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いねむりさんのページ|漫画の感想・口コミも業界最大級!シーモアレビュー
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ERR_MNG
レビュー
今月(10月1日~10月31日)
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シーモア島


投稿レビュー
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ふくらませ方が納得できないネタバレ2025年10月1日このレビューはネタバレを含みます▼ 井原西鶴は大変にリズミカルな文体の作家で、情景や風物を子細に、饒舌に描写していくところに、なんとも味わいがあります。一方近代小説家ではないので、精緻な心理描写はありません。特に『男色大鑑』に関してはほぼ伝聞の語りになるので、「こんな若衆が、念者がいた」とあっさりめの叙述になっているところに、読み手の想像を刺激するところがあり、それがまた楽しくもあるのです。
原作の『武士編』は「武士道は死ぬこととみつけたり」という『葉隠』的な倫理観がベースにある衆道なので、凄惨で熾烈な物語が目につきます。
ここでセレクトされた『詠めつづけし老木の花の比』は、老いたカップルを描く和み感のある作品。脚色として細かな心理描写を付加されているため、読み手としては当然、登場人物の心理的な変遷を期待してしまうのですが、短編のためそうはならず、肩透かし感があります。『身替りに立つ名も丸袖』は若衆の育った背景描写が武家らしくなく悩ましいものがあります。どちらも武家の衆道ものとしては、読後の満足感が得られません。
また、剣技を描くのが苦手な方は武士道ものを描くのはやめた方がいいかとも思いました。いいね
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思い乱れて読み続けられないネタバレ2025年9月23日このレビューはネタバレを含みます▼ この作品はカバーを見るだけでワクワクします。だって、『火の鳥』やら、キトリのシソンヌやら。メドーラのヴァリエーションの連続パセやら。『グラン・パ・クラシック』やらと、高名なヴァリエーションのアイコニックなステップが見れば分かるように描かれているから。でも、辛くなって読み続けられないでいます。
あまりにも刺さるから苦しい。例えば、「肘からゆっくり動いて...空気のように柔らか」い腕遣いほど、美しい物はありません。でも、「空気のように」に達することができる踊り手は稀で、これが欠けているので『白鳥の湖』の主役に留まれなかった才能あるバレリーナをたくさん見てきました。千花が一番で立つとき、膝が僅かに離れているので、彼女の身体の限界が見えてしまう。一方、空美のポーズはどれも伸びやかで美しく、バレエ的な身体格差の残酷なリアリティを見せつけられるのですね。
とはいえ、西洋的なバレエ教育の欠点もあからさまです。真直ぐな背中は不器用な踊り手を作ってしまうんですよ。S字カーブを保ちながら限界点まで背筋を引き延ばしていく。この方法論じゃないと、豊かな感情表現を可能にする自由な上体の動きは作れないのです。あと、小学校5年生でスワニルダとか踊らせるのも感心しません。これくらいの時は身体のコーディネーションをミッチリやってる方が後々伸びしろが出てきます。
それに、この漫画はローザンヌを到達点としていますが、私はローザンヌには失望しているのですね。ワガノワバレエ学校憎しみたいなコンクールだと思ってます。2016年に今はボリショイのプリンシパルであるアリョーナ・コワリョーワが落とされて、『眠れる森の美女』第2幕のオーロラのヴァリエーションをしくじったローラ・フェルナンデスがファイナリストとして残った時、ああ、出来レースなんだなと思いました。以来、ローザンヌは見ていません。
空美の人生も壮絶ですね。学校のイジメにも、性的虐〇にも屈しない空美。分かります。空美はバレエという修羅に囚われているから、他の不幸は無視出来てしまう。
バレエは美しくて残酷で、偶々身体性や感性が適合しても果てしない献身がなければ、本物にはなれない。
やっぱり、痛くて読み続けられません。いいね
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江戸情緒を満喫ネタバレ2025年9月10日このレビューはネタバレを含みます▼ 刺青も鯔背で荒事の役者絵から抜け出たような虎次と明治の美人画みたいな儚い色香を漂わせた八重辰。青天の髷姿を魅力的に描くのは難しいのに、驚くほどの色男な2人の表紙に釣られて読み始め、江戸は向島の情緒と洒脱を堪能しました。
とにかく、描かれる情景の細部までもが精緻で美しい。虎次の多分唐桟の着流しに派手を極めた半纏、居住まいすら麗しい八重辰の友禅と思わしき文様や角帯の織模様、器の蒔絵、櫛、簪、季節の花の風情、とても贅沢な世界が描き尽くされいます。
内容は大人の男同士の主従関係やら、なさぬ仲の娘やら。間男と出奔した元嫁やらのしがらみが絡む人情恋愛劇。虎次があまりにもスパダリで都合の良い男過ぎ、八重辰は耐える女のふりをした自己中な要望男みたいなことろがご都合主義に感じますが、描絵が最高なので満足しています。 -
納得できないネタバレ2025年8月21日このレビューはネタバレを含みます▼ バレエ愛好家にとってニジンスキーは解くべき謎のように存在する。本当はどれほどの力量のダンサーだったのか?何故彼は狂ってしまい、さらに神話となったのか?我々の議論は尽きない。
バレエ漫画では絶大な信頼を置く山岸氏だが、どうも『牧神の午後』には違和感が拭えない。現存する若き日のニジンスキーの肖像は幼く無垢な少年そのもので、決して憂い顔のユーリ・ミロノフではない。このどこか白紙状態の精神構造が、ニジンスキーに妖精になることも半獣神になることも可能にしたのではないかと思う。脚の形の酷似から考え、当時のダンサーの動画から推測するに、ダンサーとしての技量はユーリ・ソロヴィヨフを粗削りにした感じかと思う。つまり、当時のベストであり、歴代のベストではない。
彼の神話は、主にその狂気を吐露した『ニジンスキーの手記』から来ていると推測する。この、くめども尽きぬ淵のような手記を思い切り深堀してくれれば、はるかに面白かっただろうと思う。残念だ。
