議席急伸の参政党、今後問われるのは 丁寧で開かれた説明姿勢

国会担当キャップ・安倍龍太郎
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政治Plus

 参政党が参院選で議席を増やし、次期衆院選に向けても100人以上の候補者擁立を目標に掲げる。勢力を拡大している公党として今後、どのような姿勢が求められるだろうか。

 1カ月ぶりに開かれた8日の記者会見のこと。神谷宗幣代表の言い回しが気になった。

 参政は8月に事前に記者登録を求める通知を報道機関に送った。同党の会見やイベントで「妨害や迷惑行為」をした記者や報道機関は「取材をお断りする場合がある」とし、これに「承諾」の意思表示をしなければ登録できない仕組みとした。会見の直前になって、登録しなくても出席できると報道機関に通知したが、これに記者の質問が集中した。

 経緯について説明を求められた神谷氏は「担当者に任せているので、細かい理由まで全部聞いていない」とした上で、「(記者の)数が多くなりすぎ、トラブったことがあったので、その辺の制限をするという趣旨かなと思う」と述べた。

 参政は、フリーランスの記者に対しては、運転免許証やパスポートなど顔写真付きの身分証明書の添付も求めていた。これについて別の記者が「今後は不要なのか」と尋ねると、党がこうした要請をしていたことについて「私、それはいま初めて聞いた」と述べた。さらに「(顔)写真までは要らないと思う」とも付け加えた。

 国会で議席を持つ公党が会見を開くにあたり、報道機関に事前登録を求めるのは異例のことだが、正確に理解していない様子だった。こうした重要な意思決定を党の代表が把握していないということがあるのだろうか。

 参院選のさなかにもこんなことがあった。プーチン政権がプロパガンダ(政治宣伝)に使用していると指摘される、ロシアの国営通信社に、候補者が出演していたことが発覚した際には、神谷氏は「勝手に党の職員が許可を出した」として、党職員に辞職勧告を出した。

 参院選で議席数を伸長させ、今後の党運営はガバナンス(党内統治)が課題になると語っていた神谷氏。参院では15人を擁し、野党では立憲民主、国民民主、日本維新の会に次ぐ規模だ。参院選ではSNSを中心に支持を広げ、党の存在感は大きくなった。

 「日本人ファースト」を掲げ、物議を醸す発言で批判や指摘も浴びた参政。政党として説明責任が求められる。今後も彼らの政治姿勢をきちんとウォッチして報じていきたい。

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