気がつけばロシア軍の弾よけに 「移民兵」となったアフリカ人の後悔

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ウクライナ西部=杉山正
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 ウクライナ西部の小さな町。保安上の理由のため、当局から具体的な町の名前を記さないように念を押された。かつて刑務所だった施設の分厚い鉄の扉や鉄格子をいくつもくぐると、100人ほどのロシア兵捕虜が昼食のために整列していた。

 「ランチ、ありがとうございます」

 食堂では、ボリュームのある食事が提供され、テーブルごとに捕虜の男たちが、たどたどしいウクライナ語で声を上げた。

 アフリカ系やアラブ系、アジア系の姿が少なくない。さまざまな理由から母国を後にしてロシアに渡り、「移民兵」として戦った男たちだ。彼らはなぜロシア軍に加わり、戦場に向かったのか。

 体格のいいアフリカ系の男性に声をかけた。

 マノーとニックネームを名乗った42歳の男性はアフリカ西部シエラレオネの出身。15年以上、シエラレオネ軍の兵士だったという。

 「私はだまされた」

 そう繰り返し言った…

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この記事を書いた人
杉山正
ヨーロッパ総局長
専門・関心分野
国際政治、紛争、外交、民主主義
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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2025年8月24日17時0分 投稿
    【視点】

    ものすごい話だ。ロシア軍の継戦能力の源は何なのか、というのは有識者の間でもよく話題になるが、「社会的弱者を食い物にする」国際的ブラックビジネスがその一角をなしているとは。 「なるほど、やりかねんな」という納得感が驚きを軽く上回ってしまうあた

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    小林恭子
    (在英ジャーナリスト)
    2025年8月24日17時0分 投稿
    【視点】

    このようなことが起きていることを初めて具体的に知りました。 戦争続行のために、ロシア当局が様々な外国兵を導入していることはすでに報道されてきましたが、直接、戦場に送られた人の話を聞いて、真実が見えてきました。 外国出身者であるがゆえに、

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