京都・貴船で川床崩れ、女性客流される 救助に入った男性が軽傷

佐藤道隆 石山綾香
[PR]

 12日午前11時10分ごろ、京都市左京区鞍馬貴船町の飲食店の従業員から、「貴船川が増水して、川床(かわどこ)が崩れた」と119番通報があった。下鴨署によると、客として来ていた滋賀県高島市の女性(79)が約3メートル流されたほか、経営者の男性(49)が救助しようと川に入り、2人とも救急搬送された。女性にけがはなく、男性は両足に軽傷を負った。

 署によると、川床は金属製の土台の上に木枠を載せ、畳を敷いたもの。川床が浸水し、客の女性が畳ごと流されたため、経営者の男性が川に入り、それ以上畳が流されないよう止めていた。2人とも従業員らに救助されたという。

 貴船の川床は京都の夏の風物詩の一つで、この店の川床には、流された女性を含め、2人ずつ3組、計6人の女性客がいた。ほかの5人は自力で岸にあがった。当時、雨は降っていなかったという。

床の強度 安全性は店側任せ

 貴船川を管理する府京都土木事務所によると、川床の営業には、河川法に基づく占用許可を事務所から得る必要がある。今年、貴船川で川床の占用許可を受けたのは18軒。

 今回の事故が起きた店は5月1日~9月30日が営業期間とされ、縦12メートル、横5メートルの床と、縦3・6メートル、横4・5メートルの床の占用許可が出ている。

 事務所が許可するか決める際に重視するのは、床の構造が川の流れをせき止めないか、川の増水時に速やかに撤去できる構造になっているかという点だ。

 許可する際には、店ごとに定める「警戒水位」に達した場合にはただちに床を撤去すること、雨天時には営業しないことを条件として付している。

 一方、床は、建築基準法が定める「建築物」に当たらず、床の強度などの安全性の確保は店側に任されているという。

 事務所が把握している限りでは、少なくとも1970年代以降で今回のような事故が起きたことはないという。

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません