約破棄され、それならばもう自由に過ごそうと出て行く直前に引き止められ、王命で『好色侯爵』と噂されるヒーロー(クリストフ)へ嫁ぐことになります。
ヒーローの方も悪評高いヒロインを警戒し、書類に視線を落としたまま「王命だから仕方なく結婚するが、お前を愛する事は無い」といきなり宣言します。しかし顔を上げヒロインの顔を見ると、頬はこけ隈を作ったやつれ姿に、悪評が誤りであると理解します。それでも女性恐怖症であるヒーローは、2年後には別居する前提で契約結婚について互いに合意し、5歳の子息ジェレミーの養育も不要と伝えます。ヒロインの方も気を悪くすることもなく、むしろ父子に配慮を見せます。
ヒロインは気取らず自然体で、それでいて思慮深く優しい女性。まずは子息ジェレミーが物怖じせず懐いてしまい、その触れ合いを通じてヒーローとの触れ合いも増えていきます。やがてヒーローは、自分の心に今までにない感情が芽生えて行き…以下略といった王道ストーリーです。
まずヒロイン、鈍いです。子息ジェレミーからも早熟な好意を寄せられ、義兄からも兄妹愛だと言い切れない疑惑の好意を寄せられていますが、案の定です。ヒーローの方が自覚が早いのですが、ご多分に漏れずです。しかし、いつまで鈍いの?伸ばし過ぎぃ~とイラつかされる事なく、適切に進むのが小気味よい。
婚約者だった王太子は、おバカさんですが、悪人ではなく、その他の報復される覚えのある人達への断罪も苛烈ではありません。個人的にはあまり苛烈な断罪は心削れるので、マイルドなのがむしろいいです。
ヒロインの環境が好転していき、大事な人達から愛を注がれるサクセスストーリー。安心してほっこり出来ます。もっとみる▼ -
健気過ぎるヒロイン…長編で見たい!2025年7月19日レビューが高評価で短編とは思えない作品との評価に読んでみたくなり購入。うん。確かに。47ページにしては奥行きあり、まとまっています。しかし題材がいいだけに、物足りなさが否めません。もっと長編で読みたかったという多数の意見に賛成。
絵が綺麗。主人公ふたりは見惚れる程の美しさ。眼福〜。
ヒロイン(公爵令嬢)は誰にかけられたかも不明な呪いで、余命1年宣告を受けます。ヒーロー(第二王子)を思いやり婚約解消を申し出ますが、拒否されます。
ヒーロー、言葉が足りな過ぎる。婚約解消を受け付けない理由の言い草も酷い。
ヒロインは理不尽さに自暴自棄になることもなく、ひたすら控え目。ヒーロー(第二王子)が、第一王子の婚約者(別派閥公爵令嬢)を密かに慕っていると誤信している為、堂々と愛を乞えないのです。体調悪化が進んでも、気遣わせまいと無事を装い、善行をし、ついに力尽きます。花に囲まれて安置されるヒロインの哀れで美しいこと…思わず泣けてきます。結末はハッピーエンドでめでたし、めでたしなのですが、突っ込みどころも山積します。
個人的に一番不自然なのは、どうしてヒーローが素直に自分の愛を伝えなかったのか?実際は愛の無言実行なのですが、愛する女性の余命が限られるという重い状況で、あの素っ気なさを貫く説得力に欠けます。
例えば、主人公ふたりと幼馴染み男子がいて、ヒロインとその男子が相愛と思えるのだが、男子が病を得て療養生活に追い込まれ、その隙に王族と高位貴族の政略の婚約が成立してしまい、快癒の可能性のある男子を慮り、第二王子が素直に求愛出来ないとか…双方の誤信がないとバランスが悪い気がします。
呪いの犯人は身勝手かつ残酷な所業ですし、断罪がどうなされたかも知りたいところです。
残された1年の先のない幸せに包まれながら、双方苦しむ切なさをもっと描写出来そうですし。
見せ所の多い設定なので、短編では勿体ない。見せ所が限られるのに、無理に伸ばして、読むのを脱落させられる作品だって多いのですから。長編で改めて出して貰える事を期待します。ちなみにその際はヒロインの衣装がもっと華やかですと、なお良いです。もっとみる▼ -
可愛げのないヒロイン、でもそれが魅力2025年7月19日web小説もあるので読了しましたが、第一段階の山は越えたものの完結していません。王妃視点、王視点と切り替えての描写があります。
12歳のティルダは、1ヶ月前まで敵国だったアシュケルドに嫁がされます。しかし父王がティルダの亡き母の姿絵を事前に送り、花嫁の年齢詐称をしていた為、王である23歳のカーライルは、子供と婚礼を挙げるという屈辱に耐えなくてはならなくなり、怒りに震えます。
ティルダを子供扱いし、妻として認めず、婚礼直後から城代にティルダの世話を丸投げし放置、6年経過。そこからこの物語が本格的に始まります。
