源泉徴収票で知られた「障害者」 入居拒否の理由問う男女に貸主側は

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華野優気
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 賃貸物件探しで「審査承認」と連絡を受け、契約開始日の希望まで聞かれたのに、障害があると伝えた後に断られた――。朝日新聞に8月、そんな情報が寄せられた。障害を理由とした入居拒否は、国の指針で不当とされているはずだ。経緯を聞くと、障害者がなおも特別視されやすい実情が浮かんだ。

きっかけは、源泉徴収票の「○印」

 情報を寄せたのは東京都内に住む会社員の男性(36)。交際中の女性(26)と賃貸マンションで暮らしている。2人とも精神障害があり、無気力感が長く続く気分変調症やパニック障害と診断されている。理由もなく気力が湧かなかったり、人混みで気分が悪くなったりという症状があるが、日常生活に支障はないという。2人とも民間企業の事務系職員として働く。

 男性によると、現在より設備が充実したマンションへの転居を検討していた2人は7月、気に入った部屋を見つけ、近所の大手仲介会社に2人分の身分証や源泉徴収票と共に申込書類を出した。翌日、仲介会社のスタッフからSNSのメッセージで「審査承認」と連絡があり、契約開始の希望日も聞かれた。

 その2日後、同じスタッフが、物件の管理会社からの問い合わせを伝えてきた。

 源泉徴収票には本人の障害の有無を示す欄があり、所得税障害者控除の適用があるかどうかの参考にできる。男性の徴収票に「○」があるのを見た貸主が、詳細を知りたがっているという。

 診断名を伝えたところ、翌日になって仲介会社から管理会社の意向が伝えられた。

 「今回の契約は見送らせて頂きたいとの事でした」

「障害を知られるのが怖くなった」

 転居の経験はあるが、賃貸を…

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