ミスターBにも、私は複雑な思いを抱いている。何故かと言うと、NYCの公演だと何の魅力も感じない作品の数々がマリインスキー(キーロフ)劇場の演者たちの手にかかると、生き生きとドラマティックに輝きだすので。トールチーフの『黒鳥』も1962年撮影のものを見たが、苦しく不器用そうで見ているのが辛かった。68年のキーロフ版は主演のエレーナ・イェフテーエワの蠱惑的な個性が溢れている上に、現代の振付と基本も変わらず、ズシリした伝統の強固さを感じさせるものになっている。そこで、いつも思うのは、次々とミューズを乗り換えていたミスターBは本当のところどんな身体性のバレリーナを求めていたのだろうかということ。90年代にキーロフに指導に来たスザンヌ・ファレルがエレーナ・パンコワを見て「スコッチ・シンフォニー」を踊るために生まれてきた人と評したことを憶えている。そして、パンコワの「スコッチ・シンフォニー」は本物のシルフが降臨したかのような、夢のひと時だった。ミスターBの深層の望みには、40歳を超えても輝き続けるキーロフのバレリーナ達があったのではないかと思う。ぜひ、そこまで視野を広げて分析して欲しかった。いいね
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愛しくも歪な大河ドラマネタバレ2025年8月12日このレビューはネタバレを含みます▼ 下ネタ満載のドタバタギャクだと思って読み始めたら、とてつもなく歪で壮大な世界が広がって。
それは、血塗られて悲惨な幕末世界のファンタジックな語り直しであり、師を殺された弟子たちの、戦争でトラウマを抱えた少年兵の心の変遷であった。ある者は過去の呪縛に生き続けて破壊の果てに亡くなり、ある者は仲間を得ることによって再生し、また、根っから頭のネジが外れた天才は何一つブレることなく師の思想を継承、発展させていく。加えて、彼らを支える市井の人々の心意気の物語でもある。
そして、異質に生まれてしまった不死者への迫害と異質な者の反撃、怒りと悲しみと愛の希求と自己犠牲の物語でもある。
何よりも、ヨーロッ諸国の先例に学ばず、移民に蹂躙されていく可能性の高い現代日本への警鐘でもある。無力な民のわれわれではあるが、再生のために戦う心意気だけは失ってはならないと、心に刻んだ。いいね
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タイムリープって諸刃の剣だよね。ネタバレ2025年8月7日このレビューはネタバレを含みます▼ ヤンキー×タイムリープっていう組み合せが斬新でドキドキ、ワクワクしました。
でも、タイムリープって諸刃の剣でしたねえ。過去に帰って人生巻き戻せば不都合をなかったことにできる。何度もやってれば望ましい現在が手に入る。でも、それだと登場人物が自分の犯した罪と向き合うことがないわけで、本当の意味での成長ではなくご都合の幸福を見せられることになる。その消化不良感が残念でなりません。いいね
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絢爛たる歴史絵巻で終わったかな...ネタバレ2025年7月16日このレビューはネタバレを含みます▼ 同時期に唐に渡り密教を齎して日本の仏教をドラスティックに変えた両雄、最澄と空海の物語。最澄は天台法華、空海は真言密教と立場を異にし、ド派手な密教の儀式で衆目を集め、朝廷が必要とする土木建築の知識も惜しみなく提供してどんどん影響力を拡大する空海。法華経による衆生済度を純粋に説き軋轢を生む最澄。対照的な生き方の2人だけれど、最澄は空海に弟子入りし、空海はその最澄の大きさに感服し、阿頼耶識で繋がり時代を超えて共に祈り続けるという、素晴らしい時代絵巻。
2人の仏教世界の絢爛たるヴィジュライズも圧巻。
なのだけれど、経典の言語化という部分がおざなりにされているようです。言葉を超えた深み、高さにたどりつくべき精神世界ではあるのですが、イメージばかりだとフワフワしてしまい、ファッション仏教に見えてしまいます。命がけで遣唐船に乗り経典を集めてきた2人ですから、ギリギリなところまで言語化していかないと思想として納得できないのですね。残念です。いいね
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オモロイけれども残念でもあるネタバレ2025年7月16日このレビューはネタバレを含みます▼ 頭脳明晰、学業優秀だけど喧嘩は弱い主人公アキラが底辺のヤンキー高校に入って、「ヤンキーもサラリーマン時代」と、情報収集能力やら気働き、料理の腕前を駆使して頭のツトムの面倒見て、パシリとなりながらNo.2の座を確保。ツトムの寝首を掻いてNo.1になり上がろうとする、微妙にズレた高校生活がププッと笑えてしまう漫画。
なんだけど、最終版まで同じペースでダラダラ進んで不発弾的に終了するという残念さもある。サラリーマンヤンキーという画期的なコンセプトにも超展開はなかった。奥嶋先生は、テーマや人間関係を掘り下げるのがにがてなのかな?と、ちょっと心配になりました。いいね
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ケニーママの手料理で心ホッコリネタバレ2025年6月30日このレビューはネタバレを含みます▼ ケンカの弱い1年生のケニー君がヤンキー高の頭になるために全校生の胃袋を掴むことにする。「カルシウムが足りないからイライラする」が持論のケニー君の手料理で、ささくれた心も怒れる心も寂しい心も、食レポ満載で癒されてくの。そうすると、ヤンキーどもは皆いい子ばっかりで、なんか友達の輪が広がって、ケニー君は頭っていうよか全校生のママになっていく感じで、もうホッコリ。
うちにもケニーママが欲しいよう!掲載誌が廃刊で、無理くりキレイにまとめた打ち切り終了が残念ではありますが、2年の頭になってるケニー君主役で絵柄も一段とキュートになって、今年から連載再開!嬉しいよういいね
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コートに神が降りて来た瞬間、永遠の名作2025年6月3日言わずと知れた永遠の名作、SLAM DUNKが電子で登場とは、有難い、有難い!