ティルダは妻として、蔑ろにされた為、辛酸を舐めることに。一度殺されかけ、日々の食事にも事欠く始末。王妃視点のパートは屈辱と忍耐の中、自分を奮い立たせる辛いものになっています。
王視点では、建国したばかりの政情不安に忙殺され、王妃に悪意がある訳では無いのが語られますが、やっぱり言い訳がましく読者には聞こえます。
一番悪いのは悪意の父王で、カーライルの怒りも理解できますが、罪のない12歳の少女を追い詰めた責任は免れません。短慮で薄情の度が過ぎて、いろいろある事情を聞いても納得し難い。
孤立無援のティルダはそれでも策を弄し、敵を陥れ払い除けます。その上、同じ轍を踏まない為の防御策まで講じていました。6年も経ってから全てを知った王カーライルは、ティルダの知略に恐れを抱きつつ、その得難さにも気が付きます。それに18歳のティルダは自分好みの女性に。
6年目の出会いが面会の2度目とは、いい加減にしろ!と言いたくなりますし、ティルダは冷ややか。しかしカーライルの方の切り替えは早い。落ち度を認め謝りつつ、図々しくもティルダに求愛を始めます。
「気に食わない男を断罪したい」「傷付けた女をそっと解放するのが筋」一般人でない王族のふたりはそうは出来ません。建前や感情を犠牲にしても実利を取らなくてはなりません。
ティルダは笑顔のない女性になってしまいましたが、内面は思慮深く、自分のプライドや名誉を犠牲にする勇気の持ち主。亡き母から繰り返し教えられた「為政者の責務を果たす事」を、何より大事にしているのでした。
ティルダに比べるとやや情けないカーライルですが、彼も為政者として優れ、ティルダを理解し愛します。都合がいいな…と文句の一つも言いたくなりますが、最後よければ全てよしというところです。もっとみる▼ -
ヤンデレ魔法使いは石像の乙女しか愛せない 魔女は愛弟子の熱い口づけでとける
切なく苦しい…泣けてきました2025年7月17日コミック版を読んで先が気になり過ぎ、紙の小説版を買って読んでしまいました。ヒーロー(アリステア)は領民から慕われる善政の領主様。天才的な魔術師であり、大変な美丈夫。そんな羨望の的でありながら、ある石像しか愛せない…石像を着飾らせ、話しかけ、いろいろ致す…残念な男。
しかしそれには訳があり、その石像は、ヒーローを8歳の時から引き取り育て、4年後にヒーローを逃がす為に犠牲になった12歳年上の愛しい師匠(ララ)でした。早熟なヒーローはその頃から師匠の夫の座を狙う本気ぶり、ライバルになりそうな適齢期の男性を密かに追い払い、自身が結婚を許される年齢を待つという激情と独占欲を示していました。
その矢先に師匠を失ってしまいます。生きる意味を見いだせないほどの苦しみを耐え、3年もの厳しい研鑽を積み、師匠を失わせた竜を討伐します。その体内から発見された石像はなんと愛する師匠でした。いつ生身に戻るか、戻らないかも分からない終わりの見えない苦しみ。期待しては絶望する。その繰り返しの長い年月。
「いつか子供が空腹や暴力にさらされない世界になったらいいわね。」生前何気なく話した師匠の言葉を忘れずにいたヒーロー。自分の寿命が尽きても、愛する女性が目覚めた時には、そこが彼女の望む世界であって欲しい。無償の深い深い純愛。それこそ絶望にありながらも、20年の長きに貫かれた愛の重み。あまりの切なさに、フィクションと承知しながらも、泣けてしまいました。
若いふたりの純愛物語などにも泣ける話しはありますが、それの比較にならない重み。いい歳をして涙が出ました。まあ、いい歳だからこそ、年月の重みがこたえたのかもしれませんが。だからこそヒーローの喜びに本当に同調出来てしまい、嬉しさを味わえます。とても名作です。もっとみる▼ -
断罪された負け組令嬢ですが、時間を戻せるようになったので今度こそ幸せになります【単話】
爽やかな読了感、テンポもいい2025年7月17日面白いです。web小説もあるので読みました。ヒロイン(バァイオレット)は巻き戻り前も我儘で激昂しやすいというくらいで、それ程悪人でないのですが、過度に断罪され、非業の死を迎えそうになります。ここで「時間の巻き戻し」というチート能力を手に入れ、巻き戻り人生をやり直します。巻き戻り後はとても好感の持てる人物で、分別と思いやりのあるキャラクターとなり、共感しやすくて読みやすくなります。(安易と言われればそうですが…。)
巻き戻り前と比べてチート能力以外にも、頼りがいのあるヒーローと出会い、困難はありつつも安心感があります。巻き戻り前には無かったものを得ていく、まさにサクセスストーリーで、あまり辛い展開に耐えることない。そこが良いです。序盤、ちょっと設定が甘いかなと思う点も理由があったりします。
なんだか鬱々する話でなくて、ハッピーな気持ちになれる物語が欲しい時に丁度よいです。もっとみる▼いいね
