日本人の抑留の歴史伝える モンゴル人男性が1人で首都に資料館

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編集委員・島康彦

 天皇、皇后両陛下が訪問するモンゴルの首都ウランバートルには、日本人抑留者の歴史を伝える私設資料館「さくら」がある。モンゴル人男性が1人で開設し、運営している。

 北部のチンゲルテイ区。街並みが見渡せる山間部に立つ移動式住居「ゲル」内には80年前に日本人が扱った建設資材や、抑留者が労働していた現場の写真、資料などが展示されている。入り口には「さくら」と日本語で書かれている。日本とモンゴルの国交樹立50周年の2022年8月、ソドノムセンゲ・ウルジートグトフさん(48)が開いた。

 敗戦直後、旧ソ連やモンゴルには元日本兵ら約60万人が抑留され、このうちモンゴルには約1万4千人が移送。2年余りにわたって強制労働させられ、酷寒のなかで2千人ともいわれる人が亡くなった。実態は今もはっきりしない。

 ウルジートグトフさんによる…

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この記事を書いた人
島康彦
社会部|編集委員
専門・関心分野
皇室、こどもの問題、格闘技(プロレス)、演芸(落語、浪曲)
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    辻田真佐憲
    (評論家・近現代史研究者)
    2025年7月15日15時22分 投稿
    【視点】

    個人で運営しているとは並々ならぬ熱意だと驚きました。目先の「バズり」ばかりがもてはやされる昨今、みずからの関心に基づいて、信念を持ちながら、長年にわたり取り組みを続けてきた姿勢は、より高く評価されるべきものだと思います。こうした人物に光が当

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