プレイを描くことでバスケの真髄を描き切った力技は超えられない金字塔でしょう。数々の名場面、名セリフがありますが、山王戦のクライマックスを描いた無言のページは、言葉を介することなく思いが、プレイの意志が伝わってゴールが達成される、将にコートに神が降りて来た瞬間。これ以上の試合を描くことが出来ないと井上先生が筆を折ったのも理解できます。
ただ、バスケの深さはここで終わりはしません。ファースト・ブレイクとセット・オフェンスの差異、ダイアグラムを読む楽しみ。ナンバー・コールのないセット・オフェンスであるトライアングルの醍醐味と、さらに、さらに追及できるもの。
とはいえ、戦術、戦略を漫画として視覚化するのは、不可能に近いとも感じます。
それでも、続編が読みたい!SLAM DUNK奨学金関連で、井上先生もNCAAまでの内情に対する知識は持たれていると思います。たとえば、流川が留学して身長・体重の不足からボコボコにされ、PGへのポジション・チェンジを余儀なくされ、ドライブ・インに関してもスピードやディレクションの多彩な変化を加えて、苦労しながらアイヴァーソンやトニー・パーカーのようなスタイルを確立していく話なら、プレイのみを語っても十分に面白いかと。
2nd SLAM DUNKを切に希望します。まずは、様々な事情で散逸してしまった全巻を電子を利用して揃えて待ちますかと...もっとみる▼ -
人体デッサンは理想の身体像があってこそ2025年5月21日作者がバレエ経験者ということで、期待を持って読み始めました。主人公が子供なので、コマ内のポジションやポーズが曖昧なのは仕方がないと思います。ですが、これを読んでバレエを始める子供もいるかと思うと、カバーや扉絵、補足のページなどの模範演技ではやはり踊り手としてあるべき身体のイメージはキチンと伝えて欲しいです。頭までピンと引き上げられた上体、引き締められた体幹と開かれた胸部と背中、そのエクステンションが肘まで通ってラインを作る腕。腰から始まったアンデオールが拡大しながら踵や足先に伝わり、引き寄せられた両膝。人間の身体性を考えると最も健康とは言い難いけれども、バレエとしての美しさを体現する究極のフォルムを描いて欲しいのです。それが残酷だと思う人は、バレエは遊びで留めておくべきということを教えてくれる絵柄が重要だと思います。
そして、13歳の少女はまだ子供です。この年齢の人に大人並みのヴァリエーションを踊らせることは、長い目で見て決して良いことではありません。そういう日本のバレエ界の歪みもちゃんと描いて欲しいです。もっとみる▼ -
悩ましい…ネタバレ2025年4月22日このレビューはネタバレを含みます▼ 吉宗は過去のトラウマからEDなんんじゃなかったの?男にトラウマがあって、本来ゲイじゃないなら何で女子と付き合わないの?
こういう心理的展開がしっくりしないと思うのは私がBL好きじゃないからなのかな?やっぱさ、トラウマから立ち直るって難しくて、いかに抱えつつ生きることに慣れてくかしかないと思うんだけど、そこら辺を丁寧に描いて欲しいってのは贅沢なのかな?
そろそろ離脱した方がいいかも、となりました。いいね
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バカだねえと思いつつ、大爆笑ネタバレ2025年4月17日このレビューはネタバレを含みます▼ もう、のっけの前提から間違ってる秀才主人公がバカでまずオモロイです。日本のテッペンは極道なんてさ、誤解だよ。既得権益があるだけで、国内にテッペンがないのが日本の大問題なのよ!って、叱ってやりたいけどオモロイ。
極道を究めるための高校って設定がまた奇抜ですね。校名は美蘭高校。ギャグがクドクて好みです。そんで、学校だから喧嘩も校則に則るのね。最初のバトルが戦争じゃんけん!?1年を仕切る組長を決めるガチ対決が怒血暴流(ドッジボール)!なんか破壊的なまでのネタ炸裂で大笑い。
でもさ、漢気は筋通ってるのよ。そこんとこがいいのよね。 -
トラウマ持ちの複雑骨折な関係性が気になるネタバレ2025年4月17日このレビューはネタバレを含みます▼ 『同棲ヤンキー赤松セブン』があまりにも面白かったので読んでみました。
BL通じゃないので感想の方向性が大間違いかもしれないと思いながら、こういう視点もありかなと文字打ってます。
第1の感想は、あんまり喧嘩しえねえじゃん、です。喧嘩とかギャグとか、サラッとBGM的に流してくんですね。だから、ヤンキーなのにギラつき感がなくてジャンプ読者としては、肩透かし気味です。
入江と椿の抜きあいから始まるお付き合いは、ポイント高いです。やっぱ、初心者はここからだよねって納得です。吉宗と源路の関係性は、かなり複雑骨折してますね。吉宗は本来ホモじゃないらしいし、過去にトラウマあるみたいなのに、なんで源路に手だしてんだろう?そこんとこ気になりますねえ。続きがよみたくなりますねえ。 -
オモロイ!ネタバレ2025年4月17日このレビューはネタバレを含みます▼ 『ババンババンバンバンパイア』ですっかり奥嶋ファンになって、片っ端から読み散らかす毎日。この作品も、奥嶋ワールドならではの爆裂ギャグと濃い人情満載でオモロ過ぎです。
ヘタレな主人公が実は殺し屋でしたというのはありがちな設定ですが、加えて漫画家デビューに苦節するアシスタントですというところが実に刺さるのです。連載する漫画家さんのアシさんの毎日の過酷さ、デビューできない焦りや苦悩、成功していく仲間への嫉妬や、それを超えて彼らを結びつける大いなる漫画愛。時には読み手を狂わせてしまうような漫画愛が恐ろしくも尊いのでした。 -
