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鳴かない雉さんのページ|漫画の感想・口コミも業界最大級!シーモアレビュー
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ERR_MNG
レビュー
今月(10月1日~10月31日)
レビュー数3件
いいねGET14件
シーモア島


投稿レビュー
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全人類に読んでほしい神作品!ネタバレ2025年10月7日このレビューはネタバレを含みます▼ 電子コミック大賞特集で知り、立ち読みしたら唯一無二の世界観に惹き込まれ、先が気になり即座に購入しました。
購入したのが夜中だったので1巻だけのつもりで読み始めたら、あまりの面白さに止まらなくなり、2巻まで読み終えたら予想の100倍素晴らしい作品すぎて、しばらく興奮して眠れませんでした。
灯台守が助けたカモメの雛が人化する(人化した姿がものすごく可愛い!)という設定だけでも面白くてワクワクするのに、そのカモメと暮らすうちに灯台守がどんどん若返っていき、成長したカモメの子ルネと若返った灯台守エヴァンが恋仲になるとか、吾妻先生が天才すぎて胸がキュンキュン苦しいです。
吾妻先生の優しいタッチの可愛らしく美しい画も、この物語のファンタジー世界にぴったりで魅力的です。
しっかりラブシーンも描かれているのに生々しさは皆無で、ルネの羽に包まれて眠るエヴァンの姿には宗教画的な神々しさまで感じます。
ルネがなぜエヴァンのところにやって来たのかは、エヴァンの過去が明らかになったら分かるんだろうなとぼんやり予想していたのですが、その前に2人の姿が消えてしまい、いつの間にか物語の時代がかなり進んでしまっているところで2巻を終えます。
どういう展開なのか予想だにつかず、2人はどこかへ行ってしまったのか、それとも灯台にいるけれども村人たちに見えない理由があるのか、もう気になって気になって読了後はずっと2人のことばかり考えています。
私はBL作品を読み始めてまだ10ヶ月程ですが、今まで自分には無縁だと思っていたBLの世界に足を踏み入れなければ、この作品とも出会っていなかった訳で、こんな素晴らしい作品を創り上げて下さる吾妻先生に感謝すると共に、つくづくBL漫画を読むようになった自分のことも褒めてあげたいです。
それくらい、出会えた良かったと心から思える素晴らしい作品なのです。
BL好きな方にはもちろん、BL初心者の方にも、いや全人類に胸を張ってオススメしたい神作品です! -
この作品と出会えたことに感謝!ネタバレ2025年10月6日このレビューはネタバレを含みます▼ 星5つでは足りません!
星10個ぐらい付けたい、それくらい胸を打たれる素晴らしい作品です。
舞台は海に囲まれた孤島。夜ごと現れる「黒い海」と闘うかんなぎ様と、かんなぎ様を慕い仕えるアルトの純愛の物語です。
驚くのは、これが作者様のデビュー作とのことで…!
先の読めないストーリーの面白さはもちろん、唯一無二の世界観とそれにマッチした美しい画、ユノイチカ先生の才能が爆発しています。
日中は平穏な海が、夜になると人を襲う「黒い海」に変わり、その正体はいったい何なのか、また、かんなぎ様がなぜそれと闘わなければならないのか、全てが謎のままストーリーは進みます。
ファンタジー要素とミステリー要素の合間に語られる、かんなぎエルヴァとアルトの美しい純愛に、胸がキュンキュンします。
島の秘密や黒い海の正体、またかんなぎの悲しい運命も徐々に明かされ、6巻ではアルトの出生の秘密をエルヴァも知ることとなり、物語は大きな山場に…。
このように、物語としても非常に卓越している作品ですが、私が特に魅力に感じている設定があります。
かんなぎ様は黒い海と闘っている弊害で、身体が成長せず、例えばエルヴァの場合、26歳なのに見た目は16,7歳にしか見えません。
つまり、かんなぎ様である限り、外見は永遠の少年なのです。
幼かったアルトが小さいなりに頑張ってエルヴァを守る姿も健気でしたが、いつの間にか見た目年齢が逆転して、逞しく成長したアルトが年上だけど少年の姿のままのエルヴァを守る姿は、心強くて美しくて尊いです。
6巻では辛い別れや大きな試練もありますが、2人のハッピーエンドを信じて次巻を楽しみに待ちたいと思います。
こんなに胸を打たれる素晴らしい作品と出会えたことに感謝します!いいね
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後ろ向きイケメンの恋ネタバレ2025年10月2日このレビューはネタバレを含みます▼ 大島かもめ先生の作品なので面白くないはずがない!という、期待通りの良作です。
主人公は日仏ハーフのイケメンながら、過去のトラウマにより自分に自信を持てない「心も身体も猫背」な新井ジョージ。
イケメン最強でイケメンが正義でもあるBL漫画界で、「イケメンであるがゆえの苦労」にことごとく晒されてきた主人公が、「イケメンゆえの生き辛さ」を抱えているところが、非常にオリジナリティのあるストーリーとなっています。
それと同時に、読者の共感を得るシーンも多々あり、例えば、
「自分の容姿を褒められた時に、どう答えるのが正解なのか…」
という場面では、(容姿のみならず)多少なりとも心当たりのある方は多いと思うので、そういった、大人が共感するシーンがところどころあるのも、この作品の醍醐味です。
特に大きな事件は起こらないし、ドラマティックな展開がある訳でもない、しかし小さな偶然とさりげない優しさに包まれている、日常の延長線上にある恋。
その恋に触れ、主人公が次第に前向きに進んでいく。
そんな穏やかな幸せを感じる物語です。 -
運命の分身と出会い救済される感動作!ネタバレ2025年9月29日このレビューはネタバレを含みます▼ 多重人格という難しい題材を、巧みにBLへと落とし込んだ感動作。
6つの人格を持った相手との恋愛の難しさ、忘れていた過去の記憶、解離性同一性障害の原因と治療、人格の統合、濃密なラブシーンと、盛り沢山な内容が2巻の中にギュっと凝縮されています。
6つの人格を持つ人物の描き分けはとても難しいと思うのですが、同じ顔でありながら表情や雰囲気がガラッと変わり別人に見えるところが、さすが先生の画力!