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ハッピーエンドと思いたい2025年7月15日ホラーテイストの作品。幼馴染みの慶一君は長身のイケメン、ヒロインは憧れを抱きつつも、モテる彼にちょっと距離を感じているようでした。それでも彼は優しくて、帰り道で重い荷物を持ってくれたり、ますます魅了されます。
ここまでは学生らしい健全な関係なのですが、均衡が崩れるのは、ヒロインが足を滑らせた際、慶一君の手首の数珠を破損してから。お詫びをしたいと言ったヒロインに「はいらせて。」と迫ります。山中の社の中で、強引に身体を繋げてしまいます。この時すでに人外の姿をしているのですが、あまり追求されません。強引さを後悔した慶一君はもう近づかないと約束して姿を見せなくなりますが、今度はヒロインの方が恋しくて堪りません。学校で慶一君の姿を見かけ後を追ってしまうのでした。
ふたりのシーンは体格差がかなりあり、激しく、艶っぽいです。まだ幼さの残るヒロインをめちゃくちゃに翻弄する慶一君です。最後は寒気がしそうな展開でしたが、ある意味ハッピーエンドと個人的には思いたい。
それにしても、まだまだ若く将来のあるふたり、ホラーテイストでなくて順当に幸せな道を進み、家庭を持つというようなありきたりな幸せが訪れるのを見たかったです。勝手に想像してしまい、ちょっと切なくなりました。もっとみる▼いいね
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ディキがハンサムで眼福2025年7月15日王立魔術研究所の天才魔術師ディキと一般研究員アロアとの両片思いの物語。どちらも意地っ張りで素直に自分の気持ちを認めないから、ケンカばかりの日常です。ところがある日持ち込まれた遺跡の彫像の呪いのせいで、身体を重ねる関係に。お互い気持ちを認め合った訳ではないので一見割り切った関係の様になります。それに呪いの影響は魔力のないアロアに強く、発動すると欲情してしまう厄介さ、発散させる為、人目を忍んでディキと致すしかない。ディキは自身も欲情しているのを棚に上げ、アロアに恩着せがましい言い草「仕方ねぇな。」「ボランティアだ。」とか言いながら、にっこり笑顔で結構な前のめりなのでした。
もともと想いがあるので、次第に気持ちが通うようになって行きますが、呪いのせいでアロアの発情が頻繁で、致してしまうのも頻繁。可愛い絵柄とは相反して第1話からそうなります。ディキはクールビューティーで長いまつ毛も色っぽい。口は悪いものの、本当は好きな相手と思い掛けず繋がれて幸運、アロアを気持ち良くさせたいと頑張るのも可愛い。アロアも呪いのせいと思える為か、快楽に素直で「いっぱい気持ちよくして。」「もっとおく。」とか大胆発言を重ね…ディキを喜ばせます。女性側がハッキリとねだるのは案外少ない気がして新鮮な魅力でした。
web小説も読みましたが、話しが進むにつれ、スケールが大きくなっていき、ふたりの関係も収まるところに収まります。アロアはしっかり者で性格的にもバランスがとれており、ディキ以外の男性とも上手くやっていけそうですが、ディキの方はひねくれているし、気難しいので、アロア以外に相手を見つけるのは難しそう。彼にとって遺跡の彫像は呪いではなくて、幸運の加護なのでした。
次第に枕を共にすることが日常になってくるのも、親密さが深まる過程を見るようで、ほのぼのしました。もっとみる▼いいね
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堂々と人でなしな所業2025年7月14日最初、コミックを読んで、ヘンドリックのあまりな所業に、先が気になり小説版も読みました。それで結末まで知っているのですが、改めて絵で見ると「人でなし」ぶりがより伝わり(憎々しげな表情とか)、イライラ感が半端ない。そのあまりにためらいなく堂々とした無慈悲ぶりに、むしろ感心しちゃいそうです。どうしてそこまで自分に疑問を持たないのかと。
終始、申し開きが出来ない所業なのですが、ヘンドリックは「人の感情の機微が分からない」という欠点があり、生きづらさを抱える人物でもありました。ヒロインの一度目の人生でも、二度目の人生でも、ヘンドリックは非業の最期を迎えます。これが自業自得だよと嘲笑えないのが、この作品の奥深さ。不器用で幸薄いヘンドリックは影の主人公だと、個人的には思えました。
