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シーモア島


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堅固な警部を手玉にとった神父ネタバレ2025年9月29日このレビューはネタバレを含みます▼ 訳ありげな聖職者と有能な警部の事件BL 244頁 星☆4.0 「真夜中ドライバーズハイ」の平は都心を離れ乱平と暮らしている。眼光鋭い澤尾浩司(さわおこうじ)警部が再び登場。以外な展開が待っていた。
秋が深まる東京。汚職事件が行き詰まりをみせる中、捜査線上にうかんできた参考人の神父・アバ。銀髪碧眼、日本在住26年。52歳。取調室の聴取にも終始落ち着いて、かなりあやしい雰囲気。そんなアバは澤尾に犯人の情報提供の代わりに”ひと時の愛”を過ごす条件を出した。契約のキスで交渉は成立。だが澤尾は不感症持ちだった。
ドライバーズハイの澤尾は優秀な警察官。その彼をアバは翻弄していく。精悍な顔立ち、柔和な物腰に服の脱がし方まで大人の余裕が見える。この男、来日するまでの経歴が不明だ。身体の紋もんや意味あり気な視線に釘付けになる。なんなんだ、これも伏線か?物語の鍵を握る危険な微笑みの聖職者。
しかも澤尾の機能停止の体と抑圧した心を解放させる。緊張を解き、「人の温もりはいいものだね」と胸にほほをよせ、ゆっくり体温をあわせていくテクニックの上手さ。仕事出来堅物が気持ちよさに感じていく様が丁寧に描かれている。澤尾がトロけて赤面する堕ち具合に思わず拍手がでた。
汚職事件は政界まで広がり、アバを巻き込んだまま調書の量がふくらんでいく。事件に関与が認められたら起訴は免れない。教会の上でどんよりとした雲から小さな雪が降り始めた。クリスマスが目前に迫っている。
アバ・J・グレイはダークな雰囲気をまとったまま終了。魅惑的な眼差しで「楽しみは取っておいた方がいいだろう?」と言っている。作者さまの脳内で次の出待ちをしているかもしれない。 -
深夜ドライブで人生が変わった男ネタバレ2025年9月28日このレビューはネタバレを含みます▼ 厄介な客とタクシードライバーの逃避行BL 209頁 星☆4.0 しょっぱなからアクセルを踏み込んだ始まり。
東京渋谷、平日の夜、2月なのに外は強い雨が降っている。タクシー運転手・綱吉平(たいら)は乗り込んできた客に思わず振り返る。金髪、ピアス、薄いTシャツとパンツにスニーカーのそいつは「美瑛のカシワの木(北海道の観光名所)まで」と目的地を告げる。濡れたパンツについた危険な匂いが普通の客ではないことを知らせていた。
波乱のオープニング。青年誌風のタッチでスッキリとした男たち。それに丁寧な情景描写で視界良好。乱平(らんぺい)と名乗る若者は条件つきで目的地へ乗車することになる。乱平は若くて綺麗な顔立ち。普段は大人びてみえるが、エ○中の表情が素の幼さや、熱のこもった視線でなんともズルい。平凡なサラリーマンが手練れの誘惑に抗えるはずもなく、あっという間に陥落。気持ちいいのが激しい動きで伝わってくる。
ほどなく乱平を追いかけてくる怪しい男2人。逃避行に命の危険もプラスされ、事態はどんどん暗くなっていく。ひきかえ平と乱平の繋がりは深くなる。それはストックホルム症候群のような心理にも見える。しかし平の人目から離れる旅館を選び、根回しをするあたりは極限状況に似つかわしくない冷静さ。非凡な真のカッコよさが見える。とうとう犯罪の正体を携えて刑事・澤尾(さわお)が登場。役者が揃うと物語がチェンジアップしていく。
深夜ドラマで観たいシナリオ。数日間の逃避行で人生が変わった平。そのきっかけになった乱平。口先だけの男も多いが、平の言葉選びは秀逸。男の誠が愛になる。
余談だが、今年の初夏にフェリーで北海道へ。苫小牧港から広大な農地を抜けて真っ直ぐな道を走る。ハイになれる時間、また行きたくなった。 -
壁の手がたくした愛ネタバレ2025年9月26日このレビューはネタバレを含みます▼ 「壁の手 山田さん」の続編。83頁 星☆4.0 壁の手が「山田さとし」を連れてきた。運命と恋が繋がっていく。
研修先の寮で出会った壁の手と中土涼。彼は左手を壁から解放した。修理の終わった壁は無言だ。喪失感と失恋の傷みで切ない涼。そこへ義手をつけた「山田さとし」本体がやってくる。初めて会う二人。涼は山田がこの世にはいないと思っていた。
20年ぶりに再会できた左手のお礼に訪問した山田さとし。やんちゃな左手より大人の雰囲気で、現場仕事で鍛えた体は大きかった。ノンケの山田だが、涼を見ると”何か”に支配されて「自分じゃない感覚」を持つ。壁の手が残した恋のかけらを拾ったのか、それとも涼の笑顔や熱量に心がざわめいているのか。とても憎い演出。
山田に抱きつく涼もたまらなく可愛い。失った壁の手が戻ってきた感覚だろう。笑顔が伝える気持ち、声で表現できる幸せ。なにより全身で存在を確かめられる喜び。いなくなった左手が、山田さとし本体へ想いを託すようにして始まる恋とはロマンティック。幸せになれる読後感。
最後は二人が繰り広げる高純度のラブ!白抜きなし、修正無しの世界は集中力マックスでどっぷり浸れる。素晴らしい。ありがとうハラキ先生!
※読み放題でも、(内容だけなら)p〇xivでも読める。 -
おかしな壁の手と不思議な恋ネタバレ2025年9月25日このレビューはネタバレを含みます▼ 壁に突き出た左手と新社会人のラブコメBL 95頁 星☆4.0 前から「壁の手」の奇妙さに引っかかっていた作品。果たして手にラブができるのか。
中土涼(りょう)は研修のため寮暮らしを始めた新入社員。ところがその部屋の壁には左手が生えていた。不思議なことに涼以外には見えず、写真にも写らない。最初こそ気味悪がっていたが、「山田さとし、26歳、おとめ座」と指談で会話ができると、人間味が増して共同生活は日常に変化していく。
この物語の面白さは、左手と”明るいおしゃべり”で同居が始まること。20年前に建物に取り残された事情を語るが悲壮感はない。それどころか朝は起こすし、毎日の会話で楽しくなっていく。涼はお酒を飲むと、変なテンションになってしまうが憎めない若者。なれない社会人生活、目まぐるしい日々、しかし疲れて帰っても部屋では大きな左手が待ってくれている。
なんとも不思議な展開をみせる物語。ふと、顔も声もない相手に惹かれるのかと疑問がよぎる。けれども見た目だけが好きになる要素だろうか。握手やハグで手が言葉にならない感情を伝える、そのぬくもりは誰もが知っている。じゃぁトキメキがどこから来るのか。
ホラーではない、妖しい壁の手と日常をすごしたハートフルコメディ。20年の時を経て左手はようやく壁から出る。恋をするために。
※読み放題なら自由に読める。ちなみに内容だけならpix〇vでも---そして「大好き 山田さん」へと続いていく。 -
囚われのセンチネルを導くガイドネタバレ2025年9月22日このレビューはネタバレを含みます▼ センチネルバースの入門書 198頁 星☆3.9 はぐれたセンチネルとガイドの逃避行。
物語は幼馴染の二人が再会し、覚醒した能力と向き合いながら生きる道を模索していく展開になっている。
人口の数%の『センチネル』は五感もしくは一部が通常より発達した能力者。その情報量が膨大なため、制御したり回復のケアが必要になる。それを担えるのが『ガイド』で、やはり数が少ない。共感能力と読心でセンチネルの生命線だ。
新しいと思っていたセンチネルの世界。発展途上なのかそれとも既に成長が進んでいるのか。作者さまによる設定があって面白い。
槇賜郎(しろう)ことシロはセンチネルでありながら能力に苦しんでいる。家出からヤバめの金稼ぎで生きる日々。心の安寧がない未来に疲れていたのかもしれない。そんなときに幼馴染の康代(こうだい)が現れた。普通の高校生をしている真っ直ぐな康代。しかも目の前でガイドに覚醒したことで、肉体の苦しみをケアしてくれるという。シロの虚無の心に灯がともり始める。
康代がめちゃいい奴で、大事な人を真剣に守りにくる。シロのケアをする度に流れ込んでくる「一緒にいたい」気持ち。センチネルが依存するのは肉体の苦痛だけじゃないのも伝わる。ガイドの力量は強靭な精神力がないと始まらない。そういえば、康代は覚醒した不安もシロの仲間にもひるんでいなかった。ガイドというよりナイトみたいだ。特別な能力を搾取するのは裏か表か。どちらにしても強い絆がふたりの希望となるのは間違いない。
逃避行で追い込まれた二人。康代がシロを守るための誓いがラストでなんとも憎い。センチネルバースを分かりやすい表現で見せてくれる入門の1冊。 -
金のセンチネルと導きのつがいネタバレ2025年9月22日このレビューはネタバレを含みます▼ センチネルバースの進化 272頁 星☆4.5 大本命。1話の表紙が印象的で即買い。驚くほどの要素が濃縮されてガツガツと読む。最後の裏表紙で、ムンクになった。盛りこぼれたネタや掘り下げ不足のエピソードに、頁がまったく全然足りなさすぎる(涙泣)
人口の数%の『センチネル』と『ガイド』が主軸のストーリー。元刑事でセンチネルの吉桐(よしきり)は探偵事務所を経営している。『センチネル』は超人的な五感を持つ。しかし膨大な情報に疲弊しやすく、能力を使う時は無防備。通常はシールドで精神を防御しているが、能力の使い過ぎでゾーンと呼ばれる精神錯乱や生命危機に陥る。この使いすぎた能力を回復・癒す特異体質の『ガイド』はセンチネルの命綱だ。吉桐と同居をしている渡里(わたり)は幼い時にガイドに覚醒した。ガイドのケアは軽いタッチから粘膜接触まであり、近くなるほど効果が強くなる。センチネルの活躍の影になるガイドに渡里は屈辱的な感情がぬぐえなかった。
吉桐は金髪の美形。覚醒後のスピリットアニマルは獅子と鮫のキメラ。そのために相性の良いガイドは希少価値になる。吉桐は渡里に好意をよせる。だが渡里は施設での生活、不特定多数と接触するケアの息苦しさから吉桐の気持ちを無視し続ける。この展開の上に犯罪がらみの調査や連続殺人が起きていく。特に連続殺人犯を追い詰めていくネット攻防はハリウッド映画なみの展開だ。専門用語が並んでもスピード感と緊張感が伝わってくる。ここだけで単行本を作れる勢いがある。ハッカー集団「八咫烏(ヤタガラス)」の活躍が数ページの内容ってのがなんとも口惜しい。
一番の見どころは6/7話で、キメラの想いが暴走して大爆発する。都会の見事なシーンはタイトルや広告に使ってもいい出来映え。作画だけでなくストーリーも盛り上がって最高潮に達している。固唾をのんでハラハラしてほしい。
毎回レヴューは苦しむけれど、ポケラ先生の技量が高次元すぎて唸りながら書く結果に。センチネルは犯罪に巻き込まれる内容が多め。ストーリー重視の方に特におススメ。展開重視はラブが減っちゃうとの、お嘆きは今作にはご無用。腐人のハートに刺さるおもてなしが用意されている。文句なしの良作。 -
脱皮したヘビの鷹への愛ネタバレ2025年9月21日このレビューはネタバレを含みます▼ センチネルバースの内面 213頁 星☆3.9 舞台は日本の政府特務機関。超感覚を持つ者と導く者の絆と活躍を描く物語
全人口の数%の『センチネル』は五感が超人的に発達した能力者。覚醒するとスピリットアニマルが魂の姿で現れる。天川憲史(けんし)は五感全てが覚醒した希少な最高ランク。鷹の眼差しで獲物を逃さない。その能力制御やメンタルケアをできるのが『ガイド』だ。センチネルもガイドも高い能力の代償は精神錯乱やゾーンアウトの命の危険と隣り合わせ。天川はどんなに疲弊しても回復のガイディングを拒んでいた。そこへ同級生の黒井がアメリカから戻ってくる。黒井は蛇のアニマルをもつガイドだった。
この作品はセンチネルバースの精神も丁寧に展開してくれている。10代で覚醒した天川が未熟さから黒井の魂のシールドを壊してしまう。精神の最後の砦を破壊されると再構築に時間がかかる。黒井は半年を要した。目覚めた黒井に待っていたのはガイドを拒否する天川。一度の失敗で能力差の烙印が黒井には残る。その辛さや口惜しさで深く傷ついたはずだ。それでも天川をガイドしたい黒井の本気度が枯れることはなかった。アメリカ行きは対等の力を得て、隣に立つ覚悟がみえる。そこに長い未来を見据えた、男の愛を感じる。諦めるのも愛なら死が目前でも離さない愛もある。蛇は知恵の象徴をもつ。賢く静かに天川へ巻き付いていく。脱皮して大きく成長した蛇は鷹とも対等になれるだろう。
最後に印をみて「カドゥケウス」を連想した。ギリシャ神話の医神がもつ杖なのだが翼と蛇が描かれている。魂の融合率の高さは歴史からも読み取れそうだ。ここはセンチネルバースの美しさ。共依存よりは互いの運命を背負う誓いのシンボルが刻まれていく。 -
孤独な超人と呪われた梟ネタバレ2025年9月20日このレビューはネタバレを含みます▼ センチネルバースの世界 上巻189頁 下巻189頁 星☆4.0興味深い世界観。海外ドラマのようなドラマティックな始まり
シカゴのスラム街で野良犬のように暮らしていたイツキ。全人類の0.05%の『センチネル』のイツキは第六感で「風」を操る能力が眠っていた。五感の能力を使いすぎると制御不能で暴走する身体。イツキは激しい頭痛と強い匂い、うるさく響く音、刺さるような光に悩まされ続けていた。
センチネルの能力を回復させるバランサー『ガイド』もその人口は少ない。ガイドの癒しは直接接触で行われる。もちろんセ/クスが回復度が高い。アルバは触れるだけでガイディングができる特殊なタイプ。触れた指先からの視覚効果で癒し度がわかりやすい。この物語は犯罪、戦争、兵器、国家機密にアクションと特殊能力が備わった運命の苦悩も盛り込まれている。
やん先生の筋肉イケオジの完成度は高い。アルバは眼鏡をかけたインテリ風だが、火傷を負う前は精悍な顔つきで二度おいしい。しかも火傷痕は呪いのようで、独特の色気になっている。スピリットアニマルのフクロウ?もアルバの雰囲気にぴたったり。静かで獰猛。賢くて冷徹。
対してイツキは日系、やせ細った孤独な野犬。最初こそ手をかけるが、体の苦痛から解放された後のアルバへの懐き方が切ない。「あんたじゃなきゃ駄目なんだよ」と伝えても他のガイドを試せと言われたり、距離を置かれたり。それでも、イツキはアルバ以外は欲しがらない。ただひたすら訓練にまい進しながら、専属ガイドは1人だけと決めている。一途な忠誠と献身。
2巻はアルバと炎のセンチネルの過去が展開される。狂犬のような奴で孤独なセンチネルだった。超人的な能力も戦場以外では脅威になる。アルバに心を寄せたが負傷して炎と共になくなってしまう。センチネルはガイドに依存しやすい。とかくセンチネルの特異体質が際立つが社会的にはガイドの方が優位だ。それに権力者はそのどちらも自由にはしない。
アルバは読書と植物を愛する男。ガイドになったことで静かな時間は少ない。だからこそ穏やかな時間を過ごしてほしい。イツキがその傍らで撫でてもらうのを待っている。もう寂しい野良はいない。 -
生贄までの5日間ネタバレ2025年9月17日このレビューはネタバレを含みます▼ 九尾狐と名士の青年絶倫BL 206頁 星☆4.0
名家の嫡子だった羅仙(らせん)は、伝説の嫁として捨てられる。羅仙の先祖は生贄を捧げて街を繁栄させていた。九尾狐は50年目のご馳走をお腹を空かして待っていた。
長髪の美丈夫、九尾狐の登場の美しいこと。作者さまの画力は確か。空飛ぶ馬車も優雅に中華の世界観が丁寧に描きこまれている。
羅仙は死を前にして逞しかった。なんと生贄の猶予を5日間もらえることになる。本来の賢さから九尾狐を丸め込み、一緒に都見物に出かけたり、名所めぐりをしたり。そうして心から可笑しくて笑った時、捨てられた孤独と思い出が涙に変わる。
九尾狐は四千歳の長寿。仲間は登場しない。長い時間を過ごす慰みはなんだろう。50年おきに訪れる人間は九尾狐に興味をもって会話をしただろうか。名前を尋ねた者はいなかったのか。彼が羅仙から呼び名をつけられた時の「嫌いではない」は眩しかった。名はありふれていて見過しがち。存在が個になる瞬間。九尾狐の表情も美しさ以上の魅力が増していく。
表紙帯の絶倫は、九尾狐が空腹から閨事(ねやごと)をしつこく始めてしまう。そこは、紛れもない絶倫ぶり。なのだが初対面時に羅仙は妖術で性に目覚める。そもそも生贄なら妖術は不要だ。九尾狐が求めていたのは空腹の渇きだけではなかったのかもしれない。
実力のある作者さま、他の作品もレヴューしてみたい。 -
磨きのかかった男たち-期間限定読み放題Pネタバレ2025年9月15日このレビューはネタバレを含みます▼ 壮年期の男性を見た目そのままに、恋の揺れを描いたオムニバス3篇 195頁 星☆4.2
表題作はリーマンと元警察官の追いかけっこラブ。斧原学(まなぶ)は恋愛のピーク時に逃避してしまう習性がやめられない。毎回手軽に始めて別れ話もせず連絡を絶ってしまう。実際今までの相手は深追いしてこなかった。ところが知野半治(はんじ)は「逃げられたら、なんか燃える」と意外な反応を示す。そんな大人の恋の駆け引き。学の入念な逃避を軽々こえて鋭い嗅覚で居場所を突き止める半治の狩猟と執着がすごく刺さった。しかも学を叱責しない冷静さ(お仕置きはするけど)には驚いた。ちょうどピッタリのピースなカップル。
2作目は、大阪と東京の遠距離恋愛物語。ずっと仲良しのふたりは、青年期を少し抜けた年ごろ。上京した巽准市(じゅんいち)と大阪にいる南乃雄太郎(ゆうたろう)。離れ離れになって1年。物理的距離の寂しさを我慢していた二人。お酒が入って、会えない時間と大阪の思い出が混ざっての告白タイム。どちらも勝気で本音が言い出せなかった初々しさ。大阪カップルは会話もテンポよくてマジでいい。
