複雑な歴史たどったモルドバワイン、万博でPR JICAも後押し

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天野みすず
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 ウクライナの隣国・モルドバが、大阪・関西万博でワインをPRしている。ワインは同国の主要輸出品の一つだが、かつて最大の輸出先だったロシアから禁輸措置を受け、西側への輸出を広げてきた。国際協力機構(JICA)も日本での認知拡大を後押ししている。

 8月31日、万博会場で開かれたモルドバのナショナルデーイベントに、レチェアン首相が出席した。「モルドバと日本は地理的に離れているが、公正で平和な世界は国際秩序を通じてのみ実現可能だとの信念を共有している」と力を込め、自国のワインを「世界中の愛好家が称賛するモルドバの宝」とアピールした。

 共同館「コモンズD」内の同国パビリオンには、石灰岩層の地下セラーが再現されたワインコーナーがある。ショーケースには、国際品種の白ブドウ「シャルドネ」や黒ブドウ「ピノノワール」に加え、古くから伝わる土着品種で造られたものなど計14本のワインが並ぶ。

 シャンパーニュと同じ製法のスパークリングワインや甘口のアイスワインなど、高品質なワインを生産していることがわかる。

 モルドバの面積は九州よりやや小さく、人口は約260万。ウクライナの隣で、欧州連合(EU)加盟国のルーマニアとの間に挟まれている。公用語はルーマニア語だ。

 ロシアによる2022年のウクライナ侵攻直後にEU加盟を申請し、昨年、加盟交渉を始めた。

 モルドバのワイン生産者組織の日本支部「一般社団法人ワイン・オブ・モルドバ・ジャパン(WoMJ)」によると、モルドバのワイン作りは紀元前3千年ごろ始まったと言われる。世界でも歴史の古いワイン生産地の一つだ。中世には奨励策が取られ、隆盛を極めたという。オスマン帝国やロシア帝国の支配、2度の世界大戦を経て、ワイン造りは続けられた。

 旧ソ連構成国で、1991年…

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この記事を書いた人
天野みすず
大阪社会部|教育(大学)
専門・関心分野
国際政治、EU(主に独仏関係)、ワイン、日本酒、茶華道
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    服部倫卓
    (北海道大学教授=ロシア・東欧)
    2025年10月5日14時51分 投稿
    【視点】

    モルドバは、日本から観光に出かける人は少ないと思うが、記事にある世界最大のワイン貯蔵施設は壮観であり、それだけのためにモルドバに足を伸ばしてみても損はないと思えるくらいである。 昔は、ロシアで消費されるワインのかなりの部分が、ジョージア産と

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