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私がこの本を知ったきっかけは、精神科医・樺沢紫苑先生のX(旧Twitter)の投稿でした。
先生は「10代でも理解できるように書かれているが、大人にとってもアドラー心理学の入門書として役立つ」と紹介されていて、ふと興味を持ったのです。
正直に言うと、私は以前『嫌われる勇気』を手に取ったものの、内容が深くて理解しきれず、途中で挫折してしまった経験がありました。
だからこそ「読みやすいアドラー入門」という言葉が心に響きました。
実際に読んでみると、確かにわかりやすく、それでいて深い気づきがありました。
本記事では、私がこの本から得た学びの中で「うつ病を抱える人に特に役立つ」と感じたポイントを中心にご紹介したいと思います。
同じように自己否定や劣等感に悩んでいる方の参考になればうれしいです。
本の概要とおすすめの人
本書の正式タイトルは『自分を信じる勇気――10代のための「アドラー」の教え』です。
一見すると若い世代に限定された本に思えるかもしれませんが、樺沢先生の推薦通り、大人にとっても十分に実用的で、むしろ普段あまり本を読まない方にこそおすすめできる内容でした。
専門的な心理学用語はほとんど使われず、身近な事例を交えながら書かれているため、すっと頭に入ってきます。
私は以前『嫌われる勇気』を記事で紹介しましたが、あちらは哲学的な会話形式で書かれているぶん「難しい」と感じる人も少なくないと思います。
本書はその“かみ砕かれたバージョン”のような立ち位置で、初めてアドラー心理学に触れる人にも安心してすすめられます。
特に次のような方々におすすめです。
✅自分に自信が持てない人
✅自分らしさを見つけたい人
✅劣等感に悩んでいる人
そして、これらはまさにうつ病を抱える人が直面しやすいテーマでもあります。
だからこそ「10代向け」と侮らず、むしろ大人にこそ手に取ってほしいと感じました。
うつ病の人に特に役立つポイント
本書を読んで、私がとくに「うつ病の人に響く」と感じたポイントを3つ紹介します。
どれも私自身が実感をもって「救われた」と思えた部分です。
① p197 言葉を味方につける
うつ病を抱えていると、
「どうせ自分なんて」
「また失敗するに違いない」
といったマイナスのセルフ・トークが自然に浮かんできます。
私自身、20年以上この思考に苦しめられてきました。
本書では、そうした言葉をそのままにせず、意識的にプラスの言葉で上書きする大切さが説かれています。
たとえば、「自分はなんて人づきあいが下手なんだ!」と自己批判するのではなく、「自分の心の世界を大事にしている」と言い換える。
これは本書で紹介されていた「リフレーミング辞典」の一例です。
この「リフレーミング辞典」には、約80個ものネガティブな言葉と、それをポジティブに言い換えた例が収録されています。
「自分のこの欠点は肯定的にするのは難しい」と感じている人でも、きっとぴったりくる言葉を見つけられるはずです。
言葉を置き換えるだけで、同じ自分の特徴が「短所」から「個性」に変わって見えるのです。
私はこれを実践してから、徐々にマイナスのセルフ・トークに圧倒されることが減りました。
言葉の力を借りて、自分を守れるようになったのです。
②p98 「自分らしさ」のみがき方
本書の中で特に心に残ったのが、「やってみることで自分を知る」という言葉です。
私は長い間、「自分らしさとは何か」を頭の中で考え続け、結局答えが出ずに自己否定を深めてきました。
うつ病を抱えると、どうしても「自分には何もない」と感じやすく、思考の堂々巡りに陥りがちです。
しかし著者は、考えてばかりではなく、小さなことでも行動する中で、自分の得意が見えてくると説いています。
これは、私にとって大きな気づきでした。
例えばブログを書くことも、最初は不安だらけでしたが、続けるうちに「言葉を丁寧に紡ぐこと」は自分に向いているのだとわかりました。
結果として、文章を通じて誰かの役に立てる実感を得られるようになったのです。
また本書では、「内向性は強みとして活かせばよい」と語られています。
うつ病の人は「内向的=短所」と思い込みやすいですが、内向性には観察力や集中力、相手の気持ちを察する力といった強みがあります。
私自身、以前は会話が苦手なことを劣等感に感じていましたが、「相手の話をよく聞けること」や「文章で深く表現できること」は強みだと捉え直せるようになりました。
この「自分らしさを見つける=欠点を直すことではなく、特性を磨いて活かすこと」という視点は、うつ病の人にとって自己否定から抜け出すきっかけになるはずです。
③p142 劣等感はなくさなくていい
さらに本書で励まされたのは、「劣等感はなくさなくてもいい」という一節でした。
私は長年、
「自分なんかじゃダメだ」
「自分は情けない」
といった劣等感に押しつぶされそうになってきました。
特にうつ病がひどかった頃は、「病気だから人と会話できない」と自分に言い訳をして、関係を避けてしまった経験もあります。
著者は、劣等感は悪者ではなく「成長のエネルギー」にできると説きます。
たとえば「もっと人と話せるようになりたい」と思う気持ち自体が、次の一歩への動力になる。
大切なのは、劣等感を「逃げの言い訳」に使わず、「じゃあどうしたらいいか」を考える方向に転換すること。
私自身も少しずつ、「人と会うのが怖いから避ける」から「当事者会など信頼できる人とまず話してみる」へと切り替えてきました。
最初は小さな一歩でも、回数を重ねるうちに「思ったより大丈夫だった」と感じられるようになり、劣等感がむしろ挑戦するきっかけになりました。
「劣等感は消さなくてもいい」と知ることは、うつ病で自己否定しやすい人にとって大きな安心材料になると思います。
劣等感を味方につけられると、前に進む力が自然と湧いてきます。
まだある!おすすめポイント
本書には、他人と比較して落ち込むときや、大きな失敗をしたときの考え方についても具体的なヒントが載っています。
「人は人、自分は自分」と切り替えるための方法がわかりやすく書かれており、これは大人にとっても十分に役立ちます。
また10代向けという性質から、親が子どもに伝える際のヒントにもなります。
もしご自身が悩んでいるだけでなく、思春期の子どもにどう接したらいいか悩んでいる方にもおすすめできる内容です。
まとめ
『自分を信じる勇気』は、うつ病で悩んできた私にとって「自己否定や劣等感はそのままでいい」と受け入れられるきっかけをくれた本でした。
内向性や劣等感を否定せず、むしろ自分らしさを磨く材料にできる
――そう思えただけでも、心がふっと軽くなりました。
「嫌われる勇気」は難しいと感じた方にも、この本はやさしく背中を押してくれます。
そして同じように苦しんできた誰かにとっても、きっと救いになるはずです。
もし少しでも興味を持ったなら、ぜひ一度手に取ってみてください。
私がそうだったように、新しい視点に出会えるかもしれません。
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