そして、難しいテーマながら、ラブシーンもしっかりページ数をさいて描かれているので、BLとしての満足度も高いです。
別人格同士で主人公を取り合ったり、別人格と◯◯した主人公を浮気者扱いしたりと、多重人格でしか描けない設定が新鮮味あります。
多重人格だと分かっても態度を変えることなく、全ての人格に優しく接する悠真が、一羽やレイ始め各人格の心を癒やしていくのですが、最後に主人格に悠真を譲って消えることを決断する◯◯が切ないです。
とはいえ、人格が統合された後も、主人格の中に時折り消えた人格の面影が垣間見えることがあり、それを感じた悠真がホッとするところも泣けます。
多重人格でなくとも人の心の中には様々な面があって、環境や場面によって自分の嫌な面が表に出てしまうことがありますよね。
そういう面を自分自身では否定しがちなのですが、悠真のように、そういうところも受け止めて愛してくれる人が身近にいれば、それが生きていくための大きな拠り所になるんじゃないかと、本作品を読んでしみじみ感じました。
ちなみに、タイトル「アダムの肋骨」は、『創世記』にある、神がアダムの妻であるイブをアダムの肋骨から作った逸話から…と思われます。
神は、アダムが孤独にならないようイブを作りました。
アダムとイブは違う人格でありながら元は1つであり、互いに助け合い依存しあって共に生きていく存在です。
一羽とレイも異なる人格として、あまりにも辛い子ども時代を互いに助け合って生きてきました。
人格が統合され表からは消え去っても、心の中で二人(もちろん他の人格も)は共存し、さらに悠真という「運命の分身」を得たことで、これからはきっと幸せな人生を送ってくれるのだと思います。
たくさんの方にぜひ、この爽快な読後感を味わっていただきたいです。 -
二人が出した答えはきっと正しいネタバレ2025年9月28日このレビューはネタバレを含みます▼ 吸血鬼物作品は数多あれど、みちのく先生が描くと「見たことのない」唯一無二の世界観になるのがすごいです。
次第に明かされる人間関係、最後まで予測のつかない緊張感ある展開と、先が気になり一気に読んでしまいました。
舞台は現代から始まり、1960年代、江戸時代と、様々な時代を背景に「昭彦×和重」「将門×師夏」らの生き様が描かれています。
登場人物が時代ごとに少しずつ髪型・服装・雰囲気が変化しているのも見どころで、和重・将門ともにどの時代の服装も似合っていて、どの時代にも通用するイケメンなのが、さすがみちのくアタミ先生の画力!(個人的には、将門様のコスプレ的麗しさが最高です)
個人的に、特に魅力に感じたところを挙げると
・吸血シーンがとにかく色っぽい!(もちろんラブシーンも!)
・登場人物みんな、お耽美系イケメン
・悲しいシーンもあるけれど大方ハッピーエンド
・「不老不死は果たして幸せなのか?」という哲学的な問いについても考えさせられる
ところです。
施設育ちで孤独に生きてきた昭彦と、幸せな家庭を築きながら吸血鬼になったことで孤独になってしまった和重。
孤独な二人が運命的に出会ったものの、和重は昭彦を自分と同じ境遇にさせたくないし、かといって昭彦の最期を看取る覚悟もできず、一度は昭彦を遠ざけようとします。
妻のみならず、老いて亡くなっていく娘まで看取らなければならなかった、永遠の命を持つ和重の深い喪失感を思えば、昭彦を拒絶する気持ちも納得できるんですよね。
しかし、昭彦の強い想いにより和重の気持ちも徐々に変わっていき、あるアクシデントを切っ掛けに和重は大きな決断をします。
宝石である「レッドベリル」には「一度決めた道をまっすぐ進む」という意味もあるそうで、和重が下した決断は今までの信念には反するかもしれないけれど、「信念より大切なものもある」というメッセージが、『レッドベリルにさよなら』というタイトルに込められているのではないかと感じました。
実際、和重の娘が今わの際で「お父さん 幸せでいて」と願ったように、その決断をした後の和重が(罪を抱えつつも)幸せそうであることが、決断が正しかったことを最も証明しているのではないかと思います。
最初は悪者に見えた将門が、和重が寂しくない人生を送れるよう気に掛けていたり、師夏を溺愛しているところも萌えポイントです。いいね