3作目は、野獣に乙女。上司と部下のリーマンラブ。本能丸出しの付き合いかと思えば、結構純愛系。18頁。おじさんが恥ずかしさで身悶えしている場面がリアルすぎて叫んだ。
キラキラ、ツルツルの美男子系も大好き。しかしオジサンには時間をかけた磨きがにじむもの。お米を磨く日本酒に例えてみる。表題作は本醸造の純米酒、お米に酵母がほどよくなじんでいる。スッキリにもできるし芳醇にも傾けられるので温冷どちらもOK。2作目は、生原酒、フレッシュで酵母の酸味があり、米とお水の良さが舌に伝わる。お酒の温度管理が一番難しい、冷酒がおすすめ。3作目は、古酒か大吟醸。古酒はまろやかさが段違い、色も楽しめる。大吟醸は雑味を排除した極み。どちらも玄人が好む分野。全部1冊にはいっている。おじさん達の恋をほどよく嗜んでほしい。 -
置き去りの恋と優しい男ネタバレ2025年9月11日このレビューはネタバレを含みます▼ 痴かんプレイを強要する大学生とお人好しリーマンBL 186頁星☆4.0
満員電車で通勤する真山善明は車内で女子高生から胸をさわる行為を強制される。次の日、話しかけてきたのは大学生のつかさだった。
表紙の暗い色使いで明るい展開は予想しにくい。真山をつかさは「おじさん」と呼ぶ(真山は29歳なんだけどね)証拠写真をタテにつかさはプレイを強要する。真山には思わぬ災難。本来のお人好しの性格や自己肯定感の低さも相まってズルズルと電車に乗り続けてしまう。ここには真山の優しさもあるが、実は”強く求められることで満たされる喜び”も垣間見えてくる。
物語は、つかさの”プレイの元凶”に及ぶ、中学時代の好きな先生からのリクエスト。背徳感と快楽のセットは彼の心にトラウマを残した。周囲の大人は時間が解決すると無関心。成長とともに抑えられない欲求はつかさを制服姿へ変えてしまう。後ろから忍び寄ってくる大人たち。匿名性が高いプレイで快楽を発散する大人は多い。その対象はいつだって弱者だ。つかさは自分の性癖を抱えたまま寂しさで電車に乗る。寂しいと言えばよかったのだろうか。つかさは10代の不安定な少年なのに。満員電車の閉塞感が重なってしまう。
ふと、つかさが後ろからのプレイを強要していないことに気付いた。真山と向き合い、見上げる表情に求めているものがにじみ出ている。微笑む瞳に可愛さあり。しかも書下ろしのつかさはメンタル強の発言だ。とても心強い。
欲望がもつ不快感を痴かんプレイで再現しながら、置き去りにされた恋を優しい男が拾う話で胸がなでおろせた作品。
※小指先生の作品レビューが楽しくて連投してしまった※ -
ナルシズムリーマンの息子事情ネタバレ2025年9月10日このレビューはネタバレを含みます▼ イケないリーマンと奔放な美容師の再生BL 196頁 星☆4.0
三十路半ばの雪平冬司(とうじ)は結婚してもセ/クスが上手くできない。そのうちAVでないと発散できなくなり、夫婦関係が冷えていく。ある日、実姉が経営している美容室に立ち寄ると、そこには見習いの南月練(れん)がいた。
序盤から冬司の重症具合にクラクラした。駐車場でAV鑑賞するわ、初対面の練に奉仕されて、誘惑と快楽の耐性がないのも驚きだった。冬司に限ったことではないが、周囲の意向を重視して自己決断を放棄したツケはかなり大きい。こいつは一度大きくすると手がつけられない。冬司のツケは妻の不倫まで拡大していく。
妻は不倫公認の結婚生活を提示してくる。なかなかの修羅場だが、現状把握ができている賢い女だ。社会は女性の不倫に非常に厳しい。冬司視点だとエリートサラリーマンが妻に裏切られる構造にみえるが、苦悩にひたるナルシズムが見え隠れしていて、どうにも気持ちがよくない。妻が家を出て行って、直ぐ連絡もしないし、探したりもしない。その上、妻のいない家に練を入れている。言葉と行動が裏腹で、なんともスッキリしない。作者がこのヌラヌラべたべたする読後感を狙っていたなら、見事にはまってしまった。
南月練は貞操観念以外にいろいろゆるくてトラブルが付いて回る問題児。それでも冬司がタイプなので一生懸命に愛情を向けている。愛を欲しがる子供のようにも見えて、哀しみと可愛さがある。
人生のツケは借金のように一括返済ができない。ツケの払い先は冬司自身だ。ちょっとずつ、自分を満たすだけで晴れやかな笑顔になれる。
作者さまは、泥へ足を取られたり、汚れたりする人物が上手い。そこがいいと思っている。 -
あこがれと恋の源流ネタバレ2025年9月9日このレビューはネタバレを含みます▼ 義兄弟の恋物語 コミックス 158頁 星☆4.0
初読み作家さま、表紙の好みでこちらへレヴュー。
親の再婚で義兄弟になった二人、母親の連れ子・恭弥と父親の連れ子・俊。11歳と7歳の出会い。とても仲の良い兄弟で家族は普通に過ごしていくはずだった。兄・恭弥は家族の自慢。容姿も勉強も音楽も欠点がないのが欠点と思われるぐらいの出来の良さ。比べて俊はすべてが凡庸。どこへいっても兄と比較されてしまう。
物語は弟・俊の視点で進んでいく。優秀な兄と普通な弟の兄弟喧嘩と見える出来事も”兄からの告白”が隠されている。10代の俊は困惑と葛藤で揺れている。しかも完璧だと信じていた兄からの好意に逃げ出したくもなる。まして誰にも相談できない。結局17歳の夏に兄が家を出る形で兄弟はこじれたまま。
作風は独特のタッチでほどよく抜けていて、余白に想像力が入りやすい。情景やズームアウトする引きの視点と映りこむ生活感が秀逸。兄・恭弥の表情は恋の切なさよりは苦悩に近い。だから短期留学の前の告白は唐突ではなく、心の隙間にこぼれ出た本音。これは「オルペウスの愛」と重ねた。オルペウスは妻を黄泉の国から連れ出し、あと一歩のところで一瞬の隙ができ、最愛の妻を永遠に失う結末になっている。
読了後に恋の源流は俊ではないかと感じた。冒頭、少年の俊は恭弥の声や瞳に魅せられている。憧れとも恋ともつかない感情を日々伝えられる恭弥。時と共に完璧な兄ではなく恭弥自身を受け入れて欲しくなったのが恋の始まりかもしれない。
最後にこじれた関係は3年の月日が必要となり決着へ向かう。詩の名手オルペウスは妻以外の女性を愛せなかったといわれている、一途というのがまたいい。 -
漫画ヲタクと恋のデッサンネタバレ2025年9月7日このレビューはネタバレを含みます▼ 芽が出ない漫画家と美術教室講師のラブコメディー 182頁 星☆4.0
29歳と半年の吉田光(ヒカル)は少年漫画の連載を夢見ているが次作が出せない。描く努力が認めてもらえないと、吐いた弱音を美術教室の足立先生は一蹴する。どうしようもなくあふれ出る涙にうずくまった時、先生の手は背中をさすってくれる。人生の底で拾った本音は「描かない方がもっと苦しい」だった
デッサン教室の先生は若くて誰にでも優しい美大出身のイケメン。ヒカルは先生がまぶしくて苦手だ。しかし女性誌からのオファーで恋愛漫画を描くことに。恋愛初心者のヒカルは先生に助けを求める。始まりは漫画を描く取材だった。
それなのに先生のスケッチや片想いの相手の話から好きがドンドン止められなくなっていく。
ヒカルは天然で図太くて、素直でちょっと卑屈。そんなヒカルが恋をする。糸目の地味顔で不様な自分は「先生に好きになってもらえない」と気づいた時の切なさ。それはザラリとした苦さとはじけるトキメキが一度にきて嬉しいような悲しい気持ち。恋の素描が形になって漫画は輝いていく。終盤に向かう連載と共に成長していくヒカルは今度は先生の力になりたいと思うようになる。
人生が下向きになった時どんな生き方をしたいだろう。そんなことを考えた。ラブだけでなくコメディーだけでもなくヒカルの本音で力がもらえる作品。 -
あふれる好きが面白いネタバレ2025年9月4日このレビューはネタバレを含みます▼ アニメ制作現場のお仕事BL。1巻76頁 2巻66頁(同人作品にてお高め、まだ完結していない。読みホの方へはおススメする)
「エビス映造所」で原画マンとして働く猪島晃は、制作進行の鹿野圭吾に真顔で告白をされている。挨拶のように”好きです”を混ぜ込む告白に猪島は冗談と本気の距離感で戸惑う。
作画はシンプルな線で読みやすい。制作会社の専門用語や業務の流れも詳しく、現場のリアル感が伝わる。会社のサブキャラ達は個性もたっていて掛け合いが軽妙。仕事も恋もハードな部分を重くせずいい感じなのだ。
猪島は相手の悩みや弱さに寄り添う優しさがある。描く仕事の苦しさを乗り越えた強さもある。見た目地味そうだがTシャツからのぞく筋肉は見逃せない。鹿野は丁寧な仕事で社内でも人気がある。細身だが現場を駆け回るから体力もありそうだ。猪島への好きを会話に差し込むセンスは抜群にいい。物語の着地点は不明だが、完結したら再レビューしたい!星☆は期待値4.0
(巻頭の告白シーンで間違い探しをしている。鹿野の髪型とか服とか。猪島の微妙な角度も) -
黒き獣と夜の花【シーモア限定描き下ろし付き】【コミックス版】
獣の影に白い花ネタバレ2025年9月3日このレビューはネタバレを含みます▼ 反社会組織と花屋の色模様。219頁 星☆4.0
組織の幹部へ台頭している志賀東は墓参りの花を買いに店に入る。古い花屋の若い店員・庵寺春樹(あんじはるき)は盲目だった。
今回は志賀東を深堀りしたい。彼の素性は先代の組長が連れてきた以外分からない。どんな子供時代を過ごし、成長したのかは伺い知れないが、鍛えた体と眼光が普通の生活ではなかったことを物語る。そんな志賀が春樹に惹かれいく。序盤、車のウィンドウに映った表情をつぶやくシーン。もう、なにか芽生えている。花屋の奥で、大事に整えられた仏壇。小さな日常と向き合う生活。彼が取りこぼしたモノを春樹は持っていた。素性のしれない客を明るく迎える春樹のやわらかさが毎週花屋へと向かわせる。また時折みせる獲物を狙い定めるような目つきは今までの彼の生き方。獲物を虜にする手腕はいくらでも持っている。なのに、春樹には手が出ない。その葛藤をセリフは少なく、タバコの煙、視線、しぐさで魅せていく作者の手腕は上手い。
春樹は両親や祖母を亡くし祖父も病床にある。やがてくる孤独。そこへ現れた傷のある男。表情は見えなくても、笑い声や匂い、皮膚から伝わる優しさに春樹の心が変化する。盲目の中をいつもひっそりと暮らしてきた春樹にとって、志賀と笑顔でいられるのは諦めたくない生き方なのだろう。
最後にタイトルを思い出す。夜の花は白や黄色が多い。夜に目立つためだが灯のようにも見える。志賀の灯りに春樹がなればいいなと思った作品。
蛇足で、未来予想図の花屋は舎弟(顔出しOK)の方々に囲まれて結構繁盛しそうな気がするのは楽観しすぎだろうか。 -
買いますネタバレ2025年8月31日このレビューはネタバレを含みます▼ 冴えない会社員・本田真太は風俗のキャッチに会い、VRのアバター「マコト」を手に入れる。外見にコンプレックスのある本田の思考から生み出されたマコトは秀才風でスポーツもできそうなイケメンだった。VR風俗は接触ゼロ、素性バレ無い、秘密の体験ができる学園コミニティ。
設定も面白そうと1話を試し読み。マコトは学園内でアキと出会って初体験をする。その「アキ」は職場の上司という展開。
本田の童貞陰キャの感じがリアルすぎてワクワクする。初見だとマコトに惹かれているのはアキと読んでいる。現実もそうなるのか、めっちゃ気になる。職場の上司は仕事ができるディレクターだけど、女性関係で困っているタイプにみえない。なぜ、VRの世界に入ってきたのかも訳アリな感じでいい。
この先、本田がイケメンに変身とは想像しにくいが、作者さまがどんな着地点を見せてくれるのか楽しみ。単行本になったら購入してレヴューしたい。
星⭐︎は期待で4.0 -
恋の虫、ふたたびネタバレ2025年8月30日このレビューはネタバレを含みます▼ 同級生リーマン再会BL。最高!言うこと無し!コミックス化を垂涎状態で待っている。
1話が無料期間。48頁(なかなかのボリューム♡)
主人公・天ケ瀬律は転職先の会社でかつての同級生・結城圭介と再会する。高校時代、パソコン部の窓際から眺めていた背番号6の野球部エース。会話さえできなかった憧れの存在が今や営業部エースとして活躍している。そんな同級生が天ケ瀬を食事に誘ってきた。
もう、天ケ瀬のモノローグが挙動不審でカワイイ!校舎から背番号を眺めて心浮き立つ様子は恋のど真ん中。ふたりっきりの食事で緊張して会話もチグハグ。結城に「俺、そこそこ魅力ある?」と探るような視線で聞かれて、バグって生ビール4杯飲んじゃうのもたまらなくいい。勢い余って、本人前に結城語りの熱いこと!(ああ、首筋がムズムズする~)
文川じみ先生の恋する男児は恥じらいと恋のパワーが満ちている。今回も腐の心が奇声をあげる予感。
ストーリーは天ケ瀬をタクシーにのせる場面で2話へ続いている。酔った天ケ瀬の腕を軽々と担ぎ、大きな手で支える結城。そして営業部エースの手腕か百戦錬磨の達人かの流れで次の約束まで取り付ける。
腐の心がつぶやく、「まずいぞ天ケ瀬、結城はタラシだ」 -
隻眼と伸びた髪の革命ネタバレ2025年8月30日このレビューはネタバレを含みます▼ シンバ王国再建物語。第二王子・ユリウスと美形騎士・フェルノの革命BL。牢獄から晴れ舞台に立つ王子の活躍と犠牲の上に立つ革命家の人生 246頁
物語は国王の庶子・ユリウスと見習い兵士のフェルノが地下牢で会い、国の制度と国民をも変えていく展開になっている。
ユリウス齢7歳から足掛け16年の再建までの道のり。最初のチャンスは15歳。暗い牢より光の下に立ったユリウスは権力だけに頼らず、じっくり時間をかけて制度を築き上げる冷静な策略家だった。ユリウスは地下で忍耐を学び、強さを蓄えていた。彼を支えていく美貌の騎士フェルノは家族を亡くし、生きる気力をない田舎者。地下牢で人生をかける人に気づいて、武力での強さを求めていく。
ユリウスの少年期から青年に成長する過程も良かった。特に戴冠式の場面は皇太子という言葉がピッタリの姿だ。しかもここでのフェルノとのやりとりが痺れる。相手の本音が鮮明に際立つ構成が素晴らしい。そしてフェルノは願掛けをしているのか、髪がドンドン伸びていく。長髪の美人が長剣で格闘する姿はベルばらのオスカルを彷彿とさせる。ラストは革命家の悲哀が潜んでいる。タイトルの「牢獄」がエンドロールに映し出されるような締めくくり。
蛇足で、二人のラブに白抜きが無いことに気が付いた。あれが無いと集中力が途切れない!ものすごい清々しい気分で読了。作者の画力と憎い演出に感服する作品。 -
知覧特攻平和会館レビュー2025年8月27日フォロー様のレビューから拝読しました。ご紹介ありがとうございます。
とても素敵な作家様と作品です!全45頁。
今回は3月に行った知覧特攻平和会館レビュー。鹿児島市内から車で約1時間の西の山間にあります。錦江湾から離れて山を抜けるように走りました。いまでこそ観光地になっていますが、80年前は村や集落が点在する静かな田舎だったでしょう。
25頁の隊員が酒を飲み交わしている場面は三角兵舎として平和会館の側に再現してあります。本来の兵舎は空爆を受けないように山林にありました。平和会館には「隼」や「疾風」のレプリカもありますが、海に沈んだ戦闘機を引き上げた展示もあります。無残といいつつ現役の迫力がありました。特攻隊の遺影コーナーは圧巻です。書簡はすべて直筆です。涙をこらえるのが大変でした。きっと大竹先生も訪問されたことでしょう。フィクションとはいいつつリアルな部分を強く感じました
最後は鹿児島のお菓子を紹介します。「あくまき(灰汁巻き)」です。もち米を灰汁につけて竹の皮でくるんで蒸すもしくは煮て作ります。わらび餅ほど繊細ではなく、おはぎほど原型をとどめていない茶色の郷土料理。きな粉か黒蜜などをかけて食べます。戦の保存食が始まりで歴史は古く、特攻隊員たちも一度は口にしたことでしょう。有名な知覧茶と合います。柴崎少尉と英伍長はどんな話でお菓子を食べたでしょう。平和という宝物を大事にしたいですね。もっとみる▼ -
音なきアニメの子犬王子ネタバレ2025年8月26日このレビューはネタバレを含みます▼ 韓国歴史ファンタジーBL。本棚の初入り韓国作品。1巻330頁・2巻290頁【1部完】全フルカラー。連載中で続巻あり。 頁数とカラーゆえにお高め 星☆4.0
壮麗な描写が漫画というよりはアニメを再生している感覚になる。
物語は、閻魔大王の三男・ジェシンの驕慢な態度に制裁が下される。罰として昼間は白い子犬となり、元にもどるためには”人間の真心を得る”課題がつけられた。魔界の王子が何故人間の心を得なければならないのか。非力な子犬のジェシンを拾ったのが、国の世子(王位継承者の王子)、イ・ノク。彼には妖の呪いがかけられ、夜毎悪夢にうなされていた。
最愛の母を失い世子は孤独を深めている。その上、呪いの根は深く呪詛の犯人を追う宮廷ドラマへ。日が沈めば、ジェシンは色気のある美男子。韓服姿や髻(モトドリ)もいいけれど、濡れ場で見せる上腕二頭筋三頭筋や腹直筋の威力がすごかった。世子は華奢な躰に涼やかな美しさを纏っている。ひ弱ではなく、父親に疎まれてもジェシンの揺さぶりにもブレない誇りがある。それでいて子犬と二人っきりになったときの呟きや笑顔には清らかさが溢れている。
朝日が昇ると無力な子犬になるジェシンは見上げる視線で何を感じるのだろうか。宮廷ドラマに気をとられてしまうが、そもそも課題を与えたのはジェシンの父だ。世子の父も誇り高く威厳を持って存在している。韓国の父親像が垣間見えた。
世子は子犬に”クムドン”と名を付けた。微笑みと慈しみの声で呼ばれるときに感じる気持ちにも名前はある。物語はまだまだこれからがヤマ場。波乱にみちたストーリーを楽しみたい -
次の乗車はネタバレ2025年8月24日このレビューはネタバレを含みます▼ ニャオスキー先生!ありがとうございます。そしてコミックス発売おめでとうございます!
