金与正氏、米朝首脳の関係「悪くない」 非核化拒否も対話に含み

ソウル=貝瀬秋彦
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 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記の妹の金与正(キムヨジョン)朝鮮労働党副部長は28日付で米朝対話に関する談話を発表し、米国が北朝鮮の非核化を目指すなら「愚弄(ぐろう)」することになるとして非核化を拒否した。一方で、対決的な方向に進むのは有益ではなく、トランプ米大統領と正恩氏との個人的な関係は「悪くない」とも言及し、非核化が前提でない対話については可能性に含みを持たせた。

 朝鮮中央通信が29日に伝えた談話で、与正氏は米朝対話について「我が国の不可逆的な核保有国の地位とその能力、地政学的環境も根本的に変わったという事実の認定が前提になる」とし、「米国が変化した現実を受け入れられず、失敗した過去にのみ執着するなら、朝米間の出会いは米国側の『希望』としてのみ残る」と指摘した。

 一方で「新たな思考を基盤に他の接触のルートを模索するのがよい」とも言及。米朝首脳の個人的関係が「悪くないという事実を否定したくはない」ともしており、非核化を前提としない対話については可能性を示唆したとの見方が出ている。

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この記事を書いた人
貝瀬秋彦
ソウル支局長
専門・関心分野
朝鮮半島、東南アジア、核問題、人権問題
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    佐藤優
    (作家・元外務省主任分析官)
    2025年7月29日14時2分 投稿
    【視点】

     7月28日付の朝鮮労働党の金与正副部長の談話はアメリカのトランプ大統領に対して対話を呼び掛けるシグナルです。 <北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記の妹の金与正(キムヨジョン)朝鮮労働党副部長は28日付で米朝対話に関する談話を発表し、

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    佐藤優
    (作家・元外務省主任分析官)
    2025年8月9日20時19分 投稿
    【視点】

     この記事が紹介している朝鮮労働党の金与正副部長の談話は、北朝鮮の対米政策を分析する際の基礎資料なので、少していねいに分析しておきます。金与正氏の兄は金正恩・朝鮮労働党総書記です。  北朝鮮の朝鮮中央通信が7月29日、金正恩・朝鮮労働党総

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