富士フィルムのコンパクトデジタルカメラ、X halfを購入後、約2週間使用しました。
ハーフ版フィルムカメラをデジタルで再現するという尖ったコンセプトのコンデジで、かなり人気で品薄になっていました。
到着を楽しみにしていたんですが、ファーストインプレッション的には、あんまりしっくりこない感じ。一瞬さっさと手放す? と言う考えがよぎったくらいでした。
カメラ自体のややもっさりした動きは、使用している内に慣れてきました。
気になっていたシャッターボタンの半押しのしにくさも、少しは慣れたかな。
ボタンの周囲がすり鉢状に凹んでいるせいで、半押しの場所がわかりにくいんですね。
一番気になった点は、出てくる絵があんまり気に入らなかった点です。いや、そうじゃないな……。気に入る写真と気に入らない写真の差が激しいというか。頭の中描いた写真の想像図を凌駕してこないといいますか。
これなんなんだろう、と居心地の悪さを感じながら使っていました。
でも、使ってるうちに、カメラで写真を撮るって、めちゃくちゃ楽しいな! と思いました。
最近は、全てのフィルムシュミレーションを確かめるつもりで、フィルムカメラモード(モニターを非表示にして、決まった枚数撮り終わるまで確認できないモード)で、撮影しているのですが、素通しのファインダーを覗いて、写真を撮る行為が、なんだかすごく文化的に感じます。
仕上がった写真を現像しても、当たり外れが多い気がします。
このカメラに、なんだか大いなる勘違いがありそうに感じて、もう一度、他の方のレビューを読み直してみました。
そこで気がついたのは、好意的レビューをしている人は、その作例も大変魅力的に感じるし、否定的レビューをしている人は、個人的にその作例も面白くないと感じるということです。
否定的レビューをしている人の写真が下手と言いたい訳ではありません。
この両者の作例を見ていて、気がついたのは、否定的レビューの作例は、カメラの性能テスト的な写真を撮っている傾向にあると感じました。
素人ながら、写真の上手さって、色々な考え方があると思ってますし、レビューのためにあえてそういう撮り方をしているのかもしれません。
カメラの上手さの一つに、写真から伝わるストーリー性というものがあります(よね?)。X halfの魅力的な作例には、それが備わっているように感じるんです。
そこで気がついたのは、X halfは、何を撮っても往年のフィルムカメラ的なエモい写真になるカメラと勘違いしていた、ということなんです。
X halfは、そこそこの解像感があるため、何も考えずに適当に撮ってしまうと、カメラ性能に拘ったスマホの写真くらいの画質と感じます。
これがスマホだったら、「今のスマホってこんなにキレイに撮れるんだ」 と感動はあるかもしれません。
X halfは、カメラとしてそこそこの性能のため、トイデジ的なLo-Fi感も普通に撮るだけでは感じにくい。
あくまで、写真にエモさを加えるのは、撮影者であって、カメラではない。
X halfはエモさをブーストする場合があるという感覚でしょうか。
これが自分の結論で、つまりX halfをイマイチと感じていたのは、使いこなせていない自分の腕の問題だった、と感じています。
先日、琵琶湖を撮影したんですが、グレイン・エフェクトかけて、いい写真になるかな? と思ったら、こんな感じ。……個人的にぜんぜん面白くない。
次に公衆電話を加えてみました。
個人的にこっちのほうが全然良いと思いました。
あとは失敗写真のほうが魅力的に感じます。
この写真は、白い花が完全に白飛びしてるけど、なんだか魅力的に感じました。
自分のセンスが変なのかもしれんけど。
何をどうやって撮るのか考えて取らないとエモくならないと書きましたけど、一部例外があって、色の出方は無条件でエモくなるので、良い色を探して撮影すると、気に入る写真になりやすい気がします。
青色は特に良い発色しますね。
失敗写真もそうなんですけど、偶発性はこのカメラの魅力の一部と感じます。
ランダムでエフェクトの入る、ライトリークエフェクトなんかは、使う前は全然魅力的に感じなかったんですが、実際使うととても面白いと思いました。
他の人のレビューでは、本格的なカメラのように気構えず、楽な気持ちで撮影するのに適した製品、と言う評もありましたが、それで自分の気に入る写真が量産できるのは、その人の才能・センスなのでは、と個人的に感じました。
自分にはそれがないようなので、惹かれた被写体を見つけた瞬間、どうやって撮ろうか悩みます。わざとラフに撮影して、偶発性でエモい感じが出ないだろうか、というアプローチをしてみたり、もう一つなにか要素がないか探したり。
こんなに考えて写真を撮ることは、これまでやって来なかった(構図や、どこにピントをあわせるか、シャッタースピードや絞りなどの設定とかくらい)ので、とても勉強になっているような気がします。
結果的に買って良かったと感じています。
これからもっと使い込んで、自分の納得できる写真が量産できたらいいなぁ。
今後は、色々なフィルムシュミレーションを使って、どういうシチュエーションでどのフィルターを使ったら良いのか、モノにしようと思います。
まだまだ、ブログネタにできるぜ、元を取るぜぇ。