戦禍に生きるガザの住民 「戦争止まるか…」 国家承認にかける希望

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石原孝=スデロト 今泉奏
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 英国やカナダなどに続き、フランスなども22日にパレスチナを国家として承認した。イスラエルの攻撃や占領に苦しむパレスチナの市民からは歓迎の声があがる一方、安全の確保を求める訴えも相次いだ。反発するイスラエル側は対抗策をとる方針で、パレスチナ自治区ガザへの侵攻を続けている。

 主要7カ国(G7)では初となる英国やカナダをはじめ4カ国がパレスチナを国家承認した21日、記者はガザとの境界から数キロ離れたイスラエル南部の街スデロットなどを訪れた。イスラエル軍が地上侵攻した最大都市ガザ市の方角から時折、大きな爆発音が鳴り響き、黒煙が上がっていた。

 ガザ保健省は22日、2023年10月の戦闘開始以降、ガザで6万5344人が死亡したと発表した。ガザ北部出身の理容師ハッサン・ラディさん(28)はこの2年で8回、避難先を変えた。先月にはガザ市内の避難先近くでドローン攻撃による爆発が起き、軽傷を負った。

 朝日新聞の電話取材に、各国の国家承認を「良い動きだ」と歓迎し、日本が承認を見送ったことは「日本も米国による(大規模な空襲などの)攻撃を受けた過去がある。パレスチナ人に対する不正義を感じ取ってくれるはずだ」と再考を求めた。ただ、「(国家承認は)将来的には恩恵があるのかもしれないが、それだけで戦争は止められない」と複雑な心境も漏らした。

「狂っている」 国家承認に批判的な声も

 イスラエルは占領地のヨルダ…

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この記事を書いた人
石原孝
エルサレム支局長
専門・関心分野
アジアや中東、アフリカの新興国・途上国の情勢
今泉奏
ヨハネスブルク支局長|サハラ以南アフリカ担当
専門・関心分野
アフリカ、植民地主義、グローバルサウス
  • commentatorHeader
    能條桃子
    (NOYOUTHNOJAPAN代表)
    2025年9月23日19時3分 投稿
    【視点】

    パレスチナの国家承認は確実に違法な入植を続けるイスラエルにプレッシャーになることは明らかです。しかし、日本政府は国家承認をしないという方針を出しました。 その背景にはアメリカ政府から国家承認を見送るように要請があったということが報道されてい

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    高橋真樹
    (ノンフィクションライター)
    2025年9月24日21時56分 投稿
    【視点】

    日々のニュースでは、パレスチナの国家承認に焦点が当てられています。国家承認の話は意味がないわけではありませんが、実態としては、米国が拒否権を行使すれば承認されることはありません。少なくとも、トランプ政権の間に米国が承認することはないでしょう

    …続きを読む