「知性とは」の初心を思いださせてくれたネタバレ2025年3月21日このレビューはネタバレを含みます▼ あまり深く考えないで楽しめるヒーロー系ヤンキー漫画で、孤独でイキッた主人公に仲間が出来て成長してくんだよね。なんて、軽~いエンタメとして読み始め、梅宮の「喧嘩は対話」という言葉にハッとさせられました。
捻くれたアウトサイダーで生意気盛りだった自分に主任教授が言った言葉「知性とは他者を理解しようとする努力のことである」が蘇ってきました。「もう世界は二極化されたんだよ、理解し合おうなんてやめときなよ」という言説に悩まされがちな今日この頃、諦めちゃいけないなと、励まされました。 -
感動した!ネタバレ2025年3月17日このレビューはネタバレを含みます▼ 思春期の鬱憤を喧嘩で解消するゲイ少年の赤松と、律儀なホームレスのセブンのタイマン。重い背景を背負ってそうな主人公たちのあれこれを、小ネタギャグで引っ張ってく作風がオモロクて読んでると、友情がもだもだ不器用な恋愛展開になって、とんでもない環境で育つ児童の人格形成が描かれていく。人生を決定するのは正しいことを貫ける意志の強さで、それは両親に愛された子供時代が育む自己肯定感がもたらすものという、当たり前の心理学がイキイキと描かれた作品だと気づきまして、思わず涙ぐんで感動しました。
赤松もセブンも過去に足を取られることなく、今と未来を見つめているんだね。カッコいいぞ2人とも! -
激オモロからホッコリとなるネタバレ2025年3月14日このレビューはネタバレを含みます▼ 奥嶋先生作品ということで、物凄い期待感で読みました。「小田信長」「徳川家家」って、オモロすぎるテストの珍回答。期待以上の小ネタにハマって抱腹絶倒!なのですが、読み進むうちに勉強と向き合うBLテイストの成長ストーリーだということに気づいてホッコリ。
私的な〆は「月が綺麗ですね」です。夏目漱石の奥ゆかしさが憎いよ、この人。いいね
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純粋な魂が利用され壊されていく悲劇ネタバレ2025年1月16日このレビューはネタバレを含みます▼ 聖戦とは名ばかりで、イスラム教徒側から見れば貧しいフランク族の侵攻に過ぎなかった十字軍。その中でも、幼い少年たちが純粋な思いで出立したものの、厳しい大人社会に利用されきり、主の栄光にも世の栄華にも到達することなく壊されてしまった少年十字軍は特異な悲劇として、歴史を読む者たちの記憶に残っています。
その、少年たちに声と姿を与えたのがこの作品。徒らな贅沢に酔い変質してしまった少年、旅路に耐える頑健さを持たなかった少年、大人の圧倒的な暴力により唯々ころされてしまった少年たち。可視化された少年達個人の物語は、一段と悲惨です。
とはいえ、現代社会でも身勝手な大人たちから利用され、安全や健康な身体、命を奪われていく子供たちの悲劇は確実に存在します。
子供は愛され、育まれるべき者。それを忘れてはならないという思いを、一段と強くした作品です。いいね
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思考停止してはならない。ネタバレ2025年1月16日このレビューはネタバレを含みます▼ 天体観測と地動説の関連を説く話、教会の一部による残酷な弾圧の話としても、とてつもない魅力がある作品です。
ですが、今目前で起こっている事象から帰納し、世界が動いているメカニズムを知ろうと努力し、その結実を世に問う“知”に目覚めた人々と、社会的権威から与えられた枠組みを鵜呑みにし、暴力的にそれを押し付け、知を抑圧する思考停止した人々。そのせめぎ合いは、今の世界、今の日本でも猛威を振るっています。思考停止してはならないのです。
そして、知への欲望を欲しい侭にしてもイケないいけない。それは、知によるファシズムに繋がってしまうから。
自己と他者への配慮を保ちつつ思考し続けなくてはならない。その思いを強くしてくれた作品です。 -
TVアニメ『呪術廻戦』 懐玉・玉折/渋谷事変 公式ガイドブック
中村さんの解像度が凄い!ネタバレ2025年1月16日このレビューはネタバレを含みます▼ キャラクターデザインや背景・音響・照明など、第2期アニメがどうやって作られていったかが本当に良くわかるガイドブックです。
中でも、中村さんと櫻井さんの対談が珠玉。やっぱり、このお二人の読み込みは凄いです。特に中村さんは、五条の解像度も論理的整合性もメチャ高くて、うんうんと頷きながら読ませていただきました。五条の解析から俯瞰して『呪術廻戦』全体の考察なんてのを、いつかやって欲しいなと思ったりしてます。
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キャラが濃い~すぎる!ネタバレ2024年12月26日このレビューはネタバレを含みます▼ 普段はBLとか読む気がしないのですが、無料だったので読んだらエロいだけでなく個性的なキャラの宝庫で、面白くて読み続けてしまいました。受け君は中身女子みたいな悲劇の主人公で、ここはお約束。でも、攻め側がオモロイんですね。本人は借金して逃げてるNO.1ホストで太客は乙女ゲイのハゲデブ親父。元カレは薬物中毒のビッ〇。クラブの後輩はしっかり守銭奴なんだけど仲間思いだったり、濃い~です。途中で、正統派ラブロマンスに路線変更してからは、攻めの男っぷりがマシマシで人気炸裂しました。そして、かれを救うヤクザの親分やら舎弟やらの義理人情もイケてます。仇側もIT企業の御曹司のサイコっぷりがエグイし、手下でAV撮影している近親相〇の双子とか、濃い~のオンパレードで飽きません。
