かめはめ波の裏にある「弱み」 世界王者のライルズが見せる二面性

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遠田寛生
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 深夜にもかかわらず大勢の報道陣が詰めかけていた。

 9月19日。陸上の世界選手権(世界陸上)東京大会、男子200メートルのメダル会見。

 多くの記者のお目当ては、優勝したノア・ライルズ(米国)だ。

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 大半の質問が彼に向かった。東京に来て最もおいしかった物を問われると真剣に考えて答える。

 「人生で最高のラーメンを食べた。(日本人が)どうやって調理しているのか分からないけど、鶏の唐揚げも抜群だ」

 「それとみそ汁。朝飲んだ一杯は格別。昔から好きだけど、朝食にする考えはなかった」。止まらない答えに、会見場は笑いに包まれた。

 旺盛なサービス精神は、記者会見での話術だけではない。

 レース前後にはアニメの主人公らをまねたポーズを披露する。自分が好きなことを「ファン」と共有する瞬間をつくりたいのだという。

 一番好きと語る、人気漫画ドラゴンボールの「かめはめ波」のポーズは、「代名詞」といえるぐらいなじんで見える。

 米南部フロリダ州出身の28歳。ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が引退を表明した2017年以降、「ボルト・ロス」が心配される中で世界の陸上界を盛り上げてきたスプリンターだ。

 19年世界陸上ドーハ大会の200メートルで金メダルを獲得すると、23年ブダペスト大会では100と200メートル、400メートルリレーの3冠を達成。昨年のパリ五輪は100メートルで優勝した。

 今回の東京大会では、男子200メートルで4連覇を達成。ボルトしか成し遂げていない偉業に並んだ。

 だが、最も人を引きつけるのは、光よりも影の部分かもしれない。

 新型コロナウイルスの感染が…

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遠田寛生
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