中国映画が話題、「731部隊」は何をした? 日本の識者の見方は

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聞き手=岩田恵実
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 旧満州中国東北部)で捕虜らに生体実験をしたことで知られる旧日本軍の731部隊を題材にした中国映画「731」が中国で公開され、話題になっています。中国のSNS上では、残酷な実験の場面に「歴史の真実だ」という声もあれば、演出の仕方に違和感を訴える声も。そもそも731部隊とはいったいどのような部隊だったのでしょうか。7月に新書「七三一部隊の日中戦争」(PHP新書)を出版した愛知学院大学の広中一成准教授に聞きました。

 ――731部隊とはどのような部隊でしょうか。

 正式名称は関東軍防疫給水部です。表向きには、戦場の日本兵に飲用水を供給したり、細菌感染を防ぐためのワクチン研究などを行ったりする一方、秘密裏に細菌兵器の開発、製造、そのための生体実験を繰り返した部隊です。統括したのは部隊の創設者で、陸軍軍医、石井四郎です。

731部隊が中国で行った「細菌戦」の実態も研究で明らかになっています。なぜ、人体実験などの行為が「うそ」と言われるのか、現在の私たちがどのように731部隊の歴史に向き合うべきかについても解説しています。

きっかけは対ソ戦の備え

 ――どのような経緯で細菌兵器開発が始まったのでしょうか。

 細菌兵器の使用は1928年…

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この記事を書いた人
岩田恵実
瀋陽支局長
専門・関心分野
中国、事件、災害