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面白さはもちろん和服姿の◯◯がたまらないネタバレ2025年9月22日このレビューはネタバレを含みます▼ ミステリーのような謎の多い設定、和服姿の美青年との時代を超えた恋と、面白さはもちろん美しいラブシーンも必見で、早く続きを読みたくなること間違いなしの作品です。
ストーリーは…
祖父を亡くしたばかりの月祥は、祖父の形見である懐中時計を開いたと同時に、見慣れぬ景色の場所へとばされる。
帯刀した侍から不審者と間違われ屋敷へと連れて行かれるが、若き当主壮之丞から唐突に「俺を…抱いてはくれぬか」と頼まれ、月祥は訳が分からないまま関係を持ってしまう。
現代へ戻る手立てもわからないまま壮之丞の屋敷で過ごすうちに、月祥が以前もタイムスリップしており1年もの間壮之丞の屋敷で暮らしていたこと、その時の記憶はなぜか壮之丞にしか残っていないこと、などが明らかになっていく。
そして、二人の心の距離が縮まったその瞬間、壮之丞の目の前で、月祥は意図せず現代へ引き戻されてしまう。
再び壮之丞の元へ戻るべく、月祥はタイムスリップした時と同じ場所で同じように行動するが、それが叶うことはなく…。
皮肉にも、戻れないショックに打ちのめされる月祥の脳裏に甦ったのは、以前タイムスリップした時の記憶だった。
このようなストーリーです。
「時間」というままならない障壁に引き裂かれる二人の、ドラマティックでロマンティックな恋模様がたまりません。
そして、みちのくアタミ先生ならではの、濃厚で艶めかしいエロシーンがたくさん愉しめます!
時代物は苦手という方も安心して下さい!
あくまでも主軸は二人の恋愛で、そこにミステリー要素というスパイスが散りばめられ、時代背景はそれらを彩る装飾的セットといった感じでしょうか。
みちのく先生が、当時の状況も言葉もわかりやすく嚙み砕いて表現されているので、まったく戸惑うことなく読み進めることができます。
そして、この時代を舞台にされた先生の画力が特に素晴らしいと思うのは、和服姿でのラブシーンがとにかく艶めかしくてたまらないのです。
胸元にすっと差し込まれる手、着物の裾をはだけ褌の隙間から潜り込む指先…ここから先はぜひ作品でご確認下さい(笑)
今年秋に2巻が発売予定ということで、今から待ち遠しくてなりません。いいね
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カラー・コレクション-PARADE-【電子限定描き下ろし付き】
感動と余韻でしばらく放心…傑作です!ネタバレ2025年9月18日このレビューはネタバレを含みます▼ 前作でカップルになった3組のその後が描かれており、ストーリーも作画ももう素晴らしいの一言です!
読み終えた後は、感動と余韻でしばらく放心しました…それくらい素晴らしい作品です!
オムニバス形式なのは前作と同じで、1巻完結ながら262ページのボリュームがあり、3組のカップルのどのエピソードもドラマティックでまるで映画を観ているようで、このお値段で読ませていただくことが申し訳ないくらいです。
前作では甘い「恋の始まり」が描かれているのに対し、本作では、様々な悩みや葛藤を経て恋が「揺るぎない愛」へと昇華していく過程が丁寧に、そして繊細に描かれています。
「彩輝×蒼大」は、仕事上でも関りを持ったことで気持ちがすれ違い、互いに大切に想っているのに関係がぎくしゃくしてしまいます。それを乗り越えようとする二人の絆の強さ、そして二人が出した「家族」という答え…もうそこまでの展開がハラハラドキドキほっこりの連続で、たまりません。
そして芹澤先生がすごいと思うのは、蒼汰の作品はもちろん、彼が住む部屋やアトリエ、食器に至るまで、まさに蒼汰という芸術家の感性がそのまま投影されていて、本当に蒼汰が実在しているんじゃないかと思うくらい説得力ある世界観なのです。
「利人×ミハイル」のすれ違いはかなり深刻で、読んでいて辛かったです。
特にミハイルが、年齢を重ねた自分では利人の創作意欲を搔き立てられないのでは…と悩むシーンは胸がヒリヒリしました。
だから、利人が「ミハイルの変化と一緒に俺の理想は常に更新されてるんだ」と伝えた時は感動で泣きそうに…。
「大地×大竹」は安定のラブラブぶりですが、さりげなく思いやりを持って互いにサポートしあう関係は本当に素敵です。
大竹先生がもうすぐ還暦というのにビックリ!
こんなにカッコいい還暦っていますか!?
そして前作と同様「名探偵てっちゃん」がいい味だしてます。
3組それぞれのエピソードも感動するし、登場人物全員が集まる最後のエピソードは多幸感に溢れていて、何度も読み返したくなります。
個人的に、いちばん心に響いたのは大竹先生のこの言葉。
「他者の理解を求めて今居るステージから降りようとするな」
BLとしての魅力ももちろんすごいのですが、ストーリーの面白さ、完成度、胸を打つ言葉の数々と、このような傑作に出会えたことがたまらなく嬉しいです。いいね
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遊びの関係の裏に秘められた真実ネタバレ2025年9月18日このレビューはネタバレを含みます▼ ただの遊びの関係のはずが…その裏に秘められた真実に胸打たれました。
芹澤先生が折り返しで「最後まで読んだら、また冒頭から読んで頂けると嬉しいです。きっと味が変わります」と仰っている通り、ページをめくるうち、建前の裏に隠された本音が浮かび上がってきて、結末は最初とまったく違う味わいになっている作品です。
憑依型の人気俳優大河と美容師慧は、出会ってすぐ遊びの関係に。
慧は今まで何度も恋人に裏切られた経験から人間不信になり、まともな恋愛ができなくなっていました。
一方、大河は憑依型俳優であるがゆえ、撮影が終わっても役が抜けきらないことに悩んでおり、「自分を取り戻すための縁」を求めていました。
そんな二人の関係は徐々にただの遊びとは呼べないくらいの熱を帯びるようになりますが、慧は「恋愛」に発展することで再び傷ついてしまうのではと恐れるあまり、俳優である大河が恋愛めいた「演技」をしているのではないかと疑心暗鬼になります。
しかし、大河が演技していたのは逆に割り切った関係の方であり、そこには秘められた慧への想いがあったのでした。
簡単に始まったように見えた二人の関係の裏に、実は大きな運命の出会いが隠されており、それが明らかになっていく中盤は大きな見どころです。
さらに、そこから一気に発展するかに見えて、二転三転していく二人の切ない関係性がたまりません。
大河は慧を過去のトラウマや挫折から救い、慧は大河が俳優となる切っ掛けを与え「自分を取り戻すための縁」にもなる…運命的な二人の絆を見届けた後は、また最初から読み返したくなること間違いなしです。
「ホワイトライアー」とは、直訳すれば「罪のない嘘をつく人」「優しい嘘つき」という感じでしょうか。
大河の「優しく綺麗な嘘」によって、慧は再び前を向くことができ、二人で共に人生を歩き出す…本作品の読了後に見えたのは、あまりにも美しい景色なのでした。
個人的には、最後の章「レッドカーペット」の二人のラブシーンと、大河のイケメンぶりが最高でした!
芹澤先生の作品は展開が早いものも多いですが、こちらの作品は二人の心理描写が丁寧に描かれているので、また違った先生の魅力を堪能することができます。 -
オムニバス形式で描き出す珠玉の恋愛群像劇ネタバレ2025年9月17日このレビューはネタバレを含みます▼ 私が初めて芹澤知先生と出会ったのがこちらの作品で、先生の芸術的画力、ドラマティックで卓越したストーリー、展開は大胆なほどアップテンポながら描写は繊細、といった数々の魅力の虜となり、それ以降様々な作品を作家様買いしています。
本作は、森丘美術大学を舞台に、オムニバス形式で描き出す珠玉の恋愛群像劇。
「彩輝×蒼大」「利人×ミハイル」「大地×大竹」3組の恋愛模様が描かれており、エピソード毎にストーリーの中心人物が変わりつつ、6人の横の繋がりも丁寧に描き出されているところが、1番の特徴であり魅力になっています。
カップルの関係性はもちろん、6人が織りなす人間模様も思いやりや敬愛に溢れていて、それぞれ悩みや心の傷が温かく癒されていく場面も見どころです。
特に、本作品の主人公的存在である彩輝と蒼大の関係性が、とても胸打たれます。
4年生で天才である蒼大はいわゆるスパダリ系人物ですが、2年後輩にあたる彩輝は蒼大の隣を並んで歩きたいからと、蒼大に相応しい自分になるため努力します。
そして、蒼大もそんな彩輝を応援し、彩輝の才能と選択に敬意を払うんです。
2人は、先輩後輩とか天才とか、そういう既成概念に囚われない自由で対等な関係であり、人としても互いの才能に対しても惚れあっているのが、とても尊いです。
作品中でも「芸術家って結局才能に惹きつけられる生き物だからね」という言葉があるのですが、芸大では「相手の才能にも惚れる」的な、こういうロマンティックな恋愛もあるんだろうなあと思うと羨ましささえ感じます。
他の2組も同様に、立場や年齢に関わらず対等な関係で愛を育んでおり、一冊で純愛、エロス、大人のロマンスと、いくつもの恋愛を楽しめます。
そして、クライマックスとなる森美祭で、6人がそれぞれの想いを実らせる場面はまさに大団で、感動も3倍です。
どの登場人物もタイプの異なるイケメン(1人は可愛い系)で魅力的ですが、個人的には大竹先生のイケオジぶりとダビデさんの肉体美に骨抜きにされてしまいました。
ダビデさんの肉体美は必見もので、芹澤先生の画力を思う存分堪能できます。
芸術にうとい私には、美大独特の雰囲気や、登場人物が創り上げる作品もキラキラ眩しく映って、とても楽しめました。
エロ部分では、純情可憐な彩輝が意外に積極的でものすごーく萌えました(笑) -
強く強く続編希望です!ネタバレ2025年9月14日このレビューはネタバレを含みます▼ 壮大な歴史スペクタクルロマンを、事もなげにサラッと一冊にまとめてしまう…芹澤先生の才能と筆力をあらためて実感できる作品です。
邪馬台国を舞台とした歴史ロマンと、幼馴染みとの美しい恋模様が描かれていて、とにかく面白くて一気読みしました。
旧版を、出版社を変え加筆して新装版として出版されたとのことで、描き下ろし・人物設定資料など特典が豪華です。
舞台は邪馬台国、主人公はヤマト。
少年時代のヤマトは初恋の相手シキを喪い、シキへの想いを断ち切れないまま成長した。
そして、偶然にも死んだはずのシキと再会する。
だが、シキの態度はよそよそしい。
実は、卑弥呼の代替わりにともない、シキは次代卑弥呼を受け継いでいたのであった…
という、ストーリーです。
卑弥呼は1人ではなく相伝で、継承者が男のこともあった…という設定がまず新鮮で面白いです。
歴史上の人物をBL漫画に落とし込むことは非常に難易度が高く、さらに弥生時代まで遡ると時代考証だけでも大変で、巻末の参考図書が15文献にもわたっているところに、この作品に対する芹澤知先生の並々ならぬ情熱を感じます。
装束や卜占、居室の楼観の描写なども時代に忠実で、先生の美しい画力で描かれる古代日本の雰囲気は必見です。
そして、ヤマトとシキの恋模様がこれまた美しい。
初めて結ばれる場面はとにかく美しくて、歴史物としても面白いですがBLとしても満足感高いです。
ただ、あまりにも壮大な物語でとにかく面白いので、1巻完結にしてしまうのはもったいないなあと思ってしまうのも正直な感想で…。
なので、強く強く続編希望です!
