■「時をよむ」　論説委員室から　古代ギリシャの叙事詩「オデュッセイア」に、「セイレンの誘惑」という有名な場面がある。　美しい歌声で船乗りを誘い込み、船を難破させる魔物セイレン。その声を聞いても引き寄せられぬよう、英雄オデュッセウスは、部下に…

超がつく速度で成長し、先進国への道を駆け抜けた韓国。まぶしい繁栄の一方、少子高齢化をはじめ多くの社会問題に苦しむ。今年は日韓国交正常化60年、両国には共通する課題も多い。長年にわたり隣国へ足を運び、人々の声に耳を傾けてきた春木育美・聖学院大…

■言葉季評　歌人　穂村弘さん　先日、新聞の短歌欄でこんな作品と出合った。　立っているこちらちらちら見る人とどちらが年上なのか微妙だ　　　　　　　前川泰信「日経歌壇」　　電車かバスに乗っているのだろう。立っている〈私〉を気にして、その人はちら…

「戦後１００年」を迎える２０４５年、日本はおよそ８００万人の団塊ジュニア世代の全員が７０代となる。東京でも人口が減り、総人口の１億人割れが近づく。　未来の姿を見通して、税や社会保険料の「負担」の姿を決めてきた戦後日本は、１０年単位で議論に時…

体重が６キロ減った。読んだ本は１５０冊。もらった手紙は約５００通。そして面会に来てくれたのは約７０人。郵便不正事件で無罪となった元厚労次官の村木厚子さんは、１６４日という長い勾留を強いられた。その間に得たり失ったりしたものとして著書で明かし…