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苦しすぎる...ネタバレ2024年12月26日このレビューはネタバレを含みます▼ 肉体的、精神的暴行であるイジメ。イジメが魂の殺人であることが痛いほどわかり、対象となった主人公の日々が辛くて、最初はなかなか読み進めませんでした。彼が死を決意するほどに追い詰められて始まる復讐劇。過剰なまでの「目には目を」の仕返し。それでも解決しない、深々とした主人公の葛藤。復讐の過程で分かるイジメる側のバックグラウンド。権力を勘違いした卑怯者、承認欲求の塊のような女子、虐〇の連鎖の中で狂ってしまった元被害者。前者2ケースはいずれは躓いた者たち。矯正のしようがないでしょう。最後のケースはなんともやるせないです。とても苦しい読書です。大人として、イジメにどう処すべきか?虐〇の起こる環境をつくらない。イジメの兆候を見逃さず、勇気を持って対処していく。それが、この本を読んだ私たち大人の責務だと思いました。
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それでも、幸せさがしなんだよね。ネタバレ2024年12月26日このレビューはネタバレを含みます▼ 幼い頃に両親と弟を殺されて、復讐することを糧に生きて来た主人公。なんだけど、犯人捜しをするうちに、どんどん信じていたこととは異なる事実が浮かんできて...。最初のうちは謎解きのサスペンスとして読んでましたが、次第に不幸な悲劇に巻き込まれた青少年が幸福に手を伸ばす悪戦苦闘が見えてきてホロっとしてしまいました。
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エドガーの無私の友愛と人のエゴネタバレ2024年9月12日このレビューはネタバレを含みます▼ 眠り姫を守るデジレ王子のように、棘ある薔薇の蔓に剣を奮うエドガーのカバーが、なんとも象徴的な作品です。
カバー絵通り、エドガーは弱って長い眠りについてしまったアランを、何を犠牲にしても守り抜きます。アーサー・クエントン卿との出会い、エドガー版『ランプトン』が描かれる過程も語られます。
アランに向けるエドガーの無私の友愛に、自尊心と忖度に満ちた自分の過去の友情を顧み、どんどんエドガーに惹かれていくクエントン卿。
成長した少年たちの友情に女性への思慕が絡んでしまうと、それはもう純粋なものではあり得なくなる。何故なら、伴侶を得て自分の血を残すことが、限りある生を消費する人という生物のDNAに刻み込まれたエゴイズムだから。永遠の少年達には無用の問題なところが皮肉です。
己のエゴイズムで人は不幸に陥っていく。なんとも、考えさせられる作品でした。 -
無垢なアランとエドガーが切ないネタバレ2024年9月12日このレビューはネタバレを含みます▼ 小さな消し炭のようになっているアランを何としても蘇らせようと奮闘するエドガーが切ない作品。
タイトルのユニコーンは神話上の生き物、無垢なる乙女にしか近づくことがないと言われていますが、エドガーに絡む謎のヴァンパイア、バリーの通り名でもあります。
バリーはユニコーンのようにアランに何故か執着。バリーとアランの出会いと度重なる再会の中で、アランのナイーヴな無垢が光り輝いています。
そんなアランがいたから、エドガーは自分が罪深いヴァンパイアであることを忘れて、永遠の少年の日々を送ることができたのだと。エドガーなしにアランは生きられないけれども、エドガーもアランなしに生き続けることはできないのだという思いを、これまで以上に強くさせる巻です。いいね
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呪術廻戦も終わるのか...ネタバレ2024年9月7日このレビューはネタバレを含みます▼ と思ったら、コミックス派なのに本誌買ってました。
カラーの扉絵、倭助さんあってこその虎杖の真っ直ぐな強さ、宿儺の生への執着、伏黒の「いいんだ」の落としどころ、リアルタイムで読めて幸せです。いいね
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伏黒が足りない!ネタバレ2024年9月7日このレビューはネタバレを含みます▼ 本屋さんの予約締め切り後、粘って予約ゲットで手に入れました。紙媒体にこだわったのはアクスタが欲しかったから。予約が遅れたのは、伏黒のアクスタが入ってなかったから。
人気投票の後なのに、敢えて乙骨先輩が入ってるって、ここでお別れなの?心配でやっぱり予約。
五条のブックレットもお得なネタ満載!
でも、やっぱり伏黒のアクスタ欲しい!親子アクスタお願いします、集英社さん!いいね
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理解できない!ネタバレ2024年8月30日このレビューはネタバレを含みます▼ 医療少年院の院生たちのことを理解したいと思い、読み始めました。
一生懸命読んでいるのですが、彼らの解像度は上がるけれども、共感も含めて彼らを理解できたという境地からは程遠いところにいます。私が一定のアクションを起こして、彼らのようなリアクションを返されたら、やはり混乱するなと思うのです。
何故そんなに自己抑制ができないのか?欲望に振り回されるのか?分からないのです。
鋭意読み続けていますが、難しいです。
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オモロすぎる!ネタバレ2024年8月30日このレビューはネタバレを含みます▼ 頭のネジが何本も外れたような、トンデモないキャラたちがアイヌの金塊争奪戦を繰り広げる!