壮大なスケールと非常に面白い設定、くわえてキャラも本当に魅力的なので、ヤマトとシキの今後もぜひ読みたいです。
あとがきで、先生も「再スタート」という言葉を使われているので、続編がいつになろうとも楽しみに待ちたいと思います。いいね
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一度読めば絶対に読み返したくなる神作品!ネタバレ2025年9月11日このレビューはネタバレを含みます▼ たくさん張り巡らされた伏線を一度ならず二度三度と回収していくスタイルの、一度読めば絶対に再び読み返したくなる神作品!
探偵の黒瀬と、ホテルコンシェルジュでありながら黒瀬の助手を務めている「りっちゃん」こと白石律を中心に、予測不可能なストーリーが展開されていきます。
この「りっちゃん」がとてもミステリアスかつ魅力的な人物で、容姿端麗で客の要望とあらば「絶対に拒まない男」超有能コンシェルジュなのです。
その彼がなぜ探偵助手をしているのか、なぜ簡単に黒瀬に靡いたのか、その謎はけっこう早いうちに明らかになります。
しかーし、それで終わりとならないのが、三月えみ先生のストーリーテラーぶりで。
そこから更にどんでん返しがあり、読み終えたら最初からもう一度読み返したくなること間違いなし!
黒瀬とりっちゃんが互いに「表の顔」を剥がし本音でぶつかり合い、互いに救済し合う場面は感動しっぱなしで涙なしでは読めません。
りっちゃんにとって黒瀬は人生をリスタートさせてくれた救世主であり、黒瀬にとってもりっちゃんは大きな救いの存在で、二人の運命的な結び付きが最高潮に尊いです。
更に、この作品では根っからの悪人がおらず、りっちゃんの父親がああなってしまったことの理由もちゃんと説明があるし、情に流されないことが信条だったあの人も結局は情に流されているしで、読後の心地良さが最高です。
二転三転する予測不可能な面白さ、優しさと思いやりに包まれたストーリー、黒瀬とりっちゃんの濃厚なラブシーンと、見どころがたくさんある、まさに神作品!
購入を迷っている方には自信を持ってオススメできます。
追記※『金色のいつか』
待ちに待っていた続編!
りっちゃんと黒瀬も登場しますが、主人公はりっちゃんの同級生山吹富。
冒頭からショッキングな場面が連続します。
富に群がる卑劣な男たちにも、それを拒みきれない富にも苛立つ最低な状況で。
富がそうなってしまった原因は、またもやあの人でした…
しかーし、これで終わらないのが、さすが三月先生。
1巻の最後で「ええ!?」と驚く展開が!