お会いできるのを心待ちにしてました。もう、逸る気持ちを抑えるのが大変。早く読みたいのに読み終えるのが惜しかった。裏表紙まで見逃すまいと頁は丁寧にめくり、そして全152頁を読了。
一言でいうなら、感情と言葉を一致させるのが難しい一冊。伝えたい気持ちはどんどん膨らんで言葉がつまって渋滞してる。
ただ旅好きな自分には至高の一冊になった。作中で過去と未来に行けたのも楽しかった。
収録は4話と短編1話に書下ろし1話。今回も赤裸々な肉体表現は極小だった。
1話はマジ泣きした。いい作品(無料期間に当たったら是非おススメ)
2話は洋画テイスト。知恵の輪作品(色々ひねっていたら輪が外れた感覚)
3話は初老の男性2人が田舎へ最後の旅にやってくる作品
4話は桜が満開の夜にイケメン2人と電波にのって歌う友人の作品
どれも短くてすぐ読める。ただし、1話が2時間くらいの映画は観た気分。密度のある情報が詰め込まれているので何度も読み返している。幸せな時間だ。願わくば、是非「あとがき」までたどり着いてほしい。「torch」の始まりと由来が言葉のプレゼントとして待っている。
追伸:今から映画鑑賞の予定。リストは「恋はデジャ・〇」「ナイト・オン・△・プラネット」この出会いに心から感謝を! -
雲の夜空にとどいた願いネタバレ2025年8月22日このレビューはネタバレを含みます▼ 失恋大学生と訳あり社会人大学生の恋愛BL。206頁。星☆3.8
流星群が輝く日に、大学生の天野 蒼(あおい)は好きな先輩から「君とは付き合えない」と告げられる。傷心と失恋で酔っぱらった蒼が夜空へスマホを掲げ、3つもの願いを高速再生させた行動が、加賀美 恒(わたる)との出会いとなる。長身、長髪、髭をたくわえ、腹をよじって笑い飛ばしているその人は蒼に語りかける。「これもご縁だし、願いをかなえる手伝いをしようか」はたして蒼は失恋から立ち直れるのか。
この二人の掛け合いは動と静。若く元気な蒼は関西人。友人のシンジとつるんでいる。方言と関西のノリは悪目立ちするため封印中。明るくておしゃべりが好きでそれでいて相手の心に寄り添える良さは曇り気味。しかも恋愛初心者で甘いムードにビビッてしまう。加賀美は美術学科の大学生。学内には従弟や女友達もいて謎めいている。恋愛ヘタレの素顔をムードとタッチで包んでしまう上級者。次第に蒼は関西弁を解放をしていく。
今回なんといっても加賀美の色気に驚いた。微笑んでも、戸惑っても、少し不機嫌でも独特の雰囲気が漂っている。例えるなら雲が流れる静かな月夜。その彼が蒼を前にすると、ちょっかいを出したり先輩の電話で嫉妬したりと変化するのは見どころ。それに加賀美は社会人の気まぐれで大学へ来た訳ではなかった。その理由が美術学科の課題と同時並行で明らかになっていく。
作画はこれから磨きがかかっていく原石状態。蒼の願いを加賀美恒の恒星がかなえてくれる素敵な作品。 -
カードがしめす運命の人ネタバレ2025年8月20日このレビューはネタバレを含みます▼ 初読み作家さま、カードが導くオメガバースの世界。167頁 星☆3.8
新人漫画家の火坂 玲央は次作の執筆に苦戦していた。たまたま入ったファミレスで占いをしている秋風 律と出会う。都市伝説だと思っていた「魂の番」は突然現れた。今まで感じたことのない、腹の奥から全身に走る電気のような閃光を感じて秋風が運命の人と感じとってしまう。
やわらかそうなタッチの線に魅了されて購入。律はカードを切る手つきとか指先のフォルムが綺麗で繊細な容姿と相まってモテ度が見える。あと、服のセンスも独特だった。それが律を大人っぽくオシャレにみせる。
玲央はオメガで独立精神が旺盛。漫画を描いているときの充足感で生きている。ふと閃く漫画の構想を描きこむ眼差しの真剣さは凛々しくて魅力的。それでいて恋心からあふれる笑顔や赤面表情は幼さやウブさが混ざってギャップがすごくいい!
一方で律の背景に登場する祖母はオメガで、浮気性の祖父への愛を貫いた女。魂の番だから愛を貫いたのか、それとも未来をつくるために直感を信じ続けたのか。律が祖母を大切にしている優しさが心に沁みる。だからファミレスで占いを続けているのだろう。
テンポは軽やか、作風も丁寧で読みやすい。魂の番というドラマチックな設定よりは恋のロマンティックさが全体を包んでいる。オメガバース初心者におススメの作品。 -
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外はイチャイチャ、内は激甘なふたりネタバレ2025年8月19日このレビューはネタバレを含みます▼ 美容大学が舞台の一目ぼれ イチャエ〇ストーリー。219頁 星☆3.8
野良美容大学の加賀雄大は読モもできるイケメン。恋愛も軽いノリでこなせる器用なタイプ。そこへ姉妹校との芸祭のショーモデルの打診がやってくる。加賀はモデルより裏方がやりたい為に代役を捜すことに。加賀の美意識に響いたのは、人文科の遠児遠(とおじ とおる)彼は伸び放題の髪に荒れた肌、大きな体を猫背にしてうつ向いて暗い生徒だった。
ノンケの加賀は遠児の造形を一瞬で見抜く審美眼と自由な視点を持てる男前だった。遠児が告白してきたことで、芸祭までの期間限定で交際をする展開になる。ストーリーは加賀のヘアメイクへのこだわりや遠児の過去がありつつ、ゴリゴリのセッが差し込まれる
いや~、加賀の器用さはここでも発揮されるとは素晴らしい。遠児はパブリックではおとなしくみえるが、プライベートの豹変ぶりは必見。読み進めると加賀の彼氏力が外でも内でも破壊的でカッコイイ!!と胸がときめいてしまった。
ツーブロックのイケメンとクオーター美人のビジュアル◎ラブ絵露イチャ絵露が書下ろしまでぎっちり詰まった作品。 -
頭突きで始まる恋の火花ネタバレ2025年8月17日このレビューはネタバレを含みます▼ ヤンキー×おっとりホワホワ君の学園コメディ。9話で序盤、引きつけられていく。
早川上水高等学校、略して「ハジコー」は落ちこぼれが集まる不良学校。山本淳平はデカい体格を活かして喧嘩も度胸も規格外のヤンキー。1年F組は女子3人男子18人のクラス。淳平はガラの悪い同級生をねじ伏せてクラスを仕切ったが、そこに儚げで掴みどころのない狩野京介がいた。突如、淳平の下半身がときめいたことで始まるストーリー。
BLカテだが、現段階では青春群像劇にとどまっている。登場人物は多いがキャラ造形がしっかりしていてサクサク読める。ドタバタ要素多めだが淳平はただケンカが強い乱暴者ではない。リーダー資質もあり、女や弱い輩に拳は使わない。さりげない優しさと気配りもできるカッコいい奴。対する狩野は自分では何も決められない強い依存体質の気弱そうな少年。作中では幼馴染の安部奈々が極めて高い鉄壁セキュリティーを発動中。淳平とのタイマンに腹の座り具合が高校生じゃないと感嘆した
1話目から面白いと読み進めてキャラたちの背景や感情の機微に沼っている。淳平が狩野の天然アピールでヤりたいモードへ暴走するのが笑いのツボ。もともと淳平はノンケで元カノに捨てられても戸惑わなかった。しかし狩野には日々、もどかしさやためらいを抱えていて可愛い。狩野は一見、草食系の優しい少年に見える。でも十代らしい生気が感じられない、ここも闇深そうで怖い。これから淳平が友達として支えるのか、彼氏として助けるのかはまだ先の話になりそう。
ふと、タイトルロゴの違和感に視線が止まった。爽やかな青春BLに似つかわしくない雰囲気だ。どうやらソフトヤンキー漫画や学園コメディでは終わらない予感がする。 -
保守と革新の初恋物語ネタバレ2025年8月14日このレビューはネタバレを含みます▼ 義兄弟のストーリー。始まりの海中シーンが印象的で購入。 280頁。 初恋、オメガバース、リバ、魂の番の配合でできた作品。星☆4.0
主人公は少年期に同い年で義兄弟になった瀬名孝(兄)と勉(弟)だ。二人とも α(アルファ)で体格も才能も秀でているが、趣は違う。孝はソバカスの幼顔、対して勉は整った顔立ちのイケメンだ。孝は堅実なサラリーマン、勉はミュージシャンで自由人と対照的。孝はオメガを幸せにすることがアルファの価値だと信じている。勉は既存の価値観にはこだわらず、自分を信じている。そんな勉に「魂の番」が現れた。そのΩ(オメガ)にはΩの恋人が居ることから展開が進んでいく。
保守的な考えの孝は次々と恋をして、失恋を繰り返していた。そんな彼が癒しを求めるのは海の中とドライブ中の音楽。勉はワガママで自由な性格なのに愛一筋だった。バース性であっさり捨てられても、「魂の番」が現れても、愛を手放すことはなかった。いくらでもできる恋が愛の渇きのまえでは意味をなさないとは、なんとも切ない。
オメガバーズの設定に既存の価値観が混ざり合って孝の人格はある。最後まで読むと伏線は回収されて視界が開ける部分と、見えない部分の景色が広がる。例えば、孝を慰める音楽はいつも勉が作った音だ。しかし、何故その音が好きなのかは語られない。
また、勉は孝の恋路を邪魔せずにはいられない。自分以外の恋人ができて離れてしまう事への恐れは自分なのか孝なのかは語られない。語られないのは答えがひとつではないからだと思うのだが、どうだろう。 -
夏の畑に、恋実るネタバレ2025年8月12日このレビューはネタバレを含みます▼ 社畜リーマン・東堂聖永(せな)と農家の森田群士(ぐんじ)の農業BL。193頁 星☆3.9
読み終わった後の癒され度は満点。ハードモードの読み物の合い間に読みたい作品。
東京で擦り切れるまで働いた聖永は退職して、あてもなく電車に乗り込む。降り立った駅で郡士と出会う。農家を営んでいる森田家に迎えられて夏野菜の収穫体験を経て、本格的な移住へと気持ちが強くなっていく。
冒頭、聖永が降り立った駅では360度の空と緑が広がる。セナは涙を堪えてたたずんでいた。それは苦しい社畜時代のトンネルを抜けた安堵だけだろうか。どこか喜びにも見える表情が胸にせまる。そこへまるで友達を迎えに来たかのように声をかける群士。群士は弱っている者をほっておけない優しい心根の青年。連れて帰った聖永が誠実でまっすぐに慕ってくれる心地よさに離れがたい感情が芽生える。
ここでは、よそ者だとか、同性の葛藤とか、当て馬だとかの煩わしい要素はなくていい。聖永の真面目で優しい性格と群士の大事な人たちの力になろうとする生き方があればいい。さしずめご飯と味噌汁にお漬物でお腹は満たされて、ちょっと甘い果物があれば最高の1日。そんな素敵なストーリー。 -
いとしさを守る男たちネタバレ2025年8月11日このレビューはネタバレを含みます▼ 草間さかえ先生の短編集。202頁
表題作「どこにもない国」と「パラダイムロスト」は上官と部下の物語。終戦間近の南方戦線で上官・竹内慎介は部隊の問題児・早川正美に厳しい指導をしていた。極限状態の部内を治めるには理屈より権力と暴力が役に立つ。二人は暗黙のルールを共有していた。そして終戦後、内地に戻った二人は竹内宅で共に暮らし始める。50頁ほどの作品。
草間先生の作品は良品宝庫で、そこはかとない品格が特徴。表題作の竹内はひ弱な上官かと思えば、内地では抜刀の姿麗しく、迫力の空気感を漂わせる。それだけで前半の印象は消し飛んでしまった。早川は若く、美丈夫で情熱的。戦地では早川が盾になり、内地では竹内が守る。戦中戦後の移り変わりをタイトルのパラダイムロストで飾るのも秀逸。
「1と2の間」は幼馴染との恋を描いた高校生・哲男の話。「0と1の間(前後)」と「0か1の世界」は哲男の同級生・三ツ矢と鶴田の長い恋路。恋のどうしようもなさを味わうことができるおススメ作品。最後は茶道の先生と高校生の恋「もののことわり」。全7編が収録されている。
男性的な骨格で軍服よし、着物よし、学ランよし、スーツは尚よし!で形式美と人物の色気がたっぷり詰め込まれている。10年以上前の作品でありながら、色あせを感じない1冊。 -
父親のはなった毒ネタバレ2025年8月10日このレビューはネタバレを含みます▼ 若手議員・櫻田門明と私設秘書・九重と門明の弟・明菜が織りなす政治BL。252頁 星☆4.3
名家・櫻田家の嫡男は政治家以外の選択がない。資質と努力で門明は議員のエリートコースに乗っている。九重は門明の大学の先輩で在学中にスカウトされた。議員の三男で表舞台に興味がなかった九重は秘書の道を選ぶ。妾の子・明菜は兄の影になることを誓っていた。
これは議員の息子たちが、政治という毒を飲まされた物語。彼らは武器として情報と言葉を駆使し、日々の心理戦を戦う。政治は派閥の他に外交や歴史まで加味していくと情報過多で思考が翻弄する。点在する伏線が終盤で一気に結ばれる手腕もすばらしく、読み手に筋書きを読ませない構成に唸ってしまう。
複雑な環境の中、門明と明菜は父・史門の死をきっかけにお互いをかけがいのない存在と認めながらすれ違いは深まっていく。九重は大事な者を見守り続けていた。
硬派な内容でBLファンタジーの甘さは少ない。ここはストーリー重視でクライマックスの布石を理解される方へおススメしたい。 -
強面坊主とオタク眼鏡ネタバレ2025年8月9日このレビューはネタバレを含みます▼ 強面坊主×真性オタクの幼馴染BL 全72頁(R-18でお高め)星☆3.7
威圧感が強い原和樹と、黒縁眼鏡の宏はご近所の幼馴染。成長過程で和樹はヤンキー仲間とつるむようになり、宏はオタク街道をまっしぐらに進んでいる。交友がなさそうな二人がどう近づいていくのか。
身体の大きさや強面で、一目おかれる存在の和樹。細身で陰キャ丸出しの宏。この二人は、犬で例えるならドーベルマンと狆。このギャップが魅力的。和樹は宏が話しかけても平然として威嚇も突き放しもしない。宏のテンション高めで早口なしゃべりはオタクの特徴をよく捉えている。
さて、推しポイントが幾つかある。和樹は苛立ちや葛藤を女遊びやタバコでごまかし、本質から目をそらそうとする。それでいて宏が同級生から絡まれると躊躇なく助けに入る。これは視界の隅に宏を入れているってことだろう!そんな宏もヘラヘラとしている表情が和樹の言動で赤くなったり、動揺するのが可愛い。
作画は粗削りでアンバランスな箇所もあるが、キャラはカースト上位と陰キャのバランスが絶妙。宏が和樹に助けられて、嬉しかった心情を話す場面は萌える。
宏の黒縁メガネは外れなかったが隙間から見える瞳がちょっとキラキラしてる!タイトルのファーストラブってどっちの初恋だろう?