人の皮膚に彫った刺青を集めないと場所が分からないから、ぶっ殺して皮を剥ぐ。とてつもなく陰惨な物語になりかねないのですが、アイヌの生活の魅力やぶっ飛んだキャラたちの大暴れで大笑いしながらノンストップで読んでしまいます。
狂ったキャラの裏側には、新選組敗北の執念や戦争のトラウマといった重い主題や壮大な理想もあったりして、明治の漢たちの気骨も感じられる快作だと思います。
とにかく、オモロすぎる!いいね
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人間という凶悪な動物ネタバレ2024年8月30日このレビューはネタバレを含みます▼ 捨てられた赤ちゃんが天涯孤独のタヌキに拾われて、愛され育てられていくというハートフルなオープニングに心和んで読み始めました。
ところが、赤ちゃんは成長して弱肉強食という残酷な世界を、弱者生存のユートピアに変えていこうとする。彼の志を折るような肉食動物との邂逅や戦闘があり、それでも少年は諦めない。百折不撓の精神が素晴らしいなとおもいました。
ただ、動物における弱肉強食は捕食のための必然の行為。代用できる食品があれば解決するものです。
人間はそうはいかない。不可解なエゴや欲望から支配や破壊を望むのです。なんとも凶悪な生物です。だから滅びるのです。
人口削減の必要性が説かれ、どんどん新生児の誕生が減っている現代の日本にあって、これは必読の書と言えるでしょう。 -
残酷な世界と無償の愛ネタバレ2024年8月30日このレビューはネタバレを含みます▼ 片親のネグレクト家庭で育った少年が、懐いてしまった少年野球の監督から性加害を受け、守ってくれる大人のいない故郷から逃げ出してNYCのストリートにたどり着き、さらに凶悪な少年たちを売買する組織に囚われてしまう。なんとも恐ろしいのは、これが荒唐無稽なものではなく、ありがちな現代の転落ストーリーだということ。
主人公のアッシュは人並み外れた美貌と頭脳、戦闘能力を買われてこの環境を生き延び、少年ギャングのボスにまでなるけれども、ベトナム帰りの兄がこわれてしまった原因を探るうちに生物兵器にまでたどり着き、大ボスであるコルシカマフィアや華僑、傭兵団と苛烈な戦闘を繰り広げることになる。
作品に描かれる性行為は侮辱や支配の手段。アッシュは数知れないトラウマを抱えながら、殺人マシーンのように戦い抜き、大量の敵を殺めていきます。
そして、過酷な人生を生きる彼が求めていたのは無償の愛でした。その愛情を確信し、自分も新たな人生を求めることができると悟った時、彼の命は絶たれてしまう。
なんとも、なんとも残酷な世界の残酷な物語です。
それでも、アッシュは彼のような境遇の少年としては類稀な幸運児だという事実も心が痛みます。殆どの少年は病を得たり、薬物依存症になったり、精神を病んだりして未来を持てなくなってしまうようです。それどころか、臓器売買や薬物摘出の殺人目的で売買され、ゴミのように廃棄されていく子供たちも多いと言います。
私たちが生きる世界の闇のリアリティを凝縮したような作品。読むのは辛いですが、これがリアリティであると、私たちは理解しなければならないのです。 -
死を通して人生そのものを描くネタバレ2024年8月30日このレビューはネタバレを含みます▼ 亡くなって成仏するために死者が訪れて手続きをしなければならない死役所の窓口で起きる悲喜こもごも。
誰にも必ず訪れる者ではあるけれども、その訪れ方はそれぞれに異なっています。
不慮の死、不条理な死、決意を持った死、願われた死。殺人、病、事故。無垢な幼子の死。様々な死の物語が犇めいています。
そして、死を描くとは人生そのものを描くこと。なんとも見事なヒューマンドラマです。いいね
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すぐれたソーシャルスタディネタバレ2024年8月30日このレビューはネタバレを含みます▼ 徳川家歴代将軍が女性で、男性が大奥に封じられる社会構造。女が社会を背負って働き、男が生むための付属物となったら、どうなるのか?