ただヘンドリックの生きづらさは、彼の都合であり、落ち度のないヒロインには苛烈過ぎます。一度目の人生から学んだヒロインは、同じ道は歩むまいと、自衛策を講じます。自分への愛のない旦那に囚われるあまり、視野が狭くなり判断を誤っていたと反省し、周りの力を借りて、賢く立ち回ります。義理の父母からも大切にされ、特にヘンドリックの実弟キンバリーの温情に救われます。
実弟キンバリーは、能力のずば抜けたヘンドリックには、敵いませんでしたし、次男という立場もわきまえて、節度ある補佐を続けます。実直で誠実、何より思いやりがあり温かい。義姉に同情を越えた感情があるのは明らかで、「兄でなく自分ならば、貴女を幸せにしてあげられるのに。」という秘めた想いが分かるので、ジリジリと焼かれるような切なさを覚えさせられます。
何れにしても、感情を揺り動かされるので、読むと軽い疲労を感じます。つまりそれだけの力がある大作という事です。絵も綺麗だしコミック版の結末までも楽しみです。もっとみる▼ -
食えないヒーローが魅力的2025年7月14日最初からぶっ飛んだ内容で面白く、先が気になり小説版を読了しました。ヒロイン(アダリーズ)は幼いときから「人の心の声が聞こえてしまう」という特殊能力の持ち主。その能力のおかげで、リリアナ・ダンバース公爵令嬢の窮地を救い、それを契機に令嬢の兄であるディートリヒと知り合い、求愛されるというお話しです。
このディートリヒという公爵嫡男、貴公子そのものな外見と物腰、見る人をうっとりと惑わせる魅力の持ち主なのですが、性的魅力に溢れたヒロインを見るたび、具体的な妄想を思い浮かべます。まさかそれが筒抜け状態という本人が知れば居た堪れない現実が読者には可笑しくて堪りません。
ストーリーは進むにつれ、予想外の事実が出て来たりで、スケールUPしていきます。外見の貴公子ぶりと内面が合っていないヒーローです。最初は計算高く、冷徹で、身内以外には厳しい。それ以降は不埒で清廉潔白とは真逆。それでも絶体絶命のピンチで、ヒロインを庇い、捨て身の割り切りを見せる男気もあり、本当に食えない男なのですが、むしろそれが魅力なのでした。外見も内面も清廉潔白だなんて、そんな男はモテませんよね?!
ヒロインも素直になりきれなかったりで、悩むシーンも多いですが、最後は幸せを見いだします。それに一番いいのはヒロイン家族の愛情の深さ。ベースに家族愛があるので安心して読み進められました。艶っぽいシーン、アクションシーン、中だるみもなかったです。コメディだけで終わらない読んで良かった作品でした。もっとみる▼ -
まさに溺愛、ふたりきりの世界2025年7月14日鬼神様の歯がとがっているのが、結構気になりますが、それは置いといて…後半ふたりの激しい情交シーンが延々と続きます。
もともとヒロイン(八重)は捨て子で、拾われて育てられた村の為に生贄として捧げられます。鬼神様は気まぐれから、まだ子供の八重を手元に置き一緒に暮らし始めますが、成長するにつれ徐々に惹かれていくというお話し。
鬼神様は人間より寿命が長そうで、どこか達観している風で、同居して10年経っても自身の八重に対する想いを封印したままにいます。八重が鬼神様を優しい父か兄のように慕い、家族として温情を抱いているからです。
その為、村に世話になっていると言う旅人(若い男性)と八重との交流も黙認します。内心では非常に不快に感じているにもかかわらず。均衡が破れるのはそれ以降、八重が一時的にしろ村に帰ろうとしてからです。それから一悶着あって、その後はもう激情に流されるばかり。溺愛シーンが続きます。
鬼神様、人外なだけあって、物凄いです。口調は優しいものの…手を緩めることがありません。ずっと激しいまま、時間の感覚がなくなるくらい、ひたすら続きます。結界で閉ざされたかの様な空間で、ふたりきりの世界です。我慢を重ねてきた鬼神様の満足気で幸せそうな様子が何よりでした。もっとみる▼ -
ヒロインが健気そして美肌2025年6月22日冤罪で追放された王女が辺境伯に嫁いで、幸せになる話しなのですが、いろいろ気になりました。まず第一。辺境伯様、暮らしが貧乏過ぎませんか?庶民みたいな質素な家、質素な服、夕食はパンとスープ。使用人がひとりもおらず、朝から晩まで夫婦で農作業と家事労働。王宮から来た王女様は意外な事に不満も漏らさず適応しますが、傍目から見るとあまりに差があるだろうと不憫過ぎる。辺境伯は実直で働き者、領民思いのいい領主なのですが、面白味に欠ける男ですし。
途中、王女祖母からの使いで、騎士が迎えにくるのですが、この騎士と結ばれた方が絶対幸せそう。侍女くらい当然つけてくれ、身の回りの世話をしてもらえ、農作業はもちろん家事労働もなし、妻に対するエスコートや愛の言葉とかも気が利いていそう。贅沢は無理でも奥様然とした生活で、苦労しなさそう。