凸凹ギャップに絵露もガッツリある作品。 -
灯台と空白の7年ネタバレ2025年8月6日このレビューはネタバレを含みます▼ 高校時代交際した同級生の再会ストーリー。星☆3.7
高校3年の春に三島と石崎帆澄は人知れず交際を始めた。三島は灯台守をする祖父の後を継ぐため自由を制限されていた。そんな姿に石崎は興味をもつ。石崎は漁師をする父と、自営を営む母、そして都会へ出た兄をもつ家庭で育った。ごく普通の高校生だ。二人の交際は制限つきの中でも楽しかったのだろう。しかし進学を期に石崎は三島を振って島を出る。そして7年後、島に戻ってくる
作中に空白の7年間の描写はない。石崎は三島に会って再び恋しくなる。別れ話が自分を守るためのものか。それとも相手を大事にしたいが故の別れなのかを理解できる十代はどのくらいいるのだろうか。島に残った三島、外の世界を体験した石崎。数か月の楽しい思い出と失恋。傷ついた心を持て余す時間。壊れた関係を修復することはできるのか。
この物語の軸は石崎が想いを伝え、三島が再び受け入れるかが鍵になっている。なかでも心ひかれているのが潮騒と灯台が織りなす風景だ。灯台の向こうには別の島が浮かび、朝日と夕日が二人の背景にはいる。ストーリーは登場人物の生きざまがメインだが、灯台が見える高校や海沿いの道はなにげに郷愁がある。自分にも同じ人生の思い出がある。よく水平線に沈む夕日を見にいった。日の入りは数分間のドラマだ。泣くときもあるし、心湧きたつこともある。そのときの感情を思い出と共に記憶する。1度は別れてしまった石崎と三島。長い人生に必要な7年であり、大事な潮目になったと信じたい。
評価がそれほど高くないのだが、島と灯台、海と空の舞台に自分を投影するのも悪くないと見直した作品。 -
アニメ化してーーー!2025年8月5日この作品はどのくらい認知されているかな。
中毒性有り。毒か薬か判断つかない。
連載中だから何処へ連れていかれるのか分からない。
限られた紙面なのに読み始めると無限空間に放り出されてストーリーに引き込まれてしまう。
名作?面白い?美しい?整理された言葉では多分追い付かないスピードで展開する。
情報の整理が追い付かない。あとレヴュー900件くらい書いたらこの作品をうまく伝えられるかな。
試し読みから一気に9巻大人買い💦紙でも買いたい。
そしてアニメ化してーーーー!
人外もの、グロ耐性がある方へおススメする。
無料お試し期間中に一度目を向けてほしい。もっとみる▼ -
推しが押しにやってきた!ネタバレ2025年8月4日このレビューはネタバレを含みます▼ 脇役俳優の里美透と元アイドルの伊坂明の業界ストーリー。1巻39頁 2巻46頁 3巻36頁
星☆3.7
俳優歴の長い里美透の癒しは元アイドルで人気俳優の伊坂明=AKIRAの推し活。仕事は脇役ばかりの里美に突然舞い込む短編主演のチャンス。登場人物は2人だけ。相手も知らず挑む撮影現場に現れたのは伊坂だった。
伊坂明は爽やかなイケメン。グループが解散後は俳優に転身、売れっ子で大活躍をしている。撮影現場でみせる筋肉質の体も眼福。しかも元アイドルとは思えない気配りのできる常識人だった。
「推しと共演で急接近」の展開は新しさはなくひねりもない。ただ伊坂がオーディションで役を勝ち取った以外は。推しとの共演に喜びはあるが里美の役者魂は主役とはいいつつ伊坂を引き立てていく。小さな仕事でも自分を必要としてくれるなら、期待には応えたいという里美の謙虚さは業界の中にいながら曇った感じがない。その里美との距離を詰めようとするのが伊坂。王道と分かっていても胸がワクワクと高鳴る。地味平凡モブの3種盛りにイケメン体格差年下のトッピングは文句のつけようがない美味しさ。
伊坂の華やかさも魅力だし、里美の地味さと穏やかさがいい感じに混ざり合っている作品。惜しむらくは短い!
初読み作家さま、ポテンシャルの片鱗を感じる。(次回は長編で!) -
ワガママな先輩と不合理な後輩ネタバレ2025年8月2日このレビューはネタバレを含みます▼ 高校バスケ部で先輩後輩の再会BL。前編82頁 後編166頁
オトナのカテでお高め。星☆4.0
バスケ部でエースだった木崎健児と後輩の幸島一美は15年ぶりに仕事で再会をする。高校時代に一途に慕ってくる幸島を木崎は記憶の片隅でいい思い出として残していた。幸島は可愛い容姿が15年で爽やかなイケメンへ変貌しているだけでなく、木崎の親会社のエリートに成長していた。
今作品においては幸島の辛さが心に響いた。高校時代は木崎の性欲の手伝いまでしていたが、彼女ができると距離を置かれる。手痛く拒絶されて終わった初恋。なのに幸島は再会の機会を作る。賢く成長できたのに、なんと不合理な行動。
対して木崎はプライド高く負けず嫌い、相手の事を想像する隙間が狭い。よって人とトラブルが起きる。幸島を振った後15年も経って相手が好意をもっている姿に喜ぶ幼さ。行き詰まった時に都合よく自己肯定感を満たしてくれる幸島がほしいのだ。
物語中盤まで幸島は木崎に傷つけられてばかりいる。やらない後悔よりやって後悔を選んで何度も敗れる。幸島がそこまで行動するのは、「死ぬほど好き」を知っているから。これは恋心が死ぬまで好きなのだ。それは恐ろしく崇高だがその分苦しみも伴う。大人になっても幸島の初恋は健気で美しい。
再開後の成長した幸島に惹かれていく木崎。もう高校時代の延長ではないことを理解しつつもプライドが捨てられない。また同じことを繰り返してしまうのか。
15年の月日をどう過ごしたのかが丁寧に展開する。その内容は現実的。経験を積まなければたどり着かない境地もある。すれ違いや素直になれない過去も思い出としてお互いを絶対的な味方で大事に過ごしてほしい。 -
快楽と大人の劣情ネタバレ2025年8月1日このレビューはネタバレを含みます▼ 硬派なリーマン×恋愛に自由なバーテンダー 175頁。星☆3.6
仕事は完璧の五島航太はバーテンダーの櫂と出会う。五島は自分のセクシュアリティが男性ではないかと感じていた。櫂は綺麗な顔立ちで、カウンター越しから五島の悩みに寄り添いそのままホテルへ。お試しの櫂に五島は魅かれていく。
この作品は、1に絵の綺麗さ。2にキャラの綺麗さ。3・4が無くて5にエ〇の綺麗さ。ストーリーより大人の絡みを堪能するBL。推しは五島のビジュアルと真面目さ。しかし五島が快楽と謎めいた櫂に引き摺られていく姿にハラハラしてしまう。一方の櫂は目を引く容姿の顔面強者。恋愛に真剣になれないと口にしながらセ/フレとは縁が切れない。真剣な五島に相応しくないと悩んでいたり、矛盾が多い。大人の曖昧さにモヤモヤする。恋に真面目に向き合いたいなら身辺整理でけじめをつける強さがほしいところ。恋の不安定さとエチをじっくり愉しみたい方へおススメしたい一冊。 -
淡い恋の断片ネタバレ2025年7月31日このレビューはネタバレを含みます▼ 優しいタッチの作風なのに書き込みが丁寧で安定感を感じる作家さま。短編集で4つ収録されて、どの作品も粒がそろっていて良作。ボーイズストーリー。
1巻176頁。星☆4.2
1話目は「ななしの恋人」真面目な戸田樹の下駄箱にラブレターが届いたことで始まるストーリー。この話が一番好きだ。戸田樹は名無しと手紙のやりとりを続けて、やがて交際を申し込む。名無しの正体は幼馴染の将悟だった。一通だけのつもりで書いた。それがまさかの展開に将悟は次第に罪悪感や自責の念に陥る。
2話目は「幽霊屋敷ラブロマンス」地縛霊の少年に恋する霊媒師の話。ガチの幽霊なので人玉が浮遊しているし少年の足は無い!果たして恋は実るのか。
3話目は「フランケンシュタインの友人」死体をつなぎ合わせて”友達”を作ったハカセの話。”友達”ヴィクターを作ったハカセだが友情以上の感情が二人には生まれてしまう。後半のハカセの眼差しがちょっと怖かった。
表題作「友人の式日」は亡くなった瞬が友達一也の前に現れる話。瞬には足がある。しかし一也以外には見えない。何故一也の前に現れたのか。終盤に瞬が生命の感覚をつぶやくのが胸に沁みる。
初読み作家さまだが、これはと見入ってしまった場面がある。2話以外のキャラ達の泣き顔。お腹の底や胸の奥から溢れる感情が涙となって出てきた顔つきが強く脳裏に残った。全作品エ〇はなく、軽いキスがMAX。ストーリー重視の方におススメ。 -
寡黙魔王の初恋ネタバレ2025年7月31日このレビューはネタバレを含みます▼ 最高権力者・魔王×人間界のビビリ兵士・ルノフスの異色BL。
冒頭から魔王とルノフスの二人だけで始まり、設定は色々ぶっ飛んでいるのにぐいっと引き込まれた。
196頁。星☆3.6
失神体質(?笑)のルノフスを助けた魔王。恐怖で怯えたルノフスの潤る目が魔王の恋心を刺激してしまう。
ほぼモブに近いルノフスが圧倒的な存在である魔王のハートを掴む展開でサクサク読めてしまう。
中でも強く惹かれたのがイケメン魔王ヴァフェル。性格も非常に穏やかな寡黙紳士で好みだ。キャラデザインの造形もいい!
寂しげな表情も目を引くし、それでいてルノフスへ向ける表情は心躍るのか楽しそうなのも可愛い。
ルノフスは人間界で聞いていた噂と違う魔物たちの生活に驚き、彼らが異種の垣根をこえて接してくる日常に次第にここへ帰りたいと思うようになる。
最高王者が庶民ルノフスへの溺愛執着する様子は最強にツボってしまうと実感した作品。 -
親友たちの変わっていく気持ちネタバレ2025年7月28日このレビューはネタバレを含みます▼ 定食屋で働く今村たくみと理学療法士の簾は幼馴染で同居生活中。ポジティブ思考のたくみは何故か恋愛がうまくいかない。失恋の度に頼るのは同居人で親友の簾。やけ酒をするたくみに簾は自分と交際を試してみないかと提案する。果たして明日から恋人になれるのか。そもそも友達と恋人の違いってなんだろう?
読み終えたら良い映画を観た後の高揚感や多幸感。簾は前髪を上げても下しても髪型変えても男前だったなとか、たくみは運動音痴で面白かったなを思い出す。一番良かったのは、「たくみが楽しいなら嬉しい」と簾が微笑みを見せる場面。いつも目の前で知っているのに初めて体感するような新鮮さ。たくみは簾の表情に新しさを感じる。簾はたくみと一緒のときの表情がいい!しかもたくみをよく見ている。その上、妙に落ち着いていてカッコいいのも良かった。
そして忘れてはならないのが、もうひとりの名脇役・フィレットのジャクソンだ。セリフこそないが二人の癒しであり大事なパイプ役。細身の体で紙面に登場してこちらも和ませてくれる
たくみと簾はたくさんの思い出を抱えて友達から親友へ。経験を積んで行き着いた先にあったのは今日も明日も一緒にいてほしい人の優しい顔。派手なイベントはないけれどシンプルでいい話。 -
アウトサイダー・コミュニケーション【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】
分かりにくくても伝わるものネタバレ2025年7月27日このレビューはネタバレを含みます▼ ヤンキーと優等生の青春ストーリー。星☆3.8
金髪ピアスの関陵司と特進で優等生の岩代弓弦は対極のタイプ。無断アルバイトを目撃された関は岩代が機転を利かせて出した申請を「おせっかいだ」と突っぱねてしまう。言い合いの中で岩代がケガをしてしまい、関はやむなく手助けをすることに
無表情で理詰めの優等生を級友は「火星人」と呼び。遠巻きにしている。しかしそんな彼をぶっきらぼうながら世話を焼いてくれる関。岩代はその態度を嬉しく思うようになる。関は丁寧な感謝の言葉をかける岩代に新鮮さを感じる。作中の関は近寄りがたい雰囲気さえなければ女子ウケする魅力もチラリとのぞく。一方で岩代は関への興味が増大。次第に伝える言葉も「用事はないけど、明日も会えたら嬉しい」(裏を返せば毎日会いたいの高度なテクニック)になっていく。岩代の三白眼は睨んでいるのか?それともみつめているのか。淡々とした表情でも眼差しは真っ直ぐだ。ケガが治っても、ふたりは一緒の時間を作っていく。
クールにみえて岩代の言葉に振り回される関。勉強ができて多くの言葉を知ってもムードという空気が読めない岩代。わかりにくい表情でも関の照れてる顔で伝わるものはある。 -
あいの本質に涙ネタバレ2025年7月25日このレビューはネタバレを含みます▼ 反社の構成員をクビになった男がクリスマスの寒い夜に小さな命を拾う。全78頁。
テーマは命、社会、親と子、葛藤、運命そして愛。
幼少期に足を怪我して後遺症のハンデを負いながら社会の片隅で生活をする星野藍。拾った赤子は生後6か月の女の子。彼は赤子にゆう(優)と名をつけて育て始める。彼女は盲目のハンデを持っていた。
藍はけっしていい人でも強い人でもなかった。父親の暴力に母親との別離が彼の人格を形成している。ゆうの夜泣きで自分は寝不足の日々、解雇や倒産の憂き目と苦しい生活を経験しながら日々を積み重ねる。それでも目が見えないゆうは藍の好物がプリンだと知っているし、得意な歌で楽しませることだってできる。短いけれど幸せな時間を共有するふたり。
この作品をよむと親子の愛とは何か、命が生まれてくる意味が胸にせまる。物語の冒頭、孤独で自由な藍の生活に果たして幸せはあっただろうか。そして中盤から終盤にかけては愛の本質を問いかけられる展開がある。どんなに時間がすぎてもここには優しい愛が描かれている。 -
さよなら、あの日の服従【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】
ネオン街の家路ネタバレ2025年7月23日このレビューはネタバレを含みます▼ 弱者と強者の逆転劇。
初読み作家さま、夜の街を舞台にして、その筆致がネオン街の風情にマッチしている。伸び代を感じる。
夕焼けの校舎にドボルザークの曲が流れている。傷つけられる鯉川皐、暴力で蔑む柏木圭哉。高校時代にどのくらいイジメは続いたのだろうか。暴力の理由は鯉川がゲイという噂だけだった。
柏木は高校では強者になれたが、社会に出れば広い世界が彼を反社の末端で小遣い稼ぎの日々にする。卒業後、鯉川は夜の街でメイクと衣装で着飾ってバー「QUEEN」のNO.1。しかも反社幹部のお気に入りに成長していた。
この作品が面白いのは逆転劇と夜の街に潜む人たちの生きざまが見え隠れするところ。弱者側になった柏木。QUEENのママや見た目は悪いが頼りになるアヤメ。反社幹部タツミの過去。そして強者側へ変化した鯉川。柏木は家が貧乏で兄弟が沢山いて教育を受ける時間がなかったのかもしれない。だからといって暴力で傷つけていいわけじゃない。再会できたとき、鯉川は柏木に強い復讐心を持ったはず。ズタボロにできるチャンスを掴めたとき、どんな選択をとったのか。ここからの展開は鯉川の人間性の凄さを感じた。本当に弱い者は恐れてばかりだ。強くなるには変化を恐れないこと。柏木は自分の変化と今までの清算に目を向けていく。変化のきっかけはいつも鯉川だ。綺麗な顔立ちに色気のあるホクロ。彼の好きな夕飯は親子丼。家路を急ぐ鯉川のアパートには灯がついている。 -
りんごと語り手ネタバレ2025年7月22日このレビューはネタバレを含みます▼ 配信されて間もなく購入し、このストーリーを思いつく人は凄いと胸がざわめいた。
全4作品の短編集で1巻198頁。さらに2巻は2作品が収録されており75頁。どの作品も粒そろいで全部語りたいがレヴュー制限できつい。
まずは表題作「りんご、木から落ちる」は評価がダントツ高い作品。
学園の人気者(ファンクラブまである)黒川楓がリンゴの着ぐるみ姿で熱中症に倒れてしまう。彼を介抱したのは園芸部部長の高見清春だった。これを境に楓は清春に惹かれていく。やがて告白。普段の楓はキザで自信家。歯の浮くセリフをサラリと口にするも何故か人気者。そんな彼が清春と二人きりになると赤くなって可愛い乙女(それもとびっきりのウブな少女)になるギャップが衝撃だった。楓の懸命な好意を可愛いと思いながら自分の見た目や性別で釣り合わないと悩んでいく清春。思慮深く誠実な清春と好きに前向きな楓。対照的なのに思いあう熱量が同じなのもグッとくる。笑平先生のタッチは一目で分かる。クセとみるか味と感じるかは受け手次第。少なくとも楓が乙女になる瞬間の表情はこの作風だからこそ。清春の性格や行動は犬時先生の繊細な世界観が伝わってくる。2巻は部室で我慢できなくなった二人が進展、誠実なはずの清春がリードして萌えポイントだった。
2作目は人の心の声が見える大学生と後輩の話。3作目は女装趣味のゲイとノンケリーマンの話。コメディの要素を盛り込みながらも最後は感情が振れてしまう内容になっている。
つぎは4作目の「オレは人気者」闇DKBL。マウントを取らないと落ち着かない鈴木五郎とドジな仮面の下に闇を抱えている小笠原洋介。1巻ではこの二人の奥深いところは計り知れなかった。2巻でやっと二人のドメスティックな関係が見えてくる。だが、それが加虐性なのか執着なのか寂しさを埋める素材なのかは作中ではつかみにくい。このあと五郎の家庭環境や洋介の仮面を作っていく過程があれば希望は差してくるのか。しかし物語はその一部しか開かなかった。
素晴らしい語り手として輝く才能をもっとたくさん発揮できた犬時先生、ハートを打ち抜く作品をありがとう。また読みます。 -
妄想劇場ネタバレ2025年7月20日このレビューはネタバレを含みます▼ 手作り弁当を交換条件に妄想劇場(ずりぃネタ)へ連れて行かれるリーマンもの。かなり斬新だった。128頁。
結論はレビュー書いておこうと思えるくらい面白かった。星☆3.9
木羽奏助と安西宙人は会社の先輩後輩。木羽はゲイで上司に淡い片想中。そこへ後輩の安西から手作り弁当と交換で夜のズリネタに使わせてほしいともちかけられた。めちゃくちゃ美味しいオカズを食べられる魅力に抗えずOKする木羽(あーチョロい、現実ならセクハラだがここはBL)
毎日濃密なシチュエーションのネタがドヤ顔安西の高解像度な解説で繰り広げられる。
初めての夜から始まり玩具を使うプレイまでバリエーションは豊か、劇場の木羽はどんどん開発される。
しかし現実は昼休みの会議室で楽しそうに話す安西と恥ずかしそうな木羽がランチしている、これはこれでかなりの羞恥プレイ(笑)
そう、ここまでくれば察してほしい。安西は推しに押しているのに木羽の鈍さはスペシャルだった。
序幕はコメディ寄り?だが木羽の恋心をはさみながら物語は最終幕へ向かっていく。 -
どんなかんじ?ネタバレ2025年7月19日このレビューはネタバレを含みます▼ ネトゲで出会う話。ネット世界は顔も性別も年齢も解き放たれる。もし誰も自分を知らない世界で頑張っている事を認めてくれる人がいたら。ささいな一言は現実でもネットでも人を動かすのか?星☆3.9
HN(ハンドルネーム)「陽気なエナドリ」は顔も年齢も本名も知らないチームメンバー「きょーすけ」に公開告白される。1年間交流していたことから陽気なエナドリはOKの返事をする。待ち合わせ場所で、高身長、容姿が整った25歳の間方翼を「陽気なエナドリさん」と呼んだのは学ランをきた純朴そうな17歳の高校生だった。
国家公務員の翼がなぜネットの告白を受けたのか。それより告白相手は高校生、未成年の文字が目の前をちらつく(どうする翼!)
