中国はなぜ米国に「背水の陣」ができたか 北京の識者語る交渉の展望

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北京=斎藤徳彦
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 米トランプ政権が各国に仕掛ける関税交渉の中で、最も高率をかけられ、注目を集めるのが中国です。これまでに第三国で2度の交渉がありましたが、決着はまだ見通せません。事態の推移と今後の行方は、中国サイドからはどう見えるのか。国際貿易に詳しい対外経済貿易大学(北京)の龔炯(コンチュン)教授に聞きました。

 ――「トランプ関税」をめぐる米中の貿易交渉は、4月にお互いが報復し合う形でエスカレートした後、5月にジュネーブ、6月にロンドンで交渉を行ってきました。どう読み解きますか。

 「4月に双方が100%を超える関税を掛け合い、両国間の貿易が事実上、完全にストップした。これは持続的ではなかった。そこでジュネーブで交渉を行い、お互いが(115%幅を)引き下げた。ロンドンの交渉は、そのジュネーブでの成果を長期化・固定化したという意味あいがある」

 「トランプ米大統領は他国には最低10%の関税をかけると言っている。中国にはこれに加えて以前からの20%程度、さらに(米国が)合成麻薬フェンタニルを理由とした20%がある。これを合わせると約50%になり、持続可能ではない。中国政府としてはフェンタニルの20%は受け入れられない。中国も協力して解決可能な問題だからだ。これを除いた30~40%の関税は、個人的には受け入れられる水準だと考えている」

世界を驚かせた強硬策、中国の勝算どこに

 ――トランプ政権の目標の一…

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この記事を書いた人
斎藤徳彦
中国総局長
専門・関心分野
国際経済、中国の経済・政治
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    佐橋亮
    (東京大学東洋文化研究所教授)
    2025年7月21日16時24分 投稿
    【視点】

    トランプ大統領は米中関係でとくに「経済」に焦点を当てており、関税問題も現在は「小休止」(中国官製メディアは「停戦」とも言います)ですから、このように楽観的な見方を含んだインタビューが出てくるのは自然です。 もちろん、コンチュン教授も米中の

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連載閉じゆく世界 インタビュー トランプ関税

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