そもそも王女は冤罪なのですが、無実が証明される場面はありません。カラーなので、王女の美肌が色っぽく、それを堪能する作品なのでしょうから、細かい設定は無視していいのでしょうけど、健気な王女の境遇の不憫さが終始気になってしまいました。もっとみる▼ -
悪役令嬢に転生したはずが、主人公よりも溺愛されてるみたいです
ゆるくて安易なのに不思議な魅力2025年6月21日絵もあらすじも全て、ゆるくて安易。なんですけど溺愛逆ハーレムの王道として、上手くまとまっているせいか、なんだかんだで読ませられる不思議な魅力があります。
内容は題名通り悪役令嬢(リディア:転生者)がヒロイン(サラ:転生者)より溺愛されてしまうというもの。登場人物もこれ美形設定なんだろうなと分かるけど、見惚れる程の美形で描かれているかと言えば微妙。背景はスクリーントーンの多用で、他の作家さんより描き上げるの早いのだろうなとか思ってしまったり。
あらすじもゆるい。突っ込みどころ在りすぎ。皆さまご指摘の通り護衛騎士が毛嫌い→溺愛に変わるのが、手のひら返し過ぎたり。こんなのは一例で終始ゆるさは継続します。それからヒロイン(サラ)もお馬鹿丸出しで子供も騙せないレベル。思わず苦笑いしてしまいます。
それでもつい読んでしまうのは、何故なんでしょう?悪役令嬢(リディア)が大した努力もなしに、皇子やふたりの兄、護衛騎士に、溺愛されるシーンが続くからでしょうか?4人のイケメンから、常に心配され、かまわれ、保護されます。お姫様抱っこも頻繁で。深く考えずに軽く読めます。悪役令嬢がちやほやされる様に、案外ストレス発散させられてしまっているのでしょうか。不思議な魅力です。もっとみる▼ -
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追放された聖女は、捨てられた森で訳アリ美青年を拾う~今の生活が楽しいので、迎えに来られても帰りたくありません!~
読了後、爽やかな気分になりました!2025年6月1日読んで良かった作品です。ヒロイン、リアが最初からとにかく憐れ。幼少から粗末に扱われた為、周りの人から認められたいと切なく願い、生来の優しさも相まって、ひたすら自己犠牲、献身の日々。2年にも及ぶ前線での功績も、認められるどころか、掠め取られます。挙げ句の果てに、実質死刑同然の国外追放。しかし、これがリアの幸福の始まりとなります。
この作品、搾取側への断罪は苛烈です。まさに因果応報。ヒロイン側が手を下さなくても、きっちり制裁されます。運命からの残酷なしっぺ返しで、それぞれが代償を払うのでした。
ヒロインにほだされるヒーローは第2王子ルードヴィヒ。この王子様が、誠実かつ非常に男らしい。素敵過ぎる。最初の出会い、深手を負い、立つこともままならない状態ながら、リアをかばい逃がそうとします。リアに想いをかける様になっても、自身の病をわきまえて、心情を明かす事などありません。呪いが解けて、自身が相手の人生に責任を負えると確信が持てるまで、告白しないのでした。その後も故国を憂うリアの為に為政者として尽力。この王子様、本当に魅力的。真心と深い愛情。人物の度量の大きさに惚れました。
web小説では、仔犬のエピソードのところまでで、これはこれで爽やかな結末でしたが、コミック版では、読者が見たいであろうシーンをきちんと入れてくれています。大団で幸せな気分になれました。もっとみる▼ -
2025年7月5日の大災難【追記あり】2025年5月19日・こちらの漫画が香港で話題になり、それが原因で2025年7月の香港便が実際に減便されるというニュースを知って、情報源を見てみたくなり購入しました。
・内容は二部構成。第Ⅰ部予知夢編(10~91頁)、第Ⅱ部ミステリー漫画編(92~207頁)。
・予言に関する短編「私が見た未来」(23~48頁)で、2025年7月に触れるのは6頁のみ(43~48頁)。どちらかといえば、付け足し的な話題で短編の本筋ではありません。
・予言に関するところの本筋は、その後の「夢日記」解説にある夢日記の原本写真(75~86頁)になります。
・津波の予知夢は1981年に見て、その津波が2025年7月だと知ることになる夢を見た日が、2021年7月5日4:18AMとのこと。
・予知夢では震源地、津波の及ぶ範囲、津波後の様子などが書かれていました。
・津波は東日本大震災を越える規模であることや、大災害の後には、こうなるよね~と感じられるであろう寂寥感が呼び覚まされる内容でした。
・予知夢のメモの積み重ねなので、まとまりに欠け、掘り下げも感じられませんが、そもそも断片的な夢のシーンの話しですから、それを承知の上であれば、興味深く読めると思います。個々人の防災、減災にどう活かせるか、受け止め方次第な感じでした。