きょーすけこと神枝恭佑は進学校のトップをとる賢さ。ガリ勉くんかと思いきや幼さの中に純白な好きを抱えている高校生。しかも大人の翼から好意を寄せられるカッコよさ。熱い情熱と冷静な理性がアンバランスな十代。アンニュイな顔立ちで照れたりするのが可愛い。
さて、この二人実に愉快そうに会話をする。リアルで会っている時もネット上でも楽しそうだ。陽気なエナドリがきょーすけの何に魅かれたのかは作中にはない。ただ初めて会った時の翼の表情は好きな人を見るまなざしだった。リアルで会う時の服をラフでカジュアルにして恭佑にさりげなく合わせていたり。翼の恭佑好きがあちこちで溢れていてムズムズする。告白したのはきょーすけだったが、最初の好きは陽気なエナドリかもしれない。なんてったって照れながら嬉しそうなんだから。話は変わるが、アバターの課金180のキスってどんな感じ? -
服を見つめた横顔ネタバレ2025年7月18日このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みでこれは!という見事な導入。この作品は推せます!
登場人物の20歳で派遣の日雇い労働をしている、二神まひるがデザイナーの新井陽平にスカウトされるところから始まる。プリティウーマンBLかマイフェアレディBLといえるか。
まひるには女顔だったこと、女兄弟からのおさがりで過ごした幼少期にいじめにあった過去。などから自信をもてない日々をすごした。その息苦しさから上京したまひるが初めて自分を開放して楽しめる場所がファッションブランドLiMのモデルだった。これは素敵な展開。まひるは全編通してマイルドヤンキーでかわいいワンコ状態になる。垢ぬけていく過程をファッションで見せていく構成も見ていて楽しかった。
この話にはまひると陽平のラブストーリーが織り込まれているが、今回は陽平サイトをフォーカスしたい。まず、ブランドのコンセプトがかなりしっかりしていたことに驚いた。LiMは少しで最大のよさが得られる服の他にレディース(L)とメンズ(M)の間の自分(i)は並行で区切りはないって2重の意味をかけてあるってカッコよくないか!しかも自分が小文字なのもクール。そしてパンクファッション。作中、陽平が所々で裁縫をするシーンがある。なんならベットサイドで刺繍をしている姿もあって、その表情やしぐさで服への愛の深さが見て取れる。それゆえに中盤で陽平が語るつぶやきには痺れるものがあった。
この作品を読んで、子供の頃の足踏みミシンを思い出した。いま思えば服を作ってもらうって愛だね。 -
心に恋してネタバレ2025年7月16日このレビューはネタバレを含みます▼ 恋愛初心者のゲイとノンケ保育士の恋。星⭐︎3.6
大学生の西寺充也はゲイでの悩みを抱えていた。ある時、友達と初めてのクラブで酒を飲み潰れてしまう。そこへ声をかけてきたのは顔立ちの良い男。充也はホテルで一夜を過ごす。連絡先も名前も知らない相手との初体験。充也は恋に落ちていた。
その後、充也は姪っ子の保育園の送迎で、担当保育士の平山心(こころ)と出会う。恋した男との再会に運命を感じて喜ぶ充也に反して心の対応は渋かった。心はモテ男である。女性に困っていない、それに特定の相手をも探していなかった。当然、突き放す心に充也は保育園の送迎という機会を使って距離を詰めていく(ゲイであることの悩みや相手がノンケである葛藤はないのだろうかと突っ込みどころが多い充也)好きを抑えられないゆえに突き進んでいく。
そもそもこの作品では平山心のイケメンぶりが際立った。酔いつぶれた充也を介抱しながら悩みに共感して、「それなら俺と」とワンナイトの提案をする。終始リードしながら優しさをみせるあたりで、心の良さが伝わってくる。彼は人間関係に傷ついたハートを持っていたり、子供への気配りができる保育士だったり、自分の言葉で伝える努力をしたり、魅力の詰まったキャラだった(作者さまはどこか苦しみを抱えているキャラクターの造詣が綺麗だ)こんなキャラが嫉妬したり焦ったり悶えたりするとどうなるのかワクワクする。作者様の今後を楽しみにしたい。 -
突き進め!深見くんネタバレ2025年7月13日このレビューはネタバレを含みます▼ レビュワー様のレビューで読みたくなった作品。(いつもありがとうございます)
大大大好物のリーマンもの!スーツ姿の綺麗なリーマンはそれだけで読んでいて楽しくなる♪浅井と深見のリーマンストーリー。前編37頁後編38頁。
物語は業務多荷に陥った浅井が窮地打開のため総務の深見に目をつけたことから始まる。
有能な浅井は仕事もプライベートもスマートにこなす、インテリ風リーマン。
対して深見は人づきあいが苦手な理系リーマン。期間限定で異動した深見は浅井の隣で業務を期待通りこなしていくはずだった。
浅井の仕事ぶりがカッコいい。深見のポテンシャルを発揮できるように気配りしているのが分かる。それはプライベートも同じだろう。相手に困ることのない浅井がどうしたわけか深見にはまっていく。
なぜなのか。ひとつに深見が起こす想定外の言動を理解する能力があるから。
その想定外を面白いとか楽しいと思ったら、それは恋の始まり
作者さまのリーマンは立ち姿や仕草がとても綺麗だ。短い頁数でもそれを堪能できる。しかもストーリーや構成も無駄がなくて姿同様に整い読みやすくトキメキがずっとループする。
よくぞデビューしてくれました。これからの作品が楽しみだ。 -
乙女顔はどっちだ⁈ネタバレ2025年7月13日このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙に釣られて手にとった。オメガバースの世界。女子受け抜群の市川豪と武道家家元の森本虎雄のDKストーリー。期待値もりもりで頁をめくる。星⭐︎3.8
※今回ネタをオープンにばら撒いてしまったのでご注意下さい
女家系に生まれた豪は愛らしい容姿で人気者。虎雄は家元の嫡男として厳しい教育を受けて育つ。2人は幼少期から惹かれて番になる誓いを交わす。ところが14歳のバース判定が互いをα性であると突きつけてきた。すれ違い始める2人。
ここで気になったのが虎雄の態度だ。武道家らしい鍛えた腹筋がいい感じにしまっている。それが豪に押し倒されると瞳がハートマーク!になっていたり(武道嗜んでて無抵抗すぎん?)節度のある交際をしろと突き放して女友達の仲を取り持とうとしたり。そうかと思えばご飯作って期待させながら豪の気持ちには応えられないと謝る(うーん、ズルくない?)
引きかえ豪はかなり一途だった(女遊びはするが)虎雄に運命じゃないと言われてもめげず。全部自分のせいでいいと腹を括っても距離を置かれ。虎雄の反応に一喜一憂しながら、やっぱりあきらめられない。好きな人は代えがきかないからと求めてしまう。そんな葛藤する姿は可愛くて健気だ。
今回、表紙の虎雄にフラフラと引き寄せられて手に取ってみたが、なんか思っていたのと違うと終始、豪に肩入れしてしまい。クライマックスで豪が「ウジウジめんどくせぇなぁ‼︎」のセリフに、まさにそれ!と意を得た感じになった。
最後の叫びは。虎雄!武道家αの資質で応えてくれよー。乙女顔で豪にメロメロなだけの君じゃないだろう?カッコイイ君を待っている。 -
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を紐解くカジワラネタバレ2025年7月11日このレビューはネタバレを含みます▼ 恋に迷う男児が好きだ。好きな子にズブズブ沼っていく男性も好みだ。なにより好きな人を大事にする男が大好きだ。これは梶原日南斗が恋に迷って好きな子に行きつく話。星⭐︎4.0
デザイン専門学校に通う梶原は公園で丹生谷和樹と再会する。高校1年の時の同級生。その丹生谷がこの世に存在する物のデザインを綺麗だと言った一言で進路がデザインになった。それを再会した丹生谷はまるで覚えていない。なんなら梶原自身さえ記憶の片隅にもなかった。脈なんてまったくないのに梶原は丹生谷との繋がりをなんとか保とうと頑張り始める。
ガッツのある梶原と素っ気ない丹生谷。物語は終始梶原目線で進む。
梶原の性格はかなり優しい、そこがいい。丹生谷の細かな表情を見逃さない。丹生谷の「楽しみにしてる」の言葉に張り切って課題をこなす。そんな素直な男児。だから人から好かれて、友達も多い。
対して丹生谷の合理主義はどうしても社会では軋轢が生まれやすい。人間は理論を理解するより感情のほうが遥かに受け入れ易く、便箋10枚の心情より1秒の握手が遥かに雄弁だったりする。
物語終盤は梶原の感情を言語化する能力が丹生谷の心を軽くしていく。軽くなった分、丹生谷は梶原に話しかける。理論で片付かない感情はなんて言うのか。それに梶原が優しく応える。すごくハッピーになる瞬間。はてなく幸せが続いてほしい。 -
悩む〜ネタバレ2025年7月10日このレビューはネタバレを含みます▼ 戦国時代のラブストーリー。表紙に魅かれて1巻を読んだら、単話で読みたい派とコミックまで待て派が脳内乱闘中。
物語はオリバーが住む国が亡びた瞬間から始まる。国王の亡骸にすがりながら哀しむオリバー。その姿に国王を倒した将軍バンドレンはクギづけになる。
国王にかけよるのはオリバーただ一人。我が身を顧みず哀しむ姿に美しさをみたバンドレン。彼はオリバーを連れて行く。
始まりの予感。期待と妄想が弾けて、先が読みたい。バンドレンの美丈夫さは申し分ない。展開は定番だけど、バンドレンがオリバーに見ているのは見目だけではなさそう。それじゃぁ、何に心ひかれているのか。モウソウがどんどん膨らむー🎵
ほんと、単話買うかコミック待つか悩む〜。 -
妖×健気な年下ネタバレ2025年7月8日このレビューはネタバレを含みます▼ 人外モノ、22頁。妖の紅丸と猛アタックしてくる辰巳とのストーリー。この話は「雄っぱいちゃんとルームシェア」にも収録されている。星⭐︎3.9
紅丸は人間と恋におちたが結ばれずに死に別れてしまう。大切な人を失うことの怖さを引きずっている妖。
辰巳は紅丸のお店へ通う常連客。紅丸の忘れられない人を知っていても好きだと言って一歩も引かない健気さ。
いい話だった。辰巳が何故紅丸を好きになったのかは後半で明らかにされる。そこで辰巳の印象が爆上がり。人外モノ以上に健気さは重要ポイント!紅丸も大きな体に秘めた繊細さが良かった。エチもちゃんとある。
以外な組み合わせだったけど悪くなかった。ガチムチ好きの作者さんなのでムチムチの作画がちょっと癖になってくる。 -
表紙が目にとまったならネタバレ2025年7月7日このレビューはネタバレを含みます▼ やられた。目から汗がふき出る。1巻28頁。
ニャオスキー先生の作品は読了後の余韻がすごい。そしてレビューを書きたくなる。余韻のかけらを形にしたい
作品には郷愁、青春、初恋、挫折、秘密、人生に忘れられない人が詰まっている。
物語はタクシードライバーの樋口が偶然の再会するところから始まる。冷え込む夜。客として乗ってきたのは高校の同級生の岩崎だった。岩崎の自宅までの道のりを車は走りだす。同級生以外接点がなさそうなふたり。しかし記憶とは曖昧にして忘れられない断片を思い出させてくれるのか、会話が盛り上がるころ車は目的地にたどり着く。
会話のやりとりも上手いけど、音の使い方とか車外の風景や天気の移り変わりもドラマチック。
どうしたことか高校時代を同じように思い出した。不思議なものだ。まったく違う人生でもなにかくるものなんだなと。
もちろん単行本になったら購入して、またレビューしたい。 -
ご馳走さまが聞こえない!【単行本版(電子限定描き下ろし付き)】
由佐&イン魔編ネタバレ2025年7月6日このレビューはネタバレを含みます▼ 単行本になるのを今かいまかと待ってました!
「おばかさん」のセリフで登場していたイン魔が本命の宿主の元に現れた!
人に生まれながら不思議な能力を持つ由佐とイン魔のラブストーリー。1巻の外川&内瀬より倍の量💦
いや〜良かった♡エ○もまぁまぁあったけど、イン魔が由佐に執着して怒りを露わにする場面はキターって叫んだ。前回散々人間を振り回したイン魔が由佐に絆されてドンドン柔くなっていく過程はため息が出る。(ぽけろう先生上手い!)
