核問題でイランが迫られる決断 「8月末」の期限、カギは国内合意か

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テヘラン=大野良祐
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 イスラエルと米国がイランの核施設などを攻撃した「12日間戦争」の停戦をトランプ米大統領が宣言して24日で2カ月がたったが、イランの核開発をめぐる米国との協議は再開のめどが立っていない。米国や欧州主要国は、8月末までに外交解決につながる方策を示すよう圧力を強めている。イランがウラン濃縮活動で柔軟性を示せるかどうかが焦点になる。

 協議はイランに核武装させないことを目的に、トランプ氏がイラン最高指導者のハメネイ師に交渉を要求して4月に開始。ウラン濃縮などを大幅に制限する見返りに米国がイランに科している経済制裁などを緩和するという合意を目指していた。だが、6月にイランの核施設などがイスラエルに攻撃されて以降、中断したままだ。

 協議の再開に向けて、イランが最大の争点であるウラン濃縮活動で歩み寄るかどうかがポイントだと専門家や外交関係者はみる。

 イランは、核不拡散条約(NPT)で保障される「原子力の平和利用」は加盟国の権利だと主張してきた。巨額の資金を投じて技術を獲得してきたウラン濃縮はその象徴であり、他国の圧力で手放すことはできないとしている。

国内から「ウラン濃縮の自主的停止」の声も

 一方、米国は濃縮の完全放棄…

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この記事を書いた人
大野良祐
中東アフリカ総局員兼テヘラン支局長
専門・関心分野
東南アジア・南アジアの政治社会、生活文化、民主化問題、環境問題
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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2025年8月24日19時58分 投稿
    【解説】

    実際のところ、英仏独が進める、国連制裁を復活させる「スナップバック」は大した効果を期待できない。これまで国連制裁は、核開発に関連する物資の移転を止め、核開発に関連した個人や団体に対して旅行禁止や資産凍結をさせるもの。また、ミサイルや武器輸出

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