・【追記】ちなみに予知夢は南海トラフと違う別の震源地を現しているようでした。現実に2025年6月下旬からトカラ列島で地震が続いているのも不気味。7月2日午後4時までに911回。7月6日1,500回超え。霧島連山の新燃岳が噴火警戒レベル3を発表されているなどのニュースが流れると信憑性が増すようで個人的に怖いです。
・トカラ列島の地震は南海トラフと無関係と専門家は言っているようですが、予知夢も南海トラフでなくて「フィリピン海プレート」の別の場所に原因があるようなので、整合性があったりしたらと思うと怖いです。
・7月30日8時25分頃、ロシア、カムチャッカ半島沖でマグニチュード8.8の地震があり、日本全体に及ぶ津波注意報が出されました。トカラ列島と今回の地震、普段より大きめの地震活動があったので、津波に対する注意喚起はされて良かったように感じました。もっとみる▼ -
転生した悪役令嬢はHしないと死ぬ運命~敵国王と篭絡結婚~【コミックス版】
可愛いふたり。でも激しい。2025年4月27日主人公のふたりが可愛らしくお似合いです。最初から敵対国同士の陰謀含みの政略結婚。ヒロイン(エマ)は相手を強制発情させるテンプテーションという特殊能力の持ち主で、嫁ぎ先のギデオン国王を篭絡し、内部崩壊させる狙い。意図を理解しているギデオン国王は警戒心を隠さず、気を許そうとはしません。
しかし、本当は中身が転生者のエマ、毒婦という評判の真逆。純真で無邪気、することなすこと全てが何とも可愛らしく、生来男らしさの塊のようなギデオン国王の庇護欲を掻き立てます。内面や行動は可愛いのに、外見は、豊満でありながらも折れそうな細い腰、閨では素直に快楽に反応する妖艶さ。ギデオン国王は自制しつつも、エマにひかれるのが止められない、口実を付けつつ、繰り返し閨を共にするのでした。これが思わぬ程の激しさでびっくり、陰謀中心にストーリー展開するのかと思いきや、閨事中心でした。
3巻完結で陰謀は尻窄み。急いで完了させた感がありますが、主人公ふたりの幸福感は溢れる程で、ハッピーエンド。これはこれで、まあいいのではと思います。
国王として重責を背負うギデオンは、エマの楽観的な前向きさにも救われます。繰り返しになりますが、夜も最高。心身ともに癒されて、孤高な国王にとって、結果的に至福をもたらした政略結婚なのでした。もっとみる▼ -
11巻特にいい!【追記あり】2025年4月27日11巻まで読みました。11巻特にいい!状況に迫られて、女装しヨハン王子に侍るノア。状況を回避した後も、夫婦を偽装して夜の市街へ視察に出ます。女装したノアの美しいこと!流れる銀髪、ため息が出そうです。新人騎士のオスカーが赤面するのも可愛い。ノアの態度は騎士として一貫していますが、王子の方が距離が近い。ふたりきりだからいいものの、他の騎士が見たら何と思うか…というかとても見せられない。ノアにさりげなく触れる王子の手の大きさと、ノアの細身の肢体が対比されて、同性同士ではない組合せを実感させられます。
ヨハン王子は、実は女性と気付いて黙っているのか、男性だと分かっていてもひかれてしまうのか、今のところ真意は分かりません。ただ、出会った当初から、ノアに興味をひかれ、関わりの深い幼馴染みをうらやみ、機会を逃さすノアに関わろうとし、魅了されているのは明らかです。
これから先も当面じれ焦れなんだろうなと予測されますが、王子がノアが女性と知って(もしくは女性だと知っていると明らかにしても許される状態に)、抑え切れない歓喜を噛み締め、うち震えるシーンを見てみたいです。
【13話まで】ついにノアが王子への恋心を自覚します。予測通り、蓋をしてしまいますが。うーん。幼馴染みカイの指摘で気付かされるのですが、彼の心中はいかに?ノアに対する恋愛ゲージはゼロを示していますが、本心は分かりません。彼がノアを愛しているなら、誰よりも苦しい事になりそうです。もっとみる▼ -
かなりいいです【追記あり】2025年3月19日異世界転生ものですが、最初からサスペンス。謎が多く、手探り状態が続き、先が気になって、今のところの最新話(5話)まで購入してしまいました。
騎士(カイン)は、反逆者の息子で、いわくありの経歴、回りからも、虐げられがちです。転生前のヒロインは、好色で傲慢、とても好きになれる人物ではありません。そんなヒロインが騎士を服従させる為に、魅了魔法を使ったのが災いで、転生前の人生は騎士に殺害されてしまう結末なため、転生後のヒロインは、何としても魅了魔法を解かなくてはならないというのが、メインストーリーです。