そして、当て馬で登場した由佐の同僚でイン魔の八木。彼の仕事ぶりがとても優秀だった。由佐の側で見守ってきたのに最後は好きな人の気持ちを優先するいい奴。
前回の内瀬と由佐は従兄弟の設定だった。親戚の集まりは皆んな同じ顔してそう^_^
その作中で勝ち気な由佐が涙を溢れさす場面がいくつかある。ギリギリまで追い詰められて出てくるそれにグッとくる。そのときイン魔は時には優しく、時にはテレて、時にはつぶやく。由佐の魔力に惹かれたイン魔だけど本当はその心根に魅了されたんじゃないの? -
外川&内瀬編ネタバレ2025年7月6日このレビューはネタバレを含みます▼ 3年前に体格差カテゴリーを作ってくださった、ぽけろう先生。ずっと好きです❤️
ぽけろう先生の体格差CPに一目惚れして購入。何度も読みなおした。激しいエ○もツボった。ちょっと陰ある作画も魅力的で沼にハマってる。
真面目堅物仕事デキる上司の外川と超頑張り屋の内瀬とドSイン魔のラブエ○ストーリー。
ここでは3人?の掛け合いが素晴らしい。イン魔に取り憑かれた上司を助けたい部下。部下の健気さに情以上の感情が生まれる上司。退屈凌ぎがしたいイン魔。イン魔は外川の命を引き換えにあれこれ難問をふっかけて2人を翻弄しているようで、チョイちょい優しく手助けする場面に萌える。
どこか憎めないキャラクターのイン魔(2.3巻はそのイン魔が主役になってくる。レビューするぞ🎵)
何周も読み直しているが、内瀬の恋心は共感するにしても、ナゾなのは外川のモテ要素で彼女(カレシでも構わないが)はおらんのか?ん〜?イン魔に「ムッツリ激重男」と言われるくらいだから長続きしなかったか?そんな外川の堅くて隙のなさが終盤で真っ黒な執着に変貌するのは見もの。 -
そばかす男子っていいね!ネタバレ2025年7月4日このレビューはネタバレを含みます▼ 高校デビューして彼女をつくると浮かれている秦直人と心根の優しい豊原優介のDKストーリー。星⭐︎4.0
レビューを渡り歩いて目にとまった初読み作者さん
(レビューをいつも参考にしています。ありがとうございます♪)作画は可愛いし、そばかすトヨの雰囲気が良かったので購入。
結論は、普通の高校生活を送っている二人が見れてホンワカ気分♡直人はとにかく彼女が欲しいモードで邁進している。しかし直人は人と対話しながら自分の好きを探求していて、トヨは自問自答しながら直人を大事にしている。どっちもいい奴だから気持ちのいい物語。続編が出ているので、そちらも読んでみたい。 -
ちん妙、巧妙、絶妙!まだら沼ネタバレ2025年7月1日このレビューはネタバレを含みます▼ 読みホで読めたのはラッキーだった。星⭐︎4.2
最初に記しておくけれど、Ωバースではありません。
そして複数での痴戯有り。アレルギーの方は摂取注意です!
物語はいつの間にか40をこえたチームリーダーの村石洋輔が体調異変に気付いたところから始まる。世にも珍妙な妊娠をとおして繰り広げられるマタニティーストーリー(村石はヒゲも生える立派な男児)
斑月先生の作品レビューは他でもしたが、最初の見せ場や読ませ方が巧妙できわめて匠。
ナチュラルに物語へ引き込むので、〝イヤイヤどう考えてもおかしいだろう″と気づくころには沼ってる。
そしてもがけばもがくほどズブズブとハマっていく仕掛け。
そもそも作者のポテンシャルレベルが違うのでそのパワーでグイグイ迫られたらこっちはひとたまりもない。
ストーリー序盤で捕獲されたらエンドまで読まずにいられない仕組み。
読者として楽しませてもらうつもりで頁をめくったら、主人公ともども振り回されてカオスの図中。
されど、妊娠検査薬を試したり(しかも2回)やママなのかパパなのかで悩むシーンはお腹を抱える面白さ。そんな場面が絶妙にちりばめられている。
最後におススメはするか、しないかと言えば微妙なところ。倫理的にギリギリのラインを踏みこえてそうで判定が難しい。それもこれも村石がダメだめ言いながら揺れるからややこしいのだ。
まぁ、今作の一押しは幼馴染の折原くん(誰なのかは本作をご覧ください)
続編がでたら、もちろん追レビューする! -
物語は始まったばかりネタバレ2025年6月30日このレビューはネタバレを含みます▼ つし子先生の作画がどんどん洗練されていく。星⭐︎3.9
ストーリーは霊的な視覚を持つ高校生、物部煌河と祓い屋の神足天丸の癖強バディができるまで。
ホラーは射程外なんだよー(−_−;)
夏の風物詩的に扱われるけど、年中無休で存在することない?しかしつし子先生の作品好きが優って購入。
レビューするには読みなおしをするけど、リアルな描写の頁は飛ばす💦作画が洗練されていくのは大歓迎なのだが怪異の表現もお上手になられてる。おかげでせっかくのご褒美が堪能できなーい!
それでも煌河のバイクシーンとかすごぶるカッコイイ。タンデムで疾走したりする2人はめっちゃ絵になること間違いなし♡
内容は割とあっさりバディを組む流れになって完結。
煌河がまだ高校生で天丸との絡みが硬いようにみえるので続編ほしい。 -
ことばを越えてネタバレ2025年6月30日このレビューはネタバレを含みます▼ 犬太郎先生の作品は秀逸だと思っている。星⭐︎4.1
音楽家を目指している栄一と音楽に引き寄せられた龍の閃がおりなすハートフルストーリー。51頁【R18】
ここでの一押しは龍の閃が繊細な紳士で栄一に寄り添うところにある。出会える場所は練習スタジオのみ。体調が悪くなりそうだとデロデロと舐めるがキスはしない。
(龍の唾液は強い力があり、栄一はその効能で体調の悪さが回復している)
ちょっとしたアクシデントでご褒美モードもある。
個人的にはこの作品もお気に入り。表紙の2人が幸せそうに笑っている。そこは言葉なくても心地よく感じないだろうか。 -
お前なんかに推されても!~地味オタ男子、美少女Vtuberやってます~【単行本版(限定描き下ろし付き)】
初読みを下心あり有りで購入ネタバレ2025年6月30日このレビューはネタバレを含みます▼ 読みホで途中まで読んだ初読み作家さん。
地味オタクがほんとにモサモサ。アハおもろい)^o^(
下心ありありで購入。155頁。星⭐︎3.7
結論、ええ⁈か、完結なの?描き下ろしでさえ、中ボーみたいなキスで終わり⁈ぇぇええ⁉︎期待を裏切る結末だった(T ^ T)初読みは難しいのぉ。
物語は美少女?Vtuberカリンを作り出して人気者になった非モテ陰キャの長田と金持ちイケメンで大学の人気者の花菱が付き合うまでのストーリー。
表紙の花菱の迫り具合とか帯のサムネとか、めっちゃくちゃ期待したのに!裸になるシーンさえなかった!花菱はおぼっちゃまだからいい身体しているに違いないと妄想していたのに!(今回は心の声がただ漏れだ)
女の子と付き合ってもらえないエネルギーを架空空間で昇華させた長田。長田も花菱もノンケ。長田の始まりは彼女が欲しかったのに。しかも花菱に至っては女に困らない環境でありながらよりによってダサくて抜けてるカリンがいいとかいう絶滅危惧種。
作画も整っているし、テンポも良し。イケメン花菱が終始冷静だったから長田に当て馬が出てこないかな♡なので続編希望! -
夜の獣と南の鳥ネタバレ2025年6月29日このレビューはネタバレを含みます▼ 手負の獣と木守をしていた鳥の捕食愛?星☆4.4
電子書籍って擦り切れるまで読んだ証明ができないのは利点か難点か
紙書籍ならもう間違いなく擦り切れるまで読んだ作品。
不思議な森の子守(動物の赤子ならなんでも預かる)をしている鳥のボーと深い傷を負った黒い獣のゴンマの捕食者と被食者の物語
古い作品で作画も洗礼されてはいない(ああ、ゴメンなさい)ただこの後の好みのジャンルに人外ファンタジーの本棚ができたのは確か。
雨の日にボーがゴンマを巣穴に招きいれて捕獲?されてのセ○△が今まで壁だった(脳内)箇所に真新しい扉が突如現れる衝撃。
絵本のようなテイストでがっつりとBLがねじ込まれているのも当時は新しくて新鮮だった。
久しく読み直して筋書きが分かっていてもトキメキがある。長く木守りをしていたボーはまぁまぁな年齢。それに引き換えゴンマは若き成長期だろうか。木守りの境界線さえ越えなければ天敵が入ってこない平和な世界。ボーは木と契約しているためか長生きしている。この2匹の生態は是非本編186頁で観察を
夜目がきかないボーにゴンマが月夜を語る場面とか抒情的でいもあん先生のセンスが光っている作品。 -
魔物の飢えネタバレ2025年6月28日このレビューはネタバレを含みます▼ 人外中華BLの好物3点盛り。人を喰らう魔物が赤子を最高の晩餐にしようと手塩にかけたら。星⭐︎4.2
都から離れた山深い所に住んでいる魔物。名前は朱月、龍の化身なのか時折り角と鱗が見え隠れする。通称は主様。どこで生まれどんな育ちなのかは作中のエピソードはない。生きていく術を持っていて不自由なく生きている。ただ一つ、激しい飢えが襲うことを除けば。
主様は渇きを潤すために人を喰らう。白兎は生まれたばかりの赤ん坊。しかも親が口減らしのために、わが身可愛さで主様へ献上しにきた捨て子。主様は気まぐれで赤子に名前をつける。それは食べこたえのある晩餐にしあげるために。
物語を読み始めは「捨身月兎(しゃしんげっと)」を連想していた。日本だと因幡の白兎なんかあてはまるかもしれない。だが、激しい飢えに襲われても主様は白兎を食べない。いままで散々迷いなく喰らってきたのに(なんなら白兎の親さえもペロリだった)である。違いはなにか。主様は人間ではない、永い時間をいきている。その中で飢えを癒す方法が喰らうことだったのかもしれない。そう思うと魔物は哀しみを抱えて生きているように見えてくる。そこへやってきたのが無垢な赤子。「いつか食べるぞ」といいながら世話を焼き、「いつか食べるぞ」といいながら側で愛でる。魔物の中の何が変化したのか。魔物が主様となるのに必要だった白兎。飢えに必要だったのは白兎の肉体だったのか。そもそも本当に飢えだったのか。この『魔物の晩餐』シリーズは14まで出ている。シリーズ後半は白兎が成長していく過程が楽しめて読み応え十分。食事も洋食ばかりだと飽きてしまうのでたまには中華はいかがだろうか。
魔物の晩餐は表紙が印象的、少ない色数に美しい衣装をまとった魔物。愁いを帯びたたたずまいに物語の雰囲気が漂っている -
窮鼠が咬んだのは!ネタバレ2025年6月27日このレビューはネタバレを含みます▼ 時代モノ大好き💕星⭐︎4.1
読みホで最近おお〜と思う作品に出会う。斑月先生に江戸時代に連れて行ってもらえた!
(この作品は『密書でござる!ー隠密大江戸春情録ー』1巻にも収録されている。)
さて物語はお江戸の町で義賊気取りの『鼠』が夜な夜な現れては町を騒がしている。九兵衛は鼠を追っている同心。眼光鋭く立ち回りもキレがある。喜久蔵は昼は雰囲気のある優男、夜は鼠にへんげする盗賊
55頁ほどの作品だけど、屋根瓦からのアングルとか掴みが上手い!そしてマンガなのに所作が見える!現代は身分がないからピンとこないかもしれないが、時代特有の言葉遣いや所作がある。久しぶりに重厚な時代劇を観た気分。
捕物帳は盗賊側になぜか色気がある事が多い^_^喜久蔵の謎めいた感じはまさしくそれ!九兵衛とめしやで言葉を交わす場面の艶なこと!
終盤の結末がこれまたよくできていて、鼠を捕らえたのは?白椿と雪が粋な演出になっていてそのまま歌舞伎で演目になりそう。斑月先生の作品はほぼ読みホにラインナップされているのはお得すぎる〜。 -
時の流れに負けずにいるネタバレ2025年6月25日このレビューはネタバレを含みます▼ 作品がとても好みで、幾つも本を買わせてもらった。ほんとに平喜多先生ありがとう。
物語は仕事に悩んで迷っていた織部純と活動を休止していたミュージシャンの伊瀬情和がアパート胡桃荘で出会った所から進み始める。
金髪にピアスで大きな体の織部はペットサロンを持つ夢がある。対して胡桃荘に越して来た伊瀬は母親の介護で音楽から離れていた。
このストーリーで心ときめいたのは織部の献身的な愛。
ミュージシャンとして成功の階段を登る伊瀬を理解して待つ風情に大人の男を感じた。彼はトリマーとして一人前になることや服装に縛られない生き方を選んでいるのに、好きな人のためには我慢する。もちろん音楽に再チャレンジする道を決めた伊瀬も大人になっていく。夢を叶えて人生はそれで終わりじゃない。壁もあり谷底へもくだる。織部は伊瀬のことを考えて居場所をのこし、伊瀬は織部のために音楽をのこす。互いを想い合うのは愛だろう。
最後に平喜多先生の訃報を目にした時に、もう新作は読めないのかと絶望感におちる。しかし残してくれた作品に先生の心が宿っている。
この作品には「俺の心に灯した火は時の流れに負けずにいる」のセリフがある。それを先生の言葉と思って受け取っておく。 -
マンガの面白さ2025年6月24日上下巻全6篇からなるオムニバス短編集。現実の隣にありそうな異界や幻想的な世界を描く作品。星⭐︎♾️
レヴューで言葉が出てこないのは毎度のことながら、今回は茫然自失状態。作品のレビューなんておこがましいと思うが心が打ち震えて感情が外へ出たがっている。暫し付き合ってほしい
漫画の面白さとはなんだろうか。作品を読んでそんなことを考えてしまうほどの絶品。
結論は「非常におススメ」試し読みでもその魅力は存分に味わえる、心のままに読んでほしい。
漫画の良さがこれでもかと詰まっている。キャラクターや構成にデザインもストーリーも一つに纏まって脳内に入り込んでくる。ほんの数分前まで知らなかった世界。キャラクター達が紙面へ引き込んで、ただ貪るように読む。
ページをめくりながら笑ったり泣いたり。言葉を失ったり驚かされたり、体の隅々まで物語に満たされていく。
マンガを読みはじめて半世紀は生きてきた、その間にたくさんのマンガに出会った。色んなジャンルも読んだ。言葉にならない感情がぐるぐると身体中を何周もする作品にまだ出会える喜び。生きているからこそ感じる幸せ。この作品がより多くの人に受け取ってもらえることを願わずにはいられない。
最後にカテゴリーが少女マンガなのは盲点だった。素晴らしい作品はボーダレス。またあのキャラクター達と会いたい。もっとみる▼ -
体も心も正直が一番⁉︎ネタバレ2025年6月23日このレビューはネタバレを含みます▼ 読みホにて読了。昭和時代の男、和泉とハイスペインテリの砂川がからんでなじむストーリー。
星⭐︎4.0
和泉の昭和時代の価値観が次々に見事なまでに論破され大爆笑。序盤の和泉は自分の価値観に疑問を持っていない。きっと今まで順風でそこそこうまく立ち回れていたから快適な社会人ライフを送っていたのだろう。それが美人の彼女(元カノになる)から三行半をつきつけられて傷心のはずが、何故?どうして数日で砂川とLOVEする?体を鍛える場面も出てくるが、下半身は元気すぎないか^_^快楽に従順すぎ!マジ、本能に正直(^◇^;)すぎる。
砂川もインテリなのかと思ったら恋愛については学習できてなくないか?過去の恋愛の黒歴史とか言いながら(和泉と我孫子の見分けがつかないくらい似ていて双子かと思った)同じような人を好きになっとる。恋愛のリスクコンサルとは?
なんかあちこちツッコミどころが多い2人だった。
ただ、終盤の美人な元カノが出て行く時は出来なかった、プライドをかなぐり捨て自分の本音をぶつける行動は正直良かった。本当にどうしても離したくない人だとカッコ悪いとか体裁は二の次なんだと実感した。
互いが違うことやそれを補える関係が楽しいを教えてくれる作品。 -
貧弱王子の恋ネタバレ2025年6月22日このレビューはネタバレを含みます▼ 読みホにて。総務課の黒姫遙と製造課の黒岩義人の山登りを通して惹かれ合うストーリー。
星⭐︎3.9
1巻が無料で読めるなら読んでほしい。画力は荒削りでエンタメ感は低いがジェットコースターマンガやエンタメストーリーの合間の休憩にぴったりの物語。
会社の登山企画を押し付けられた黒姫遙は超絶運動音痴。登山経験のある会社の後輩にレクチャーを依頼しに行ったのが黒岩だった。
黒姫は顔はいいのにヘタレ感が滲み出てしまい、ついたあだ名が「貧弱王子」^_^
そんな黒姫だが企画のために登山を体験したり事前のコースや時間配分を考えたりとかなり真面目。黒岩は何かと丁寧にアドバイスしたりアシストしてくれる。そんな黒岩に貧弱王子は惹かれていくのだか。
他には王子の良さに気づいている同期の日向。何かと絡んでウザがられる、本命には振り向いてもらえない不器用な奴。
最終話はまだ未読状態。5巻まできたが手さえ握っていない清らかさ。なんだけど恋人同士になっても2人して山に登ってる映像しか想像できない。山の風景に癒されつつゆる〜く読めるお話。 -
赤羽編完結⁈感度マシマシは何処へ?ネタバレ2025年6月19日このレビューはネタバレを含みます▼ 作画は整ってないかも(申し訳ない💦)しかし読んでみてほしい。星⭐︎4.2。タコ神!グッジョブ!