今後富が、ダイナミックに救済されていくサインをビシバシ感じます。
前半は辛い場面が多いですが、今後大きなカタルシスがきっとあるはずなので、途中で躊躇された方には「そこでやめるのはもったいない!」と声を大にして言いたいです! -
運命よりも強い絆ネタバレ2025年9月9日このレビューはネタバレを含みます▼ オメガバース物はあまり読まないのですが、作家様買いです。
『プリフェクトの箱庭』で、純愛とエロのバランスが絶妙な左藤先生の世界観にハマり、この作品もそんな左藤先生の魅力をたっぷり堪能できます。
『甘美な嘆きの詩』というタイトル通り、恋人を「運命の番」に奪われて以降ただ嘆き悲しむことしかできなかった旭が、元恋人と瓜二つの煌臣と出会いロマンチックな恋を育むことで「大事なのは運命じゃなくて自分の気持ち」ということに気付かされ、前に進む勇気を得る物語です。
しかし、二人が運命より自分の気持ちを大切にすることで、新たに傷つく者も現れる訳で…
単純なハッピーエンドではなく、様々な人物の視点や感情を複雑に絡めているのが、さすが左藤先生という感じで読み応えあります。
個人的にSF的なオメガバースがあまり得意ではないのですが、発情の場面は最低限ですし、オメガバースの原理について論理的な説明の場面を多く挿入しているので非現実感がかなり薄れており、あまり違和感なく読み進めることができました。
本作品で傷つく側となった人物を主人公にした続編があるので、次はそちらを読もうと思っています。
単なる当て馬でなく、その人物を続編で(おそらく)救済するところも左藤先生らしい粋な優しさで、そういうところも左藤先生の作品が好きな理由の一つです。 -
私はこれでBL漫画にハマりましたネタバレ2025年9月8日このレビューはネタバレを含みます▼ 映画化もされている、まさにBL漫画界の至宝。
ヤクザという裏社会を骨太に描きながら、同時に矢代の内面と、矢代と百目鬼の不器用で純粋な愛情を、痛々しいほど繊細に写し出している作品です。
当作品の魅力は語り尽くせないほどあります。
この作品には余白の部分が多く、具体的に言えば、「言葉の省略」「セリフの省略」が非常に多いです。
それは言葉のみならず、場面割りにおいても、必要でないものはいっさい描かれていません。
そうであるからこそ、読者は1つの言葉も1つの場面も見逃すことなく、時間を掛けてじっくりと読み進めることが必要となり、また読み返していく度に新たな発見がある、それこそがこの作品の最大の醍醐味となっています。
矢代を始めとする登場人物の表情や、数々の場面から、その裏に隠された感情に思いを馳せ、その余韻にひたる。
全てを絵やセリフで表せてしまう漫画でありながら、読者の想像を喚起する、そういう贅沢が許される作品であることが、この上なく尊いです。
そして、もちろんストーリーの面白さ、キャラの魅力なども素晴らしく、登場人物同士の絆の深さや因縁などが後に明かされるパターンも多いので、伏線になっていた場面が回収された時の説得力と満足度がすごいです。
現時点では9巻まで刊行されており、(おそらく終盤となる)山場も近くありそうですが、早く次巻を読みたいという気持ちと、永遠に『囀る』の世界が終わらないで欲しいという気持ちが、せめぎ合っています。
読んだ後はしばらく囀るのとしか考えられない…それほどハマってしまう作品です。 -
SとМの美学ネタバレ2025年9月8日このレビューはネタバレを含みます▼ こちらの作品は「SとM」の物語ですが、安心してください! 痛いプレイはほとんどありません!
痛い描写が苦手な私でも、楽しく読むことができました。(しかし、プレイ自体はかなーり、ものすごーく、非常に、とても濃厚です!)
そもそも「カリギュラ」とは、残忍な性的倒錯者であったというローマ帝国の第三代皇帝。
しかし、現代ではカリギュラそのものより、「カリギュラ効果」の方が有名ですね。
カリギュラ効果とは
「禁止されると、いっそうやりたくなる」こと。
つまり
「ダメだと思えば思うほど、そのダメなことに心奪われる」ことです。
成瀬先生と堂山清高が学校で繰り広げるプレイの数々も、まさにそれで。
『こんなところで教師である俺が』
『こんなことしてはいけないと分かってるのに……』
『分かってるのに』
『なのにーー…!』
と、教師の立場とMとしての欲求との間で悶える成瀬先生の姿が健気です。
そして、そんな成瀬先生を大人びた美貌と手慣れたプレイで翻弄する、とても高校生とは思えない堂山。
高校生の頃から大人っぽいので、大学生になってもほぼ見た目は変わりません(笑)
彼の「ご主人様スタイル」が、これまたカッコいいんです。
そして、堂山一族の「Sの遺伝子」にも驚愕します(笑)
本作を読むまでSとMにはあまり詳しくなかった私ですが、
一見MがSに従属しているようで、実はSの方がMに献身的に尽くしていること、肉体的な痛みが苦手なMもいること、信頼関係がなければ、SとMのプレイは成立しないこと、必ずしもS=攻めではないこと
などなど、本作品のおかげで大変勉強になりました。(みちのくアタミ先生に心より感謝)
堂山が成瀬先生を心から大切に想い、全力で彼を守ろうとする姿に、「Sの矜持」と言いますか、「SとMの美学」を感じるのです。
現在3巻まで刊行されており、今夏から第4シーズンの連載開始とのことで、4巻の出版が今から楽しみです。 -
全てにおいて規格外のすごい作品!ネタバレ2025年9月7日このレビューはネタバレを含みます▼ BL漫画というジャンルではカバーしきれない、もうどれくらいスケールが大きいのか計り知れない、超大質量ブラックホール並みのポテンシャルを秘めた、ヒメミコ先生が描く『モンスターアンドゴースト』