沢山の悲喜劇を盛り込んだジェンダーの役割が逆転した社会のケーススタディがとても
面白く、興味深いです。
ただ、男性が将軍になった場合も同じような矛盾と悲劇が付随しているので、単なるジェンダースタディを超えて、権力とそのツールとしての人間というより広い視点が得られます。
残念なのは明治維新による西洋化思想を、簡単に、教科書的に肯定してしまっているところ。維新の裏には何の力が働いていたのか?権力と人間と金の流れ、この辺を突っ込んで描いてくだされば、もっと嬉しかったと思います。いいね
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ハリボテの達観とミステリーのライトノベルネタバレ2024年8月30日このレビューはネタバレを含みます▼ 「若さを肯定しつつもハリボテの達観が青ざめ、挫けていくのを見るのが私達は大好きなのです」という芥見下々氏の推薦文に惹かれて購入しました。
その通りの残酷な現実が暴かれていくスピーディーなミステリーです。
ただ、あまりにも簡単かつ明晰に各登場人物の動機が説明、明文化されてしまうので、尾を引く読後感というものには欠けるようです。
何故アンナ・カレーニナは『心』の先生は自死を選んだのか?ラスコーリニコフが殺害した金貸し老婆の部屋に飾られたドイツの少女の銅版画は何を意味しているのか?マルセルとアルベルティーヌ、被害者はどちらなのか?長引く疑問を残すところに、史的傑作の意味があると思うのです。
簡単に結論にたどり着けると、ミステリーのライトノベルっていう最終評価になってしまいます。いいね
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バレエの真の魅力を伝えるバレエ愛漫画ネタバレ2023年10月11日このレビューはネタバレを含みます▼ バレエ漫画と言えば山岸涼子先生と確信を持つことになった漫画です。バレエ的な身体の美しさは日常的な美しさとは異なるので、デッサンがどんなに上手な漫画家さんでも「バレエを踊る身体はこうあるべき」という基本の理想がないと、説得力がない絵になってしまいます。例えば、ダンサーが理想とするグッとのびた膝としなう甲を持った足は、日常の中ででは曲がった病的な足だったりします。漫画的なデフォルメはありますが、その辺の美のツボを熟知されているところに、まずは安心感を持ちました。
ですから、バレエとは何かを考えながら読み進み、美しいポージングと共に見せられる」「青白く透明な真のロマンチックバレエ」や「バレエの叙情性を理解した時には体がついてこない」といった名言が心にズシンと響いてきました。
ロシアのバレエに詳しくなってから読み返すと、圧倒的な踊り手を生み出すロシアの教育システムや劇場のコーチングシステムへの解釈ができていなかったり、「青白く透明」なのは『ラ・シルフィード』ではなく『ジゼル』第2幕や『レ・シルフィード』であることなど、粗も見えてきます。
それでも、この作品の中のバレエ愛は本物。166cmの女性プリンシパルバレリーナやラーラのしなう脚は、この漫画の舞台となったマリインスキー劇場では今やスタンダードになっています。そしてノンナが目指したパートナーから自立したバレリーナというのも、この劇場のプリマであるヴィクトリア・テリョーシキナが実現してくれました。
かなった夢の証を堪能しながら、この漫画の先見性の凄さバレエ愛の深さに感動するこの頃です。 -
2人の運命を思うたびに胸が苦しくなる…ネタバレ2023年10月10日このレビューはネタバレを含みます▼ ストーカーが連続殺人鬼に恋したらという、サスペンスホラーな設定に惹かれて読み始めました。物語が進むにつれて身内からの性加害のトラウマで壊れてしまった2人の物語だということが明らかになっていき、愕然としました。
普通、BLってなんで2人がくっつくのかの理由が分からないのですが、この作品では悲しいほどの必然性に打ちのめされます。2人とも傷ついていて孤独で、愛を求めているけれども狂いすぎている。だから、お互いしかいないのですね。でも、狂っているから普通に愛し続けることはできない。相手がいなければ生きていけない。悲劇しか結論のない関係性。2人の運命を思うたびに胸が苦しくなります。
だから、平和な日常回がとても貴重に思えます。テーマパークデートでウジンが見せた幼子のような笑顔がわすれられません。 -
絶妙に後味が悪い~ネタバレ2023年10月9日このレビューはネタバレを含みます▼ 無料作品となっていたので読んでみました。そこそこ面白かったです。
大学時代に後輩に利用されて高額借金を負わされて辛酸をなめ、なんとか広告会社課長にのし上がった主人公は、過去のトラウマの代償のように他人を利用しつくす最低な人間になっています。で、その後輩が就職して自分の部下となったことで、課長が地位も女も利用して後輩に仕掛ける復讐劇。後輩も、汚い手でやり返すクズ。女たちも妄執婆やら粘着女やら、登場人物の端々までがエグくて強烈。
とはいえ、ありそうな話ではあるのでつい読んでしまいます。人間の悪辣さを読みたい人にはお勧めの、絶妙に後味悪い作品です。いいね
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人間という業深き者たちとその救済ネタバレ2023年4月18日このレビューはネタバレを含みます▼ アニメ『幼魚と逆罰』のカタルシスのなさに驚愕して惹きつけられ、本誌派&コミックス派になり最終回を迎えた呪術ヲタです。
作品世界の人間は生きているだけで呪いを垂れ流し呪霊を生み出す業深い存在。だから怒りや恨みだけでなく、恋愛、友愛、親愛、家族愛すらも呪いを生み出して登場人物たちを苦しめる。何の罪もない善人たちがひねり殺されていく。芥見氏は救いようもなく荒廃していく現実社会を肌で感じ、作品に落とし込めるとんでもない作家であり、その繊細な感性が同時に人の儚さや生の美しさ、救いも拾い上げる作家だと感じています。
スピーディなバトルの背後にあるドロドロした人間の闇や切ない思い。作者は一コマで人間性を描き切る力があるので、スピードダウンすることなく重い人間ドラマを描き尽くします。そこが、『呪術廻戦』の本当の魅力だと思います。
全能感にイキッた少年達の挫折を描いた『懐玉・玉折』。2人の親友、五条と夏油は既に亡いのですが、その思想の根幹に強さによる線引き、選民思想があったことが悲劇のトリッガーだったと今では思っています。それでも五条は自分を殺そうとした男の遺児である伏黒恵に未来への希望を見出し、強く聡い仲間を育てることに全振りする。そして、人生の終わりに「もう五条悟なんてどうでもよくない?」と真の諦観に達し、六眼・無下限を持つ最強という呪いから自分を解放することができたのだと思っています。だから、死後には非術師鏖殺の闇落ち街道を突き進んで自分に介錯されることを望んだ盟友と、心置きなく笑いあえたのかと。