冒頭から斬新な始まり。タコ神が北川透に「あなたは当て馬役の相手」のネタバレでストーリーが滑り出す。
杏里恭弥に想いを寄せて横恋慕している赤羽千尋が闇堕ちするのを助けてとタコ神は告げる。
透は女の子が好きなノーマルな男の子。初めこそ戸惑いながらも徐々に赤羽千尋や環境に順応していく。身体は小さいけれど優しさや明るい性格で周りを和ませてくれる頼もしさを持っている。しかも赤羽が片想いをして見向きもしないことを良しとする潔さ。
18巻までジワジワと透と赤羽の距離が近づいて、さぁ!2人の関係が進展するぞ!のところでとんでもない展開になっている。後は最終話を残すのみ。これは読み手を翻弄させてくれる。
実は1巻でタコ神が透に感度マシマシ仕様にしておいたから!と宣言するシーンがあるのだが。ずっと期待して18巻まで読み進めたこちらとしては、最後で回収されるのかむっちゃ気になる。
赤羽が外見イケてるのに未練タラタラするのに比べて透が清々しいほど凛々しいのは楽しい!
完結したらレビューは追記か書き直しを決めている。いいね
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ギャップにもえたネタバレ2025年6月18日このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙の好みでこちらにレビュー星⭐︎3.9
読みホにて読了、ギャップに燃えた。
向井紬貴はネット上でぬい活をしている大学生。そしてゲイをオープンにして気ままな学生生活を謳歌中。最近コメントをくれる、ちぃたん⭐︎に軽い気持ちで直接会う約束を取り付けるが待ち合わせの場所に来たのが想像を超えた人だったことから始まるストーリー。
ぬい活しているのが公務員の長内美喜夫とは笑ってしまった。しかもガタイよしの強面。今回はただかわいい物が好き、ではなくて長内も製作する人というのが良かった。しかも紬貴に会えた時の表情筋が強張ってるのも笑える。ここもギャップ萌えがあるよねー♡
つし子先生の最近の作画はうんと進化している。しかしこの作品のほのぼのファンシーさは当時の絵柄とマッチしていて魅力が詰まっている。
始まりはチャラ男にみえた紬貴が長内と出会って大人になっていく過程はステキなので、是非読んでほしい。
長内は髪を下ろすと優しげな風情になるし、仕事柄鍛えてるので筋肉質なのも二重丸!
カワイイとカッコイイが見事なバランスで混ざり合ってる作品 -
成長した男児ネタバレ2025年6月16日このレビューはネタバレを含みます▼ 読みホで読了。ヨルゲン&エスカンディルのシリーズ第二弾。小さなエスカンディルが15年で大きく成長。2人の関係が変化していく。星⭐︎4.0
ここからはBLの世界。千年以上生きているヨルゲンとたかだか数十年しか生きていないエスカンディル。この命の時間が違う現実をどう乗り越えていくのか。
いゃ〜頁数が足りない!性に目覚めたエスカンディルとか、もっとベタベタしたい欲求をいつから持ったのかのエピソードが後3倍くらい欲しい!前作では魔獣に襲われるエスカンディルをヨルゲンが助けにくるシーンに心持ってかれた。それでエスカンディルの隠された能力が開花する場面とかも欲しかったなぁ。やっぱり100頁程度では限界あるよね。
ただ、番外編は良かった。短いエピソードにも世界観と葛藤がうまく絡んでいた。大事な人の支えでありたいヨルゲンの優しさが沁みた。 -
喉を潰す意味ネタバレ2025年6月16日このレビューはネタバレを含みます▼ 読みホにて読了。独特の世界観、ストーリーは奇をてらうことなく想定範囲の展開で進んでいく。
シリーズ第一弾。星⭐︎4.0
ヨルゲンは山の神の眷属として生きている。風の属性の妻は4百年も連れ添ったが淡々とお別れ。その後7百年も妻を忘れられずに過ごすヨルゲン。この時間感覚が不思議だ。
物語はヨルゲンの元に魔族の子供が贄として転がり込んできた事で進みはじめる。エスカンディルと名付けられ、ルーブの愛称で呼ばれる男児は人間によって酷い扱いをされてきた。それは喉を潰され声を上げれない、粗末な食べ物で最低限の飢えを凌ぐ日々だったりと悲惨極まり最後は山への供物とされる。(ルーブは危うく魔獣に食べられそうになっていたが声があげられないから助けも呼べないんだよなぁ。酷いことをするもんだ)
初めこそ面倒がっていたヨルゲンはルーブに生活するための習慣を教えていく。
「その名を呼ぶ」はヨルゲンとエスカンディルの出会い編として少女マンガのカテゴリーだ。時間の感覚や服装から縄文や神話を連想してしまう。色んな神の眷属が出てくると面白さが広がりそう。 -
語った夢を受け入れるネタバレ2025年6月16日このレビューはネタバレを含みます▼ 最後の結末が良かった。星⭐︎4.0
高校で理想的な彼氏ができた江藤貴史と人気者で誰からも好かれる恩田湊人のラブラブストーリー。家庭環境が良くない中で必死に生と死を見つめている2人。
江藤がとにかく俯きがちでネガティブ思考。それを恩田がやんわりと前向きな視点へ誘っている。
読み進めるうち、あまりに理想的な恩田の彼氏ぶりに不安がよぎる。江藤がぐるぐる考え込む気持ちも分からなくもない。江藤は祖父の助言がなければ中卒で働かなくてはならなかったのだ。その理由も本編では読めるので是非ページをめくってほしい。
終盤は江藤が恩田の気持ちをどんどん受け入れていく、表情も優しくなると、なんか男前が上がってないか?と見えてきた。読後は少し余韻に浸ってしまう。
時々、読み返ししたい作品。いいね
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王子の純情ネタバレ2025年6月13日このレビューはネタバレを含みます▼ 吉池マスコ先生の作品はしみじみと良い。星⭐︎4.0
時系列的には「魔王様、この恋はなかったことに!」を読んだ方が入りやすい。
物語は鬼国王子の九十九が5年もかけた片想いが失恋に終わったところから始まる。九十九はヤンキーの格好をしてはいるが中身はかなりの初心。好きな子にはとことん尽くすタイプ。相手を丸っと受けとめる器を持っている。対して百合也は人間とイン魔のハーフ。美形な上に好きな人を甘やかせることができる人。ただ百合也にはその美しさゆえの事情があって。
九十九に肩入れしている身としては百合也が美形でもちょっとマイナスが多かった。最初こそ九十九達に反発するけどすぐ次の恋に身を費やす心変わりの早さ。百合也が本気で愛されてなかったとしても彼の愛はどうなのか。
そんなことを詮索したりしないのが九十九の愛。カッコイイ!まあ百合也とラブラブしている顔つきで幸せ度が測れるから、外野は見守るのみ。
九十九が百合也を何年も探し続けて、やっと見つけた時のセリフの凄さ。痺れる〜〜♡
鬼国王子の純な愛に打たれたい方へオススメの作品。 -
いかなる時もふたりでネタバレ2025年6月10日このレビューはネタバレを含みます▼ タイトル帯にビビって読めずにいた作品。だが、いまは深夜枠でドラマにしてほしいくらい。星⭐︎は4.2
清掃員の山口楓と自堕落な生活で女性のヒモをしている亮のとてつもない執着劇。楓の良心や精神性がなかったら救われなかったなぁ。
楓は甲斐性のない父親を持ち、祖母に育てられる。亮はお金はあるが子供に興味を持たなかった?母親に育てられる。親の愛に飢えた2人が埋められない寂しさを補おうと求めたことが始まりなのか。
亮はとことん楓をほしがる。亮が手段を選ばない代償は大きかった。その罪の重さが楓を縛りつけていくようで怖かった。いつか2人の関係が破綻するのではないかとハラハラしながら読み進める。
亮の凄さは楓への執着がブレずに大きく育つこと。それを愛と呼んでもいいのかもしれない。
レビュータイトルは亮の愛をつぶやいてみた。
良い作品。ただし心の余裕がある時がオススメ -
俺以外にはときめかないで【シーモア限定描き下ろし漫画&電子限定描き下ろし漫画付き】
心臓の眉毛が気になる!ネタバレ2025年6月8日このレビューはネタバレを含みます▼ 水曜日先生!ありがとうございます😊
今回もドキドキがとまらなくて苦しかったです。
こんな甘々なストーリーで何故動悸がおきるのやら💦
星⭐︎4.1
表題作と短編が入っている。もう水曜日先生の作画にズブズブ沼っているので、どちらも好き❤️難点は頁数が少ないから色々、都合良く進んだり伏線が回収できずに放置されてしまう事。
表題作の李央と千秋は既にカップルとしてストーリーは始まっている。付き合いたての葛藤は好きだから嫌われたくない。好きになってほしい。自分を見て幸せな眼差しでいてほしい。ちょっとした言葉の使い方や仕草でお互いの気持ちが揺らいでしまう展開が旨い。
ただ気になったのが李央の心臓、めっちゃ顔が濃いんですけど^_^
短編の「恋愛アンチテーゼ」は志麻と青石涼平の付き合うまでのストーリー。こちらも良かった。志麻が内向き視点から優しく接してくれる涼平の相手目線へ視点がチェンジして行く展開が素敵。
水曜日先生の相手を想うセリフがシンプルですき。
ちょっとカッコイイ攻めが嫉妬したり必死になるのがお好きな方にオススメの作品。 -
あっくんまーくん🩷ネタバレ2025年6月6日このレビューはネタバレを含みます▼ 無口なヤンキー要亜蘭と幼馴染の伊藤政宗が底辺高校城東で繰り広げるストーリー。
面白い!キャラクター達が自由に生きている。学園ドラマのド、定番なのに読んでいて飽きない。
星⭐︎4.1(微妙な数字は終着点がまだ見えないから)
読み放題で読めるのはラッキーだった。亜蘭にしても政宗にしても玉井にしても宇野でさえも愛すべきキャラ❤️になる。始まりは少し重めだったけど、中盤過ぎたらそんなストーリーはスカッと脇に置いて、高校生達ののどか?な日常を日記のようにめくって読める楽しさ。
亜蘭がとにかく政宗が好き!ブレない。勉強できなくても大事なことは外さない人。
政宗は漢なのがいい!賢いだけじゃなくて大切な人を理解して受けとめる器の広さ。
玉井も口は悪いけど仲間を大事にするいい奴。女を見る目がないのがまたイイ。亜蘭と並ぶと絵になるのがカツコいいよなぁ
漢同士が対等にカップルになるのがお好きな人に薦めたい作品 -
いつだって俺の世界の真ん中にいるネタバレ2025年5月28日このレビューはネタバレを含みます▼ とても素敵な作家さま。星⭐︎4.0
点数低めは、頁数が少な!もっと読みたい!と思ったから。いい作品なのでお休み前に読んでほしい。
読みホで読了。塗装工で独立を目指す鈴木春壱と身体ハンデを持つ薬剤師の野中近邦の物語。
どちらも家庭環境が良くない中で力強く生きている。荒れたり病んだりせずに与えられた世界を受け入れる前向きな二人が好きになった。
ハルの母親もチカの父親も弱い人間なのに、二人ともその弱さを否定していない。心が強くないとできないことだ。すご〜〜〜く健気な2人に思いっきり大きな拍手を贈りたい。
レビュータイトルはハルの想いが伝わってきたセリフから☘️ -
魔王カムバッーーーーーーーーク‼︎ネタバレ2025年5月14日このレビューはネタバレを含みます▼ マスコ先生の作品がスキ❤️ラブコメ要素満載で楽しい。時々爆笑🤣ちょっとキュン🥰星⭐︎は3.9
高校生の八神澄雄は幼馴染の美佐子に片想い中。そこへ天使見習キューピット(呼び名がポンコツ)が現れて恋の成就を手伝ってくれるという。澄雄の本気の愛をこめた矢が刺さった先がトンデモない相手に当たって‥
スタンダードな始まりでストーリーは進んでいく。
想定通りの展開。(だからレビューが少ないのかな)
だかしかし、どんなに手垢にまみれた設定でも才能ある方の物語は面白い。澄雄はチャラ男に見えながら性格は素直で一途(小学からの片想い)魔王はミステリアスで美しい肉体美そんで澄雄を大事にする。
そして、カッコいい九十九先輩!が登場する(スピンオフ作品有り)この九十九先輩は一癖ある。そもそも魔王より先に九十九先輩の方が澄雄の良さに気づいて見守っていたのになぁ。
マスコ先生!魔王と澄雄のご褒美はごちそうさまでした。R-18にて肉体美共々美味しくいただきました。しかしあれで終わりではないですよね。九十九先輩のスピンオフの次は魔王に戻って来ていただけるのですよね🥹
あの放置プレイはヤダ!ヤダ!ヤダ!ヤダ!ヤダ!
魔王カムバッーーーーーーーーーーーーーーーク‼︎ -
セクシーな機械仕掛けネタバレ2025年5月10日このレビューはネタバレを含みます▼ 読んでも読んでもBL気分になれない。ジャンルを間違えたか?とサイトで確認までした。
冒頭からどこか懐かしい洋画を彷彿とさせる。序盤は明るいのんびりムード。それが中盤から一気にスピード感マックスで駆け抜けて行く。星⭐︎は4.8。
物語は人類が宇宙へと繰り出せる時代に変化している。
教師をしているジョンは家族が出かけるクリスマスを自宅で1人楽しむ計画をしていた。そこへ祖父がとんでもないモノをプレゼントした事で人生が変化して行く。
この作品には数々の映画のオマージュがある。ストーリーとかけ合わせて遊んだのかは定かではないが、作者の観た映画の片鱗が散りばめてあるのもセンスあり。
そもそもタイトルが可愛いモグワイを思い出すなぁ(😳脱線してしまった💦)
ニャオスキー先生は「マジックアワーの恋人たち」も描いていらっしゃるが、そちらは日本映画のテイスト。
「嘘つきギズモ」は洋画テイストがステキ。
どちらもBL要素はあるけどご褒美は無い。どんな濡れ場を描かれるのか興味はあるが、ストーリーが充実していれば満足できる。誌面のカメラワークが良くて、風景の捉え方もいい。次はどんな作品で楽しませてくれるだろう。とても楽しみだ。
エンタメ感満載の作品をお探しの方へオススメの作品。 -
俺に愛されたなって記憶だけを残したいネタバレ2025年5月9日このレビューはネタバレを含みます▼ 頁数が少ないのでご褒美は無い!しかしストーリーがいい!星⭐︎は4.5。ここは北川がスペシャルにカッコいい
母親を亡くしたばかりのカフェ店員Ωの望月と顔良し格好良し、医師として勤務するβの北川の想いがつながる物語。
ちょっと前に購入して積んどく状態だった。購入した自分を褒めよう。よくやった🙌
さて、導入部分の不安定さや謎めく伏線。これはちゃんと回収される。何かが始まる映画のような風情。冒頭で望月は古いカメラを手にとりファインダーの中に幸せそうな家族を見つける。服装からかなり前の時代の人物のように見える。
タイトルのマジックアワーの意味は作中で解明されるけど、古いカメラは誰の物なのか。何故、同じ人物が何枚も撮っているのか。かなり余韻を残す作品だった
作中の空や田舎の風景もとても良かった。どこの場所を舞台にしたのだろうか。聖地巡礼してみたい。
そして推したいのが北川!紳士で情熱的。これでαじゃないのも憎い!特に後半の北川の立ち振る舞いが、時代とマッチしている上にそこからの展開が見事!
面白いドラマは先が読めていても楽しめるので作者のプロデュース力を堪能してほしい作品。 -
嬉しい以外考えてなかったよネタバレ2025年5月7日このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作と短編が入っています。表題作だけなら星⭐︎3.9
しかし、短編もかなりいい作品だと思います。
なので1冊の評価としては星⭐︎4.2
表題作は人狼の捷太が大学生の矢野悠紀と出会って縁を深めていく物語。
捷太は並外れた能力で秘密裏で公僕として仕えている。設定がとても
よくできていたので捷太やその同僚の活躍を思う存分読みたかったのが本音。
作画が青年漫画のタッチだなと思ったら、別PNで少年誌に読み切りを描いていらっしゃる。ちょっと納得。
そして本音を言うと、これからもBLに片足は置いてほしい!最近人外モノにはまっているので独特な世界観を存分に堪能したい!