すごい作品に出会ってしまいました。
『モンスターアンドゴースト』というタイトル通り、主人公は、モンスターのごとく周囲から恐れられている高校1年生の戸純椿。
この主人公がとにかくすごいんです。
空〇承太郎?それともケ〇シロウ!?いや、それ以上!?といわんばかりの筋骨隆々ド迫力の肉体に、男の色気に溢れた美しいお顔と、もう存在自体が規格外で唯一無二。
そして、その椿くんに憑りついたのが、超絶美少年ゴーストの勇樹兜。
美しいお顔と猛獣使い的な人懐っこさで、椿くんを飼いならしていくところが尊いです。
カブトくんは魂だけの存在なので二人は直接触れ合えませんが、心を通わせながら二人の距離もどんどん近くなっていきます。
その二人のビジュアルが最強に美麗すぎて、ラブシーンはほぼないのに満足度がすごいです。
普段は険しい表情の椿くんですが、カブトくんにだけ優しい笑顔を見せ、これがまた色気たっぷりでたまりません。
椿くんと関わる同級生もイケメン揃いで、アンニュイな彩くん、闇系のイビツくんと、主人公二人とはまったく系統の違う完璧イケメンであるのも、ヒメミコ先生の圧倒的画力がなせる技。
このように画力も圧倒的ながら、ストーリーも斬新で予測のつかない面白さなんです。
モンスター&ゴーストの二人の関係だけでなく、それを取り巻く人々の想いと思惑と陰謀が複雑に絡み合いながら、物語は進んでいきます。
あくまでもストーリーの軸は椿くんとカブトくんの純愛でありながら、ファンタジー・ミステリー・ホラー・バイオレンスと様々な要素が含まれているのです。
まさに、BL漫画の枠を超えた一大エンターテインメント作品と言えましょう。
現在、単行本は3巻まで刊行されています。
私の場合、立ち読み数ページだけで今までにない衝撃を受け、即座に3巻まとめて購入してしまいました。
それくらい心を鷲掴みにされる作品なので、迷っている方には自信を持ってオススメします! -
取り戻した青春の先にあるものネタバレ2025年8月19日このレビューはネタバレを含みます▼ 高校時代に置いてきてしまった互いへの想いが、社会人となり再会したことで、再び走り出すーー
青春時代を共に過ごし、じゃれ合うようなキスを交わしながらも、恋には発展しなかった隼人と律。
隼人は高校卒業後に、律への想いが「恋」であったことを自覚しますが、その時には、もう律とは交流がなくなってしまっていました。
しかし、社会人となって取引相手として律と再会した隼人は、高校時代の続きをするべく一緒に「アオハル」しようと提案します。
初恋の相手と再会し、当時叶えられなかった想いを叶えようとするーー
一見よくありがちな王道BLのように思えますが、王道ばかりではない独自の魅力も溢れています。
その最大の魅力は、社会人でありながら、隼人も律も高校生の頃のようにピュアであることでしょうか。
大人になったからといって急速に二人の恋が発展することはなく、デートを重ねながらまるで本物の「アオハル」のように、キュンキュンとした甘い恋心をゆっくり育んでいきます。
そして、取り戻した青春の先で二人が得たものは、いったい何なのかーー
純粋でひたむきな二人の想いを全力で応援したくなる、心が洗われるような作品なので、大人の汚い世界に疲れたら、このピュアな世界に癒されること間違いありません! -
様々な愛の形を教えてくれる物語ネタバレ2025年8月19日このレビューはネタバレを含みます▼ 家族物のBL作品は「地雷」という方は、少なくないかもしれません。
私自身そのジャンルを何作品か読了しましたが、正直ちょっと無理かな…と思うものもありました。
しかし本作品は、血縁ではないものの家族として暮らしてきた叔父と甥が、恋愛へと進む過程を非常に丁寧に無理なく描いており、家族物BLに忌避感を持っている方でも受け入れやすい作品なのではないかと思います。
作者は波真田かもめ先生で、『スモークブルーの雨のち晴れ』が大好きなので購入してみたのですが、結果こちらの作品も大好きになりました。
主人公充(みつる)の血の繋がらない甥泉水(いずみ)は、大学入学と同時に家を出て、20歳になる頃突然戻ってきます。
義理とはいえ伯父に恋心を持ってしまった泉水が、充と離れていた2年の間に何を考え、どんな覚悟をして実家に戻ってきたのか。
そして、自分に向けられる泉水の気持ちに戸惑いながらも、真摯に泉水と向き合おうとする充の優しさ。
家族としての愛、そして恋人に向ける愛ーー同じ「愛」でありながらベクトルの異なるそれぞれの「愛」を、いかに二人が受け入れていくのか。
そういう過程が、説得力ある描写で丁寧に描かれているのです。
琴線に触れた場面はたくさんありますが、特に心に残っているのが次の言葉です。
「俺たちはあまりに深い哀しみと生を共にしてきたから性と交じりあって恋をすっとばして愛になってしまったんだ」
家族と恋人との境い目はあまりにも曖昧で、はっきりと区切りをつけられる訳ではないけれど、互いを思いやりながら共に歩もうとする二人を心から応援したくなります。
また、読了後は「たまゆら」のような一日一日一瞬一瞬を大切にしたくなる、そんな作品でもあるので、ご興味のある方にはぜひ読んでいただきたいです。 -
素晴らしい完成度で満足感が半端ないネタバレ2025年8月19日このレビューはネタバレを含みます▼ いやあ、この作品にはやられました。
あまりにも上手く行き過ぎる展開に、「こんな都合よく行く訳がない」「何か裏があるのでは」「姫宮くん、いったい何者!?」と、いろいろ裏を考えながら読み進めていったのですが……
予想をことごとく裏切られ(良い意味で)、斜め上の真相と結末にもう感服しかないという次第で。
ぜひとも、ネタバレどころか事前情報さえも目にすることなく、まっさらな状態で読んでいただきたい、そんな作品です。
