人質返還、トランプ氏の仲介は実るか 直前に「ハマスは拒めば地獄」

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ワシントン=青山直篤
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 トランプ米大統領は3日、イスラム組織ハマスが条件付きで人質全員の返還に応じる声明を出したことを受け、「ハマスには永続的な平和に向けた準備があると信じる。イスラエルは直ちにガザの爆撃を止めなければならない」とSNSに投稿した。実際の返還に向けて細部を議論しているという。

 トランプ氏は続いて自らの演説動画を投稿し、「私がこれをまとめるのを助けてくれた国々に感謝したい」と切り出し、カタール、トルコ、サウジアラビアエジプトヨルダンを列挙。今回の和平案をめぐり事前に協議を重ねていたこれらのアラブやイスラム諸国への配慮を示した。またトランプ氏は「すごい日だ。これからどうなるか、成り行きを見守ろう。具体的な文言に落とし込む必要がある」とも語った。

 和平仲介の実績を出すことを切望してきたトランプ氏としては、ハマスが自らの働きかけを拒絶しなかったことは一定の成果といえる。9月30日時点で回答期限は「約3~4日」だと述べ、ハマスの回答に先立つ3日午前には、米東部時間5日午後6時(日本時間6日午前7時)までに合意するようハマスに要求。拒んだ場合は「誰も経験したことがない地獄」が訪れるとSNSへの投稿で警告していた。その直後にハマスが条件付きとはいえ、人質返還を発表したことで、合意に向けた交渉で細部を詰める時間的猶予が生まれた形になる。

 即時の戦闘停止や人質全員の…

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この記事を書いた人
青山直篤
アメリカ総局員
専門・関心分野
米国、国際政治・経済、日米関係、近代史
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    小谷哲男
    (明海大学教授=外交・安全保障)
    2025年10月4日7時35分 投稿
    【視点】

    トランプ大統領がまとめた和平案をハマスが受け入れる可能性は低いとみられていた。事実、ハマスからの回答は、停戦後のガザの統治にハマスも関わるとするなど、イスラエルが受け入れられないものであった。それでも、トランプ大統領はイスラエルに即時の攻撃

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