騎士(カイン)は、魅了魔法の為か、護衛騎士の立場を過ぎた詮索と干渉、それにいつ常軌を逸するか分からない狂気を感じさせる為に、転生後ヒロインは、気をゆるめる暇がありません。
転生する前の名前も出てこないヒロインですが、精神的に大人で、まっとうな倫理観の持ち主、素敵な女性です。転生後は、悪女になりすましているものの、本来のまっとうさや優しさが、つい出てしまい、騎士を動揺させるのでした。
魅了魔法なしでは、騎士は到底ヒロインを、愛したりしなかったと思われましたが、これまでならあり得なかった聡明さや優しさを見て、真に絆されていくのでしょうか?まだまだ序盤ですが楽しみです。
絵も美しく、騎士の衣装をまじまじ見て鑑賞してしまいました。ただストーリー的には、魅了魔法を解くだけなら、それほど長編になりそうでないので、騎士の両親が、冤罪だったりしたら、巨悪の陰謀との戦いがあったりして、話が深まりそうなんですが、どうなんでしょう?いずれにしても楽しみです。最後まで追っていきたいです。続きが早く読みたいです。
【8話まで読了】ついに魅了魔法の解き方を知りましたが、ヒロインの意図するところと外れていきそうです。毎回、いいところで終わってしまい、早く続きが読みたいです。
【9話】ヒロインの前世の名前が出てきました。アリサ。可愛い名です。新生活を始めようとしますが、上手くいくのでしょうか?と、また先が気になります。
【10話】騎士(カイン)と腹黒妹から逃れられたと思ったら、そうではなかった?!もっとみる▼ -
ヒロインが素敵2024年12月15日メイドと誤認されてしまう程に質素なヒロインですが、外見も内面も美しい。しとやかで、芯が強く、聡明で、愛情深い。ヒーローはちょっとのんきなところがありますが、朗らかで誠実。ヒーローが世間体にとらわれず、プロポーズしてくれてよかった。ヒーローのふたりの子供だけでなく、孤児の使用人までも含めて、幸福感に包まれます。
ヒロインが魅力的な作品は、読んでいて心地いい。ヒーローが魅了されているけど、何故なのか、納得し難い作品だと、途中で読むのが辛くなり脱落。この作品はそういう所がありません。主人公ふたりだけの幸せにとどまらない、大きくて温かい愛情に癒されました。もっとみる▼ -
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死にかけ悪役令嬢の失踪~改心しても無駄だったので初恋の人がさらってくれました~
すべてが何処までも美しい2024年11月3日まず作画が丁寧で何処までも美しい。背景と言うか、景色が、それだけでも見る価値ある美しさ。ヒロインはヤングケアラー的な家族からの無自覚な搾取を受ける状態にあります。その上、義妹に婚約者を奪われ、継母から作為かどうかはっきりとしませんが、死の直前までに至る仕打ちを受けます。
それから救いだし、時間をかけて介抱したのが、初恋の相手であるヒーロー。ヒーローがいなくては絶命したでしょう。ヒロインの家族の酷さは相当なレベルで、しかも無自覚ゆえに、後ろめたさや自責の念も何もない、端から見ても、かなりの腹立たしさ。
しかし明確な断罪はありません。ヒロインがそう望まないからです。ヒロインが望めば、性格的に峻烈さのありそうなヒーローが、きっちりやってくれたと思われますが、そうはなりません。過ぎたことを断罪するより、これから先に注力する未来志向なヒロインでした。
ロマンスはプラトニックでじれじれです。口づけですら終盤です。ハッピーエンドです。想いをよせる女性とふたりきりで、隔絶された空間にいながら、一切迫ったりしないヒーローでした。むしろ少しは煩悩に悩む姿が見たかったくらいです。
とにかく作画も主役の心根も、何処までも美しい作品です。海中の静粛さが絵から感じられるのが、とても素敵でした。もっとみる▼ -
嫌われ令嬢は銀の王子に甘やかされる~復讐から溺愛までお任せください~【単話売】
命がけの切ない純愛物語です【追記あり】2024年11月3日元公爵令嬢で裏切り者の娘として蔑まれ、困窮生活に苦しむアストレアと、元王子で性奴隷まで落とされたシリウス。ふたりが出会い、いたわりあって暮らすうちに、互いがかけがえのない存在となり、深い愛を育みます。ふたりにとって両親を殺し、人生を転落させた共通の仇である現国王が、今なお、ふたりを翻弄し、苦境の中にあって、ようやく掴んだ幸せすら、手放さざるをえなくなります。(他の先行配信で11話まで読みました。)
話のテンポが良く、無駄にダレたりしません。主役のふたりが美しく、健気で好感が持てます。6話でふたりが結ばれて、プラトニックでなくなり、その後も度々結ばれるシーンがありますが、とにかく涙々の純愛なのです。この世で互いが唯一無二の存在で、本当に命がけで互いの愛に殉じようとします。