五条と夏油の失敗した友情は、姉のささやかな幸福を守るために術師として生きる伏黒と彼がエゴで命を助けた虎杖に受け継がれて花開いたのだと思います。虎杖は百折不撓の精神で五条とは異なる強さ、あらゆる人の命が尊いという信念の下にどこまでも共に生き戦うという強さを開花させたことで伏黒を救う。「手癖で作った料理を食べて」というささやかな生活への伏黒の眼差しがとてつもなく美しく、愛しい。
人に上下をつけず、慈しみ、どこまでも共に在ること。それが『呪術廻戦』世界が提示する救済なのだと確信します。
回収されない伏線は山のようにありますが、この結論に達することができて良かった。本当に読んで良かったです。 -
ブラッドベリとポーの一族2023年4月17日ブラッドベリならではの哀切でリリックな短編を、感性がピタリと合う萩尾氏が漫画化したと聞いて、発売当時すぐ買いました。空気感、可視化された孤独。感動しました。
どれくらい感性ピッタリかというと、この作品集にはなく萩尾氏が手掛けたこともない長編『何かが道をやって来る』の主人公たち。ジム・ナイトシェイドとウィル・ハロウェイがエドガーとアランみたいなんですね。どちらが真似したとかいう話ではなく、少年小説のダブル主人公の一つのプロトタイプなんです。同型のプロトタイプをえらぶくらい、それくらい感性が近いのです。
こんな風に、読みながらいろいろな思いがこみ上げてくる短編集です。もっとみる▼ -
永遠の少年たちネタバレ2023年4月17日このレビューはネタバレを含みます▼ 終わってしまったはずの『ポーの一族』、エドガーとアランにまた会えると大喜びで購入しました。40年の年月を経て絵柄は変わり、リアリズムが透明な叙情性にとって変わりはしましたが、とにかく嬉しかったです。
名作『小鳥の巣』が始まる前のお話。アランは安定の我がまま、焼きもち、お子ちゃま全開。でも優しい子だし、エドガーが一人でヴァンパイアの闇の部分を背負っていることを気に病んでいるのですね。エドガーもアランがダークなものに触れないように守っている。多分、アランが永遠のお子ちゃまだからエドガーも永遠の少年の時間を享受できるのだなと、一段と思いました。
2人でずっと幸せにしていて欲しいです。 -
因果が巡るエジプト神話ネタバレ2023年4月16日このレビューはネタバレを含みます▼ エジプト神話は漠然と知識がありましたが、この作品でエゲツないまでの世界だったのだと驚愕です。このお話に絞っての感想は主人公受けが悪逆非道な脳筋男神ってのが新鮮でした。彼の非道な行いが裁判により糾弾され半神に堕とされて、自分の罪業を身をもって知るという因果の過程が、『呪術廻戦』好きな自分にはBLを超えたおオモシロさです。彼自身も兄からの性暴力の被害者であったけれども、その後の運命の分岐点で悉く間違った、残忍な選択をしてきたのだから身からでた錆だなと思ってます。
ただ、2部中盤から総受け守護フィルターがかかって来て、これが過ぎると自分は飽きるだろうなとも思います。 -
漫画の中に神を見たネタバレ2023年4月14日このレビューはネタバレを含みます▼ しんしんと降り積もる雪の中を歩いていく孤独な少年を上から俯瞰したような構図。そのとてつもないリアリティと詩情に第1ページから大傑作だと決めて読み始め、期待以上の完成度を味わい尽くすことができた作品です。スリリングな謎解き、ヘッセ的な少年たちの友情と愛。そして最後に辿り着く許されていること、幸福であること、生きつづけることの全的肯定。漫画のなかに神を感じた稀有なエンディングでした。「僕は幸せになるために生まれてきたんだ」という『鬼滅の刃』の傑作モノローグも『トーマの心臓』なしには生まれてこなかったと信じてます。
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私だけの宝石のような...ネタバレ2023年4月14日このレビューはネタバレを含みます▼ 霧深い森の樹木や土の匂い、恐ろしくも妖しい夜の気配、梢を渡る風、廊下を駆け巡る少年たちの騒がしさや心臓の鼓動、五感が捕らえる総ての感覚がコマの中に描きつくされいるのに圧倒されました。漫画読みじゃなかった私をマンガ狂いにした傑作シリーズ。永遠の時を生きるヴァンパイアと短い命を歴史の中でモミクチャにされる人間たち。どちらにも苦悩と悲しみがあり、並行して描かれることでそれが際立つ絶妙なストーリーテリング。詩的なモノローグも刺さります。いつも、大事な宝石箱をあけるようにページを開き、涙を結晶させていくような読後感。私だけの大切な大切な宝石みたいです。
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過ぎ去った愛しい日々ネタバレ2023年3月15日このレビューはネタバレを含みます▼ 野薔薇の強さ、棘のやさしさ、孤独なメカ丸(幸吉)の三輪への思い、伊知地の気苦労、ヒネクレキャラと思われた真衣の誠意、伏黒の脳内に居座る五条のプレッシャー。今は亡くなっていたり、消息不明だったりする生徒たち。彼らが青春してた日々に触れられる、もう戻らない日々を描く作品集。本誌が辛いので、時々ここに避難してきます。
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『呪術廻戦』のベストイントロネタバレ2023年3月14日このレビューはネタバレを含みます▼ 芥見下々という世界の荒廃を全身で感じてしまう作家がいます。彼の世界観を炸裂させた『呪術廻戦』の、分かり易い導入部がこの作品。芥見らしいホラーテイストで、虐められっ子がヒーローになる友情・努力・勝利のストーリーが語られていきます。
ただ注意深く読んでいくと、「愛ほど歪んだ呪いはない」という『呪術廻戦』全体を貫くモティーフが見え隠れして、五条と夏油を巡る悲劇は何だったのかという謎に引き込まれていくことでしょう。
まだ本編を読んでいない方には、ここから読み始めることをお勧めします。 -
癒されますネタバレ2023年3月13日このレビューはネタバレを含みます▼ つらい!本誌があまりにつらい今日この頃。もう、ワチャワチャした日常には戻れない。
だから、この作品集が尊い。時々読んで癒されています。いいね
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