大学生の矢野悠紀は若くて少し頼りないけど、大事なときは柔軟に考えて行動できる好青年。ストーリーも大事だけどキャラクターも作品に命を吹き込んでくれる。
捷太の頼もしさと矢野の優しさが心地よい作品。
もうひとつの短編は可愛いもの好きの綿抜と同級の青葉の高校生物語。
実はこの作品が良くてレビューしたくなった。設定は他でも読んだことある定番?なストーリー。しかし、綿抜が青葉に示す優しく素直な言動と青葉の好きな人のために寄り添って楽しむ爽やかさに♡がキューンとした。
青葉の小柄な服装とか年相応で可愛いのもポイント高かった。せっかくの関係が壊れるかもと悩むシーンも高校生らしくてワクワク。
途中、少女漫画を読んでいたか?と表紙を確認するほど入り込んでいた。
レビュータイトルは短編集から印象深いセリフをお借りした。
これからの活躍が楽しみな作家さま。またレビューしたい。いいね
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八つ裂きにされる⁉︎ネタバレ2025年5月4日このレビューはネタバレを含みます▼ 人外魔族モノ。コメディ寄りの短編集。
1話、上司インキュバスの混血×元部下人間。2話、獏の混血(ほぼ人間)×鬼。3話、妖精族ゴブリン×吸血鬼の混血。星⭐︎4.5
どの短編も推す!しかしイチオシは獏の夢野と鬼の無灯のカプ!これはかなり美味しい。
イイモ先生の腰の細いキャラがご褒美モードに入るとめっちゃ色気立つ。ごちそうさまです🙏
そして夢野の友人たちも魅力的な設定だった。
「俺たちを‥」と言うセリフはしびれます。
人外魔族モノをシリーズで連載してもらえないかな。
「悪癖」もとても良い作品でしたが、こちらの作品はよりタイプ♡
表題作だけガッツリ読みたい派でも想像力を刺激して楽しめる短編集! -
楽しいことが起きるかもしれないよネタバレ2025年5月3日このレビューはネタバレを含みます▼ さびれたアパートで退屈な日常を繰り返している七野とヴァイオリニストとして活躍していた朝井祐がお隣同士になったことでうまれた物語。星⭐︎は3.9。
絵も上手い!祐がヴァイオリンを弾くシーンは素直にカッコイイ♡
朝井祐は自由奔放だが実力派。そして貞操観念が恐ろしく無い(^_^;)冒頭、2号(彼の名前を探したが見つからなかった。哀れなモブ)をいきなりビッ○呼ばわりで切る。
もちろん1号3号も居る(顔の整った美形)
色んな意味で自分に正直なんだろうなぁ。実力のある人だから関心が他人より自分。そこに行き着く過程が彼にもあるはず。
作中、祐が七野にかける言葉は真っ直ぐで強い。
レビュータイトルはそのお言葉をおかりした。
もっと実力を発揮して輝いていける作家さま。素敵な作品をありがとう。 -
あの人の為ならネタバレ2025年5月2日このレビューはネタバレを含みます▼ 高校野球ファンの柏木係長とがたいは良いがアイドルの推活に夢中な部下、黒瀬の物語。星⭐︎は4.4。
作品全般で黒瀬の表情筋は瀕死状態だ。その分柏木が明るくて人当たりがいい。
黒瀬は好きな人への愛情表現がものすごく控えめ。
(アイドルの推し活は食い気味なのに)
まぁその控えめが読み進めると、おお!と前のめってしまう程のシーンが出てくるのは上手い!
黒瀬の好きなタイプは可愛い人。それに比べて柏木はかなり淡白な性格なのかと思っていたが、いやいやこれはもしかしてと思える場面が最後の特装版書き下ろしに出てきた。それで読み返すと別方向からの読み方が生まれた!やぁ、スポーツしている男子はカッコイイなぁ♡
硬い表情筋の下で大きな優しさをたずさえて寄り添ってくれる人をお探しなら是非読んでみてほしい作品。 -
今夜は思い切り溺れたいんだネタバレ2025年4月27日このレビューはネタバレを含みます▼ 単行本になるのを待ちわびてました。犬太郎ワールドは異形人外モノでデザインはがっちり構築されててとにかく面白楽しい。ご褒美もあり♡
ストーリーは険悪な関係だった魔人の北東国と人間の西国が和平同盟を結んだことから始まる。魔人デネブと西国王家のアルカド王子の物語。
アルカド王子の爽やかさがカッコいい。良識と見識と教養も兼ね備えていながら政略結婚で大きな魔人の伴侶となる。
デネブはいかつい異形。しかし紳士で穏やかな性格を持ち、魔力も強いのに圧を微塵も感じさせない。細やかな気配りで頼れる存在。
突然だかアルカドの悩みにキュンがとまらない。有能で誠実なのに、そこ悩むんだぁ(カワイイなぁ)
未開拓ジャンル?に挑戦したい時にオススメの作品。 -
すごくドキドキするネタバレ2025年4月21日このレビューはネタバレを含みます▼ 読み終えた後にレビュー衝動がやってきた。⭐︎は4.3。
どうも黒髪の色気に当てられたようで伊佐と組長の息子、亮平に視線が釘付けになる。
物語は45歳の伊佐、龍栄会の構成員で現役高校生と教員を目指して臨時職員として高校に勤務する森山先生25歳。伊佐は社会的にはみ出しものだが、穏やかで大人としての立ち居振る舞いが魅力的だ。
今回、この作品を読んで伊佐の横顔や切ない眼差しにハートを持っていかれてしまった。
伊佐が自らの生い立ちを後悔したり、恨んだりするシーンは少なかった。生きていくために選択肢が多くない人の処世術なのかも知れない。
そんな中に伊佐を理解してなんなら心情まで代弁するのが、坊ちゃんこと亮平(さりげなくフォローしたり、やんちゃしたりでその信頼度が伝わってくる)
この2人の関係がとても深くて、憧れた。
レビュータイトルは森山先生がつぶやいたセリフ。
学園ものがマンネリ気味になったときに思い出してほしい作品 -
胸がザワつく!ネタバレ2025年4月14日このレビューはネタバレを含みます▼ 刑事×BLは相性が良い。作風と内容はマッチしている。
特殊能力を持つ朝子巡査と監督指揮する黒岩警視の警視庁特命捜査対策室第六係の物語。
始まりの「スティグマター聖痕捜査ー」は青年誌で惨虐な場面に耐性のある方はそちらもオススメします。
「スティグマター愛痕ー」はその続編?青年誌とは違うBL切り口になっている(流血もソフト)
聖痕捜査での活躍が愛痕の深みにつながったと思う。
両方を読んで、うわぁ!いい作品だと胸がザワついた。
画面は白と黒のシンプルさが懐かしくもあり、それでいて洗練されている。聖痕捜査はTVドラマで愛痕は映画を眺めている気分だった。数々の熱いレビューにも頷いてしまう。
特に愛痕の2巻終盤はそれまで映像フィルムみたいな枠線が徐々に波のように変化して進んでいく。見事な演出でクライマックス感に包まれた。
聖痕捜査はもう連載されてなくて残念、これは時代の流れなのかな。キャラデザインや設定も厚くて、ほかにも魅力的な人物が脇を固めてくれてる。骨太でダークな物語が好きなら是非読んで頂きたい。 -
ピンクの空で思い出すネタバレ2025年4月10日このレビューはネタバレを含みます▼ 望のツッコミがメッチャ面白かった。星は4.5。
夢咲望は夢を売る「夢屋」でバイトをしている夢魔。
そこへ黒曜聡太郎が客として現れる。この黒曜の夢に色っぽい望(肖像権不許可)が登場することでストーリーが展開していく。
悪魔が人間と共存している設定は楽しかった。しかも悪魔が社会的弱者なのもいい。
今作で一番気に入ったのは、望が夢魔の生まれ持った能力で人と関わっていこうとする姿勢。夢魔として人の心の在り方を解き明かしてほしい。
それと独占欲の塊になった望が黒曜の夢の奥のおくへ入って魂を食べてひとつになりたいと欲する部分にゾワッとした。
独占したいとは体の一部にしてずっと愛でていたいに繋がっていくのかぁと納得してしまった。
ちなみにピンクの空はビーナスベルトと呼ばれる大気現象。ビーナスが美と愛(恋)の女神なので意味深。
ファンシーな雰囲気で楽しく読めてしまうが、記憶に何かを残してくれる作品。 -
怯えた顔もツボなの?ネタバレ2025年3月27日このレビューはネタバレを含みます▼ 出会って瞬間恋⁈
春原累が宮良仁のどこに惹かれたのか疑問なままに(宮良も初対面で色々されても受け入れる度胸がスゴイ)カップル誕生!こんなに会話が噛み合わないのに、上手くいくの?しかも宮良の怯えた顔に惚れるって。恋なの?(しかし、いるよね。話噛み合わなくてとんでもない場所に会話が着地する人。ホント、ネタの宝庫ではあるけどさ。)
ストーリーは宮良の社畜、ヘタレで流されやすい、押しに弱い特徴を活かして甘々な両想いに着地。
星が4なのは宮良が春原に絆されて(懐かれて)恋になる以外に彼の心の揺れや葛藤も欲しかったなぁ。ノンケなら葛藤があるだろうし、ゲイでもバイでも好みぐらいはないか?宮良も謎な男だ。 -
これは参りました!ネタバレ2025年3月26日このレビューはネタバレを含みます▼ これは参りました!そう来るのか?と唸らせられました。最終はハピエンですので、安心してほしい👌
主人公は8年ぶりに育った町へ戻ってきた斧塚薫(旧姓、阪上)。彼は叔母の弁当屋の手伝いを始めていた。地元では元カレ?と出会ったり、あまり良い思い出のなさそうな感じ。そんな時、弁当屋の得意先で小説家の石清水と出会う。
石清水は男と激しいプレイで欲求を解消する嗜好の持ち主。そして斧塚を気に入り、事あるごとに口説き始めて物語は進んでいく。
読了して気づいたこと、色々。
小説家で言葉を駆使できる知性がありながら、肉体は乱暴に扱われたい石清水。性欲や嗜好に隠された本音があると思える。
暴力を振るうことで好きな人や学校、職場をなくした斧塚。硬派で情に深い、心の痛みを知っている人。お弁当屋を引き継いで行くようなので、美味しいお弁当が沢山の人に届くといいな
そいでもってこの作品もたくさんの人に読まれてほしい。 -
これは良品です!ネタバレ2025年3月24日このレビューはネタバレを含みます▼ 舞台は少子化が進んだ未来。人類はDNAの3種類に分かれていた。
Aは人工受精で作られて、恋もしないタイプ。
Dは全滅した旧人類の遺伝子クローンで種無しタイプ。
Nは自然生殖で生まれた絶滅危惧種タイプ。
旧人類は2〜300年前に滅んだ設定。
主人公はNタイプの天兎(アマト)、そしてDタイプのハチ。設定が作り込んであるので内容を理解するのにひと手間はかかる。しかし最後まで読んでみると理解できた部分から面白さがアップして、300頁がペロリ。
たっぷりエ○もある。だがそれ以上に伏線がどんどん回収されるSFファンタジーの世界を堪能してほしい。
決して新しいだけの近未来モノではなくて、古い時代の懐かしさも入っている。
天兎はシンガーの時は黒髪の美人に変身するし、それでいて肝の据わり具合は頼もしくもある。
ハチはスポーツ万能のカッコ良さと一途さもあり、後半は物語のかなめになる。
細かいところは、天兎のウサギとかハチのぬいぐるみの兎とか少子化のテーマに兎の象徴がかけてあるのも憎い。セキュリティードローンも斬新だし。ネーミングセンスも良い!
独特の世界観は好き嫌いが分かれやすいだろうな。
BLのカテゴリーの中だけに収めておくのはもったいない、ちょっと時間をかけて読んでほしい良作です。 -
山を登る感覚で2025年3月19日スポーツ用品を扱う会社のポンコツ社員、山本は雪山の山小屋で軽装備の熊飼篤俊を助ける。下山したあと、接点のなさそうな2人は再会を果たす。熊飼は元ラガーマンで立派な体格に優秀なエリートサラリーマンだった。
そこから山を通してお互いの距離が近くなって行く。
エチはほぼ無く、同衾と💋があるくらいです。
いい年齢の2人だけど、恋愛は10代のよう。
主役の山本は下の名前が出てこない💦
山本は自己肯定感が低いネガティブコレクター(気分の上がらない言葉だけを選りすぐって集める人)猫背でいつも疲れた表情で日々を過ごしている。そんな彼が山に行くと安らぐらしい。山に登っても決してポジティブな思考になるわけではなさそう。
山本は山と熊飼と仕事と自分に少しずつ折り合いをつけていきます。ここらへんは山を登る感覚なのかも。一気に登れない、ジワジワと上に上がっていく。
初めての作家さんで良い作品でした。長く活躍してほしい。奇数頁にタイトルロゴが入っているのもなんか良かった。もっとみる▼ -
どうしても惹かれるネタバレ2025年3月15日このレビューはネタバレを含みます▼ 中華BLです。治水オタクに恋する皇太子(皇帝)の話。1巻では終わらず続いてます。(終着がわからないので星4つ)
どうして、高貴な人はオタク気質の人(行き過ぎれば変人に限りなくちかい)の言葉や仕草に恋するんでしょうね。
容姿に恵まれ、才覚も備え、誰よりも努力してきた龍楊皇太子。その皇太子のハートを熱くしたのが、よりによって身分も低く世渡り下手の治水オタクの王佳。
なぜ龍楊皇太子は王佳と出会って惹かれたのか。
龍楊皇太子が逃げた先に何故、王佳は居合わせたのか。
誰かにひかれるのは、どこかに同じ熱量があるからなのか。
これから大事業を成し遂げていく2人のサクセスストーリーが待ち遠しい♡ -
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初恋の威力ネタバレ2025年3月10日このレビューはネタバレを含みます▼ 男子校の同級生だった、楠井太一と千鶴和柊の再会ストーリー星⭐︎3.8
中学2年に図書委員で顔見知りになった二人。楠井は小柄でおとなしい千鶴和の笑顔に惚れてしまう。勢い余って千鶴和に交際を申し込んでOKをもらうのだか、手も握らずに自然消滅。
時は経過して、アラサーになった楠井が同級生と飲み会をしている席にイケメンに変貌した千鶴和が現れた!
(スーツやネクタイ姿が爽やかで、しかも色っぽい)
15年ぶりの再会なのに開口一番、交際していたことを暴露する千鶴和に楠井も同級生も私もビックリ(今そこで?)
楠井は中学卒業後にごくごく普通な男女の恋愛を経験したのだろうが。千鶴和は外見と一緒に恋愛経験値も大きく積んだのか?実に巧みに楠井を押したり推したりして大人の交際へ繋げていく手腕はあっぱれ!
(楠井とデート中に仕事の電話に出る千鶴和は実にステキだ)
全体的に大きな波乱も少なく丸くおさまってる。
千鶴和が楠井をとにかく好きなのが前面に出て、初恋の威力を感じる作品でした。 -
健気な想いが交差する2025年3月6日高校時代の同級生だった、平井晃太と鳴海貴一郎。キイチは暴走族のメンバーで晃太は学校でケンカの強さを売りにしていた。
その2人を紹介したのが暴走族の統領トオル先輩。物語はほぼこの3人で進んでいく。晃太とキイチは体の関係がありながら想いを伝えられず、キイチが東京へ転校して疎遠になってしまう。
晃太がキイチを好きなのは伝わる。なんだけど、キイチはどうなのか。社会人になり会社を辞めて行き詰った時点で晃太を懐かしんでいるようにも見える。
今更?と思えなくもない。
しかも薄情な奴とも思えるのに再会後の晃太の健気さが切なくなる。好きなんだよなぁ。理屈じゃぁない。
好きだと楽しいし、笑顔になっちゃうんだよ。
今回は晃太に肩入れしているなぁ。
モダモダが続くので前半はスピード感がでない。しかし後半はギアチェンしたようにグッと盛り上がります。
本作がデビュー作の作家様、これからの作品が楽しみです。もっとみる▼ -
ロマンがあるネタバレ2025年3月5日このレビューはネタバレを含みます▼ 最新の流行りに埋もれながら、たまーに記憶の端っこで思い出してしまう作品がこの「BLACK BLOO」
脳以外サイボーグのイーサンが生身の人間で研究者のミハイルと出会い、懐かしい感情を思い出すお話。
アンドロイドの恋とはひと味違う。サイボーグは身体の一部が機械で人工物。しかもイーサンは軍事用サイボーグのため生殖器がない。(お?と思える設定の細かさとかがあちこちにしっかり入っている)
それじゃミハイルとのエチはどうなるのか!そこは琥狗先生の手抜かりのない展開を楽しんでほしい。
作品が持つテーマが普遍的です。イーサンは戦場では見つけられない何かを探しに来たけれど、見つけられたのか。色々余韻のあるロマン感。今なら、青年誌でもいけそう。
まあ、イーサンの顔面がBL的にどうなの?といわれたらあせるなぁ。高感度スコープじゃぁ、ロマンチックなキラキラは厳しそう。
ん?表紙は見つめ合ってますね^_^ -
不器用攻めがカッコイイ!ネタバレ2025年3月3日このレビューはネタバレを含みます▼ 水曜日先生!ありがとうございます。
今回の不器用攻めのレベルが爆上がりで断然カッコイイです。
同中の同級生で、付き合っていた女に騙された朝井出亮とヤクザの三好夕星が再会して惹かれてあうお話。
亮くんはお人好しというか、流され易いというか、惚れっぽい体質なのか?つるりと夕星くんを好きになります(チョロい)付き合っていた彼女はどうした?などのツッコミは色々ある。
ただ、回想で2人には友情プラスαを感じる。
亮くんが一方的に話しかけて夕星くんの視界に入っている。しかもニコニコしながら話しかけている。しかもヘンテコなキャラクター商品携えて。無邪気というか、能天気というか。亮くんはすでに夕星くんに惹かれている気配あり!
都合良く話が進んでいくので読者は置いてけぼりになりがちかも。
作画が好みゆえに受けの泣き顔とか、気持ちを伝えようとする素直さが可愛くて、好き目線が外せない。
不器用攻めで受けを守りに来るタイプのダーリンがお好きな方にはオススメです。 -
願いの詰まった世界ネタバレ2025年3月3日このレビューはネタバレを含みます▼ ノンケ同士がお菓子をキッカケにくっつくお話。ごく普通のサラリーマンの青木課長と本社からきた、切れ味鋭いドスのような部下水野。
序盤はお菓子作りが趣味の青木に甘いお菓子が大好きな水野はいきなりプロポーズする展開で始まります。
青木課長は妻を亡くして幼い娘をもつシングルファーザー。水野は青木課長をとても慕っていて、好きだけを前面に出して距離を詰めたりしないとこが大人だなぁと思います。(娘とは取引きしたりするけど)
大人になってからの恋愛はこうあってほしいという私の願望が詰め込まれた一冊です。