11話で一旦(?)別れが訪れますが、また再会出来ると信じたい。特にシリウスは性奴隷に落とされて、絶望の縁にありながらも、ようやく幸せを掴みかけた矢先だったので、なおのこと幸せになって欲しい、ふたりの愛の成就を願わずにいられません。読めば琴線に触れる名作だと思います。
残念なのは、題名がチープなので、薄くありきたりな内容を予測させ、随分損をしていると思います。主役のふたりが魅力的で応援したくなり、主役の魅力不足で脱落したくなる作品とは違ってます。もっともっと人気が出て欲しい作品です。結末まで追って行きたいです。
【20話で完結】2025年7月に雑誌掲載が完結しました。個人的に読了後は、爽やかな気分になれました。物語の展開は早く中弛みはありませんでした。アストレアが清廉潔白なだけの弱々しい人物でなかったのが魅力でした。もっとみる▼ -
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買って良かった。大作でした!ネタバレ2024年9月6日このレビューはネタバレを含みます▼ 読み終わった時、ロスを感じる程の没入感がありました。一番心に残ったのは、ろくでもない旦那、ヘンドリックです。ヒロインの一度目、二度目どちらの人生でも、人でなしな所業です。しかし「人の感情の機微が分からない」という欠点があり、生きづらさを抱えた人物でもありました。
一度目ではヒロインを殺傷してしまい、涙を流し、悔恨の投身自死。二度目では、記憶がないにも関わらず潜在意識で、ヒロインの殺傷を避けようとします。爵位や騎士団団長の地位も、執着せずに手放すし、弟が妻に想いを寄せていると知って、離婚し妻に自由を与えます。そして平民となってからは、荷運びの人足を生業に選び、最後は自死に近い事故死。ヘンドリックは妻子に確かに無慈悲でしたが、一方で欲がなく、潔さも感じられて、可哀想だとも思えました。
ただこの作品のすごいところは、その様な断罪されて当然そうなヘンドリックにも救済の手が差しのべられているところです。白い世界で魂の修復を経て、輪廻転生していくのでした。自業自得とはいえ、不器用で偏屈な幸薄い男の生き様が、なんともやるせない気持ちになり、一番印象に残ってしまいました。
ヒロインは二度目では、幸せなシーンも多いです。義父母、義弟がいい人達で、身内の息子(ヘンドリック)に怒り、嫁であるヒロインの味方でいてくれます。ヒロインの息子(ランス)は優秀で母想い。言うことありません。
レビューでは評価の分かれる愛人のアリーですが、個人的には嫌いではありませんでした。欠点はあるものの身分をわきまえた言動ですし、まっとうな常識人だと思いました。ただ出産前にヘンドリックを失い、結局苦労することになりそうです。夫婦揃っての子育ては望めなくなりました。穏やかな3人家族の描写はあってもいいと思えましたが、叶いませんでした。
いろいろ切なくて、心乱されますが、最終的に大団を迎え、読んで良かった作品でした。 -
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5巻まできても遅々として進まないネタバレ2024年8月7日このレビューはネタバレを含みます▼ 主人公(イレーネ)が哀れで切ないです。ヒーロー(ロイド)は男らしくて実力派。ふたりの幸せシーンを待ち望む読者が大部分と思われますが、本編が遅々として進まず、もはやストレスを感じるレベル。脱線が頻繁でそのボリュームも多すぎ、読んでいてじりじりします。読みたいのはこれじゃない感、半端ないです。そういうのは番外編でお願いします。強制的に抱き合わせ販売された感が否めません。
4巻でようやく未明の地を脱出できたのに5巻になっても肝心なところは進みません。「未明の地へは、ある人の身代りで行った。それを誘導したのはイレーネの思い人。イレーネを未明の地に追いやったこのふたりが両親だったとロイドが知るのはいつか」「ロイドに愛されているとイレーネが知るのはいつか」5巻まできてもまるで解決しません。
4巻までは激しいバトルシーンがあり、愛の告白が難しくても、5巻は危機を超えており、仕事が速くて的確そうなヒーローが、はっきりと思いを伝えていないのが不思議なくらい。
とにかく本編が進みません。5巻はバトルシーンがないだけにもたつき感がより感じられます。6巻はレビューをみる限りでは、さらに進みが悪そうなので、もう断念しました。何年かかるか分かりませんが完結してから読もうと思います。
素敵な物語なんですが、もう少しスムーズに進んでくれると満点です。残念です。