こんな方は必見!
Form W-8BENについて知りたい
Form W-8BENの記入例がみたい
Form W-8BENは、アメリカ源泉所得(配当・利子・ロイヤルティなど)に対して 適用される租税条約の軽減税率を申請するためのIRS(米国国税庁)公式フォームです。
分かりやすくいうと、「私はアメリカに住んでいない外国人です。だからアメリカの税金を安くしてください」と伝えるための書類です。
今回は、Form W-8BENの簡単な説明とその記入方法について書いていきます!
アメリカの非居住者であることを証明するため
租税条約による軽減税率の申請
つまり、「私はアメリカ居住者ではないので、居住者に適用される税率を課さないでください」というイメージです。
提出が必要な人は?
アメリカ非居住の外国人(個人)が、アメリカで収入がある場合に提出が必要です。
例えば:
アメリカの証券口座を保有していて、配当・利息やキャピタルゲインがある人
アメリカ企業から報酬を受け取る個人事業主やフリーランス
アメリカ市民や永住権保持者は提出しません。また、法人の場合は「W-8BEN-E」を提出します。
「アメリカ非居住者」の定義は?
アメリカ非居住の外国人(nonresident alien)の定義は、以下の個人を指します。
米国籍、グリーンカードの保持者でない
学生や教員(F、J、M、Qビザ保持者)
1・2以外の人で、実質滞在日数テスト(Substantial Presence Test)を満たしていない
1)米国籍や永住権保持者は、居住地の関係なくアメリカ居住者扱いとなります。
2)逆に、学生や教員(F、J、M、Qビザ保持者)は、最初の 5年間は自動的に非居住者 として扱われます。
3)上記の2つ以外の駐在員などの方は、Substantial Presence Test (実質滞在日数テスト、以下SPT)によってアメリカの居住者かどうか決まります。
SPTとはアメリカの税法上、 あなたが米国の税務上「居住者(Resident Alien)」に該当するかどうかを判定するテストのことです。 基本的に、この Substantial Presence Test を満たした年は、アメリカ居住者として扱われます。
ただし、SPTで「居住者」を満たす場合でも適用される例外措置があります。例えば、帰国年の滞在日数が183日以下だった場合、「非居住者」扱いとなることも可能のようです。筆者は詳しくは分からないので、SPTや例外措置に興味がある方は以下の記事を読んでみてください。
uscollege.hatenablog.com
www.americazeimu.com
租税条約の軽減税率とは?(W-8BEN提出あり vs. 提出なしのシミレーション)
アメリカから配当を受け取る日本居住者のケースを見てみましょう。
通常、外国人がアメリカ企業の株式から配当を受け取る場合、自動的に30%の源泉税 がアメリカで差し引かれます。
ただし、 W-8BENを提出すれば、この源泉税は30%から10%に軽減 されます(日米租税条約に基づく)。
日本でもこの配当は課税対象ですが、 アメリカで引かれた税金は「外国税額控除」として、日本での税金から差し引くことができます 。
一方で、 W-8BENを提出せずに30%課税されると、日本で控除しきれない場合があり、実質的に損をしてしまう可能性があります。
ご覧の通り、W-8BENを提出することで、二重課税を回避することができ、実質的な税負担が減ります。
アメリカと租税条約を結んでいない国に住んでいる場合は?
たとえ租税条約がなくても、 W-8BENは提出する必要があります。 提出しないと、 米国人・米国居住者として扱われたり、正しく課税されない可能性があるからです。
ただ、条約がない国の居住者は通常通り一律30%が適用されるため、税務上のメリットはありません。
専門家は必要?
基本的に必要ありません。
W-8BENのフォームはそれほど複雑ではなく、自分でダウンロードして記入・提出できます 。
ただし、内容に不安がある場合や、税務状況が複雑な場合は、税理士などの専門家に相談するのがおすすめです 。
どこに提出すればいい?
Form W-8BENはIRS(アメリカ国税庁)に直接送る書類ではありません 。提出先は、あなたにお金を支払うアメリカ側の会社や金融機関(=源泉徴収義務者)です。
提出方法はその会社や機関によって違うので、問い合わせてみましょう。
Form W-8BENを提出することで、本来30%かかるはずの米国での自動源泉徴収が、租税条約に基づいて軽減 されます。
フォームの有効期限は?
提出した年の翌年1月1日から数えて3年間有効です。
2025年9月に提出した場合は、2028年の12月31日まで有効です。
上記の例の場合、2028年中に新しいForm W-8BENを提出しましょう。多くの証券会社などは更新通知を送るらしいですが、アメリカは基本的に信用できませんので、必ずカレンダーなどにメモしておきましょう笑。
他にも、住所や国籍、居住国などの記載内容に変更があった場合は、新しいForm W-8BENを提出する必要があります。
フォームはIRSの公式サイトからダウンロードするのがおすすめです。公式版なら直接入力ができますし、安心して利用できます。
提出先の証券会社や銀行などに送ってもらうこともできますが、古いバージョンを使っていることもあるので、IRSサイトのものが確実です。
どちらにしろ、必ずフォームが最新のものであることを確認しましょう!
筆者は銀行が送ってきたフォームを正直に提出したら、それが古いバージョンだったことが後に判明して、全てやり直しました(汗)。
2025年時点で、1番最新のものは、左上に「Rev. October 2021」と書いてある、文字通り2021年10月に改訂された版です。一応、ダウンロードリンクは貼っておきますが、最新版かどうかの確認をお忘れなく!
https://www.irs.gov/pub/irs-pdf/fw8ben.pdf
他人頼みで本当に申し訳ないのですが、Central Pacific Bankさんが載せている例が大変分かりやすかったので、そちらを使わせていただきます。
出典:Central Pacific Bank「Form W-8BENの記入方法」
以下はあくまで一般的な説明です。実際に提出する際はIRSの公式説明書や税務アドバイザーの確認をおすすめします。
Line 1:名前を記入。
Line 2:国籍を記入。
Line 3:米国外の現住所。
Line 4:郵送先住所、Line 3の現住所と違う場合のみ記入。
Line 5:米国の社会保障番号(SSN)、納税者番号(ITIN)をお持ちの方は記入。
Line 6a:居住地(外国)の納税者番号。日本居住の場合はマイナンバー。
Line 6b:6aがない場合はチェック。
Line 7:証券口座番号など、支払者側が識別できる番号。
Line 8:生年月日を記入。(MM-D D-YYYY)
Line 9:現在の居住国を記入。
Line 10:特別な条約適用を主張する場合に記入。(基本的に必要なし)
Part 3:チェックボックスにチェックをいれ、署名と日付、氏名を印字したら完成。
フォームの記入にてよく聞かれる質問など、とても分かりやすく書いてあるので、ぜひ Central Pacific Bank「Form W-8BENの記入方法」 をご覧になることをおすすめします。
筆者の体験談
筆者自身のW-8BEN記入体験をまとめた記事もありますので、ぜひそちらも読んでください!
まとめ
もし疑問点がある場合は、税理士など専門家に相談することを強くおすすめします。
費用はかかるかもしれませんが、そこをケチって問題になっては元も子もありません。
大げさに聞こえるかもしれませんが、正しく納税することは、あなたとアメリカとの関係においてとても大切なので、きちんと正確に申告をしましょう!