「がん治療費、生活に影響」45% 若い患者をめぐる支援、現状は

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松本千聖
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 がんと診断されるAYA世代の患者は、推計で年間2万人。国立がん研究センターが今年、発表した患者体験調査報告書では、AYA世代の抱える課題が表れていた。

 この調査は、がん患者に受けた医療への評価や療養生活について尋ね、1万人超からの回答を解析したもの。国のがん対策を評価するうえで参考にされる。40歳未満の若年患者についても分析した。

 調査項目の中で、「治療の金銭的負担で生活に影響があった」人は、全体では24%である一方、若年患者では45%と倍だった。経済的影響の内容は、「貯金を切り崩した」「食費や衣料費を削った」「親戚や他人から金銭的援助を受けた」が多かった。

 ほかにも、若年患者では、家族などに負担をかけていると思う人や、身体的・精神的苦痛を持つ人の割合が高いといった傾向が見えた。

 自身も甲状腺がんで、「富山AYA世代がん患者会Colors」代表の樋口麻衣子さんは「若い世代は、貯蓄も少なく、がん保険などにも入っていない人が多い。医療費がかかることが想定されていないために、がんになったときの経済的リスクは大きい」と指摘する。さらに治療が一段落しても、体調が元に戻らず休職や時短勤務が続く人もいて、健康な人と同じように収入を得られるとは限らない。

 情報が乏しく、孤立している患者も多い。国のがん対策推進協議会委員も務めた樋口さんは、「いま進められている国の第4期がん対策推進基本計画では『誰一人取り残さないがん対策』を掲げている。AYA世代の患者が生きる希望を持てるよう、適切な支援につなげていく必要がある」と話す。

相談体制や妊よう性の説明 取り組み成果も

 AYA世代のがん対策は、2…

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この記事を書いた人
松本千聖
くらし科学医療部
専門・関心分野
医療、子どもや女性の健康、子育て
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    白川優子
    (国境なき医師団看護師・作家)
    2025年9月24日11時41分 投稿
    【視点】

    人生のスタートラインに立ったばかりのAYA世代(思春期・若年成人)が、病気だけでなく経済的困難まで抱えるのは、本当に大変なことだと思います。貯蓄もこれから、という時期に高額な医療費に直面すれば、就職・結婚・出産などのライフイベントにも大きな

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    福原麻希
    (医療ジャーナリスト・介護福祉士)
    2025年9月25日9時28分 投稿
    【解説】

    記事の後半に、「AYA世代支援チーム」を設置する動きがあるという現状が紹介されている。病院でどんな職種が働いているかを知らない場合、私たちはどうしても目の前にいる医師や看護師に何でも話を聞いてもらおうとするが、特に医師や看護師は病院内を走り

    …続きを読む