何を言ってもネタバレになりそうなので、内容についてはこれ以上申し上げられませんが、完成度はまさに最高のSSクラス、そして過不足ない展開と華麗な結末がこれまた素晴らしいです。
木田さっつ先生の見事なストーリーテラーぶりが際立つ、そんな作品なので、迷っている方はぜひ読んでいただきたいです。 -
ピュアな男子高校生が紡ぐ文学的な恋ネタバレ2025年8月19日このレビューはネタバレを含みます▼ まるで良質な小説を読み終えたかのような余韻に浸れる、文学的表現に彩られた作品です。
高校1年生の主人公日向(ひなた)が、大好きな小説『雪の果て』を切っ掛けに知り合った同級生雪人(ゆきと)から、「疑似恋愛」してほしいと頼まれるところから物語は始まります。
高校生のピュアで不器用な恋心にキュンキュンすると同時に、あらゆる場面で「言葉の持つ力」について改めて考えさせられます。
「言葉」は時に鋭い刃となることもあれば、誰かにとって大きな救いになることもあるんですよね。
これまで、人から誤解されやすく自分の想いを言葉で伝えることを諦めてきた雪人が、中学時代のトラウマに悩む日向に寄り添おうと、自身に「今だけは退くな」と言い聞かせながら懸命に日向への言葉を紡ぐシーンには、心を打たれます。
その後、雪が舞う中、二人が心を通わせあう場面はとても幻想的で、ピュアな美しさに溢れています。
まだ未熟で不器用な二人ゆえ恋模様の進展は順調という訳にはいきませんが、二人の関係を決定づける「鍵」となるものが、これまたロマンティックな仕掛けとなっているんですよね。
そしてラストシーン、タイトルである『君に降る言の葉は』の意味が我々読者に提示される際には、大きなカタルシスを得ることができます。
物語の中で紡ぎ出される言葉も心理描写も情景描写もすべてが清らかで美しい、まさに心が洗われるような作品です。
本作品はBL漫画としては非常に控えめなラブシーンしかありませんが、それがまた、清らかで美しい作品世界とマッチしていて、いいんですよね。
しかし、できることならば、二人がラブラブしている後日談も拝読したいなあと…。
続編が出ることを心より願っています!いいね
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人間愛に溢れた優しい物語ネタバレ2025年8月13日このレビューはネタバレを含みます▼ 心が疲れた時ふと読み返したくなる、そんな優しさに溢れた素敵な作品です。
特に大きな事件やドラマティックな出来事は起こりませんが、吾妻と久慈の心の葛藤や、生きていくことの意味、周囲の温かい人間模様が、優しく柔らかいタッチで描かれます。
誰の日常でも起こりうる様々な問題の中で、時には生きづらさを感じながらも、前向きに進んでいく二人の姿と、その中で育まれていく大人の恋模様に安心感を覚えるーーそんな作品です。
言葉で表さなくとも感じ取れる愛情が描かれる一方で、相手に気持ちを伝えるためには言葉で表すことも重要ということが描かれている場面もあり、つい言葉を疎かにしがちな自分自身にハッとさせられます。
互いの生活を尊重しながらも自分たちにとって良い関係の在り方を模索していく、そんな大人の恋愛模様が味わえる素晴らしい作品なので、何度も読み返してしまいます。
追記※7巻感想
7巻では、二人の関係性がさらに上のフェーズへ。
その過程で、吾妻が甥の環に、久慈との関係を話す場面があるのですが、それに対する環の返事がとてもいいです。
二人が恋人同士であることに薄々気付いてきた環は、その事実を告げられた時どういう返答をすればいいのか、あらかじめLGBTQの冊子で予習していました。(ちなみに、冊子にあった模範解答は「話してくれてありがとう」だったようです)
咄嗟に出た返事は予習していた言葉とは異なっていましたが、吾妻は環の優しい言葉を聞いて「環に報告して良かった」と微笑みます。
その表情を見て、環が「知らない誰かが決めた用意された言葉じゃなくて(略)ふたりの思いを受けとめればいいんだ」と涙ぐむ場面は、波真田かもめ先生ならではの思いやりと優しさに溢れています。
また、仕事と家族、そして将来の夢。これらの間で、(久慈と再会する以前のように)精神的にいっぱいいっぱいになってしまう吾妻。
しかし、今の吾妻には「闇の向こうの光」のような存在である久慈がいます。そして、苦しく思っていることだけでなく、嬉しさも誰かと共有できる喜び。
7巻では、新たな登場人物がひたむきに夢に向かいながらも、守りたいもののためにその夢から一度遠ざかるエピソードも描かれます。
しかし、必ず春はやって来る。
7巻も安定の素晴らしさでした! -
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重厚なストーリー&耽美的ロマンス2025年8月13日もし迷っている方がいたら、自信を持ってオススメしたい!
近代日本の貴族社会を描く壮大なスペクタクルロマンで、上質な映画を鑑賞したかのような満足感と余韻を残してくれる素晴らしい作品です!
桂木の耽美的な麗しさ、そして久世の成長と共に変化していく二人の関係性も美麗そのもので、眼福です。
重厚でロマンティックなストーリーはもちろん、近代日本の時代背景や風俗が丁寧に描かれているところも素晴らしく、日高ショーコ先生が描く美しい世界観にどっぷり浸ることができます。
全8巻は長く感じるかもしれませんが、読了後は、8巻もこの世界に沼らせてくれた日高先生に感謝すること間違いありません!もっとみる▼いいね
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